「企業のLGBTQ+当事者の従業員への取り組みに関する調査」Indeed Japan 株式会社
求人票にLGBTQ+当事者の従業員に関する制度や福利厚生の内容を記載している企業は20.4%
2023.06.29
Indeed Japan(東京・港、以下Indeed)は6月22日、人事担当者500名を対象に実施した「企業のLGBTQ+当事者の従業員への取り組みに関する調査」の結果を発表した。
調査結果によると、LGBTQ+当事者の従業員を支援する取り組みを実施している企業は25%以下にとどまり、中小企業ではわずか18%だったことが分かった。
また、採用段階での取り組みとして「面接時に差別的な発言はしない」よう取り組んでいる企業は調査依頼最多で40.8%だった一方、求人票にLGBTQ+当事者の従業員に関する制度や福利厚生の内容を記載している企業は20.4%だったことが明らかになった。以下、リリースより。
関連記事:『Indeed Rainbow Voice 2022』開始 6月に仕事や職場に関するLGBTQ+当事者の「声」を届けるライフマガジン『BE』を創刊
- 調査サマリー
-
- 【企業におけるLGBTQ+当事者の従業員を支援する取り組みの実態】取り組んでいる企業は4社に1社に留まり、中小企業※1は2割以下。
- 【企業における取り組み内容(採用段階)】約4割が「面接時に差別的な発言はしない」。一方で、企業サイトや求人票で取り組みを明記している企業はわずか2割程度。
- 【企業における取り組み内容(職場)】トランスジェンダーの従業員に向けた配慮や制度がある企業はわずか2割程度。中小企業では特に取り組みが少ない傾向。
- 【取り組んでいる企業の特徴】取り組み実施企業の7割が「平均勤続年数が長い/伸びている」と回答し、未実施企業の1.5倍。「ダイバーシティが担保されている」割合は未実施企業の約2倍。
- 【取り組みによる変化】「SOGIハラスメントが減少」「従業員の職場環境に対する満足度が上がった」は共に都市圏外の企業で多く、都市圏企業のそれぞれ1.6倍、2.8倍変化を実感。
- 【取り組んでいない理由、障壁】大企業「何からはじめてよいかわからない」、中小企業「LGBTQ+支援に関心のある社員がどれくらいいるかわからない」がそれぞれ最多。
- 【取り組むに当たり企業が必要とすること】「LGBTQ+を知り、理解するための研修」が1位、次いで「具体的な方法が分かる教材」。当事者を理解し、取り組むための具体的な情報を求めている傾向。
- <調査結果まとめ>
- <調査概要>
1.【企業におけるLGBTQ+当事者の従業員を支援する取り組みの実態】取り組んでいる企業は4社に1社に留まり、中小企業※1は2割以下。
- LGBTQ+当事者の従業員を支援する取り組みを行っている企業は全体の24.2%。大企業では約4割(39.0%)に対し、中小企業は半数の2割以下(18.0%)。
- LGBTQ+支援の取り組みは、障害のある従業員や外国籍の従業員などを支援するさまざまなダイバーシティ推進の取り組みの中で最も実施率が低い。
2.【企業における取り組み内容(採用段階)】約4割が「面接時に差別的な発言はしない」。一方で、企業サイトや求人票で取り組みを明記している企業はわずか2割程度。
- 取り組み実施企業のうち、「面接や応募者とのやりとりにおいて、LGBTQ+当事者への差別的な発言をしないようにしている」が40.8%で最多。
- 対外的に取り組みを情報発信している企業は少なく、「企業サイトにLGBTQ+当事者の従業員への取り組みの有無を掲載している」は全体では23.0%。特に中小企業(15.3%)は少なく、大企業(30.6%)の半数に留まる。また、「求人票にLGBTQ+当事者の従業員に関する制度や福利厚生の内容を記載している」はわずか20.4%
3.【企業における取り組み内容(職場)】トランスジェンダーの従業員に向けた配慮や制度がある企業はわずか2割程度。中小企業では特に取り組みが少ない傾向。
- 「トランスジェンダーの従業員への配慮を行っている(本人の望むトイレや更衣室の使用、健康診断における個別対応など)」は22.1%。また「トランスジェンダーの性別移行をサポートする制度がある」は21.0%、特に中小企業(14.9%)では少なく、大企業(27.1%)の6割弱に留まる。
4.【取り組んでいる企業の特徴】取り組み実施企業の7割が「平均勤続年数が長い/伸びている」と回答し、未実施企業の1.5倍。「ダイバーシティが担保されている」割合は未実施企業の約2倍。
- 取り組みを実施している企業の70.1%が「平均勤続年数が長い/伸びている」特徴があると回答。取り組みを実施していない企業(47.5%)の約1.5倍の割合。
- 「ダイバーシティ(多様性)が担保されている」は、取り組み企業は66.2%で、取り組んでいない企業(32.9%)の約2倍
5.【取り組みによる変化】「SOGIハラスメントが減少」「従業員の職場環境に対する満足度が上がった」は共に都市圏外の企業で多く、都市圏企業のそれぞれ1.6倍、2.8倍変化を実感。
- 取り組みによる変化は、「SOGI(性自認・性的指向)ハラスメントが減少した」(全体で27.4%)が最も多く、特に都市圏外(37.5%)は都市圏(一都三県・愛知・大阪・福岡)(22.8%)の1.6倍変化を実感。
- 「従業員の職場環境に対する満足度が上がった」(全体で13.9%)は、都市圏外(25.0%)では、都市圏(8.8%)の2.8倍もの変化を実感
6.【取り組んでいない理由、障壁】大企業「何からはじめてよいかわからない」、中小企業「LGBTQ+支援に関心のある社員がどれくらいいるかわからない」がそれぞれ最多。
- 取り組みを実施していない企業の理由、大企業では「何かしらの取り組みをしたいが、何からはじめてよいかわからない」(27.6%)が最多で中小企業(20.5%)の1.3倍多い。中小企業では「LGBTQ+支援に関心のある社員がどれくらいいるかわからない」が24.8%で最多。
- 都市圏の企業では「人的リソースがない」22.1%、地方企業では「知識や情報が不足している」24.1%が上位
7.【取り組むに当たり企業が必要とすること】「LGBTQ+を知り、理解するための研修」が1位、次いで「具体的な方法が分かる教材」。当事者を理解し、取り組むための具体的な情報を求めている傾向。
- 既に取り組んでいる企業を含む全体では「LGBTQ+について知り、理解するための研修がある」(28.2%)が最多、次いで「何から始めたら良いか具体的な方法が分かる教材などがある」(24.8%)が2位。
- 取り組みを実施していない企業においては、大企業では「経営陣がLGBTQ+について理解を深めることができるイベントやセミナー」(34.5%)が上位で中小企業(18.0%)の1.9倍であり、大企業ではより経営陣の理解が重要と捉えられている傾向。
<調査結果まとめ>
LGBTQ+当事者の従業員の支援に取り組む企業は4分の1以下。実施企業も、情報発信が十分ではない現状あり
LGBTQ+当事者の従業員を支援する取り組み(以下、取り組み)を実施している企業は24.2%に留まることが分かりました。中小企業ではさらに少なくわずか18.0%で、大企業39.0%の半数以下でした。
取り組み内容は、企業サイトや求人情報に取り組みについて記載をしている企業はわずか2割程度と、LGBTQ+当事者が仕事探しや働く上で重要な情報である企業の取り組みを、当事者に届ける情報発信が十分になされていない現状が明らかになりました。
取り組み実施企業は、従業員満足度が高い傾向。特に地方企業においてその傾向が高い
取り組みを実施する企業割合はまだ少ない状況が明らかとなりましたが、取り組んでいる企業においては、企業全体の従業員満足度が高い傾向にあることが明らかとなりました。
取り組みを実施する企業の70.1%が自社の特徴に「平均勤続年数が長い/伸びている」を挙げました。これは取り組みを行っていない企業の約1.5倍にあたります。また、取り組みを実施することによる具体的な変化として、全体では「SOGI(性自認・性的指向)ハラスメントが減少した」(27.4%)が最多となりました。地域による差もみられ、都市圏外の地方企業においては25.0%が「従業員の職場環境に対する満足度が上がった」と回答し、都市圏の企業(8.8%)の2.8倍となりました。
企業が取り組みを行うことにより、ダイバーシティのある企業文化が醸成され、LGBTQ+当事者の従業員だけではなく、従業員全体の働きやすさにもつながっていることが考えられます。特に地方企業においてその変化は顕著であると考えられます。企業において人材不足が課題となる中、従業員の働きやすさや職場への満足度を向上させることは非常に重要です。LGBTQ+当事者の従業員への支援が企業の成長にもつながるという中長期的な視点で取り組むことが大切であると言えます。
Indeedは「We help people get jobs.」をミッションに掲げ、あらゆる人々が公平に自分にあった仕事が得られる社会の実現を目指しています。本調査結果から明らかになったことも踏まえ、「Indeed Rainbow Voice 2023」プロジェクトを通じて、ダイバーシティのある働き方を推進する職場が広がるきっかけをつくり、誰もが自分らしく生き生きと働ける仕事や働き方を見つける手助けをしていきたいと考えています。
<調査概要>
- 調査主体:Indeed Japan株式会社
- 調査対象:全国の20~50代までの会社・団体の経営者・役員、会社員 62,325名、うち人事に携わる人500名(※)
※大企業(従業員規模1,000名以上)、中小企業(同1,000名未満、従業員が1名の企業を除く)、LGBTQ+コミュニティへの支援の取り組みの有無で割付を実施。
※都市圏は一都三県・大阪府・愛知県・福岡県とし、地方企業はそれ以外の都道府県エリアとして調査結果を集計。 - 調査方法:インターネット調査
- 調査期間:2023年4月28日~5月12日
■ より詳細な調査結果を、以下からご覧いただけます。
企業のLGBTQ+当事者の従業員への取り組みに関する調査(2023年6月Indeed調査)
【プレスリリース「『企業のLGBTQ+当事者の従業員への取り組みに関する調査』を実施」より|2023年6月22日・Indeed Japan株式会社】
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■人事が知っておくべきLGBTQ+の採用・雇用Q&A
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