「経営人材ニーズに関する実態調査2024」株式会社経営者JP
深刻な経営・幹部人材不足が明らかに。半数以上の企業が人材不足に悩み、86.5%が外部採用の実績があると回答
2023.12.21
エグゼクティブ向けの転職・キャリア支援サービスを展開する経営者JP(東京・渋谷)は12月14日、経営者・幹部層を対象に実施した、「経営人材ニーズに関する実態調査2024」についての調査結果を発表した。同調査は2011年、2014年の実施に続き今回が3回目となる。有効回答数155名。調査期間は2023年10月23日〜11月26日。
調査結果によると、企業の人材不足が深刻化しており、72.9%の企業が課長クラスについて「不足している」と回答。2014年との比較では、各層で人材不足が15~20%ほど増加し、企業の幹部人材不足が加速していることが明らかになった。人材不足に対する対処としては、取締役クラスと部長クラス、課長クラスでは外部採用が主流であり、一方で執行役員クラスは内部育成と昇格が主な対応策となっている。86.5%の企業が外部採用の実績があり、そのうち56.8%が「現在も外部採用をしている」と回答した。以下、リリースより。
調査概要
コロナ禍や世界情勢など激変する経済環境を背景に、企業の経営・マネジメント体制に関する課題は多様化していると認識しております。そこで、企業が経営人材に関して現状どのようなニーズや課題を抱えているかの調査を実施し、その実態を明らかにすることで企業各社やメディア各社にお役立ていただければと願っております。
2014年4月にも同様の調査結果を発表しているため、今回はそこから9年間の変化についても比較・分析をご報告いたします。
本調査は以下の5項目から構成されています。
- 階層別経営人材・幹部人材の充足度
- 現在の経営人材・幹部人材に対する課題・不満
- 経営人材・幹部人材の外部採用について
- 経営人材・幹部人材の外部採用に対する課題
- 2030年に日本の最前線で活躍している経営者ランキング
1. 階層別経営人材・幹部人材の充足度
経営人材・幹部人材の充足度について、取締役クラス/執行役員クラス/部長クラス/課長クラスの各層別に充足状況を伺った。
72.9%の企業が課長クラスについて「不足している」と回答。続いて部長クラスが67.7%、執行役員クラスが58.1%、取締役クラスが54.8%という結果になった。2014年の調査結果と比べると、各層で人材が不足している割合が15~20%ほど増え、企業の人材不足が加速していることが明らかになった。
不足に対する対処として階層別に違いが表れた。取締役クラスと部長クラス、課長クラスは「外部からの採用を検討もしくは実施」で対応する企業が多い一方で、執行役員クラスに関しては「内部での育成と昇格を検討もしくは実施」する企業が多い結果となった。2014年の調査結果と比べると、すべての階層で「外部からの採用を検討もしくは実施」する企業が10~20%ほど増え、経営人材・幹部人材の外部採用が活発になっていることがわかる。
コロナ禍や世界情勢による経営環境の変化や不確実性の高まりで企業を取り巻く外部環境が変わり、それに対応するため経営戦略や事業戦略を見直す企業が増えたことが経営人材・幹部人材の採用ニーズの高まりにつながるひとつの理由と捉えている。
2. 現在の経営人材・幹部人材に対する課題・不満について
現在の経営人材・幹部人材に対する課題・不満について、選択項目とフリーコメントで複数回答いただいた。
65.2%の企業が「経営レベルに人材の質が追いつかない」と回答。続いて「次世代の経営を担う人材が育っていない」が58.7%、「リーダーシップ不足」が38.1%、「女性役員登用ができていない」が34.8%、「経営スピードに人材数が追いつかない」が29.7%という結果になった。
2014年の調査結果では「経営レベルに人材の質が追いつかない」と「リーダーシップ不足」が2大経営人材課題となっていたが、いまも同様の課題や不満を抱えている企業は多いことがわかった。
また、約6割の企業が「経営レベルに人材の質が追いつかない」「次世代の経営を担う人材が育っていない」と回答し経営人材・幹部人材の不足や育成が重要な経営課題となっている。
政府は女性活躍・男女共同参画の重点方針(女性版骨太の方針)の中で、東京証券取引所プライム市場に上場する企業に対し、女性役員比率を2030年までに3割以上に高める数値目標を打ち出すなど、企業の女性登用を促すものの、現状は女性役員登用に課題意識を持つ企業が34.8%いることが明らかになった。
3. 経営人材・幹部人材の外部採用について
経営人材・幹部人材の外部採用について現在の状況と、入社後の期待に対する成果について伺った。
86.5%の企業が経営人材・幹部人材を外部採用した実績があり、その中で56.8%は「現在も外部採用をしている」と回答。
外部採用の実績がある企業に対して、採用した経営人材・幹部人材は期待通りの成果を上げていたか伺うと、「期待値通りもしくはそれ以上の成果」と回答した企業が60.4%だった。その理由としては「採用の際に時間を惜しまず候補者を理解し、候補者に自社を理解してもらうこと」や「企業理念を理解・共鳴している」などが挙げられた。一方で「期待値より成果が低い」もしくは「まったく成果を上げていない」と回答した企業は39.5%あり、その理由としては「企業風土に馴染むのに時間がかかる」や「本人の経験と企業の期待値のミスマッチがあった」などが挙げられた。
採用した経営人材・幹部人材の成果が期待値より高い理由
- 採用の際に時間を惜しまず候補者を理解し、候補者に自社を理解してもらう。自らの目でしっかりと見極めてから入社いただいているから
- 企業理念を理解・共鳴していることで、全社方針を具体化する計画と実行を実現できているから
採用した経営人材・幹部人材の成果が期待値より低い理由
- 企業風土に馴染むのに時間がかかるから
- 本人の経験と企業の期待値のミスマッチがあったから
- 本人の能力に周囲がついていけてないから
- 経営と周囲のサポート不足
4. 経営人材・幹部人材の外部採用に対する課題
経営人材・幹部人材の外部採用実績がある企業に対して抱えている課題について伺った。
55.2%の企業が「人材の見極めが難しい」と回答。続いて「求める人材がいない」が47.0%、「ミスマッチで期待どおりの活躍が見込めない」が27.6%、「採用に割くリソースがない」と「選考途中や内定後に辞退されることが多い」が14.2%という結果になった。人材の見極めを誤ると採用後にミスマッチが起きて期待どおりの活躍が見込めず採用の失敗につながるケースもある。
その他で回答いただいた意見は「外部人材を適正に評価できない」や「経営のAS IS – TO BEの認識が揃っていないので、採用における戦略性がとれていない」、「社風になじめない」などが挙げられる。
5. 2030年に日本の最前線で活躍している経営者ランキング
2030年に日本の最前線で活躍しているであろう経営者の氏名と理由を伺った。
集計の結果、1位に柳井正氏(株式会社 ファーストリテイリング)、2位に孫正義氏(ソフトバンクグループ株式会社)、3位に佐藤恒治氏(トヨタ自動車株式会社)がランクインした。
1位の柳井氏は前回の調査で3位。今回投票いただいた理由として「グローバルでの実績が秀でているから」「戦略を明確にし、企業を成長させているから」などの声が寄せられた。
6位以降に挙がったお名前(敬称略、順不同)
岡本勝弘/菊地唯夫/小川一政/アレックス・カープ/柴田耕佑/福島良典/荒井俊亮/中西宏明
/井手直行/小松裕介/丹下大/佐渡島隆平/谷村格/加藤勇志郎/星野佳路/山下智弘/安藤宏
基/ボイヤン・スラット/トム・ザッキー/岡村陽久/足立光/岡田光信/槙公雄/石戸亮/南壮
一郎/島田太郎/窪田光洋/西畑誠/田中修治/大西洋平/高家正行/袴田武史/佐藤航陽/加藤
望美/小田島春樹/工藤智昭/米倉千貴/高島宏平/松本恭攝/富山浩樹/川邊健太郎/佐々木英
之/冨山和彦/辻庸介/鳥越淳司/イーロン・リーヴ・マスク/川添雄彦/半沢淳一
全体の考察
最後に今回の調査全体から伺い知れる経営者の状況、考えを考察してみたい。
当社として約10年ぶりの調査実施となったが、まず前回(2014年)と比較すると、どの階層においてもそのレイヤーでの人材の不足感が高まっていることが明らかになった。エグゼクティブ層の採用や育成・抜擢に世の中的な注目・話題が集まっているのも、この現実を反映したものだろう。
経営人材・幹部人材に対する課題・不満については、前回・今回ともに「経営レベルに人材の質が追いつかない」がおおよそ全回答者の3人に2人が口を揃える状況だ。今回、これに続いて「次世代の経営を担う人材が育っていない」が2位となっているのは、あらゆる産業・規模の企業における経営幹部候補者不足を現わしつつ、中堅中小企業での後継者不足問題が大きく顕在化していることも関係していそうである。
また幹部層におけるダイバーシティ、女性活躍がテーマ・課題となっていることを象徴して、「女性役員登用ができていない」が3分の1をしめ4位に入ったことも今を象徴していると言える。
経営人材・幹部人材の外部採用については、9割近くが実施経験あり、現在実施中の企業は6割近く。
その満足度は6割が満足行くものであるとの回答で、エグゼクティブの外部招聘は日本企業においても既に有効な手段として定着しており一定以上の成果をあげていることがわかった。
もちろん4割ほどの満足行く結果となっていない企業における幹部採用の実施方法の解決も看過ごすことはできない。当社でもその質の向上支援に努めていく。
経営人材・幹部人材の外部採用に対する課題としては、大きく「人材の見極めが難しい」「求める人材がいない」「ミスマッチで期待どおりの活躍が見込めない」が3大課題として浮き彫りになっている。
経営・マネジメントを期待通りに担ってくれる経営人材・幹部人材の発掘と見極め、適所適材でのマッチングには、見極め側の経験的感性と共に高度な技量が求められる。
当社では「経営人材・幹部人材の資質の解明、最適配置、チーム編成を科学する」を掲げ、採用企業各社様や関連する専門パートナーと共に、その精度向上とナレッジ・方法論の共有に取り組んでいく。
株式会社経営者 JP について
株式会社 経営者JP
KEIEISHA JP Corporation
http://www.keieisha.jp/
〒150-0012 東京都渋谷区広尾1-16-2 VORT恵比寿ビルⅡ 6F
【プレスリリース「『経営人材ニーズに関する実態調査2024』―調査レポート―」(PDF)より|2023年12月14日・株式会社経営者JP】
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