フィリピン英語留学学習アドバイザーに聞く
企業が求める「グローバル人材」 その定義と育成方法とは
2015.07.06
グローバル人材の共通語
この記事では「グローバル人材」に求められる「英語力の基準」について記しています。
最初に言葉の定義を行います。「グローバル人材」というと主語が大きくて分かりづらいので、「日本市場以外で商売をする」「日本人以外の顧客を相手にする」「日本人以外の同僚と働く」「日本語以外の言語から情報を得ている」、これらに該当する人たちを「グローバル人材」と本記事では定義します。
海外で働く人にとって、職種・業種毎に必要とされる「専門知識」「実務能力」は異なります。ですが、多くの仕事に共通する技能が一つあります。それは「日本語以外の言語ができるかどうか」。外国人と関わる場合に外国語習得は必須であることが多いです。
例えば、仕事で韓国人・台湾人・中国人と関わることになり、相手が日本語を使ってくれないのであれば、またはこちらが相手の言語を使えないのであれば、使用すべき言語は英語になります。現状、アジア圏でビジネスをするのであれば、英語は「共通語」であると言えます。
「グローバル人材」の必要条件である「共通語」、特に「英語」をまずは最低限使えるようになりましょう。
最低限求められる英語力の水準
東南アジア圏でビジネスを行う場合、最低限求められる英語力の水準はTOEIC(R)試験を基準にして述べると600点です。この水準がどれくらいの水準かというと、中堅の国立大学・私立大学に一般入試で入った学生たちが到達している水準です(指定校推薦・内部進学・AO入試ではなく、一般入試です)。そしてまた、2015年時点のアジア現地採用で求められる基準は650点前後です。
英語を使って業務ができる最低限の水準がTOEIC(R)試験600点だと考えられています。補足すると、600点未満だと話になりません。英文法の知識があやふや、必要英単語を知らない、だから英文がまともに読めないし、書けない。また、会話の聞き取りができないからまともなやり取りも望めない。600点はこの状態から、ギリギリなんとか、抜けだしている状態です。
理想的にはTOEIC(R)試験で800点の水準はほしいと私は考えますが、現在アジア圏で働く多くの日本人もこの水準に到達していないのです。そのため日本人は隣国の韓国人や台湾人と較べて英語が苦手と思われています。
補足すると、現在日本の大手人気企業の中途採用で求められる基準が800点です。英語を仕事として使うのであれば、やはりこれくらいは最低限到達しておくべき目標であると思います。
英語力ゼロからでも1500時間やればTOEIC(R)試験600点に到達できる。
現在英語が苦手な人たちに向けて助言をすると、英語なんてやればできるようになります。そんなに難しい技能ではありません。
現時点で英語力がゼロでも平日毎日10時間を継続して勉強すれば 6ヶ月で1500時間を勉強することで、TOEIC(R)試験600点の基準に到達できます。
これは絵空事ではありません。現在私はフィリピン・セブ島にある語学学校サウスピークの学習カリキュラムを担当していますが、サウスピークに留学している生徒が現に「半年で1500時間の勉強をして600点に到達する」という目標をクリアしています。
半年間本気になれば、TOEIC(R)600点の水準に到達できます。ここまで到達したら最低限英語を使って仕事ができます。英語力ゼロの人が「グローバル人材」を目指すのであれば、まずは本気で半年頑張ってください。
基礎学力が低い人から脱落していく
日本人は「日本で日本人相手に仕事をする」いるのが一番楽です。でも、「グローバル人材」はこの楽な道を選んでいない人たちです。
仕事柄そういう「グローバル人材」に関わることが多いですが、一つはっきりと言えることがあります。
英語力を含めた基礎学力が高い人ほど成功する割合が高い。一方、基礎学力が低い人ほど早く脱落する。
前述したように、特にTOEIC(R)試験で600点のレベルにすら到達していない人たちだと、外国人の同僚とすらまともな意思疎通はできていません。これではまともな仕事ができません。そして、東南アジアで働いていて、まともな仕事ができない人の場合だと、たいてい2~3年以内に消えていきます。私の周りにいた人たちについて振り返ってみても、基礎学力が低い人から脱落していきました。
なんとなくのノリだけでは仕事はできません。細かい点まで詰めていかなければなりません。その点、基礎学力に欠ける人たちの場合だと、この細部まで詰めることができないので仕事がうまく回りません。
日本人以外の人と一緒に働く場合や、日本以外の環境で働く場合には必要最低限の語学力を最初に身につけることをお勧めします。
英語力ゼロでも平日毎日10時間勉強をすれば約半年でTOEIC(R)試験で600点に到達できます。英語力はこの程度の能力でしかありません。けれど、その程度の能力を身に付けていない人が非常に多いのも事実です。
現状ではまだ最低限の英語力を身につけているだけでも評価されますので、これからグローバル人材になろう、海外で一旗あげようと考えている方は、まずは必要条件の一つである語学力を身につけてください。人事担当者としても、まずは上記のスコアを達成できるような環境を提供することが求められます。
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柴田浩幸(しばた・ひろゆき) Twitter ID @HAL_J 。「20歳を過ぎてから英語を学ぼうと決めた人たちへ」の著者。そしてこの英語学習法を導入・実践している語学学校・サウスピーク@セブ島の教育アドバイザー。現在日本とセブ島を行き来しつつ、執筆活動も行っている。
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