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コラム

育児・介護休業法改正


育児・介護休業法改正の3つの柱と人事担当者が取り組むべき3つのポイント

2016.10.12

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育児と仕事の両立や介護離職等が問題視される中、平成29年1月1日から、育児・介護休業法が変わります。何が変わるのか、人事担当者は何をするべきなのかを考えてみましょう。

目次
  1. 育児・介護休業法改正の3つの柱
  2. 人事担当者が取り組むべき3つのポイント
  3. 企業に求められるもの

育児・介護休業法改正の3つの柱

今回の改正は大きく下記の3つの柱に分かれます。

  1. 介護休業等に関する改正
  2. 育児休業等に関する改正
  3. 妊娠、出産、育児、介護全般に対するハラスメント防止措置の義務化

まずは改正の概要を見てみましょう。

1.介護休業等に関する改正

  • 介護休業について通算93日、3回まで分割取得が可能になります(これまでは分割取得不可)。
  • 介護休暇が半日単位(所定労働時間の1/2)で取得可能になります。
  • 所定労働時間の短縮等の措置について、介護休業とは別に3年間で2回以上の分割取得が可能となります(これまでは介護休業と合わせて93日の範囲内)。
  • 介護終了までの期間について、所定外労働の免除を請求することができるようになります(新設)。
  • 有期契約労働者の介護休業の取得要件が緩和されます。

2.育児休業等に関する改正

  • 子の看護休暇が半日単位で取得可能になります(介護休暇と同じ)。
  • 有期契約労働者の育児休業の取得要件が緩和されます。
  • 育児休業等の対象として、特別養子縁組の看護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子なども対象になります。

3.妊娠、出産、育児、介護全般に対するハラスメント防止措置の義務化

これまでも、「事業主」が行う不利益取扱は法違反とされてきましたが、今後は「上司」や「同僚」が行う妊娠・出産・育児休業・介護休業等についてのハラスメント行為に対しての防止措置が義務付けられます。また、派遣労働者については、派遣先企業を事業主とみなして適用されることになります。

どんなものがハラスメントに該当するかの例として、国からは下記のような例があげられています。

  • 育児休業について上司に相談したところ「男のくせに育児休業なんて」と言われて育休の取得をあきらめざるを得なくなっている。
  • 上司や同僚が、「妊娠するなら忙しい時期を避けるべきだった」などと繰り返し言うことによって就業環境が阻害されている

法改正の詳細については、厚生労働省リンクにて。

人事担当者が取り組むべき3つのポイント

改正法に基づいた休業等が労働者から請求された場合は、拒むことはできません。ですから改正内容に対応した就業規則の改定や制度構築等を行う必要があります。ポイントは3つです。

  1. 制度や就業規則の見直し
  2. 会社全体の長時間労働等働き方の見直し
  3. 従業員への育児介護休業等に関するハラスメント教育

1.就業規則や制度の見直し

まずは法改正にあわせて就業規則や制度を改定する必要があります。これにあたっては、介護休暇や育児休暇の半日取得については、半日欠勤分の賃金計算はどうするのか、半日とは所定時間の1/2とするのか、お昼休みで区切りたいなど、1/2以外の時間で取得できるようにしたいのであれば労使協定の締結等、会社独自の部分を細かく決める必要があります。また、上司や同僚によるハラスメント防止についての方針を定めることや、ハラスメント行為を行った従業員に対する懲戒処分等の検討を行う必要があります。

2.会社全体の長時間労働等働き方の見直し

法改正により、これまでより休業等の制度を利用しやすくなりますが、業務のボリュームや遂行方法が変わらなければ、それを支える同僚にかかる負担が増えることになります。例えば、介護のための所定外労働の免除については、介護終了までの期間について請求することが可能となりますが、介護は長期間にわたることが予測されるものです。もし長時間労働が前提とされる働き方をしていたのだとすると「いつまで」が見えない状態で、あふれた業務を誰かがカバーしなければならなくなります。それでは周囲の従業員が疲弊することになってしまいますし、従業員同士の不公平感やひずみが生まれることにもなるでしょう。これらを防ぐには、制度を利用する従業員のみにとどまらない会社全体の働き方の見直しが必要なのです。

3.従業員への育児介護休業等に関する周知・啓発・教育

「上司」や「同僚」のハラスメント行為を防ぐには、何がハラスメントに該当し、行った場合はどうなるのか、ハラスメントを受けた場合はどうしたらよいのか、などの従業員への周知・啓発・教育が以前にも増して重要になります。妊娠等した労働者の側においても、周囲とのコミュニケーションを図りながら適切に業務を行う責任があるという意識を持つことも必要でしょう。

企業に求められるもの

少子高齢化、介護者の増加という中、育児介護に関する制度を整えることは、法令遵守という観点からだけでなく、会社が持続する上で避けては通れなくなっています。制度を用意して利用したい人はどうぞ、だけではなく、真の両立支援に資するところまでの仕組みを整えることがますます求められています。


【関連情報】
育児・介護休業法について(厚生労働省)
平成29年 育児・介護休業法改正 人事が押さえておきたいポイント(2017年10月1日施行)


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執筆者紹介

郡司果林(ぐんじ・かりん)(社会保険労務士) office role代表、第1種衛生管理者。日本大学卒業後にIT企業のSEとなるが、過酷な労働環境に疑問を持ち、社会保険労務士の資格を取得して外資系IT企業の人事担当に転職。10年あまり人事担当として、社内の規程整備、衛生委員会の構築運営、メンタルヘルスケア対応等を行ってきた。現在は独立し、労務相談実績1500件を超える。

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