曽和利光氏 特別寄稿
曽和利光の「性格と採用」|【第4回】適性検査の結果に違和感を覚える理由
2016.12.14

完璧に性格を測定できる適性検査はない
人事の方と適性検査などの話をしているときに、「あれって、本当にどのぐらいの精度なんですかね」と言うような質問を受けることがよくあります。
実際に会った受験生と、その人の受けた適性検査の結果との間に、いろいろ違和感を覚えることがある、というわけです。対する回答としてはもちろん、適性検査の品質を表す指標として「信頼性」(モノサシとしての安定性)がどうだとか、「妥当性」(測定したいものが測れているか)がどうだとかあるのですが、そもそも完璧に性格を測定できる適性検査などあるわけがありません。
適性検査においては、基本的には自分で何らかの自己イメージをもとに回答しているわけですし、その自己イメージと、実際にその人が取っている行動との間には乖離があるのが普通です。人は自己認知が甘く、誰も自分のことを完璧には理解していないのです。
「本当の自分」と「演じた自分」が異なる
さらに、「本当の自分」と「演じた自分」が異なることがあるという問題もあります。
哲学的な話をするつもりはないのですが、元々の傾向として自分が持っており日常的な場面での行動から推測される性格(これをここでは「本当の自分」とします)と、仕事の場面において実際に行動として表れているものから推測される性格(ここでは「演じた自分」とします)とが違うのは普通のことです。
人は元々の自分の傾向を押し込めて、長い間別の人柄を演じることはできないでしょうから、長い目で見れば(長期間、その人を観察している人から見れば)、両者は、結局は近づいていくのかもしれません。
しかし、仕事という人生の一面の短い間のみ見ている人から見れば、全く違うものに見えてしまうのも無理はありません。そうすると適性検査の結果が間違っていると思えることもあるでしょう。
知的能力の相対的に低い人は、性格傾向が強く出やすい
加えて、いわゆる知的能力の高い人は、演じる力が強いということもあります。
よく「“能力”は七難隠す」と言ったりするのですが、
こちらは会員限定記事です。
この記事の続きを読むには、@人事へのログインが必要です。
{{error}}
会員登録がお済みでない方は
こちらから登録を行ってください。
執筆者紹介

曽和利光(そわ・としみつ)(株式会社人材研究所 代表取締役社長) 京都大学教育学部教育心理学科卒業。リクルート人事部ゼネラルマネジャー、ライフネット生命総務部長、オープンハウス組織開発本部長と、人事・採用部門の責任者を務め、主に採用・教育・組織開発の分野で実務やコンサルティングを経験。また多数の就活セミナー・面接対策セミナー講師や上智大学非常勤講師も務め、学生向けにも就活関連情報を精力的に発信中。人事歴約20年、これまでに面接した人数は2万人以上。2011年に株式会社人材研究所設立(http://jinzai-kenkyusho.co.jp/)。
@人事では『人事がラクに成果を出せるお役立ち資料』を揃えています。
@人事では、会員限定のお役立ち資料を無料で公開しています。
特に人事の皆さんに好評な人気資料は下記の通りです。
下記のボタンをクリックすると、人事がラクに成果を出すための資料が無料で手に入ります。
今、人事の皆さんに
支持されているお役立ち資料
@人事は、「業務を改善・効率化する法人向けサービス紹介」を通じて日本の人事を応援しています。採用、勤怠管理、研修、社員教育、法務、経理、物品経理 etc…
人事のお仕事で何かお困りごとがあれば、ぜひ私達に応援させてください。

「何か業務改善サービスを導入したいけど、今どんなサービスがあるのだろう?」
「自分たちに一番合っているサービスを探したいけど、どうしたらいいんだろう?」
そんな方は、下記のボタンを
クリックしてみてください。
サービスの利用は無料です。
関連記事
-
コラム会員限定
曽和利光氏 特別寄稿
曽和利光の「性格と採用」|【第3回】大きな仕事や起業で成功するような人の特徴
目次 世の中の大成功者の共通点は何か? 若くして、「死を実感」した経験があるかどうか 孫正義さんも、三木谷浩史さんも「死の実感」を経験 「死の実感」がもたらす絶望から抜け出せる方法...
2016.11.30
-
コラム
曽和利光氏 特別寄稿
曽和利光の「性格と採用」|【第2回】挫折経験のある人は根性があるの?
目次 「挫折経験のあるやつを採れ」とは言うけれど…… 挫折経験がハイパフォーマーになるには条件がある 挫折経験者は創造的な仕事には向かない? 「強いタイプ」は状況によって変わる「挫...
2016.10.21
-
コラム
曽和利光氏 特別寄稿
曽和利光の「性格と採用」|【第1回】知的好奇心が旺盛な人って本当に必要?
「人には強みや弱みなど無く、あるのは特徴だけ――」どんな事業や仕事をするかによって、ある人の性格や能力における特徴が強みにもなったり、弱みにもなったりします。ところが人を表現する言...
2016.09.16
-
コラムニュース・トレンド
リンクアンドモチベーション特別寄稿
人的資本経営において今後注目される重要KPIとは〜日本国内の先進事例と国外のデータから紐解く〜
近年、世界的に「人的資本」への注目が高まっている。SDGsに代表される「持続可能」な社会づくりや、世界的な機関投資家が「非財務指標」を企業の持続的な成長の源泉とみなし、企業へ開示を...
2022.11.11
-
コラムニュース・トレンド
注目される背景・情報開示・人的資本を高める方法を有識者が解説
「人的資本経営」の実現に向け、企業が考えるべきこと【後編】
企業が人的資本経営を実践していくためには、どのような知識を学び、準備を行っていけばよいのか。リクルート主催の発表会レポートの後編は、企業の「人的資本経営」実現に向け、実践的な内容に...
2022.06.13
-
コラムニュース・トレンド
注目される背景・情報開示・人的資本を高める方法を有識者が解説
「人的資本経営」の実現に向け、企業が考えるべきこと【前編】
リクルートは、企業の人事担当者3,000人以上を対象に行った調査から、昨今の人的資本経営の潮流や人的資本経営の全体像、人的資本の価値を高める戦略などをレポート「人的資本経営の潮流と...
2022.06.13
あわせて読みたい
あなたにオススメのサービス
あわせて読みたい
あなたにオススメのサービス

人気の記事

国内・海外ヘッドライン

THE SELECTION
-
PRTHE SELECTION企画
3月24日開催セミナー特別インタビュー企画
“適所適財”で多様なキャリア形成を目指す味の素の自律型人財育成
-
THE SELECTION企画
育児制度の改定や時間単位の有給休暇制度が導入、ハンドブックの作成など
中小企業がくるみんマーク取得で女性活躍推進の環境づくりを実現した方法
-
THE SELECTION企画
レポートまとめ
@人事主催セミナー「人事の学び舎」 人事・総務担当者が“今求める”ノウハウやナレッジを提供
-
THE SELECTION企画
まとめ記事
人事のスキルアップにつながる 書籍の要約紹介「人事の10分読書」
-
THE SELECTION特集
「副業」新時代-企業の向き合い方 特集TOP
-
THE SELECTION特集
人事のキーパーソン2人が@人事読者の「組織改革」の疑問に答えます(第1弾)
「組織に一体感って必要?」人事の常識を疑え! 曽和利光×北野唯我対談
-
THE SELECTION企画会員限定
ダイバーシティを組織風土に根付かせるには
「役員になりたい」女性社員が3倍増。サッポロビール「一般職→総合職」転換3年計画の全貌
-
THE SELECTION企画会員限定
特集「人手不足業界の逆襲」
ファミリーマートが店舗従業員20万人のモチベーションを上げた秘策