リクナビNEXT主催・第9回「GOOD ACTION」レポート(後編)
「優しい職場」とは? 「GOOD ACTION アワード」受賞企業・団体、審査員によるトークセッション
2023.03.14
リクルートが運営する『リクナビ NEXT』は3月6日、働く人が主人公になる ACTION を応援するプロジェクト「GOOD ACTION アワード」の表彰式をリクルート GINZA8 ビル(東京・中央)で開催した。
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当日はオンライン中継を結びながら受賞過程の説明や表彰が行われたほか、表彰を受けた企業・団体の代表らと審査員によるトークセッションが行われた。「優しい職場」をテーマにしたセッションの内容を中心にレポートする。
「多様な個」認め、包括できる環境整備を
「優しい職場とは? 自分に合った職場、理想の働き方を考える」とのテーマに沿って展開されたトークセッションでは、受賞企業・団体の代表らが「優しい職場」の定義についてそれぞれの実践を交えつつ語った。
前半では、はじめに株式会社島田電機製作所代表取締役社長の島田正孝さんが発言した。
「私は、熱意を持って働く人を増やすことを自分の中で掲げています。そのためには、上司が部下の良さや持ち味を理解するー業務に関する部分だけでなく、その人そのものを認めるーことが重要だと考えています。それが『優しい職場』につながっていくんじゃないかなと思っています」
続いて、日本郵便株式会社事業共創部グループリーダーの網師本祐季さんが答えた。
「私たちの会社はありがたいことに制度や福利厚生が充実しているのですが、制度を使うのは結局のところ人。周りの人がいかに当事者意識を持ってその人のことを考えて柔軟に対応できるか、そうした積み重ねの多い職場が『優しい職場』ではないでしょうか」
一般社団法人NIMO ALCAMO代表理事の古市邦人さんは、「優しい職場」という言葉が、ともすれば経営側には「わがままを受け入れる」という風に捉えられてしまうと述べた。
「フルパフォーマンスが出せない方はたくさんいるので、上司や組織側が一人ひとりの事情を理解して『こんなルールを作ればこういう事情を抱えている人が支障なく働けるんじゃないか』という姿勢を持つことが大切。誰かが我慢するのではなく、どちらも持続可能なルールメイキングをしていける職場が、経営側にも働く側にも『優しい職場』になり得ると考えます」
株式会社乗富鉄工所取締役副社長の乘冨賢蔵さんは、社内でのエピソードをもとに経験を語った。
「一時、チームごとのダメ出しを共有することで会社全体のレベルアップにつながるのではないかという話が出たのですが、話し合ってみると『ちょっと嫌な気するよね』『プレッシャーが与えられて居心地悪いよね』といった声があがりました。結局、良かったことだけ共有する仕組みを作ったところ、社員たちがすごく前向きに仕事に取り組むようになったので、やっぱり人間の感情にちゃんと向き合うことがとても大事だと実感しました」
発展のための失敗を許容する風土へ
後半ではまず、岡山県備前市職員の同前嘉浩さんが発言。職場の中には安定を求めて公務員になったという職員もおり、それに対して「やる気がないやつ」という評価を下す人が一定数いること、また会社をよくするために新しいことをしようとすると「変わり者」と見られて反対を受けることもあると説明した。
同時に、自身の経験として、新しい挑戦をして失敗すると訓告処分を受けてしまうこともあるとしながら、「挑戦に対する失敗を許してほしいと思いますし、その挑戦があるからこそ新しいものは作っていける」とのべ、それぞれにやりたいことを許容してもらえる職場が「優しい職場」ではないかと話した。
同前さんの話を継ぐ形で、社会福祉法人幸知会職員の早瀬直人さんも意見をのべた。
「チャレンジは難しいものだと思われがちですが、『ちょっと今日体調が悪い』とか『子どもの用事で出社できません』といったことも含めて、伝えることってすべてチャレンジだと考えます。一つでも多くの意見を取り入れて、飲み込むことのできる職場が『優しい職場』だと思います」
緩急のバランスとコミュニケーション
さくら構造株式会社代表取締役の田中真一さんは、自身がもともと怠けがちな性格だとしながら、みんなが優しいとそこに甘えてしまうため、仕事に対する厳しさとのバランスをうまくとる必要があるとした。
「長く働いていると、仕事にフルコミットできる時とできない時が交互に訪れます。僕らは建築士なので実務をやりながら建築士の勉強をしなければいけなかったり、家族ができたら家族との時間を大切にしたかったり、その時のタイミングによって仕事にかけられる時間も変わってきます。変化に応じて、今は優しく働きたい/今は厳しく働こうとうまく切り替えられるといいですね」
最後に株式会社佐藤製作所常務取締役の佐藤修哉さんが答えた。
「具体的なことを言えば、忙しそうな人がいれば声をかけるとか手助けするといったことを全員がやる文化が根づいているのが『優しい職場』かなと思いますし、それを目指してもいます。人に対する優しさがあるチームです。そのために、毎週1回全員で集まって会議をしたり、普段関わらない人どうしがの接点を作ったりと、普段からコミュニケーションの機会を意識的に増やしています」
トークセッションでは、審査員たちも丁寧にリプライを返した。リクナビNEXT編集長の藤井薫さんは次のような言葉で締めくくった。
「『優しい職場』、イキイキする職場というのは、一人ひとりの才能開花をする職場のことだと思います。個々の才能に関心を持って、タイミングよく土を耕したり水をあげたり光や風があるといい花が咲くのではないでしょうか。『優しい職場』の答えは一つではなく、それぞれ違う個人に向き合い、ケースに沿った実践を続けることが大切だ」。(おわり)
※表彰式の様子はこちらで紹介しています。
個を生かす「人的資本経営」のヒントとなる 8 つの取り組みを表彰! 第9回「GOOD ACTION アワード」発表
「第9回 GOODACTIONアワード」について
■主 催:株式会社リクルート 『リクナビ NEXT』
■審査委員:守島基博氏 学習院大学 経済学部経営学科 教授|一橋大学 名誉教授
アキレス美知子氏 SAPジャパン 特別顧問|横浜市参与|三井住友信託銀行 取締役|G20/EMPOWER 日本共同代表
若新雄純氏 慶應義塾大学 特任准教授|株式会社 NEWYOUTH 代表取締役
藤井薫 株式会社リクルート リクナビNEXT編集長
■応募期間:2022年7月4日~2022年8月31日
■審査過程:日本で企業活動を行う企業、団体からの全応募取り組みの中から、書類審査、取材を通じた審査、最終審査を経て選出
■公式サイト:https://next.rikunabi.com/goodaction/
【編集部注】この記事の使用写真はリクルート社提供のものです。
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