「AI世代」の最新就活事情|株式会社マイナビ調べ
面接官は生成AI。模擬面接対策など就活生のAI活用進む
2024.08.06
近年、学生が就職活動にChatGPTをはじめとする生成AIを活用する動きが加速している。マイナビの調査では、25卒が24卒と比較して20pt以上も生成AIの利用率が増加したことが分かった。
これまでのエントリーシートの作成・添削に限らず、自己分析や業界研究、さらには面接対策にまでその用途が広がっているという。
一方で企業側は、学生の生成AI活用に対して約6割が好意的な反応を示している(マイナビ調べ)。こうした動きについて、マイナビキャリアリサーチラボ研究員の長谷川洋介氏は、「生成AIを上手に使える学生を迎え入れることは、今後の企業の成長にも関わる可能性があるため、学生・企業ともに生成AIに対して過度な拒否反応がなく柔軟な姿勢を示している現状についてはとても好ましい状況だと言える」と分析する。
ただし、企業側の特に人事や採用担当者の生成AIに関する懸念が払しょくされているわけではない。注意点や対策のヒントをまとめた。
学生の生成AI活用増加に伴い、採用担当者が留意すべき点
学生が就職活動に生成AIを活用するケースが増加しており、採用担当者は、次のような新たな視点での対策が必須になる。
1. 生成AIで作成された可能性を常に念頭に置く
応募書類
エントリーシートや履歴書で、生成AIによって作成された文章を見抜くことは困難だ。内容の真偽や学生自身の言葉であるかを見極めるよりも、以下の点に注意を払いたい。
- 具体的なエピソードや経験に基づいた独自の経験や考え方が述べられているか
- 企業文化や求める人物像に合致した内容になっているか
- 一貫性があり、論理的な文章構成になっているか
面接
事前に準備された回答を暗記するだけでなく、生成AIで作成した想定問答集をもとに、自然な会話の流れで話せるよう練習している可能性もある。
- 深掘り質問や逆質問を用意し、思考力や応用力を評価する
- 突発的な質問や状況設定を変えた質問を行い、対応力を評価する
- 複数回の面接やグループディスカッションを通して、一貫性や協調性を評価する
2. 生成AIの利用を前提とした選考プロセスを検討する
選考基準の見直し
従来型の「完璧な自己PR」よりも、「思考力」「問題解決能力」「コミュニケーション能力」といったポータブルスキルを重視した選考基準に見直すことが重要になる。
選考方法の多様化
応募書類や面接だけでなく、ワークサンプルテスト、グループワーク、インターンシップなど、学生の能力や適性を多角的に評価できる選考方法を導入する必要がある。
AI活用能力の評価
生成AIを使いこなす能力も、これからの社会では重要なスキルだ。生成AIに対する知識や倫理観、活用能力を評価項目に加えることも検討する。
3. 学生への適切な情報提供とコミュニケーション
企業理念や求める人物像の発信
企業が求める人物像を明確に発信することで、学生が生成AIに頼らず、自身の言葉で熱意や想いを伝えてくれる可能性が高まる。
生成AI利用に関する見解の提示
応募書類や面接における生成AI利用について、企業としての見解を明示することで、学生の不安や混乱を解消するとともに、倫理的な利用を促すことができる。
対話重視の姿勢
選考を通して、学生とのコミュニケーションを密にとり、疑問や不安に対して真摯に答えることで、企業への理解を深め、ミスマッチを防ぐ。
生成AIは使い方次第で、学生にとっても企業にとっても有益なツールとなりえる。 採用活動においても、生成AIの進化を柔軟に受け入れ、学生との対話を重視しながら、より良い採用活動を実現していくことが求められるだろう。以下、マイナビの報道発表資料、リリース内容を掲載。
生成AI活用が“当たり前化”する、26卒就活
生成AIを面接官に見立てて模擬面接対策も!?「AI世代」の最新就活事情
就活生の生成AIの活用は、昨年から20pt以上増加
マイナビが25年卒の学生を対象に実施した「マイナビ2025年卒大学生活動実態調査(3月)」によると、生成AIの利用経験は前年から20.5pt増の59.7%と大きく増加しました。また、就職活動においても3人に1人以上が生成AIを利用した経験があるという結果が出ており、就職活動でのAI活用は当たり前になりつつあります。
エントリーシート添削から、模擬面接までプロンプト(AIへの指示)の入力次第で多様化する活用方法
就活生に具体的な活用方法を聞いたところ、エントリーシートをより良いものとするような活用が多く挙げられましたが、意外な活用方法として、面接対策としても利用されていることが分かっています。生成AIを面接官に見立てて、面接で予想される質問を挙げてもらうなど、プロンプトの入力方法を工夫している傾向が見られます。
有用だと感じたプロンプトを自由回答で聞いたところ、「あなたは○○社の面接官です。」「ESを100点満点で採点して」など、工夫を凝らして、より精度が高い生成AIと対話できるようなプロンプトを入力し、面接に備えている就活生がいることも分かりました。
【図1】就職活動における生成AI(ChatGPT等)の利用内容
【図2】自身のまわりで流行っているプロンプトや有用だと感じたプロンプトはどのようなものか
エントリーシート内の剽窃検知率は前年比1.6倍に
25年卒学生の生成AI利用用途は【図1】のように、エントリーシートに
関する利用が多く挙がりました。
マイナビが提供する選考サポートツール『PRaiO(プライオ)』を利用する企業がエントリーシートの文章と、事前登録した文章(ネット上の情報や過去に提出されたエントリーシート)の剽窃箇所を診断したところ、剽窃検知率は24年卒と25年卒を比較して1.6倍に増加※しています。
※24年卒は通年、25年卒は3月までの期間で、プライオの利用履歴から集計
AIで選考をサポ―トするサービス『PRaiO(プライオ)』
マイナビが提供する『PRaiO(プライオ)』は、企業の採用支援のための選考サポートツールです。これまで行ってきた採用活動における選考結果や提出されたエントリーシート(ES)等のデータをAIに学習させ、企業ごとのAI予測診断モデルを構築し、より企業に合った就活生とのマッチングをサポート。また、ESの「文章特徴スコア」「ワードサマリ」、あるいは「剽窃診断(コピー&ペースト検知)」も搭載。
<機能(一部)>
・【優先度診断】予測したい「結果」を優先度別にスコアリング
・【採用データAI分析】膨大な採用関連データを整理・活用できる状態に
・【剽窃診断】完全剽窃はもちろん部分的な剽窃の有無もAIが判定
就活生の生成AI活用について、企業も約6割が好意的に受け止める、意外な傾向も
「積極的に活用してほしい」「使い方を慎重に検討した上で活用してほしいと思う」ともに前年より増加
企業の採用担当者に、就職活動において学生が生成AIを利用することについてどう思うか聞いたところ、最多の回答は「使い方を慎重に検討したうえで活用してほしいと思う」の52.7%で、「積極的に活用してほしいと思う(5.0%)」と合わせると57.7%となり、約6割の企業が活用に前向きな回答となりました。24年卒と比べても13.6pt上昇しており、年々企業側もポジティブに捉えている傾向が見受けられます。
また、生成AIの活用方法が多様化する中で、「面白い使い方をした学生がいれば評価したい」とAIを使いこなすことをスキルとして捉えるコメントが見られたほか、「効率化のために上手に使用することは推奨する」という好意的な意見も見られました。
【図3】学生が就職活動において生成AIを活用することについて
企業の意見
- 使う事が当たり前の時代、きちんとした回答、皆が一目置く回答になっていれば推奨(放送・出版・新聞)
- 企業理解やジョブマッチングがより効率的・効果的に行えると考えます(ソフトウエア・情報処理・ネット関連)
- 利用しても良いが、そのままアウトプットを使うのはNG(ソフトウエア・情報処理・ネット関連)
就活生のAI利用に対する対策
- AIでよく利用される言い回しなど、AIの特徴が何かしら出てくると思われるため、それを踏まえた見極めポイントを知れるようにする(製造)
- ESでは見抜けないと思うが、一次面接の受け答えである程度企業理解や本人の能力は今まで通り把握できると思う(サービス・インフラ業)
- AIを使用しない選考(筆記試験)を実施して、学生本人の能力を判断する(金融)
マイナビキャリアリサーチラボ研究員長谷川洋介氏のコメント
生成AIが社会に浸透するにつれて、大学生の就職活動においても活用が進み、一般的になりつつあります。生成AIを使いこなす世代が社会人になっていく、「AIネイティブ時代」への過渡期ともいえる時期において、学生の生成AI利用するに対して、企業がどのような反応を示すか注視しておりました。最新の企業調査では、学生の生成AI活用に対して好意的な反応を示す企業が約6割となり、前年より増加するという結果になりました。
エントリーシートの剽窃検知件数が増加しているというデータもありますが、学生には、自分の就職活動をすべて生成AIに委ねるのではなく、リテラシーをもって補助的に活用いただきたいと思います。しかし、生成AIを上手に使える学生を迎え入れることは、今後の企業の成長にも関わる可能性があるため、学生・企業ともに生成AIに対して過度な拒否反応がなく柔軟な姿勢を示している現状についてはとても好ましい状況だと言えるのではないでしょうか。
株式会社マイナビ マイナビキャリアリサーチラボ 研究員 長谷川洋介
2017年中途入社。「マイナビ転職」の求人情報や採用支援ツールの制作に携わった後、現職。就職活動中の学生を対象にした調査や、就職活動生の保護者調査などを担当し、若年層の思考や世代間ギャップなどに関心を持つ。その他関心領域は、エッセンシャルワーカー、SFプロトタイピングなど。
参照:報道発表資料「生成AI活用が“当たり前化”する、26卒就活 生成AIを面接官に見立てて模擬面接対策も!?「AI世代」の最新就活事情」(PDF)|株式会社マイナビ
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