人事の10分読書vol.37『図解 「いいキャリア」の育て方』
2024.03.21
@人事が、本の要約サイト「フライヤー」とコラボし、人事のスキルアップにつながる書籍の要約をお届けする連載企画「人事の10分読書」。
第37回は、青田努氏の著書『図解 「いいキャリア」の育て方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を紹介する。
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おすすめポイント
人生100年時代では、定年が引き上げられ、終身雇用の崩壊が進んでいる。また、政府主導で「リスキリング」が推奨されるようになった。読者の中には、自分のキャリアに漠然と不安を持ちながらも、毎日懸命にタスクをこなしているうちに気がつけば2、3年が過ぎていた――という方もいるのではないだろうか。
著者は、リクルート、Amazon、LINEを渡り歩いた人事のプロフェッショナルであり、現在は美大への進学という新たな挑戦をしている青田努氏だ。本書は、著者オリジナルのフレーム「5つの資」を使って、曖昧なキャリアというものを言語化し、整理してみようというものである。著者によれば、キャリアには年代に応じたフェーズがあり、その最終ゴールは「資産」を手に入れることだという。ここでの「資産」とは物心両面での豊かさや安心感など、仕事人生が終わった後にも残る価値である。
著者は、半年〜1年に一度のキャリアの「健康診断」をすすめている。「5つの資」を活用すれば、これまでの自分の歩みや、手にしているものを整理すると同時に、これからの自分に何が必要で、そのために何をすべきなのかを、楽しみながら具体化できる。
めざすキャリアが先の見えにくい道であっても、地図があれば安心だ。納得感があり、充実したキャリアを育てるために、5つの資を活用していただきたい。
【藤井亜子 (ライター詳細)】
著者プロフィール
青田努(あおた つとむ)
Cast a spell合同会社 代表
Twitter @AotaTsutomu
1999年 筑波大学 第一学群 人文学類 卒業。2014年 早稲田大学大学院 商学研究科(MBA/人材・組織マネジメント系モジュール) 修了。2003年 GCDF(米国CCE, Inc. 認定キャリアカウンセラー資格) 合格。
リクルートおよびリクルートメディアコミュニケーションズに通算10年在籍し「リクナビ」の学生向けプロモーション、求人広告の制作ディレクター、自社採用担当を務める。
その後、ドリコム、アマゾンジャパン、プライスウォーターハウスクーパースなどで人事マネージャー(主に中途採用領域)を経て、2015年より日本最大のHRネットワーク『日本の人事部』にて、人事・人材業界向け講座、人事の交流会・勉強会組織、HR Techメディアなどを立ち上げる。
2017年にLINE入社。人材支援室副室長を務めたほか、マネジメント層の成長支援プロジェクトのリード、採用・タレントマネジメントなどさまざまなプロジェクトを推進。LINE在籍中の2021年にCast a spell合同会社を設立。
現在は300名超の勉強会コミュニティ「採用を体系的に学ぶ会」、3000名超の匿名相談コミュニティ「人事のへや」などを企画・運営しつつ、美大進学のため美術予備校「すいどーばた美術学院」に通学中。
著書に『採用に強い会社は何をしているか 〜52の事例から読み解く採用の原理原則』(ダイヤモンド社)がある。
『図解 「いいキャリア」の育て方』の要点
- キャリアとは曖昧で扱いづらいものである。「5つの資」というフレームを使ってキャリアを整理し、自分の現在地を確認しよう。
- 5つの資とは「資格」「資源」「資質」「資本」「資産」である。キャリアの最終ゴールは、人生を豊かにしてくれる資産を手に入れることだ。そのためにまず資格(キャリアへの挑戦権)を得て、資源と資質を活かして働き、資本(仕事上の武器や強み)を身につけよう。
キャリアを描くための「5つの資」
キャリアは曖昧で扱いづらいもの
「人生100年時代」や「リスキリング」という言葉をよく耳にするようになってきた。社会の先行きが不透明な中、終身雇用が見直され、所属組織の指示通りに働き続けること自体がキャリア上のリスクになり得る。
キャリアは曖昧で、扱いづらいものであり、人それぞれの形がある。自分自身のキャリアについて漠然とした不安を抱えたまま足踏みを続けている、という人も多いだろう。
曖昧なものに対処するには、枠組みや地図が必要となる。キャリアは枠組みに沿って言語化し、整理することで、見えやすくなる。著者は、キャリアを考えるための補助ツールとして、「5つの資」というフレームを提唱する。これは、自分自身の現在地やすでに持っているもの、これから必要なものを見つめるための枠組みである。「5つの資」を使って自分のキャリアについて考え、「いいキャリア」を育てていこう。
「5つの資」でキャリアの健康診断をしよう
本書の「5つの資」とは、資格、資源、資質、資本、資産である。
(1)資格(やりたいことへの挑戦権)
(2)資源(資本の元となる時限的リソース)
(3)資質(資源を有効活用するための持ち味)
(4)資本(資産を得ていくための強み)
(5)資産(働く理由となりうる価値)
多くの人にとって、キャリアの最終ゴールは「資産」を得ることだろう。
そのためには、まず「資格」を得なければならない。ここでの資格とは、ライセンスや検定のことではなく、勉強や就活、転職といった、やりたいことの挑戦権を得るための活動をいう。10代〜20代は、様々な挑戦の機会が与えられる「旬」の時期でもある。関心の幅を広げて前向きに活動し、キャリアのスタート地点に立とう。
20代〜40代は、体力や時間といった「資源」と自分に備わった「資質」をかけ合わせながら仕事に取り組み、自らの強みである「資本」に変換する。そして、40代〜50代で、これまで得た「資本」を、人生の終盤をも豊かにしてくれる「資産」へと変換し、蓄積していく。ここでの資産とは、金銭的な余裕だけでなく、相互信頼とつながり、人や社会への貢献実感、いい思い出など、人生の終盤を豊かに生きていくために必要なものを意味する。
著者は、この枠組みを使って定期的にキャリアの「健康診断」をすることをすすめている。半年に一度は立ち止まって、自分の現在地を確認しよう。本書では「5つの資」のそれぞれについて詳しく説明されている。要約では、20代〜40代の「機会を得る」「強みを磨いていく」フェーズを中心に、「資源」「資質」「資本」に関する内容の一部を紹介する。
第2の資「資源」
「資源」:時限的リソース
キャリアの始まりは「資格」を得ることである。10代から20代半ばは、進路選択や就職活動の中で自己や企業に対する理解を深め、キャリアのスタート地点に立つ。大切なことは、自己効力感を高めて、自分の可能性を信じられるようにすることだ。
第2の資は「資源」である。社会人になったばかりの人の多くは、そのまま社会に通用するような強み、すなわち「資本」をまだ持っていない。大多数の人のキャリアは「特筆すべき強みはないものの、強みの元となるものは持っている」という状態で始まる。これが資源である。資源の最大の特徴は「時限的なリソース」であることだ。
たとえば、資源の一つに「体力」がある。個人差はあるものの、20代半ばの人は皆それなりの体力を持っている。しかし、それは加齢と共に失われていってしまう。
年をとるにつれ、資源は低下・減少してしまう。いつかは体力に頼って仕事をすることができなくなる。若いうちに資源を使って仕事に取り組み、これらが失われる前に自分の強みである「資本」に変えることができれば、キャリアの安心感が高まっていく。
時間という資源の使い方
資源として本書で紹介するのは「仕事に使える時間」「体力」「頭のはたらき」「新鮮な気持ち」の4つである。ここでは、「仕事に使える時間」について見ていこう。
仕事に全力投球できる時間は限られている。若く健康で、独身でいるうちは仕事に時間を割きやすい。しかし、結婚したり、子どもが生まれたりすれば家族との時間が増える。体力が衰えればその分、より多くの休息がいる。親族の介護が必要になることもある。
人生はさまざまな事情が積み重なっていくものだ。比較的自由が利くうちに資本を身につけることは、キャリアを通した重要なテーマである。
また、キャパシティーには、「(1)心のキャパ」「(2)体力のキャパ」「(3)能力のキャパ」「(4)時間のキャパ」の4つがあり、この順に重視する必要がある。
まず最重要なのは「心のキャパ」である。これが溢れてしまうと、他のキャパにも影響が出てくるからだ。「体力のキャパ」を超えた仕事は体を壊すことにつながるし、「能力のキャパ」を超えた仕事はパフォーマンスの悪化を招く。
大切なのは、もし「時間のキャパ」に空きがあっても、(1)~(3)のどれかが悲鳴をあげていたら、休むということだ。キャリアの旅は長い。きちんと「休むという予定」をつくって、自分の心や体を労ろう。休むことに抵抗があるなら、「エネルギーチャージ」といった言葉に置き換えるとよい。
【必読ポイント!】 第3の資「資質」
「資質」:自分の持ち味
時限的なリソースである資源を有効活用して資本に変えていくためには、「自分自身の特性を理解していくこと」が重要になる。この自分の特性、いわば持ち味といえるようなものが第3の資、「資質」である。本書では、さまざまな資質の中から、キャリアに影響を与えやすい「好き嫌い」「得手不得手」「原動力」「勇気」の4つを紹介している。
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