サービスピックアップ

真のダイバーシティを見据える外国人雇用の導き手【リュウカツ】

2023.10.02

グローバル化の進展により、多くの企業が外国人の雇用を検討しており、特に技術や専門的なスキルを持つ外国人の需要が高まっている。また、近年のダイバーシティ推進の方針により、国籍・性別・年齢などの区別なく多様な人材を積極的に採用しようという企業も増えてきている。

株式会社オリジネーター（東京・渋谷）は、外国人材のトータルアドバイザーとして、挑戦する人と企業の活躍の場を広げるサポートを行っている。外国人雇用の窓口であるサービス「リュウカツ」と、企業を取り巻くダイバーシティ推進問題等について取締役専務執行役員の工藤尚美さん（下写真）に話を伺った。
【2023年6月30日取材：池田亮貴、文：早川みどり、編集：鈴木詩織】

取締役専務執行役員の工藤尚美さん（株式会社オリジネーター）

目次

理系外国人材の採用に自信ありの支援サイト「リュウカツ」
労働力だけではなく、専門性の需要も。外国人材のニーズの変化
ダイバーシティ推進を取り巻く企業の課題
リュウカツは「血の通った」外国人材採用を実現
人材、企業ともに幸せになる外国人採用を目指して
サービス紹介：理系外国人留学生採用なら「リュウカツ」

理系外国人材の採用に自信ありの支援サイト「リュウカツ」

弊社は、外国人材に特化した企業の採用支援サイト「リュウカツ」を運営しています。

特徴は日本在住、特に大学院や大学、専門学校、日本語学校に通う外国人留学生を対象とした求職者が主に登録していることです。当サービスは広告掲載の形を採らず、人材紹介や弊社が行っているイベントなどのサービスを利用した企業を掲載させていただき、そこで外国人材とつなげています。

弊社の設立は2001年で、2005年に外国人材に特化した企業の採用支援事業を開始しました。当初は中途人材がメインでしたが、2009年頃から企業のニーズが逆転して、新卒採用のニーズが高まってきたこともあり、支援サイト「リュウカツ」をスタートしました。「リュウカツ」は新卒がメインですが、2割ぐらいが中途人材の登録があり、対象を新卒に限っているわけではありません。

また、理系登録者が多いというのも「リュウカツ」の特徴です。理系といっても幅広いですが、特に機械、電気・電子それから情報という、いわゆる機電情※系の人材の登録者が多いです。

※機電情：理系の中でも、機械系、電気・電子工学系、情報系をまとめた呼称

「リュウカツ」の登録者

労働力だけではなく、専門性の需要も。外国人材のニーズの変化

法改正※により2019年から、外国人材採用の領域が広がりました。また、ダイバーシティ＆インクルージョンの推進により、女性やリタイアされた方に加えて、外国人材も採用して多様性を重視した組織づくりに取り組んでいきたいという企業も増えてきました。
具体的には、現在海外進出をしようとしている、または海外の取引先が増えている企業が特に多くなってきています。
一方で人的リソースでは語学、例えば受入れ側の課題として、英語や中国語を話せる人がいない、その国のことがわからないという問題も発生しています。言語が話せてかつ国や地域のことが分かっている人を採用したいという場合に、弊社にご相談いただくことが多いです。

もう一つ需要が増えているのは、弊社が得意とする理系人材において、国籍にかかわらず専門分野や専門知識を持つ人材を採用したいというケースです。その裏側には、人手不足や中核となる人材が採れないという企業の課題感があります。日本人だけに限らず、外国人材を採用していこうという方針をとる企業から、弊社にお声がけいただくことが増えてきています。

※改正入管法：2018年12月8日に国会で改正案が成立し、12月14日に交付された「出入国管理及び難民認定法」の改正。新たな在留資格として「特定技能」が創設され、技能を身に付けた外国人を日本で雇用することが可能になった。

参考：法務省出入国在留管理庁「入管法及び法務省設置法改正について」

ダイバーシティ推進を取り巻く企業の課題

ダイバーシティ推進は、外国人材採用に大きな影響をもたらしました。特に大手企業では顕著だと言えます。ただ、外国人を受け入れて多様性を出していきたいと思う一方で、その採用の基準の作り方や、雇用後にその人たちをどうやって生かしていくのかという点においては、手探り状態の企業が依然として多いと感じます。

仮に能力も何もかも同等の日本人と外国人の方がいたとして、どちらか一人だけ採用することになった場合、日本人の方を採用する企業がまだ多いのではないでしょうか。
一例を挙げると、アメリカ、ヨーロッパ、東南アジア、中東などさまざまな国の人たちに入ってきてもらいたいので人材を探してほしい、あるいはそういった人材が集まるイベント集客をしてほしい、というご依頼をよくいただきます。しかし、多様な人材を集めても、結局は日本と同じ東アジアエリアの人材を採用するケースが少なくありません。

つまるところ日本人の考え方に近かったり、日本語力が高かったりする、同質の人材を無意識のうちに選びがちになってしまうようです。
例えば、最初はアメリカ人を採用しようと思っていても、日本語がたどたどしい人材よりも、日本語が堪能な韓国や中国の人で、しかもピシッとスーツを着こなしている方が高く評価され、結果的にはアメリカ人の採用に至らないケースはよくあります。日本人としてのフィルターが強く、それを排除するのに苦心する企業はまだまだ多いです。

リュウカツは「血の通った」外国人材採用を実現

ダイバーシティ推進に取り組まなければならないと考える企業は増えていますが、日本の全体からするとその数はまだまだ少ないと思います。その中では、IT系やメーカー系は外国人採用を進める割合が高い業種です。一方で、その他の業種では外国人採用自体が難しいと感じています。

大きな原因は、受け入れ体制が未整備だという点にあります。「ビザはどうすればいいのか」、「採用する人たちのバックグラウンドが全然わからない」、「すぐ辞めてしまうと聞いている」など、情報の少なさから外国人の採用に至らないことはよくあります。

そのような課題を解消するために、弊社を活用していただきたいです。

「人と企業をつなぐ」のが使命

「リュウカツ」の特徴として、登録している方が100％外国人なので、採用条件に合う外国人材を見つけやすいことがあります。また、弊社が設立当初からやってきたこととして、採用前に一人ひとりの登録者に就業意欲や意図、語学力、理系の専門性など、細かく確認して企業につないでいます。手間はかかりますが、しっかり人物を確認した上で企業へつなぐことを徹底しています。

わたしたちは、人と企業（仕事）をおつなぎする大きな使命を担っていることを忘れないよう、日々業務に取り組んでいます。少し大げさに聞こえるかもしれませんが、人の大きな岐路、人生を変えるような事業でもあるわけです。加えて、外国人材は、何らかの理由で、何らかの縁で日本にきています。この方々が日本で勉強した後に就職をする大事なポイントを迎えていて、私たちはそちら側にも寄り添わなければならないと考えています。それが結果的に、求人側、企業側双方と良い信頼関係を築くことにつながり、長く利用していただける要因だと思っています。

「リュウカツ」の新卒人材紹介サービスの流れ。入社前にヒアリングと面談を密に行い、ミスマッチを防ぐ

人材、企業ともに幸せになる外国人採用を目指して

今後は採用支援だけではなく、入社後の人材活躍支援にもより重きをおき、展開していく方針です。

サービスを開始した当初は採用サポートが主でしたが、少しずつ外国人採用を進める企業が増えてくる中で、採用した結果、企業も外国人材も良い結果に至らなかったというケースを見ることもありました。採用後の外国人材が、いかにその企業の戦力となり活躍してもらうかというところまで支援することが弊社の介在価値であり、重要な点だと思っています。

「リュウカツ」はダイバーシティ人材の価値創造プラットフォーマーを掲げていますが、企業と外国人材をつなげるだけでなく、採用した企業も大きく成長してほしいですし、人材側も、日本での就業経験を通じて世界に羽ばたいていってほしいと願っています。

これからの「リュウカツ」は、そうした企業とともに成長していける人材を創出していきたいと思います。