2024年新卒採用を専門家が解説|大学生の就活動向と価値観の変化・前編
コロナ禍の影響か不確実性を避け、納得感を持った選択を重視
2023.12.07
リクルートマネジメントソリューションズ(東京・港)が11月20日、インターネット集計をもとに行った「2024年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査」の結果を発表した。調査対象は2023年度卒(2024年卒)として就職活動を行った全国の大学4年生、大学院2年生の計1,117名で、期間は2023年6月30日~7月12日。
11月27日に行われたメディア向けの共有会では、同社HRアセスメントソリューション統括部の主任研究員・飯塚彩氏と研究員・橋本浩明氏が登壇し、調査結果から読み解いた5つのトピックについて解説した。
前編では、採用・就職活動の動向、学生の志向や価値観の変化に関する内容を紹介する。
関連記事:【2024年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査】入社の決め手は「社員・社風」から「仕事内容・勤務地」へシフト
就職活動におけるゴールとは
飯塚氏ははじめに、同社が考える「就職活動における望ましいゴール」について説明。学生にとって大切なのは単に内定を得ることではなく、入社した会社との信頼関係を築き、貢献する過程で自身の新たな側面や能力を発見することだと話した。
加えて、こうしたゴールを目指すためのスタート地点として「納得感を持った入社の意思決定」を行うことが重要であり、この点をおろそかにすると、内定辞退や早期離職、メンタル不全、停滞といった入社後の諸問題につながると強調した。
採用・就職活動の動向
飯塚氏は、2024年卒を取り巻く環境の特徴として、「新型コロナウイルス・パンデミックの影響」「企業側の採用意欲の変化」「就職活動の早期化」を挙げた。
2024年卒は大学1年生からコロナ禍の影響を受けた世代だ。特に、部活動やサークル、人間関係に困難が生じ、約6割が「企業への応募書類や面接で語るエピソードに困った」「就職活動中、他の人の様子が見えず不安に感じた」と回答した。
一方で、企業の求人総数は前年度から6.6万人増加して77万人となり、求人倍率は0.13ポイント上昇。採用意欲はコロナ禍前の水準に近づいており、特に300人未満の企業では求人総数が大幅に増えていることが分かった。
また、学生の就職活動状況に関しては、11月~2月に面接を受けた割合が増加しているものの、エントリーシートなどの書類を提出した社数は減っていることから、学生たちが選考を受ける企業を絞り込んでいる、あるいは早めに内定が出たため結果的に活動量が減少していると推測された。
採用・就職活動のハイブリッド化
飯塚氏は続いて、就職活動における対面とオンラインの経験に関する調査結果に触れた。
2023年卒と2024年卒を比べると、合同説明会から内(々)定通知までのいずれのフェーズでも「WEBのみ経験あり」の比率が減少し、特に3次面接~最終面接では対面のみの比率が大きく増加した。
飯塚氏は、コロナ禍での採用活動が5年目に入り、選考フェーズに応じた対面とオンラインの使い分けも定着してきたと説明。学生の参加しやすさを考慮してオンラインでの接点を残しつつ、お互いを見極める重要な局面では対面での接点が重視されていると話した。
また2024年卒の内定式は、5000人以上規模の企業で7割強、5000人未満規模で9割前後が対面で実施されたとし、その意図について「内定辞退の防止と入社に向けた動機付けであることが考えられる」とのべた。
学生の志向と価値観の変化
調査によると、学生が仕事に求めることは2017年卒から大きく変化はなく、「安定」「貢献」「成長」が上位を占めた。また、学生が企業に応募するきっかけも大きな変化はなく、「希望する勤務地で働けそうだから」「業界に興味があったから」「製品・サービスに興味があったから」がトップ3となった。
飯塚氏は「勤務地」が入社の意向に大きく影響するという調査結果を参照しながら、「入社直後の自分の状態の想像がつかない進路は避けたい、なるべく企業の情報を得て納得感のある選択をしたいという心情が強くあらわれている」と分析した。
一方、学生の志望度に最も影響が大きい場面としては、「面接」とほぼ同水準で「インターンシップ」が1位となり、インターンシップが就職活動の一歩目として定着していることが分かった。
また、学生の志望度が高まる要因の1位は23卒に引き続き「自分がこの企業で働くイメージを持つことができた」だったが、飯塚氏は注目すべき点として「自分自身のために十分な時間を割いてくれた」「採用活動における各種のやりとりが手際よく迅速だった」「採用活動全体がスピーディーに進んだ」を挙げた。
飯塚氏はこの結果について「自分が優遇されているように感じた際に志望度が上がったと解釈できる」としながらも、「内定までの期間が短いスピーディーに進むということは、学生が企業に対して思い入れを持つ時間もあまりない」と今後の課題を示唆した。
>>>後編「『蛙化現象』への対策。コミュニケーションの鍵を握るのは企業側のフォローとフィードバック」
※記事内の画像は発表資料より抜粋
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