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株式会社リクルートマネジメントソリューションズ調べ


「リスキリング」「学び直し」への期待がある企業は6~8割だが、具体的なメッセージの発信は4割前後にとどまる

2024.01.15

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リクルートマネジメントソリューションズ(東京・港)は1月15日、「企業における『リスキリング』『学び直し』の推進に関する実態調査」の結果を公開した。対象は、企業の人事・人材開発の責任者・担当者で、有効回答社数は182社。

調査結果によれば、企業の6~8割が「リスキリング」「学び直し」に期待を寄せているが、具体的なメッセージの発信は4割前後にとどまっていることが判明した。また、「リスキリング」「学び直し」の内容は、「生産性向上」「DX」「キャリア自律」の知識・スキル獲得が主流であり、今後検討が必要な領域として、「シニアのキャリアチェンジ」「新戦略実行」「新規事業」のための知識・スキル獲得が挙げられている。同時に、「リスキリング」「学び直し」の促進に向けた支援策として、最も多くの企業が「管理職のマネジメント能力の向上支援」と回答している。以下、リリースより。

従来の役割分担を越えて関わり合う「経営・人事・事業現場のリスキリング」が推進の鍵

企業における経営・人事課題の解決および、事業・戦略の推進を支援する株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:山崎淳以下、当社)は、「企業における『リスキリング』『学び直し』の推進に関する実態調査」を実施し、182社の人事・人材開発の責任者・担当者から回答を得ました。政府が5年で1兆円を投資することを表明するなど、国を挙げての支援が進むなか、企業の「『リスキリング』や『学び直し』の取り組み状況」、「推進課題や推進の為の支援策」などの実態を明らかにするために、本調査を実施しました。

なお、本調査では新しい知識・スキル獲得を会社が主導する場合を「リスキリング」、個人が主導する場合を「学び直し」として用語を使い分けています。

【エグゼクティブサマリ】

*詳細は調査レポートを参照ください。

1. 調査担当研究員のコメント

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 組織行動研究所 主任研究員 藤澤 理恵さん|株式会社リクルートマネジメントソリューションズ株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
組織行動研究所
主任研究員 藤澤 理恵

新しい知識・スキルの獲得を従業員に求める企業は6~8割に及ぶが、それが何のためなのかを従業員に対して具体的にメッセージしている企業は4割前後にとどまっています(図表1)。目の前の業務を推進する傍らで、将来のための漠然とした学習の優先度を高めることは簡単なことではありません。従業員に新しい知識・スキルの獲得を期待するのなら、自社がそれを求める背景や本気度を伝える必要があるでしょう。

そのメッセージの内容は、企業主導の「リスキリング」だから事業変革のため、個人主導の「学び直し」だからキャリア自律のため、などと単純に類型化されるようなものではありませんでした(図表2)。一つ事例を挙げると、あるIT系企業では技術トレンドの激しい変化を前に、雇用保障は難しい代わりに「キャリア自律のための学習環境を提供すること」を経営責任として宣言し、「学び直し」支援を積極的に行っているといいます。人的資本経営の時代といわれる今日、新しい知識・スキルの獲得のために会社と個人がそれぞれ何に投資する必要があるのか、お互いに確認する機会をもつべきと考えられます。

【生産性向上】【DX】【キャリア自律】の知識・スキル獲得の成果実感の有無については、関連する企画・推進プロセスへの関与部署、支援策、HRM施策はそれぞれ異なっていました。図表6に示した「リスキリング」の企画・推進プロセスごとの関与部署についての各社の回答は、非常に貴重なデータです。事業レベルの戦略策定は経営・事業責任者が行い、具体的なスキル開発プログラムを本社や事業部の人事機能が提供し、ライン管理職が個人の業績目標と成長目標をすり合わせるという企業が多いなか、新しい知識・スキルの獲得の取り組みへの成果実感がある企業群では、戦略策定から本社や事業部の人事機能が関与して人材開発戦略と個人のスキル開発目標を接続する具体的な手がかりを示し、事業部人事とライン管理職が協力して職場に学び合う風土や環境をつくっていることが示されました。

また、経営・事業責任者が、新しい知識・スキルを発揮し実践する場面をつくることにコミットしている様子も示されました。推進側である経営・人事・事業現場にこそ、部署・機能間の従来の役割分担を超えて関わり合う「リスキリング」が求められているといえるでしょう。

2. 調査の結果

●「リスキリング」「学び直し」への期待がある企業は6~8割だが、具体的なメッセージの発信は4割前後にとどまる(図表1)

  • 経営やマネジメント層から「リスキリング」「学び直し」への期待がある企業は6~8割。
  • 一方、具体的なメッセージが発信されている企業は4割前後にとどまる。
  • 「期待はあるが具体的なメッセージがない」状況にある企業は3割前後。

図表 1:経営やマネジメント層からの「リスキリング」「学び直し」への期待発信

図表1の説明文|株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

 

図表 1:経営やマネジメント層からの「リスキリング」「学び直し」への期待発信|株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

●「リスキリング」に関して、従業員へ発信するメッセージは「会社が今後起こりうる変化に備えるために必要なこと」が7~9割(図表2)

  • 会社主導の「リスキリング」に関して、従業員へ発信するメッセージ内容は、メッセージを出している企業の7~9割前後が「2.会社が今後起こりうる変化に備えるために必要なこと」、6~7割前後が「3.自社が新しい事業や市場を創造するために必要なこと」を選択。「8.個人のキャリアの可能性を広げる手段となるもの」とメッセージする企業も半数前後ある。
  • 個人主導の「学び直し」に関しては、個人のキャリア形成のためとメッセージするか、会社の事業変革のためとメッセージするか、回答企業の傾向は分かれている。999名以下・製造(9社)では、「8.個人のキャリアの可能性を広げる手段となるもの」であり「9.個人の主体性に任せた自己啓発的なもの」とする企業が大部分を占める。他方、1000名以上・製造(25社)では80.0%、999名以下・非製造(18社)では72.2%が「2.会社が今後起こりうる変化に備えるために必要なこと」としている。

図表 2:メッセージの内容

図表2の説明文|株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

図表2:メッセージの内容|株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

●「生産性向上」「DX」「キャリア自律」の知識・スキル獲得に取り組む企業は半数を超える。成果実感の割合が高い「リスキリング」「学び直し」の内容は、「生産性向上」「公募異動や副業などを通じたキャリアチェンジ」のための知識・スキル獲得(図表3)

  • 「リスキリング」「学び直し」の知識・スキルの内容ごとの取り組み状況としては、「1.現在の担当業務の生産性を向上するための知識・スキル獲得」「6.DXを推進するための知識・スキルの獲得」「12.従業員の自律的・主体的なキャリア形成のためのスキル獲得」の選択率が高く、実施企業の割合が全体で半数を超える。
  • 成果実感の割合が5割を超えるのは「1.現在の担当業務の生産性を向上するための知識・スキル獲得」「10.社内・グループ内の公募異動や副業制度などを通じたキャリアチェンジのためのスキル獲得」である。

図表 3:知識・スキルの内容ごとの取り組み状況(実施有無、成果実感有無、実施検討中)

図表3の説明文|株式会社リクルートマネジメントソリューションズ図表3:知識・スキルの内容ごとの取り組み状況(実施有無、成果実感有無、実施検討中)|株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

● 今後検討が多いのは「シニアのキャリアチェンジ」「新戦略実行」「新規事業」のための知識・スキル獲得(図表4)

  • 実施企業中、成果実感がある企業の割合を図表4の縦軸に、実施検討中の企業数を横軸に示し、縦軸を50%、横軸を50社で便宜上区切り、4つのエリアに分けた。円の大きさは現在実施している企業数を表している。

  • 左上エリアは、今後も安定運用される<定着施策>となることが考えられ、「1.現在の担当業務の生産性を向上するための知識・スキル獲得」が該当する。

  • 右上エリアは、実施企業が増え成果の見通しもある<トレンド施策>といえ、「10.社内・グループ内の公募異動や副業制度などを通じたキャリアチェンジのためのスキル獲得」が該当する。

  • 右下エリアは、今後実施意向の企業が多いが難度の高い<注力施策>といえ、「11.役職定年後または定年後のシニア層のキャリアチェンジのためのスキル獲得」「2.既存事業において新しい戦略を実行するための知識・スキル獲得」「5.新規事業やイノベーション創出のための知識・スキル獲得」などが該当する。

    → 個人のキャリアや事業の転換につながる取り組みが本格化していくと見られるが、成果実感につなげるには一層の工夫が求められそうである。

  • 左下エリアは、今後の継続・導入の必要性を慎重に検討すべき<要点検施策>といえる。

図表 4:注目施策の検討

図表4の説明文|株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

図表4 :注目施策の検討|株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

●「リスキリング」の推進課題は非財務的戦略シナリオと学ぶべきスキルの特定。「学び直し」の推進課題は支援環境づくり(図表5)

  • 会社主導の「リスキリング」と個人主導の「学び直し」を、どのような対象に求めているか尋ねたところ、そのパターンから4タイプが見出された。

    図表5のテーブルリスト|株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

  • 企画・推進上の課題認識は、「リスキリング」「学び直し」のいずれにおいても、「15.従業員の学ぶ意欲を引き出すことが難しい」「16.従業員が学ぶ時間の確保が難しい」の選択率が高い。推進対象も方法も幅広い<全方位型>の課題感が強い。
  • 従業員に「リスキリング」を求める<全方位型>、<キャリア別使い分け型>では「3.財務的目標を達成していく上での、非財務的な戦略シナリオが具体的でない」「5.学ぶべき具体的な能力・スキルを特定することが難しい」の選択率が高い。

    → これらは「学び直し」中心の<個人主導型>では選択率が低く、「リスキリング」推進の要点と考えられる。

  • <個人主導型>では「学び直し」の推進課題として、「18.社員がお互いに学び、高め合う風土づくりが難しい」「20.自社内のキャリアパスの可視化・明示が難しい」「21.部下の能力開発・キャリア開発に対する管理職の意識が低い」など支援環境づくりの選択率が高い。

    → 意識や行動の個人差を埋める施策や個人の学びと自社内のキャリアパスとのつながりを示す施策が求められており、管理職の意識改革が必要とされている。

図表5:「リスキリング」「学び直し」の課題

図表5の説明文|株式会社リクルートマネジメントソリューションズ図表5:「リスキリング」「学び直し」の課題|株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

● 成果実感の有無は関与する部署により違いが見られる(図表6)

  • 「リスキリング」の各施策(図表3)のうち導入割合の高かった【生産性向上】(図表3の1)、【DX】(図表3の6)、【キャリア自律】(図表3の12)を取り上げ、成果実感の有無で群分けをして、1~11の企画・推進プロセスそれぞれに各部署・機能が関与している割合に統計的に有意な差が見られた場合にポイント差を記載している。

  • 【生産性向上】については、戦略策定の最上流工程とスキル開発目標の具体化・すり合わせに、「2.本社人事企画部門」、「3.本社人材開発・育成部門」、「4.事業部人事・HRBP」といった人事機能が関与することが成果実感の有無を分けている可能性がある。

  • 【DX】については、「1.経営・事業責任者」が、学んだスキルを発揮する実践の場の提供まで責任を持つことが重要といえる。また、「3.本社人材開発・育成部門」と「4.事業部人事・HRBP」による、新しい戦略や技術と業務プロセスやスキル要件や学習目標の接続から支援環境づくりまで一貫した連携が有効と考えられる。

  • 【キャリア自律】については、「3.本社人材開発・育成部門」の関与に差が見られ、個人のためと企業のためという学習の文脈の接続が成果実感を分ける可能性がある。

図表6:「リスキリング」企画・推進プロセスへの関与の成果実感の有無による群間差

図表6の説明文|株式会社リクルートマネジメントソリューションズ図表6:「リスキリング」企画・推進プロセスへの関与の成果実感の有無による群間差|株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

●「リスキリング」「学び直し」促進のための支援策は「管理職のマネジメント能力の向上支援」が最多(図表7)

  • 導入率の平均が5割以上の「リスキリング」支援策は、導入率が高い順に「16.管理職のマネジメント能力の向上支援」「2.教育訓練プログラムの提供」「13.目標管理制度などを通じた、個人目標と組織目標の連動の担保」「5.費用面での支援」である。

  • 「2.教育訓練プログラムの提供」「5.費用面での支援」は「学び直し」支援としても平均して半数以上の企業に導入されている。「学び直し」支援としての導入率が「リスキリング」より高いのは「5.費用面での支援」「4.休暇制度の整備による時間面の支援」。

図表7:「リスキリング」「学び直し」の支援策

図表7の説明文|株式会社リクルートマネジメントソリューションズ図表7:「リスキリング」「学び直し」の支援策|株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

3. 調査概要

調査概要|株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

調査:リクルートマネジメントソリューションズ

PDF版:「【調査発表】「企業における『リスキリング』『学び直し』の推進に関する実態調査」の結果を発表」

【プレスリリース「「企業における『リスキリング』『学び直し』の推進に関する実態調査」の結果を発表」より|2024年1月15日・株式会社リクルートマネジメントソリューションズ】

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