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コラム

名将の作法


日ハムを日本一に導いた栗山監督に学ぶマネジメント力

2016.11.15

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逆転に次ぐ逆転の末、念願の日本一を手にしたプロ野球北海道日本ハムファイターズ。話題の中心は投手と打者の「二刀流」で大活躍した大谷翔平選手ですが、同時に大きな称賛をもって語られているのがチームの指導者栗山英樹監督(55)です。首位との最大11.5ゲーム差を逆転しリーグ優勝へ導いた不屈のリーダーシップ、短期決戦の日本シリーズを逆転で勝ち抜いた的確な判断力に支えられた采配。お見事の一言に尽きる名指揮官ぶりでした。

優勝後に栗山監督の指揮官としての裏話を報じる、様々なメディア報道がありました。それらで報じられていたものは、選手たちの監督に対する高い信頼感をベースにして、選手一人ひとりのヤル気を引き出す栗山イズムでした。それら報道を見るにつけ、チームの和や選手を根底で支えてきたこの栗山イズムこそ、我々ビジネスパーソンも参考にすべき管理者人事マネジメントの極意なのではないかと思わされたのです。

目次
  1. ”栗山イズム”の特徴とは
  2. 栗山監督に学ぶコミュニケーションのポイント
  3. 栗山イズムを一言で表すなら

”栗山イズム”の特徴とは

栗山イズムの目に見える最大の特徴は、自らが直接おこなう人事の掌握です。すなわち具体的には、たとえコーチという指導役が存在しても指揮官は指揮官として選手一人ひとりと直接接するコミュニケーションを大切にする姿勢です。

まず驚かされるのは、栗山監督の選手とのコミュニケーションの量です。これについては、5年前の監督就任時からマスメディアで話題になっていました。プロ選手にとっての元旦であるキャンプイン初日から、毎日選手全員と一対一で直接話をするというのが栗山スタイル。当時のキャンプ取材では、ある一軍半の若手選手がこんな話をしていました。

「僕のような下っ端にまで、監督が連日声をかけてくれるなんて信じられません。監督が見てくれていると思うだけで、『がんばらなくちゃ!』と俄然ヤル気がでてきます」

栗山監督に学ぶコミュニケーションのポイント

しかし組織における上下関係でのコミュニケーションは、一方的に上司が指示を出すばかりなど、単にその量が多いだけでは必ずしもうまく機能しないのです。ある管理者研修機関の調査では、部下が「上司が自分のために時間をとってくれている」と感じるかどうかこそが、上下コミュ二ケーションが人と組織の活性化に至らしめる大きなカギを握っている、という報告があります。上下のコミュニケーションは、量だけではなくその中身が重要ということ。では、栗山イズムにおけるコミュニケーションのポイントは何なのでしょう。

今年ホームラン王を獲得し優勝に大きく貢献した外国人助っ人レアード選手にまつわる、こんなエピソードがありました。来日1年目の昨年、開幕からシーズン半ばまで日本人投手への対応に苦労し打率低迷を続けていた時に、監督室に呼ばれました。2軍行きか?あるいは最悪、解雇・強制帰国か?そこまで覚悟を決めて監督と相対し告げられた言葉は、「君のプレーをビデオで入念に見て、絶対に活躍できると確信して日本に呼んだ。君は必ずやれると思っている。これからも使い続けるのでそのつもりで頼む」でした。

クビを恐れてプレーに集中できなくては力を発揮できないと思った指揮官の、期待感を込めた激励でした。一転シーズン後半はホームランを量産し、契約も無事更新。今年優勝を決めた値千金の一発も日本シリーズの満塁弾も、「監督を№1にして恩義を返したいという一心が、僕にホームランを打たせてくれている」のだと話しています。感性に違いがあるであろう外国人の魂ですら惹きつけられる栗山イズムには、驚かされるばかりです。

主砲中田選手からはこんな話が聞かれました。首位を追う大切な時期に極度の打撃不振に陥った時のこと。チームがサヨナラ勝ちしたゲームで、ノーヒットの中田選手は歓喜の輪に加わることなく、そっと一人球場を後にしたそうです。監督はそれを見逃さずに、翌日試合前に彼を監督室に呼びました。中田選手は叱責を覚悟し、チームに迷惑をかけている状況を踏まえて、自ら潔く2軍行きを志願しようと心に決めていたのだと言います。

監督の話は予想外でした。「もう一回、一からがんばろう。翔で勝負してダメだったら俺は納得できる」と。「4番を下ろす」「先発を外す」でもなく、「翔で勝負してダメだったら納得できる」。これ以上に信頼感、期待感を感じさせ弱気を転じてヤル気に替えた言葉はなかったと、彼は言います。直後にスランプを脱出し、優勝に大きく貢献した中田選手。胴上げの陰で涙した彼の脳裏には、期待感を伝えられたあの日の光景があったのでしょう。

栗山イズムを一言で表すなら

私は、栗山イズムを一言で表すなら「信じる力」であると思っています。選手を信じ期待感を伝えるコミュニケーションが生みだす力です。人はある特定の人にずっと期待感を伝え続けているとその人は期待に沿うようになる、という教育心理学でいうピグマリオン効果という実証例があります。栗山イズムは、東京学芸大学教育学部に学び教職免許を持つ栗山監督ならではのチーム・マネジメントである、と言ってもいいのではないでしょうか。

栗山イズムの「信じる力」は、多くの人が否定した「二刀流」の新時代ヒーローを着実に育て、崩壊した抑えの守護神を先発で蘇らせ、大一番のプレッシャーで不振にあえぐ若手成長株に劇的なサヨナラ満塁弾を打たせました。先のレアード選手も中田選手も含め、「何かが足りない」状態を「信じる力」がしっかりと埋め合わせ、それらの積み重ねが逆転に次ぐ逆転の勝利で幕を閉じた奇跡の一年を生んだのだと思います。

人事担当の皆さんが、「何かが足りない」と感じる現場の人事マネジメントに出くわしたときには、栗山イズムに学ぶ「信じる力」を現場指揮官に授けてみてはいかがでしょうか。

執筆者紹介

大関暁夫(おおぜき・あけお)(株式会社スタジオ02 社長) 東北大学卒。横浜銀行に22年勤務。経営企画、マーケティング、営業部門を歴任した。06年に独立し、コンサルタントとして「必ず実績が上がる営業チームづくり」をはじめ、企画、人事、営業面で数多くの企業を支援。若手時代には “リクルーターの神様”と呼ばれたこともある。採用に関する持論は「リクルーティングは自社を買わせる営業である」。

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