人事の10分読書vol.32『AI DRIVEN AIで進化する人類の働き方』
2023.10.20
@人事が、本の要約サイト「フライヤー」とコラボし、人事のスキルアップにつながる書籍の要約をお届けする連載企画「人事の10分読書」。
第32回は、伊藤穰一氏の著書『AI DRIVEN AIで進化する人類の働き方』(SBクリエイティブ)を紹介する。
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おすすめポイント
昨今、ChatGPTをはじめとしたAIサービスが話題にのぼることが多くなった。すさまじいスピードで新たなサービスが生まれていく状況に戸惑う人も少なくないだろう。AIという技術には、新しい未来を予感させるに十分なインパクトがある。
しかしAIとは果たしてなんなのか、どのような仕組みで動いているのか、答えられる人は決して多くはないだろう。わからないものに対して性急な結論を出してしまうことは、未知なるものに対して人が陥ってしまいやすい罠だ。AIが革命を起こす。社会を変える。逆に仕事を奪う。文化を破壊する。そういった言説のどこからどこまでが信用に値するものなのか見極めるためには、AIそのものについて理解を深めるほかない。
本書はそんなAI技術の仕組みをわかりやすく解説しながら、その本質がどこにあるのか、そして社会に対してどのようなインパクトを与えていくと予想されるのかが、初学者向けに丁寧に述べられている。
AIは魔法ではなく、単なるテクノロジーにすぎない。ゆえに得意なことと不得意なことがある。強みを活かし、弱みをフォローすることが大切なのは、どのような対象であっても同じだ。かつて自動車やインターネットがそうであったように、技術の発展による環境の大きな変化は、新しいチャンスをもたらす。しかし技術が果たしてどのようなものなのか理解しないままでは、チャンスを手にするどころか時代に取り残されてしまうだろう。不安に思う人は、まずは本書に触れることからはじめてほしい。
【池田明季哉 (ライター詳細)】
著者プロフィール
伊藤穰一(いとう じょういち)
デジタルガレージ 取締役
共同創業者 チーフアーキテクト
千葉工業大学 変革センター長
デジタルアーキテクト、ベンチャーキャピタリスト、起業家、作家、学者として、主に社会とテクノロジーの変革に取り組む。民主主義とガバナンス、気候変動、学問と科学のシステムの再設計など様々な課題解決に向けて活動中。2011年〜2019年までは、米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの所長を務め、「人工知能の倫理とガバナンスのための基金(Ethics and Governance of Artificial Intelligence Fund)」を共同設立した他、MITメディアラボとハーバード・ロースクールの共同コース「AIにおける倫理とガバナンス(Ethics and Governance in AI)」を主導。また、非営利団体クリエイティブコモンズの取締役会長兼最高経営責任者も務めた。ニューヨーク・タイムズ社、ソニー株式会社Mozilla財団、OSI(The Open Source Initiative)、ICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)、電子プライバシー情報センター(EPIC)などの取締役を歴任。これまでの活動が評価され、オックスフォード・インターネット・インスティテュートより生涯業績賞、EPICから生涯業績賞を始めとする様々な賞を受賞。ポッドキャスト「JOI ITO 変革への道」では、最近の技術動向や社会への影響について取り上げている。千葉工業大学変革センターのセンター長として、ニューロシンボリック・メタプログラミングの一種である確率的プログラミングのコースを開発している。
『AI DRIVEN AIで進化する人類の働き方』の要点
- 現在急激に浸透しつつあるAIは、ジェネレーティブAIと呼ばれる種類のものである。
- ジェネレーティブAIは、人間からの指示(プロンプト)を受けて、学習済の大量のデータから様々なテキストや画像などを生成する。
- AIは過去の学習から、優等生的な成果物をあっという間につくることができる。そこにひねりを加えるのは人間の仕事である。
- AIはそれらしい嘘を断定的な口調で述べることもある。利用する人間が真偽をチェックできる知識がある分野において使うことが望ましい。
AI DRIVENによる世界のメガトレンドの変化
ジェネレーティブAIとはなにか
AI(人工知能)は、半世紀以上をかけて研究開発が進められてきた。その驚異的な成果が礼賛される一方で、仕事がなくなるのではないか、といった漠然とした不安を持っている人も少なくないだろう。
「比喩」でも「近未来の空想」でも「可能性の話」でもなく、仕事、働き方から組織、社会の成り立ちまで、人間の世界のすべてを変える存在としてAIは立ち現れている。
最近すごいスピードで広がっているAIは、「ジェネレーティブ」であるという点が特徴的だ。ジェネレーティブAIは、人間からのオーダーを受けると、学習済みの過去の膨大なデータを参照しながら、「テキスト」「画像」「動画」を生成する。これはあくまで「提案」であり、「正解の選択肢」ではない。だからこそ、「もっとこんなふうにしてほしい」と伝えれば、その提案を調整してくれるのだ。
すなわち、これからの人間の仕事は「着想すること」、そして提案を「より優れたアイディアに磨き上げていくこと」が主になり、着想を具現化する「実作業」はジェネレーティブAIが担っていく。この「ツール」は、ありとあらゆる作業を効率化し、できることを「拡張」してくれるのだ。
AIの起こす地殻変動
すでにプロとして質の高い仕事をしている人の能力、そしてすでに多くの人に求められるビジネスを展開してきた企業の機能が、ジェネレーティブAIによって一気に拡張される。当のAI開発自体は、マイクロソフトとグーグルの2社が握る形で、ベンチャーが生まれる可能性は低いだろう。ただし、AIを活用することで機能を拡張し、さらに競争力を高める企業は増えていくはずだ。
また、web3と融合し、これを加速する動きも注目されている。web3とは、GAFAMによる集権的なWeb2に対し、ブロックチェーン技術を基盤に分散化されていく潮流のことだ。特にジェネレーティブAIと相性がいいのは、プロジェクトごとでメンバー全員が対等な立場になるweb3コミュニティ、DAO(分散型自立組織)である。その「契約書」にあたる、取り決めの自動実行プログラム、「スマートコントラクト」や、会議運営などDAOのガバナンス自体をAIに任せる。その透明性の高さ、改ざん不能な情報管理を活かして、DAOの健全性を解析するのにも使える。
このようなAIについて著者は、「IA(Intelligence Augmentation=知能拡張)」でもなく、ネットワーク化された知性の「補強」すなわち「EI(Extended Intelligence=拡張知能)」を提唱する。これが、「今まで人間が手ずから行ってきた様々なことを肩代わりするツールの供給源」となっているのだ。
仕事:僕たちの役割は「DJ的」になる
掛け合わせ、練り上げる
ジェネレーティブAIの進化と普及で、今後「人間の仕事、働き方、ビジネスモデル」はどうなるのか。概念的に言えば、「人間の仕事は総じて『DJ』的になっていく」と思われる。
DJは自分で音楽を作るのではなく、いろいろな音楽の断片からコラージュのようなものを構成する。音楽理論の知識がなくてもよい。「ゼロから生み出すこと」ではなく、「掛け合わせ、練り上げること」が「DJのクリエイティビティ」だ。
つまり、「どんな言葉を掛け合わせ、どうジェネレーティブAIを扱ったら、筋のいいたたき台が生成されるか」を考えるセンスこそが、必要となるのだ。
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