「マイナビ2024年卒 企業新卒採用活動調査」株式会社マイナビ
【24卒採用】学部卒総合職の初任給を引き上げた企業が7割、一方就活でのAI活用については慎重な意見が多数
2023.07.26
マイナビ(東京・千代田)は7月18日、2024年卒の採用活動および2025年卒の採用計画などをまとめた「マイナビ2024年卒 企業新卒採用活動調査」の結果を発表した。調査結果は2023年6月時点。有効回答数は3,113社。
発表によると、学部卒生を対象とした総合職採用において、初任給を引き上げた企業が7割に達し、これに対する理由として最も多かったのは「給与制度の見直しで全社員の給与を引き上げたため」で、その割合は53.0%だった。また、就職活動に生成系AIを活用することについて41.2%が「慎重な使い方を望む」と回答。その理由としては、「面白い使い方をした学生がいれば評価したい」「効率化のために上手に使用することは推奨する」といった意見が見られた。以下、リリースより。
「マイナビ2024年卒 企業新卒採用活動調査」
《TOPICS》
- 6月時点で採用充足率が「5割以上」の企業は39.5%で、コロナ禍初年度の2021年卒を下回る結果に【図1】
- 現時点での採用の問題点について、7割が「母集団(エントリー数)の不足」と回答【図2、3】
- 学部卒生の総合職採用について、初任給の引き上げを行った企業が7割。理由は「給与制度の見直しで全社員の給与を引き上げたため」が53.0%で最多【図4、5、6】
- 学生が就職活動に生成系AIを利用している実感がある企業は4.6%と少数派に【図7】
- 就職活動における生成系AIの活用について「使い方を慎重に検討した上で活用してほしいと思う」企業が41.2%【図8、9】
【調査概要】
6月時点で採用充足率が「5割以上」の企業は39.5%で、コロナ禍初年度の2021年卒を下回る結果に【図1】
企業の2024年卒採用について、6月時点の採用充足率が「5割以上」は前年比4.8pt減の39.5%で、新型コロナウイルスの影響が大きかった2021年卒の40.9%を下回った。インターンシップの実施有無別に見ると、インターンシップを実施した企業で採用充足率が「5割以上」は50.1%たったが、実施しなかった企業は「0割」が53.5%となった。就職活動の準備期間に学生と十分な接点を持てたかどうかが採用充足率に影響する一つの要素となっているようだ。【図1】
【図1】採用充足率 (採用予定数に対して現在採用が確定している割合)
現時点での採用の問題点について、7割が「母集団(エントリー数)の不足」と回答【図2、3】
採用活動における現時点での問題点を聞いたところ、「母集団(エントリー数)の不足(70.0%)」が2年連続で増加した。2022年卒(34.4%)と比較すると2倍以上増加しており、直近2年で「母集団の不足」が企業にとって深刻な課題となっていることが分かる。学生のインターンシップの平均参加社数は増加傾向で、学生は就職活動の準備期間から既に応募する企業を絞り込んでいる。そのため、エントリー平均社数は年々減少して、企業にとっては母集団の不足に繋がっていると推察できる。【図2、3】
【図2】採用活動における現時点での問題点(複数回答、上位抜粋)
【図3】エントリー社数とインターンシップ参加社数の平均値
学部卒生の総合職採用について、初任給の引き上げを行った企業が7割。理由は「給与制度の見直しで全社員の給与を引き上げたため」が53.0%で最多【図4、5、6】
学部卒生の総合職採用で初任給の引き上げを行った企業は70.0%、引き上げ額が最も多かったのは5000円~1万円未満で36.0%だった。引き上げの理由は「給与制度の見直しで全社員の給与を引き上げたため(53.0%)」が最多で、次いで「求職者へのアピールのため(48.8%)」となった。また、上場企業では1位は全体と同じく「給与制度の見直しで全社員の給与を引き上げたため(63.0%)」だが、2位は「定着率を高める・離職を防ぐため(44.1%)」だった。採用競争が激しくなっている就活生へのアピールはもちろん、従業員全体のモチベーションや定着率向上・離職防止も意識しながら給与制度の見直しに繋がった企業が多かったようだ。【図4、5、6】
【図4】<総合職・学卒生について>初任給の引き上げ実施有無(n=2,014)
【図5】<初任給の引き上げを行った企業限定>初任給の引き上げ額
【図6】<初任給の引き上げを実施した企業限定>初任給の引き上げを行った理由(複数回答)
学生が就職活動に生成系AIを利用している実感がある企業は4.6%と少数派に【図7】
新卒採用におけるAI活用について聞いたところ、学生が就職活動に生成系AIを利用している実感がある企業は4.6%にとどまった。学生調査※1では、就職活動で生成系AIの利用経験がある学生は18.4%だったため、学生の利用経験と企業の利用実感には差があるようだ。学生の活用方法については「文章の添削・校正に使っている」「ひな形になる文章を作成してもらう」などが挙がり※2、学生はあくまで補助的なツールとして活用しており、利用実態と企業の実感に差があることがうかがえる。【図7】
※1:「マイナビ 2024年卒大学生 活動実態調査(5月)」
※2:「マイナビ 2024年卒 学生就職モニター調査 5月の活動状況」
【図7】学生が生成系AIを活用して就職活動している実感はあるか(n=2,435)
就職活動における生成系AIの活用について「使い方を慎重に検討した上で活用してほしいと思う」企業が41.2%【図8、9】
企業に就職活動で学生が生成系AIを利用することについて聞いたところ、最多の回答は「使い方を慎重に検討したうえで活用してほしいと思う」の41.2%だった。自由回答をみると、「面白い使い方をした学生がいれば評価したい」「効率化のために上手に使用することは推奨する」など、AIを使いこなすスキルとして好意的に捉えるコメントも挙がった。一方で、「面接等で実際に話した際に齟齬のある発言をしてしまう可能性がある」「入社がゴールではないので自分を誇張しないように配慮して使用してほしい」など、“選考に通過できそうな選考書類の作成”を目的としたAI活用をすることで、就活生本人の意見と乖離した内容にならないように注意してほしいという旨のコメントが見られた。【図8、9】
【図8】学生が就職活動において生成系AIを活用することについて(n=2,429)
【図9】学生が就職活動に生成系AIを利用することについてどう思うか
【調査担当者コメント】
6月時点で採用充足率が「5割以上」の企業は39.5%で、コ2023年卒に引き続き、多くの企業でエントリー数不足が問題となっていることが分かりました。企業の採用意欲は高まる一方で確実に若者の人口減少は進み、“なるべく多くの母集団を確保して、入社してほしい学生を見極める”という選考方法には変革が求められているのかもしれません。また、学生はエントリーする企業を絞り込む傾向が強くなっていますが、準備期間中の限られた情報のみで受験企業を選定してしまうことにより、視野が狭くなってしまわないように注意が必要です。今まで以上に、企業は一人の学生と、学生は一社の企業との出会いを大事にしていくことが求められていると思います。
キャリアリサーチラボ 研究員 沖本 麻佑
【調査概要】「マイナビ2024年卒 企業新卒採用活動調査」
○調査期間/2023年6月2日(金)~6月20日(火)
○調査方法/WEBフォームより回答
○調査対象/弊社運営の情報メディア「HUMAN CAPITALサポネット」会員にメールマガジンにて案内、マイナビ2024利用企業担当者宛にメールマガジンにて案内、営業担当より各企業にご案内
○調査機関/自社調べ
○有効回答数/3,113社(上場265社、非上場2,848社│製造1,223社、非製造1,890社)
※調査結果は、端数四捨五入の都合により合計が100%にならない場合があります。
【プレスリリース「『マイナビ2024年卒 企業新卒採用活動調査』を発表」より|2023年7月18日・株式会社マイナビ】
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