特集

キャリアセンターに聞いてみました


人事担当者は中長期的な経営ビジョンに基づいた人材要件を伝えて欲しい―東京都市大学 住田曉弘氏

2016.12.09

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毎回、各大学のキャリアセンターの担当者の方を取材するシリーズ企画。今回は東京都市大学(旧・武蔵工業大学)学生支援部の住田曉弘(すみだ・あきひろ)氏に、17年卒採用の振り返りと18年卒の現状、企業の人事に求めたいことなどをお聞きしました。

キャリア教育の取り組みについては工夫をされていますか?

東京都市大学の学生支援部の住田曉弘氏⓵

住田曉弘氏

キャリア開発という授業の一部を私が自ら受け持っています。キャリアというのは「就活をして就職をする」という瞬間のことだけではありません。人生の中で自分がどうありたいのかということに深く関わってきます。そのためには自分を知り、社会を知り、自分を磨くことが必要となってきます。しかし社会に出る前の学生が、そのことに気付くことは難しい。当大学ではキャリアカウンセリングの理論やフレームワークを用いて、1~2年生の早い段階からキャリアを正しく捉えることを伝えています

キャリア支援センターとしても共通の考え方でキャリア支援を行っており、授業以外でも早期キャリア教育の取り組みを積極的に行っています。一例として「キャリアポートフォリオ」があります。これは将来の目標をもとに半年後の目標を設定し、達成状況を振り返るというもの。できたこと、できなかったことを「見える化」することで課題解決能力が少しずつ養われていきます。これは就活に関わらず、社会に出てからも役に立つことなので、特に力を入れています。

その他、力を入れている取り組みの一つに海外へ派遣するインターンシップがあります。掛かる費用の半額を大学が負担しており、今年は30人程度海外に行きました。海外インターンシップに行った学生はものすごく成長して帰ってくるんです。単に語学力ということだけではなく、人間力が上がる。この経験をもっと多くの学生に体験してほしいと考えています。受け入れ先企業は、我々自らで人脈を用いて探したり、OBの方に協力いただいたりするなどして開拓をしています。

東京都市大学の学生にはどのような特徴がありますか?

全員が必ずゼミや研究室に入り卒論を書くこともあって、真面目で頑張り屋な学生が多いと思います。授業の出席率もとても高いですね。卒業後の就職先でも、とても活躍してくれているようで、企業の人事様からは再度当大学の学生を採用したいというお声もよく頂戴します。

17年卒生の就職状況と振り返りについてはいかがでしょうか?

東京都市大学の学生支援部の住田曉弘氏②

9割以上の学生から既に内定報告を受けており、動きとしては例年より早い印象があります。外的要因としては、景気がよくなっており就職市場が良くなっていることと、スケジュールが前倒しされたことが上げられます。我々の大学独自の要因としては、キャリア教育を低学年から行っていることでしょうか。早い段階から将来に対する本質的な考え方を学んでもらおうと取り組んでいることが良い結果につながっているように感じます。就職を希望すれば決まる状況は作れたと思っていますので、今後は、学生がより志望度の高い企業に就職ができるようキャリア支援センターとして取り組んでいきたいと思っています。

当大学の特徴としてはインターンシップが盛んなことが挙げられます。17年卒生は1000名ほどが就職したのですが、その中の750名程度がインターンシップを活用したと報告をあげてくれています。

18年卒生の現在の就職状況(取材時点。特徴や傾向、今後の予測など)についてはいかがでしょうか?

全体感で言うと引き続きの景況感の良さもあり、17年卒生のときと外的環境の大きな変化がないため、やや危機感が低いように感じています。一つ上の先輩の様子を見て大丈夫だという感覚になっているのでしょうか。しかし昨年よりも学生のインターンシップへの関心は高まっており、努力をしている学生は多いですね。

人事担当者と接していて感じることはありますか?

本学に、どのような学部があり、ゼミでどのような研究をしているかという情報は資料やウェブサイトで開示しています。人事の方向けの資料も別途用意していますので、ある程度事前に知っておいていただけるとスムーズにお話が進むと思いますね。また、もし自社に本学のOBがいる場合は、どのように活躍をしているかお伝えいただけると、我々も求人に適した人をイメージしやすいですし、安心して紹介もできます。

私も以前企業で人事の担当をしておりまして、人を採用するということは企業の経営戦略に基づいていると認識しております。今後それぞれの企業様がどのような展望をもっていて、そのためにどのような人を採用したいのかというところまで言葉に落とし込んでいただければ、求人票に書かれている「条件」以上のことが我々にもわかります。お互い限られた時間の中で学生の就職のために取り組むわけですから、上のような内容を整理していただければ、マッチングの制度が上がるのではないかと思っています。お忙しい中かと思いますが、準備いただけるととても助かります。我々も全力で企業と学生の間で頑張りますのでよろしくお願いいたします。

***
・プロフィール
住田曉弘(すみだ・あきひろ)
1987年株式会社リクルート入社。人事、進学情報、就職情報、キャリアカウンセラー養成等の事業を担当。2005年、キャリア・人材コンサルタント業を開業。複数の企業へのアドバイザー業務と宮城大学キャリア開発論非常勤講師、東京大学キャリアサポートセンターアドバイザーを行う。2010年、キャリア教育・教育機関へのコンサルティングを行う企業、株式会社ラーニングバリュー役員に就任。2011年東京都市大学入職。現在は同大学学生支援部部長を務める。
国家資格2級キャリアコンサルティング技能士、産業カウンセラー、GCDF-Japanキャリアカウンセラー、日本私立大学協会就職委員会副委員長、大学職業指導研究会幹事。

執筆者紹介

井澤梓(いざわ・あずさ)(株式会社カタル 代表取締役[ライター/編集者]) 立命館大学卒業後、金融機関を経て、2010年株式会社ビズリーチの新規事業立ち上げに参画。法人営業や人材エージェントの新規開拓営業に携わる。その後ライターとして独立。経営者などのインタビューを数多く手掛けている。カタル代表。

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