「マイナビ 企業の雇用施策に関するレポート2025年版(2024年実績)」
2025年は7割以上が新規採用者の賃金を上げる予定。小規模企業の「上げる予定」が前年から上昇
2025.04.11

マイナビ(東京・千代田)は、企業の中途採用担当者を対象に実施した、「マイナビ 企業の雇用施策に関するレポート2025年版(2024年実績)」の結果を発表した。
調査結果によると、2025年は71.1%が新規採用者の賃金を上げる予定で、6割超の企業が研修費を増額、強化したい分野はデータ分析や情報セキュリティだったことが分かった。また、法改正で進むシニア雇用環境整備、シニア人材への期待は「技術TOPICS/目次
2024年に企業が特に力を入れた従業員向け施策は「人事考課・評価制度の見直し」が最多【図1】
企業が従業員に対して実施している施策は「有給取得率向上(29.3%)」が最多となり、「人事考課・評価制度の見直し(25.6%)」「在宅ワーク・リモートワーク制度(24.5%)」と続いた。 その中で、2024年に特に力を入れた施策を聞いたところ、「人事考課制度の見直し(13.4%)」が最多となり、「女性管理職比率の拡大(11.3%)」や「賃金テーブルの見直し(11.1%)」も上位5位以内に入った。物価高のなか賃上げの動きが高まった2024年において、優秀な人材を獲得・定着させるための施策が重点的に取り組まれたことが推察される。【図1】
2025年は7割以上が新規採用者の賃金を上げる予定。小規模企業において「上げる予定」が前年から上昇【図2、3、4】
2025年の新規採用者の賃上げ予定を聞いたところ、賃金を「上げる予定」は71.1%で3年連続7割を超えた。【図2】
従業員規模別では、従業員数3-50名規模の企業で「上げる予定」が48.7%と半数未満であるものの、前年より3.3pt上昇した。少しずつではあるが、大企業だけでなく小規模企業においても人手確保のために賃上げに踏み切る動きが出てきていることが推察される。【図3】
業種別では「環境・エネルギー(86.7%)」「金融・保険・コンサルティング(72.0%)」「流通・小売・サービス(68.9%)」「運輸・交通・物流・倉庫(70.9%)」で「上げる予定」が前年より増加した。【図4】
2025年に従業員研修費を上げる予定の企業は64.5%。「データ分析・統計解析」「情報セキュリティ」分野のニーズが高い【図5、6】
2025年の従業員教育費について、64.5%が「(2024年よりも)上げる予定」と回答した。業種別では「商社(77.0%)」や「環境・エネルギー(76.7%)」「IT・通信・インターネット(70.1%)」が7割以上で高いほか、「流通・小売・サービス(63.9%)」や「運輸・交通・物流・倉庫(67.0%)」で、前年より上げる予定が5pt以上増加した。【図5】
また、従業員にとって必要だと思うリスキリング内容を聞いたところ、「データ分析・統計解析(36.9%)」「情報セキュリティ(31.0%)」が上位となった。これらは従業員研修費を上げる予定が前年より増えた、「流通・小売・サービス(39.3%)」「運輸・交通・物流・倉庫(36.9%)」において特に多く回答されている。
人手不足が加速する業界を筆頭に、データを活用した効率化や競争力強化に特化した人材の育成、また、デジタル化に伴い上昇しているサイバー攻撃のリスクや情報漏洩リスクに対して、セキュリティ知識をもって企業を守ることができる人材のニーズが高まっている様子がうかがえる。【図6】
法改正にむけて進むシニア雇用環境の整備。シニア人材への期待は「技術や知識の継承」、課題は「健康管理への対応」【図7、8】
2024年12月時点のシニア人材(60歳以上)の雇用制度について聞くと、「定年65歳」が38.4%、「定年66歳以上」が15.2%、「定年廃止済み」が10.1%、「定年が65歳未満だが継続雇用制度がある」企業が33.6%となった。2025年3月に高年齢者雇用安定法の経過措置が終了するため、今後もシニア人材の雇用が進むと考えられる。【図7】
シニア人材に期待することを聞いたところ、「技術や知識の継承(42.1%)」が最多となり、「業務経験を活かした高度な仕事ができる(37.1%)」「社内や社外の人脈伝承(36.5%)」が続いた。そのほか「他従業員のメンターになること(33.1%)」も上位に入り、培ってきた豊富な経験や人脈を活かすのはもちろんのこと、同僚に寄り添える存在としても、シニア人材が期待されていることがうかがえる。
一方で、シニア人材の雇用において不安や課題に思うことは、「体力低下・健康管理への対応(33.4%)」「若手層とのコミュニケーションが難しい(28.4%)」が上位となった。企業にとってシニア人材ならではの期待はありつつも、世代間におけるギャップや、年齢に伴う身体的な不安も感じていることがわかった。【図8】
調査担当者コメント
2024年は33年ぶりに5%台の賃上げが実現するなど、賃上げの動きが活発になった一年となり、優秀な人材を獲得・定着させるため、改めて賃金テーブル全体の見直しや評価制度の適正化に力を入れた企業が多かったと推察されます。
今後も賃金を上げての採用活動が続く見通しです。リスキリング費用の増額予定も64.5%にのぼり、人材育成に積極的な投資をする姿勢の企業が多いことがうかがえました。
また、シニア社員の雇用機会の整備が進み、シニア人材への期待感もうかがえる一方で、健康管理への配慮や若手層との関係性などの課題もみうけられました。シニア社員に期待することを丁寧にすり合わせながら、双方の納得行く体制を構築することによって、若手社員の育成や組織全体のスキル向上につながるのではないでしょうか。
この先も続くと予想される人手不足を乗り切るために、賃上げだけでなく、シニア世代が働き続けられるモデルの構築やリスキリングを強化することで、世代を問わず成長できる環境を整備することが人材の定着につながると考えられます。
マイナビキャリアリサーチラボ 研究員 元山 春香
調査データ
「マイナビ 企業の雇用施策に関するレポート2025年版(2024年実績)」
【調査期間】スクリーニング調査:2024年12月16日(月)~12月19日(木)/本調査:12月18日(水)~12月25日(水)
【調査方法】インターネット調査
【調査対象】従業員数3名以上の企業において、2024年1~12月に中途採用業務を担当し「採用費用の管理・運用」に携わっている人事担当者
【有効回答数】1,500名
◆調査詳細
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20250328_94103/
【ニュースリリース「『マイナビ 企業の雇用施策に関するレポート2025年版(2024年実績)』を発表」より|株式会社マイナビ・2025年3月28日】
@人事では『人事がラクに成果を出せるお役立ち資料』を揃えています。
@人事では、会員限定のお役立ち資料を無料で公開しています。
特に人事の皆さんに好評な人気資料は下記の通りです。
下記のボタンをクリックすると、人事がラクに成果を出すための資料が無料で手に入ります。
今、人事の皆さんに
支持されているお役立ち資料
@人事は、「業務を改善・効率化する法人向けサービス紹介」を通じて日本の人事を応援しています。採用、勤怠管理、研修、社員教育、法務、経理、物品経理 etc…
人事のお仕事で何かお困りごとがあれば、ぜひ私達に応援させてください。

「何か業務改善サービスを導入したいけど、今どんなサービスがあるのだろう?」
「自分たちに一番合っているサービスを探したいけど、どうしたらいいんだろう?」
そんな方は、下記のボタンを
クリックしてみてください。
サービスの利用は無料です。
関連記事
-
ニュース・トレンド
「AI世代」の最新就活事情|株式会社マイナビ調べ
面接官は生成AI。模擬面接対策など就活生のAI活用進む
近年、学生が就職活動にChatGPTをはじめとする生成AIを活用する動きが加速している。マイナビの調査では、25卒が24卒と比較して20pt以上も生成AIの利用率が増加したことが分...
2024.08.06
-
プレスリリース国内・海外ヘッドライン
マイナビ 2025年卒企業新卒採用予定調査
【2025新卒採用】76.6%の企業が「厳しくなる」と予想。約半数が初任給引き上げ予定
マイナビ(東京・千代田)は、企業の新卒採用に対する意識や採用活動全体の動向を把握することを目的とした「マイナビ2025年卒 企業新卒採用予定調査」の結果を発表。調査結果によると、7...
2024.03.12
-
ニュース・トレンド
マイナビ「若者は『管理職になりたがらない』は本当か?!今の若者にとってのキャリアとは」詳細レポート
若者の「管理職離れ」から考える、キャリアアップのニーズに応えるアプローチとは?
いわゆるZ世代と呼ばれる年代の若者にいま、「管理職離れ」が起きているという。企業の人事担当者にとっては、単なる就業観の多様化だけでは片づけられないこの課題は、人材育成にとどまらない...
2024.03.08
-
ニュース・トレンド
【調査レポート】働く女性と「小一の壁」に関する市場調査(株式会社OKAN)
育児に関する勤務先の制度や支援について2割以上が「有無がわからない」と回答
OKAN(東京・豊島)は、小学校低学年の子どもを持つ働く女性515名を対象に実施した、「小一の壁」に関する調査結果を発表した。調査の結果、小学校低学年の子どもを持つ働く女性の64....
2025.04.07
-
ニュース・トレンド
【調査レポート】介護による「望まない転職」に関する市場調査(株式会社OKAN)
転職前の会社独自の介護支援制度について、全体の約6割が「制度・支援が存在しなかった」もしくは「制度・制度の有無がわからない」と回答
OKAN(東京・豊島)は、5年以内に介護を理由に正社員からの「望まない転職」を経験した会社員515名を対象に実施した調査結果を発表した。調査の結果、介護を理由に転職した正社員のうち...
2025.04.07
-
ニュース・トレンド
株式会社かんき出版
【女性活躍推進に関する要望】人事48.6%が「経営層のコミットメント」、女性管理職36.0%は「男性管理職の意識改革」を訴える
かんき出版(東京・千代田)は3月24日、女性活躍推進施策の企画・運営に携わる人事担当者109名と、課長級以上の女性管理職100名を対象に実施した「女性活躍推進に関する人事・女性管理...
2025.03.24
あわせて読みたい
あわせて読みたい

人気の記事

国内・海外ヘッドライン

THE SELECTION
-
THE SELECTION特集
【特集】ChatGPT等の生成AIが一般化する社会で必須の人材戦略・人的資本経営の方法論
-
THE SELECTION企画
人事のキャリア【第25回】
皆がうらやむような会社づくりに取り組む(アイロボットジャパン・太田浩さん)
-
THE SELECTION企画
レポートまとめ
@人事主催セミナー「人事の学び舎」 人事・総務担当者が“今求める”ノウハウやナレッジを提供
-
THE SELECTION特集
「副業」新時代-企業の向き合い方 特集TOP
-
THE SELECTION特集
人事のキーパーソン2人が@人事読者の「組織改革」の疑問に答えます(第2弾)
数値化できない部署を無理に人事評価する方が問題。曽和利光×北野唯我対談
-
THE SELECTION特集
「令和時代に必須! ハラスメント対策最前線」
パワハラと指導の違いは? 6種類のパワハラを佐々木亮弁護士が徹底解説(中)