株式会社リクルート
45歳以上のITエンジニア転職者数、5年で10倍に。DX進展とミドル・シニアITエンジニアの再評価が転職増加の要因
2023.09.14
リクルート(東都・千代田)は8月31日、ITエンジニアの転職動向に関する『リクルートエージェント』のデータを基にした転職活動者調査結果を発表した。
調査結果によると、過去5年間でミドル・シニア(45歳以上)のITエンジニアの転職決定者数が約10倍に増加したことが明らかになった。この増加はDXの進展や企業の採用ターゲットの拡大、そしてミドル・シニアITエンジニアのスキルや経験の再評価によるものと考えられる。2030年までに最大79万人のIT人材が不足すると予測されており、企業は年齢を問わず、経験とスキルを重視した人材採用が必要とされている。以下、リリースおよび調査結果詳細より。
調査結果詳細:45 歳以上の IT エンジニア職の転職、この 5 年で約 10 倍に拡大『リクルートエージェント』データ分析(2MB)
トピックス
- ミドル・シニア(45 歳以上)における IT エンジニア職の転職決定者数は、この 5 年で約 10 倍に拡大。
- 1 の背景としては
・多様な業種で DX が進んだことによる、IT エンジニア職のニーズ増加
・採用難易度の高い IT エンジニア職を採用する方法の一つとして、企業がターゲットを拡大
・45 歳以上の IT エンジニア職が持つスキルや経験の重要性が再認識されたこと
などが考えられる。
解説:IT 領域の転職支援を担当するコンサルタントによる解説
【社会的状況】経済産業省の「IT 人材需給に関する調査」によると、2030 年までに最大79 万人の IT 人材が不足する可能性が示唆されています。IT 人材の年齢分布の推移も、2025 年には IT 人材の約 4 割が 45 歳以上になると言われています。
【転職増加の背景】IT エンジニア職のニーズが高まっており、企業側としては、求めている経験やスキルを持っている求職者ならば、年齢を問わず採用したいと考えるようになっています。加えて、ミドル・シニアの IT エンジニアが持つ、システム障害に対応した実績など、長年の経験によるスキルやプロジェクトマネジメント力が求められています。『リクルートエージェント』のデータを分析すると、ミドル・シニアの IT エンジニアの約 3 割の方が転職時に 10%以上賃金が上がっているという結果でした(2023 年 1-3 月期)。元々は IT エンジニア職について、「35 歳定年説」という言葉もありましたが、このような状況もあり、ミドル・シニアの IT エンジニア職の転職決定が増えています。
【今後】定年制度の見直しによって、45 歳以上の IT エンジニアもこれまでよりも長く働くことができます。経験が豊富なため、IT スキルだけでなく、人材育成力やトラブル解決力に対する期待もできます。求職者にとっては、労働環境も見直されており、45 歳以上の方でも比較的働き続けやすい、という点は魅力かもしれません。企業は「45 歳以上だから」と先入観を持たず、「どんな働き方やキャリアを実現したいのか」といった対話を重ねることで、多様な経験を積んでいる 45 歳以上のエンジニアが働きやすい環境をつくっていくことが求められるでしょう。(『リクルートエージェント』コンサルタント
IT 通信業界担当 丹野 俊彦)
データ分析:IT エンジニア職の求人件数
IT エンジニア職の求人件数は、この 5 年で 2.70 倍に増加している。2022 年度時点で、コロナ禍前の水準を超えている。
データ分析:ミドル・シニアにおける IT エンジニア職の転職決定者数の増加幅は、全職種より大きい
ミドル・シニアの転職決定者数の 2017-2022 年度での推移は、全職種は 4.91 倍、IT エンジニア職では10.22 倍と、IT エンジニア職の増加の幅が大きい。
- IT 業界は他業界と比べて、歴史が浅かったため、45 歳以上の働く個人の中で、IT エンジニア職の人の割合が低かったが、産業として拡大し、その割合が増加してきたこと
- 多様な業種で DX が進んだことによる、IT 系人材のニーズ増加
- システム障害に対応してきたスキルや経験の重要性が再認識されたこと
などが背景にあると考えられる。
ミドル・シニアにおける IT エンジニアの転職の特徴
【パターン 1:異業種転職】IT 通信業界から金融機関の社内 SE への転職(50 代前半)
- 転職前と後:大手システムインテグレーター⇒金融機関の情報システム部門
- 転職者の希望:企業の意思決定に関わる経験がしたい。発注する立場を経験したい。
- 企業の希望:多様なプロジェクトを実行していくうちに、「炎上」案件も発生。安定したプロジェクト進行のために、IT 部門の内製化への移行中だったため、豊富なプロジェクトマネジャー経験を持つ方を採用したかった。
【パターン 2:異業種異職種転職】公的機関から IT 通信企業への転職(50 代半ば)
- 転職前と後:公的機関⇒IT コンサル企業
- 転職者の希望:業界全体を俯瞰して見ることができる業務に就きたい。課題解決に直に携わりたい。
- 企業の希望:事業会社が IT 部門を自社で準備するようになっている中、事業会社が考えている先の「新しいこと」を考えるためには、業界に深く精通した人を採用したい。お客さまの先回りをした提案ができるようなベテランを求めていた。
ミドル・シニアの IT エンジニアが転職をする際の特徴は、以下の通りです。
【転職動機】
●年収アップを狙って
●今後のキャリアプランを見直した結果(技術を磨く場合でも、管理職希望の場合でも)
●仕事を通じて、自分の能力や個性が生かしたいという思い
【入社後に活躍しやすい方の傾向】
●自分の経験や考えにとらわれすぎず、新しい環境を受け入れる
●自ら進んで手を動かす
解説者プロフィール:『リクルートエージェント』コンサルタント
IT 通信業界担当 丹野 俊彦
新卒で国内証券会社に入社。営業と人事採用担当を経験後、2007 年にリクルートエージェント(現リクルート)に入社。IT を中心に、金融、建設など幅広い業界の企業の採用支援および個人の転職支援を担当。面接力向上セミナー講師などを経て、現在は事業会社の IT、DX 領域の採用支援および、IT エンジニア、IT コンサルタントのキャリア支援に従事。
リクルートグループについて
1960年の創業以来、リクルートグループは、就職・結婚・進学・住宅・自動車・旅行・飲食・美容などの領域において、一人ひとりのライフスタイルに応じたより最適な選択肢を提供してきました。現在、HRテクノロジー、マッチング&ソリューション、人材派遣の3事業を軸に、60を超える国・地域で事業を展開しています。リクルートグループは、新しい価値の創造を通じ、社会からの期待に応え、一人ひとりが輝く豊かな世界の実現に向けて、より多くの『まだ、ここにない、出会い。』を提供していきます。
詳しくはこちらをご覧ください。
リクルートグループ:https://recruit-holdings.com/ja/ リクルート:https://www.recruit.co.jp/
本件の詳細をこちらより御覧ください
45 歳以上の IT エンジニア職の転職、この 5 年で約 10 倍に拡大『リクルートエージェント』データ分析(2MB)
※記事内の画像も上記資料より
【プレスリリース「45 歳以上の IT エンジニア職の転職、この 5 年で約 10 倍に拡大『リクルートエージェント』データ分析」より|2023年8月31日・株式会社リクルート】
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