「企業の人材マネジメントに関する調査2023」株式会社リクルート
約5割の企業が「人材の評価」「賃金・報酬」「昇進・昇格」の各制度に変更や見直しの必要性を実感。一方で見直しができている企業は3割にとどまる。
2023.11.24
リクルート(東都・千代田)は11月16日、企業で働く人事担当者5,048人のうち、従業員規模30人以上の企業に勤める2,761人を対象に実施した、「人材マネジメント」をテーマとしたアンケート調査の結果を発表した。同リリースでは、企業における「人材の評価」、「賃金・報酬」、「昇進・昇格」の各制度の現状と採用や従業員エンゲージメントとの関係に焦点を当てている。
調査結果によると、約5割の企業が「人材の評価」「賃金・報酬」「昇進・昇格」の各制度について変更や見直しの必要性を感じていることが分かった。一方で、「見直しの必要性を感じている」と回答した企業に対して、実際に各制度の変更や、やり方の見直しができているかを確認したところ、「できている」と「ややできている」の合計は各項目いずれも約3割にとどまっている。
また、「人材の評価」「賃金・報酬」「昇進・昇格」の3つの制度を一貫して見直している企業は、人材採用が成功し、かつ従業員エンゲージメントが高いことが明らかになった。
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以下、リリースおよび調査結果詳細より。
調査結果詳細:企業の人材マネジメントに関する調査2023「人材の評価」「賃金・報酬」「昇進・昇格」制度編(3MB)
Executive summary
- 「人材の評価」「昇進・昇格」に関する制度変更や、従来のやり方を見直す必要性を感じている企業は約46%。「賃金・報酬制度」については、5割以上の企業が必要性を感じている。
- 賃金に関して、「外部労働市場の水準に応じて、特定の人材については報酬制度を変更している」企業は33.1%。
- 人材採用ができている企業は、外部・内部両方の労働市場に目を向けた賃金・報酬制度の見直しができている。
- 「人材の評価」「賃金・報酬」「昇進・昇格」の3つの制度を全て見直している企業は、人材採用ができており、従業員エンゲージメントも高い傾向。
解説者:リクルート HR横断リサーチ推進部 マネジャー/研究員 津田 郁
本リリースでは、人事制度のうち「人材の評価」「賃金・報酬」「昇進・昇格」に着目しました。調査からは、いずれの制度も約半数の企業が変える必要性を感じていることが分かりました。特に、昇進・昇格制度を変える必要性を感じている理由の最多は、「年功序列の昇進・昇格を是正する必要があるため」でした。年功序列の昇進・昇格は、「日本型雇用」の特徴の一つですが、今の経営環境に適した見直しを考えている様子が見てとれます。
今後、労働市場における環境変化として、人材の流動性が高まっていくことが予想されます。これまでよりも外部労働市場を意識した設計が重要性を増すでしょう。分析からは、採用ができている企業ほど、外部労働市場の状況を踏まえて賃金・報酬制度を変更している傾向にあることが分かりました。
「人材の評価」「賃金・報酬」「昇進・昇格」の3つの制度を全て見直している企業は、人材採用ができており、かつ従業員エンゲージメントが高いことも明らかになりました。人事の諸制度は、それぞれがつながりを持っており、「人材マネジメントプロセス」とも呼ばれます。一つだけ見直すのではなく、3つ全てにおいて一貫性のある見直しを行うことと、その内容を従業員や採用見込者に伝えることが求められています。
約 5 割の企業が「人材の評価」「賃金・報酬」「昇進・昇格」の各制度を変える必要性を感じている
およそ半数の企業が、「人材の評価」「賃金・報酬」「昇進・昇格」の各制度の変更や見直しの必要性を感じていることが分かりました。「強く感じている」と「やや感じている」の合計は、「人材の評価」が 45.6%、「賃金・報酬」が 52.3%、「昇進・昇格」が 45.9%でした。
次に、「見直しの必要性を感じている」と回答した企業に、実際に各制度の変更や、やり方の見直しができているかを確認しました。「できている」と「ややできている」の合計は各項目いずれも約 3 割にとどまりました。
各制度を変える必要性を感じている理由
企業がどのような背景から各制度の見直しを考えているのかを明らかにするために、具体的な理由を尋ねました。その結果は以下の通りです。
まず、人材の評価制度については、「従業員にとって、より納得感の高い評価にするため」と答えた企業が最多でした(58.8%)。例えば、従業員の成果を正確に反映できるような評価のプロセスや内容にしていくことで、従業員がより納得感を持てるようになり、高い成果につながっていくと考えられます。
続いて、賃金・報酬制度については、「従業員のパフォーマンスを引き出すため」と答えた企業が最多でした(57.3%)。次に、「業界や外部労働市場と照らして、競争力のある報酬水準にするため」が多い結果となりました(40.9%)。賃金・報酬制度を変更していくにあたり、企業内だけでなく、外部労働市場の相場や業界の水準などを意識していることが見てとれます。
最後に、昇進・昇格制度については、「年功序列の昇進・昇格を是正する必要があるため」と答えた企業が最多でした(55.1%)。次に多かったのは、「若年層の抜擢人事を可能にするため」でした(47.2%)。いわゆる日本型雇用では、年功序列の昇進・昇格になりやすい傾向にありました。本設問の回答結果からは、昇進・昇格の機会を、年功序列とは異なる評価軸で決めていきたいという意識が広がっている様子がうかがえます。
現状では、年功序列に偏った状況の是正、その裏返しとして若年層の抜擢の必要性が顕在化しています。しかし今後は、若手やベテランといった年齢にとらわれることなく真の意味での「適所適材」を進めて行くことが必要ではないでしょうか。
調査概要
調査方法:インターネット調査
調査対象:全国の人事業務関与者(担当業務2年以上)
有効回答数:5,048人 ※ただし、従業員規模30人以上の企業に勤める2,761人を集計対象とした。
(従業員規模30~99人:753人、100~299人:605人、300~999人:540人、1,000人以上:863人)
調査実施期間:2023年3月29日(水)~2023年3月31日(金)
調査機関:インターネットリサーチ会社
本件の詳細をこちらより御覧ください
企業の人材マネジメントに関する調査2023「人材の評価」「賃金・報酬」「昇進・昇格」制度編(3MB)
※記事内の画像も上記資料より
【プレスリリース「企業の人材マネジメントに関する調査2023『人材の評価』『賃金・報酬』『昇進・昇格』制度編」より|2023年11月16日・株式会社リクルート】
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