人事の10分読書vol.25『アサーティブ・コミュニケーション』
2023.03.24
@人事が、本の要約サイト「フライヤー」とコラボし、人事のスキルアップにつながる書籍の要約をお届けする連載企画「人事の10分読書」。
第25回は、『アサーティブ・コミュニケーション』(日本経済新聞出版)を紹介する。
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おすすめポイント
「心理的安全性のある組織やチームをめざそう」。それにはもちろん同意だが、実際には、小さなモヤモヤを含めると、職場でのコミュニケーションの悩みは尽きない。建設的な関係性を築くためには、どうしたらいいのか。そんな課題意識をもったときに役立つのが、本書のテーマ「アサーティブ・コミュニケーション」だ。
著者はコミュニケーションの研修・講演歴約30年というキャリアの持ち主だ。本書では、前著『アンガーマネジメント』のエッセンスを絡めながら、相手も自分も大切にした表現方法を教えてくれる。
紹介される事例は、ビジネスの現場で「あるある」と思えるケースばかり。攻撃的な人と対話するとき、理不尽なクレームをいわれたとき、繊細な人に注意を促すときなど、実に多彩だ。要約者は、「あのときは波風を立たせまいと、肝心の点を伝えられていなかった」などと、自身を振り返り、希望が見えてきた。セルフロープレを重ねて場数を踏めば、アサーティブな表現を習得できると、著者は背中を押してくれる。
本書の魅力は、コミュニケーションの方法論だけでなく、その根底にある「人との向き合い方」についても学べる点だ。何より「他者の靴を履く」ことの大切さに気づかせてくれる。アサーティブな表現を習慣化していけば、少しずつ職場の心理的安全性も高まっていくのではないだろうか。新入社員から管理職・役員まで、気持ちのいい人間関係を築きたい方に本書をおすすめしたい。
【松尾美里(ライター詳細)】
著者プロフィール
戸田久実(とだ くみ)
アドット・コミュニケーション株式会社代表取締役、日本アンガーマネジメント協会理事
立教大学文学部卒業後、株式会社服部セイコー(現・セイコーホールディングス株式会社)勤務を経て2008年にアドット・コミュニケーション株式会社を設立。銀行・生保・製薬・通信・総合商社など大手民間企業や官公庁で「伝わるコミュニケーション」をテーマに研修や講演を実施。1on1 のコンサルにも対応し、対象は新入社員から管理職、役員まで幅広い。講師歴は29 年。
『アサーティブ・コミュニケーション』の要点
- 組織の心理的安全性を実現させるうえで、相手も自分も大切にした自己表現である、アサーティブ・コミュニケーションが重要視されている。
- アサーティブな表現ができるようになるには、相手の話を復唱できるくらいに傾聴すること、コミュニケーションのゴールが何であるかを見直すことが有効だ。また、「無意識の思い込み」であるアンコンシャスバイアスに気づくことも重要となる。
アサーティブ・コミュニケーションとは
なぜアサーティブ・コミュニケーションが重要なのか
日本企業では、組織の生産性を上げるために、心理的安全性に注目が集まっている。心理的安全性を実現させるためには、対等な関係性の環境をつくることが大切となる。また、リモートワークで上司と部下との1on1が増えてきた。1on1でも、互いに伝えたいことを対等な目線で伝え合う必要がある。
こうした背景のもとで求められるのが、相手も自分も大切にした自己表現である、アサーティブ・コミュニケーションだ。アサーティブ・コミュニケーションに基づいたマインドやスキルを身につけると、互いの意見が違っていても、「相互尊重」と「相互信頼」をもとに建設的に議論できるようになる。
3つの自己表現
自己表現には3種類ある。1つめは、相手を抑えて自分のことを通す「攻撃的な自己表現」である。自分が優位に立つために相手をコントロールしようとする。例えば、部下や後輩を叱るときに感情的に怒鳴ったり、思い通りにいかないときに八つ当たりをしたりするという具合だ。これでは相手は萎縮し、反発心を抱いてしまう。
2つめは、自分を抑えて相手を立てる「非主張的な自己表現」である。「こんなこといったらどう思われるか気になる」「どうせ私は上手く伝えられない」。こうした思い込みから、伝えたいことを率直に伝えられず、ストレスを溜めてしまう。相手も気を遣ったりイラッとしたりすることも多い。
これらに対し、お互いの主張や立場を大切にするのが、3つめのアサーティブな自己表現である。まずは、自分がどの自己表現をすることが多いのか、客観的に振り返ってみよう。正しい自己認識がカギとなる。
アンガーマネジメントとの関係
人アサーティブの考え方とスキルは、アンガーマネジメントにも必要になる。アンガーマネジメントとは、怒りと上手に付き合うための心理トレーニングのことである。これにより、怒る必要がある際には適切な伝え方ができ、怒る必要のないことには怒らないで済むようになる。
人は怒りを抱くと、本来の目的を見失い、伝えたかったことからずれてしまいがちだ。また、「怒ることはよくない」と思い込んでいる人は、怒りをぐっと抑え込んでしまう。だが、怒りを感じたことを書きだして記録する「アンガーログ」を活用すれば、自分の怒りのパターンが客観視でき、怒りの感情を扱いやすくなる。怒りに振り回されることなく、本来伝えたかったことを明確にする。そうすれば、表現の仕方が変わり、相手への伝わり方も変わっていく。
【必読ポイント!】 アサーティブになるための準備
相手のコントロールや過度な謙遜はNG
アサーティブになるために欠かせないのは、相手と対等な気持ちで向き合うことである。組織の場合は、役職やキャリアの違いといった上下関係が明確な分、この意識がいっそう問われる。
コミュニケーションの際に、心の中でへりくだりすぎると、話の内容は相手に伝わらない。相手からすると、自信がなさそうな様子や諦めている様子の印象の方が勝ってしまうためだ。
反対に、見下すような気持ちも相手に伝わってしまう。もしも「この人は、何をバカなことをいっているのだろう」と思っていたら、言葉にしなくても、相手に威圧感を与えかねない。自分も相手も尊重することは、円滑なコミュニケーションと組織の心理的安全性を実現するうえでも欠かせない。
後輩や部下を叱るとき、上から目線は禁物
上司がポジションパワーを盾にしていると、建設的な議論は生まれない。パワハラ防止法の施行により、どう叱ればいいか悩む管理職は増える一方だ。後輩や部下を叱るときには、上から目線にならないようにしたい。叱る際には、相手の意識と行動を変えてもらうように伝えるのだ。
復唱できるくらいに傾聴する
どう表現したらよいかを学ぶことも大事だが、相手の意見に耳を傾けることに注力してはじめて対話は深まるものだ。
ポイントは、相手の話を復唱できるくらいに傾聴することである。対面でもオンラインでも、傾聴のポイントは共通している。相手に体を向ける、適宜アイコンタクトをとる、適度な相槌を打つなどだ。特に相談にのるときやヒアリングをするときは、相手の話を聞くのが8割、自分の話をするのが2割を目安にするとよい。
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