イベントレポート
海外人材のリモート雇用をワンストップで提供。グローバルHRソリューション「Remote」が日本向けサービスを開始
2024.12.13
グローバルHRソリューション「Remote( https://remote.com/ja-jp )」を展開する、米カリフォルニアに本社を置くRemote社が、日本向けサービスを本格展開する。
同社は2019年に設立されたHRテックのユニコーン企業だ。海外展開を目指す企業に向け、現地法人の有無を問わず、採用から雇用管理、給与支払いまでをワンストップで支援するサービスを提供している。
11月13日(水)に都内で開催された記者発表会では、共同設立者兼CEOのJob van der Voort (ヨブ・ファンデルフォールト)氏と、共同設立者兼プレジデントのMarcelo Lebre(マルセロ・レブレ)氏が登壇し、Remote社の歩みやサービス概要、導入事例、日本企業における海外人材活用の可能性が語られた。今回、その模様を詳しくレポートする。
【写真:左から:ソフトバンクビジョンファンド Kaz Yoshimaru 氏、Remote 共同創業者兼President Marcelo Lebre(マルセロ・レブレ)氏、Remote 共同創業者兼CEO Job van der Voort(ヨブ・ファンデルフォールト)氏、Index Ventures Hannah Seal(ハナ・シール)氏】
編集部注:この記事はRemote Japan株式会社から提供の寄稿レポートです。
グローバルなリモート雇用の模範を示すRemote社
発表会では、CEO Job van der Voort氏、およびプレジデントMarcelo Lebre氏が登壇し、Remoteのサービス概要紹介とともに日本展開への期待を述べた。
Remoteが設立されたのは2019年。Job氏とMarcelo氏は「チャンスがどこにでもある世界を作る」というミッションを掲げ、グローバルに事業を拡大する企業のリモート採用をサポートするサービスを立ち上げたのが始まりだ。
Job氏「素晴らしい人材はあらゆる場所に存在しますが、チャンスはそうではありません。そこで私たちが実現したかったのは、誰でも、どこにいても、企業が素早く簡単に採用できるビジネスを創り出すことでした。なぜなら、会社を拡大する最善の方法は素晴らしい人材を採用することだと私たちは信じているからです」
Job氏らはその後、Remoteを人事業務や勤怠管理、経費計算や給与支払、コンプライアンス管理など、高度な国際チーム構築に必要なあらゆる機能を含むHRソリューションへと成長。現在では、EOR(企業に代わり、法令を遵守しながら給与計算や福利厚生の提供、納税申告などの人事業務全般を担うサービス)のリーディングカンパニーとなっている。
「チャンスがどこにでもある世界」というコンセプトは、Remote社自体も体現している。87カ国で2,000名近い従業員を雇用しながら、オフィスを持たず、働き方の中心はテキストや動画による非同期コミュニケーション。2021年には単年度でチームを50人から650人にまで拡大したという。
Job氏は、すべての顧客にこの働き方をしてほしいわけではないと前置きしつつも、遠隔地でのグローバルな雇用を提供する同社の成果を強調した。
強力なツールにより、企業は価値あるビジネスに専念可能に
企業が海外で人材を採用する上では、仕事の進め方や文化、商習慣の違いが大きなハードルとなる。これを踏まえてMarcelo氏は、Remoteの特徴を次のように述べた。
Marcelo氏「Remoteを使えば、人材を見つけることから、採用、管理、給与の支払い、さらなる拡大まで、組織作りの最初から最後まですべてのステップが完了します。お客様は、得意とするビジネスに集中し、手間のかかる仕事はプラットフォームに任せることができます。また、私たちは世界中のあらゆるビジネスに対応するために、各国の人事・財務・労働や福利厚生に関する違いを理解し、強力なツールとして皆さまにご提供しています」
同社はすでに、トヨタ自動車、みずほ銀行、横河電機、バーガーキングなど、世界中に多くの顧客を獲得している。その一つが、ノイズコントロール用の耳栓を開発・販売する Loop BVの事例だ。
同社はベルギーに拠点を置き、現地法人は2つながら世界16カ国に60名以上の正社員を雇用している。税務、福利厚生、コンプライアンスやビザなどについてRemoteからのアドバイスを活用し、料金についても満足していることが紹介された。
Remoteは、2025年末までに250社以上の日本企業との提携を目指すという。日本の国内スタートアップへの投資額は2022年までの過去10年で10倍に成長しており、経済産業省は「スタートアップ育成5か年計画」として人材や資金、事業拡大に関する支援施策を実施。しかし、課題もある。
Job氏「日本のスタートアップ企業のうち82%がグローバル展開を希望している一方で、実際に海外で人材を雇用しているのは18%に過ぎません。HRや給与管理ツールの不備が、こうした企業のリモート採用を阻んでいるのが現状です。このような状況こそが私たちRemoteにとっての大きなチャンスであり、これらの課題を解決することが企業の成功につながると考えています」
日本企業が世界へ羽ばたくためのプラットフォームに
続いて登壇したIndex VenturesのHannah Seal氏は、Remoteが驚異的な成長を遂げる様子を目の当たりにしてきたと言う。Index Venturesとは、ロンドンとサンフランシスコに拠点を置く世界最大級のベンチャーキャピタルファンドで、Seal氏はRemoteの日本での展開について次のように期待を述べた。
Seal氏「Remoteが日本で、日本企業にとって信頼性の高いパートナーとなることを確信しています。Remoteが日本のビジネス環境の中で成長すること、また日本企業がグローバルな人材活用の可能性を切り開くお手伝いができることを楽しみにしています」
同じくRemoteに出資するソフトバンクビジョンファンドから、アメリカ投資部のYoshimaru氏が登壇。海外展開を希望する企業幹部と接する中で、見えてきた共通課題を指摘した。
Yoshimaru氏「経営に関して『“ヒト・モノ・カネ”の3要素』と言われますが、やはり企業が困ってらっしゃるのは圧倒的に人です。採用し、労務管理し、コンプライアンスも守っていくことは非常にコストがかかり、困難であるという意見をよくうかがいます。Remoteがそれらのハードルを下げることで、日本企業が世界に羽ばたくためのプラットフォームとなることには非常に説得力がありますし、われわれ投資家としてもそのビジョンを心から応援したいと考えています」
「時間の柔軟性」と「場所の柔軟性」を持つ働き方へ
最後の質疑応答では、Job氏とMarcelo氏がメディアからの質問に回答した。
Q)海外の企業が日本人材を採用するサービスは以前からあったのか。
A)2023年3月より日本に拠点を設け、すでに多くの日本のプロフェッショナルがRemoteを通じて海外で働いている実績があります。
Q)日本におけるターゲット企業を教えてください。
A)Remoteの利点は、ほぼあらゆる規模の企業と連携できる点にあります。特に、知識労働者を多く抱える企業と相性が良く、日本では3人だけのゲームスタジオが、Remoteを通じて全員を雇用し、給与を支払っているケースもあります。このように、知識労働者を抱える企業であればどのような規模でも対応が可能です。
Q)競合があると思うが、Remoteの特徴や強みは?
A)Remoteを立ち上げた際、競合他社の多くが手作業中心のプロセスに依存し、業務を他社に委託している現状に気付きました。私たちは、この課題を根本から解決するため、世界各地の法規制やプロセスを一つひとつ理解し、それを自動化することで、一貫した体験を提供するプラットフォームを構築しました。その結果、たとえば他社を通じて採用しオンボーディングする場合、通常は2~3週間から数か月かかるところ、Remoteでは数時間で完了します。
また、私たちは各国で蓄積した知識をシンプルな形でお客様に提供しており、さらにAIを活用することで、世界中のHRプロセスを簡単に理解できる仕組みも提供しています。
Q)コロナが終了し、大企業が完全なリモートワークからハイブリッドに切り替えているが、Remoteが考えるリモートワークの世界観を教えてください。
A)将来的にはすべての要素が混ざったものになるでしょう。数千人の従業員アンケートでは、職場に関して半数以上が柔軟なソリューションを好むことが分かりました。競争力のある雇用主は「時間の柔軟性」と「場所の柔軟性」を多く提供し始めています。混合型の働き方が主流になり、ゆっくりと消えていくのは、月曜から金曜、9時から5時までオフィスで働くという従来の働き方だと思います。
日本国内でもHR Techの活用が広がる中、海外展開するとなると単に人材を獲得するだけでなく、各国の人事・雇用の法律への準拠、通貨や商習慣の違いなどにも対応しなくてはなりません。日本の企業にとって、Remoteが海外進出の扉を開く“黒船”となるのか、今後の事業展開に注目です。【おわり】
編集部注:この記事はRemote Japan株式会社から提供の寄稿レポートです。
参考情報:
Remote( https://remote.com/ja-jp )
グローバルHRプラットフォーム「Remote」日本市場向けサービス開始(PR TIMES)
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