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セールス・イネーブルメントの第一人者に聞く


Z世代の新卒営業教育に有効な「新卒イネーブルメント」とは

2023.02.24

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欧米企業の6割以上が導入し、日本でもリクルートや凸版印刷などの大手企業、SaaS業界も取り入れている営業強化法

従来の人材育成の手法や考え方が年々通じなくなってきている中、特にZ世代の人材育成はさらに難しさがあると言われています。そこで@人事が注目したいのが「セールス・イネーブルメント」です。

欧米企業の6割以上が導入し、日本でもリクルートや凸版印刷などの大手企業、ベルフェイスやSmartHRをはじめSaaS業界も取り入れている営業強化法について、日本におけるセールス・イネーブルメントの第一人者・株式会社R-Square & Company代表取締役CEOの山下貴宏氏に話をうかがいました。

基礎情報から人材育成担当者や現場マネジャーが「新卒イネーブルメント」を実践していく際に押さえておきたいポイントなどを紹介します。【取材・執筆・@人事編集部】

プロフィール

山下貴宏(やました・たかひろ)
株式会社R-Square & Company 代表取締役CEO
法政大学社会学部卒業後、日本ヒューレット・パッカードにて法人営業、船井総合研究所を経てマーサージャパンに入社。人事制度設計、組織人材開発のコンサルティングに従事。その後セールスフォース・ドットコム入社。セールス・イネーブルメント本部長としてイネーブルメント部門の規模を4倍に拡張、グローバルトップの営業生産性を実現。2019年同社を退社しセールス・イネーブルメントに特化したスタートアップR-Square & Companyを立ち上げ。大手から中堅企業まで数々の企業のイネーブルメント組織構築に尽力。ATD Sales Enablement Certificationを取得、イネーブルメント分野の日本での第一人者として講演実績も多数。著書に「セールス・イネーブルメント 世界最先端の営業組織の作り方」(かんき出版)、「トップセールスだけに頼らない組織を作る 実践セールス・イネーブルメント ―データを活用した必勝パターンの設計から、育成施策・ナレッジ活用、効果検証まで―」(翔泳社)
株式会社R-Square & Company https://www.r2-company.com/

目次
  1. セールス・イネーブルメントとは。日本で注目され始めたのは
  2. 「新卒イネーブルメント」と構造的な新卒育成の問題
  3. 新卒イネーブルメントを計画する際に大事なゴール設定とスキルマップ
  4. 新卒イネーブルメントが効果的な企業とは
  5. 新卒イネーブルメントを実践していく場合に必要な準備とは
  6. 書籍紹介

セールス・イネーブルメントとは。日本で注目され始めたのは

――基本的な部分ですが、セールス・イネーブルメントとは何でしょうか。

画像:山下貴宏(やました・たかひろ) 株式会社R-Square & Company 代表取締役CEO

山下貴宏氏(以下、山下氏):「人の成長を通じた持続的な営業成果創出の仕組み」と捉えていただくとよいと思います。まず前提として、営業組織には成果を最大化させるという目的がありますが、そのために無限に人を増やせるわけではありません。だから限られた人数で生産性を上げていかなければならない。しかし、トレーニングやOJTなど旧来の育成方法では、思うように生産性が上がらないといった声を多く聞くようになりました。
そこで、データを活用しながら真に人の成長や成果創出につながるプログラムやツールを提供しつづけられる仕組みであるイネーブルメントが注目を集め、今までの育成にはない新しい取り組みとしてさまざまな企業で受け入れられるようになってきたのだと思います。

画像:セールスイネーブルメントとは(株式会社R-Square & Company提供)

さらに、近年イネーブルメントの導入が加速している背景には、2つの大きな変化があると考えられます。1つはビジネス環境の変化です。競争の激化により、顧客に自社ならではの価値を示すことがより求められるようになった一方、コロナ禍で、今まで対面コミュニケーションで実現できていた顧客との信頼関係構築が難しくなりました。
もう1つは顧客の意思決定プロセスの変化です。何かものを購入したり多額の投資をする際の意思決定の手法がデジタルシフトしてきている中、顧客は営業担当と直接会って話を聞かなくても情報を自分で取得できるようになりました。

このような状況下、「営業スタイルを変えなければならない」と考える営業組織が増え、イネーブルメントというアプローチへの期待がより高まってきたという認識です。導入企業も増えてきていて、定量的な成果も出はじめています。そこで、他社の成功事例を参考にして「今まで営業組織に対して体系的な育成施策や人材活用の取り組みをやってこなかったけれど、ちゃんと成果に至るなら自分たちも取り入れてみようかな」という現象が起こりつつあると捉えています。

こうした流れを受けて、日本では近年イネーブルメントに取り組む企業が増えつつありますが、海外は5年ほど先をいっています。米国に本社を置く営業コンサルティング&トレーニングカンパニー・ミラーハイマングループの調査機関CSO Insightのデータ※によると、調査対象のグローバルカンパニーの内、イネーブルメントの導入率は2013年ごろ2割に満たないぐらいでしたが、直近では6割ぐらいの企業が単発のプロジェクトではなく組織としてイネーブルメントに取り組んでいることを報告しています。
取り入れた企業は実際に成果も出ていて、イネーブルメントを導入していない企業と比べると、営業の予算達成率が10ポイントほど違うというデータもあります。
※「CSO-Insights-5th-Annual-Sales-Enablement-Study」

――海外ではいつ頃からイネーブルメントが注目されはじめたのですか?

山下氏:2015年頃からイネーブルメントという言葉が出てくるようになりました。イネーブルメントのツールを提供する代表的なベンダーもこの頃に設立されています。イネーブルメントチームを専門で持つ企業の割合の推移を見ても、2015年以降に徐々に増えてきています。
前職のセールスフォース・ドットコムでは、海外のトレンドを受けて2017年頃にセールスプロダクティビティの部門名がセールス・イネーブルメントに変わりました。
海外では、イネーブルメントに取り組む企業が増えると同時に「イネーブルメント」に関連するジョブタイトルを持った人たちも増加しています。LinkedInのサイトを見ると、2016年頃は3,000人ほどしかいませんでしたが、最近はもっと多いことが分かります。この職種に就く人の給与も大体1,000万円超えで、比較的高い水準です。

今後もイネーブルメントに取り組む企業とそれをリードする人が増え、イネーブルメント市場はさらなる盛り上がりを見せると思います。

「新卒イネーブルメント」と構造的な新卒育成の問題

――新たに「新卒イネーブルメント」も注目され始めているとお聞きします。

山下氏:イネーブルメントは、中途社員の早期立ち上げや既存社員の底上げ、先ほど述べた営業スタイル変革が求められている組織が取り組むケースが多いですが、新卒育成にも有効です。新卒育成というと、一般的には人事部門での初期インプットが中心で、各部署への配属後は現場任せとなってしまう状況が多いのではないでしょうか。社会人としての基礎的な部分については人事部門が研修を実施して教えるものの、これだけでは実践できないので、習うより慣れろという形で現場OJTを実施する。手厚いところですと、一定期間を経てフォローアップ研修を提供する。しかし現場によって受け入れ体制が異なることや、誰の下につくかによって育成の仕方も違うので、当然ながら新卒の成長度合いにもバラつきが出てしまいます。
そこで、新卒がより早く確実に立ち上がって戦力化し、会社の成果に貢献できるようになるための取り組みとして新卒イネーブルメントがあるのです。

――日本の多くの企業が新卒採用・育成に注力しているものの、育成と成果とを結びつける仕組みができてない点が課題として言われ続けてきました。

山下氏:おっしゃる通りだと思います。トレーニング後の「成果までのつなぎ」が体系化されていない。これは新卒に限ったことではなく、中途社員も既存社員も成果は自分で何とかしなければならないといったケースが多いです。イネーブルメントはまさに、ここを仕組み化して成果と育成をしっかりとつなぐことをコンセプトにしています。

画像:営業「成果」と「育成」をつなぐ基本フレーム(株式会社R-Square & Company提供)

成果と育成をつなぐためには、最終的な目的である「成果が何なのか」を定めることが重要です。これは新卒イネーブルメントにも当てはまります。新卒育成というと、「こういう知識やスキルを身に付けさせよう」は考えられているものの、その結果どういった成果を新卒に求めるのかが定まっていないケースは意外とあると思います。成果を明確にしてから、一気通貫で必要な行動やスキル・知識を設計することが必要です。

画像:温ボーディングプログラム構築の進め方(株式会社R-Square & Company提供)

例として、弊社がお客様の新卒イネーブルメントを支援する際の「Plan」~「See」の流れをご紹介します。

「Plan」ではゴール設定とスキルマップの整理の2つを行います。ゴール設定では、何をもって新卒が立ち上がったと言えるのか、何ができるようになったら初期教育として成功なのかを、現場とすり合わせて作る必要があります。そしてそのゴールを達成するために必要な行動、スキル・知識は何なのか言語化し、「スキルマップ」で体系的に整理します。
「Plan」ができたら「Do」でスキルマップに対応したトレーニング内容を検討して実施します。より実践力を養うためには、トレーニング後のコーチングが大変有効です。コーチングは営業・マネジャー・育成担当の誰がやってもいいと思いますが、ちゃんとフォローする仕組みが必要ということです。
最後に「See」で、新卒が実際に立ち上がったかどうかをデータで検証する。このステップがあることで、新卒の育成は本当に効果があったのかどうか定量的に確認できるようになります。

新卒育成というとどうしても「Do」がスポットライトを浴びて、トレーニングの開発・提供から入るケースが多いです。また、「Plan」のスキルマップの整理は着手していても、最初のゴール設定がおろそかになっていてスキルマップを活用しきれていないこともあります。これではトレーニング後に新卒がどうなったのか、そもそもなぜトレーニングを行ったのかさえも見えなくなってしまいます。
だからこそゴール設定やデータ検証を、イネーブルメントでは重要視しているのです。

――「Do」が目的化してしまっているケースはあると思います。「See」についても、トレーニングの振り返りをやっていたとしても、携わった人の印象のような、あくまで定性的な感想で終わる。フィードバックを受ける新卒側としても、自分の成長具合が携わった人の感想でしか分からない。新卒を育てる仕組みに結びつきにくいことを、実は行ってしまっていると認識できました。

山下氏:組織の構造的な問題として育成担当側、多くは人事部門だと思いますが、現場のデータを閲覧できない、読み解けないという状況から距離が生まれてしまうことはあると思います。真に効果のある育成施策を提供していくために、人事部門と現場の距離を縮めることが新卒イネーブルメントの本質的なテーマだと思います。

新卒イネーブルメントを計画する際に大事なゴール設定とスキルマップ

――「ゴール設定」と「スキルマップ」についてもう少し詳しく解説していただけますか。

画像:ゴール設定例(株式会社R-Square & Company提供)

山下氏:新卒育成のプログラムは、ゴール設定の内容によって変わります。例1のように配属後3ヶ月時点で単独の営業活動で初受注することを求めるのか、例2のように配属後半年以内にパイプラインの案件を3,000万円作ることを求めるのか、例3のように配属後3ヶ月以内で100件のアポを取ってくればよしとするのか。いずれも実務性が求められるので、トレーニングもそれぞれのゴールに合った実践的な内容にする必要がありますが、いずれにせよトレーニングをやっておしまいではなく、KPIの設定と進捗管理がとても重要です。そうしないと「プログラムのサーベイ結果が5段階で4だったので、トレーニングは成功と言えます」「本当ですか」というような状況が発生してしまうでしょう。

何のために育成が存在するのかをしっかりと突き詰めることが、新卒イネーブルメントにおいても求められます。

画像:スキルマップとは(株式会社R-Square & Company提供)

スキルマップに関していうと、優れた成果を創出する個人の能力・行動特性を活用するコンピテンシーと比較されることがありますが、コンピテンシーは少し抽象度が高いため、スキルマップではより実務に落としこんだ設計にする必要があると考えています。

例えば、私たちがお客様をご支援する中で提案しているのは「フェーズ」「Key Action」「スキル・知識」の3階層での考え方です。「フェーズ」は、要するに業務の流れです。(上記の)ここでは営業フェーズの例をご紹介しています。「Key Action」は業務の流れを前進させるために鍵となる行動のことです。「スキル・知識」は、鍵となる行動をとるために必要なスキルや知識をまとめたものです。

新卒イネーブルメントでは、このスキルマップの新卒版を作るイメージです。新卒が配属された先での業務の流れを想定して、どのような行動をしてほしいか、どのようなスキルや知識を身につけてほしいかを考える。これを基にして、トレーニングやコーチングにつなげていく設計にします。
新卒目線で見ても、スキルマップによって「こういったことができるようになればいいんだ」と全体感を理解できるのは安心ではないかと思います。

スキルマップは目指すゴールによって変わるため、網羅的に作る必要はありません。例えば、受注をゴールにするなら受注までのスキルマップ、アポ獲得がゴールであればアポ獲得までのスキルマップを作成するなど、求められる役割に応じて作成することを推奨します。。

新卒イネーブルメントが効果的な企業とは

――企業によっては人事担当者が現場の育成方針にまで踏み込めず、営業部門長や育成担当者に配属後の育成計画を一任してしまうケースがあります。しかし、イネーブルメントを理解して一緒に育成をやっていくとなると、良い意味で営業と人事が巻き込まれる仕組みができていくのではと思いました。

画像:山下貴宏(やました・たかひろ) 株式会社R-Square & Company 代表取締役CEO

山下氏:新卒イネーブルメントがより効果を発揮しやすいケースは、新卒の即戦力化が求められている場合です。会社として成果に直結した形で早く立ち上がってほしいという狙いがあるなら、それ相応の準備と設計が必要になるため、イネーブルメントに取り組む価値はすごくあると思います。

画像:トレーニングプログラム例(株式会社R-Square & Company提供)

これはトレーニングプログラムの組み立て方の例になります。プログラムの内容は全社共通、部門固有、理解度・実践レベルの確認で構成されています。

全社共通のプログラムについては、多くの企業が取り組んでいると思いますが、そこで一旦終わるケースが多いです。イネーブルメントは実務ですぐ活躍できることを目指すため、営業実務やファンダメンタルな部分についてもう一歩踏み込んで丁寧に教えるステップが必要になります。そして最後に、習ったことをアウトプットさせてみて本当に理解しているのか、現場でちゃんと動けるようになるのかを多角的に確認する。こういったプログラム構成が例として考えられます。

――普段から営業・人事間の連携があまり取れていない企業の場合、人事担当者が営業のことを理解するところから始めなければいけないので、実践するには少し時間が必要です。

山下氏:基礎的な全職種共通のプログラムについては人事部門が得意とするところかと思いますが、現場が欲しい人材や即戦力人材を想定すると、部門固有のプログラムや理解度・実践レベルの確認までとなると、当然ながら現場の協力がないと難しいですよね。現場の実務経験者の協力を得て進めたり、経験者を人事部門に配置したりするなどもおすすめです。現場からしても、マネジメントのキャリアパスにつながったりするいい循環が生まれるのではないでしょうか。

画像:人事とイネーブルメントによる育成の違い(株式会社R-Square & Company提供)

本格的にイネーブルメントをするとなれば、人事部門、現場、イネーブルメント部門がリードする育成の棲み分けもしなければなりません。
会社によっては、新卒育成が全社共通のプログラムに留まらず、部門固有の育成テーマとなるケースも当然あるので、棲み分けについては関係各所で議論が必要です。
各部門がバッティングするわけではなく、あくまで役割分担の話になるので、育成課題の固有性によっては一緒に協業していくことももちろんあります。

新卒イネーブルメントを実践していく場合に必要な準備とは

――新卒イネーブルメントを実践していくためには、どのような準備が必要でしょうか。

山下氏:今後、実践していく場合の検討事項は「ゴール」「道」「進め方」「リード」の4つがあります。4つの観点で新卒イネーブルメントが自社にフィットするかどうかを一度議論いただくと良いと思います。

画像:新たに新卒イネーブルメントを自社で実践していく場合の検討事項(株式会社R-Square & Company提供)

「ゴール」については、自社にとって新卒育成ゴールが何なのかを定量・定性・期間の観点から明確にします。「道」は、どのようなプロセスを経てゴールまで行くのかということです。どういう流れでゴールまでたどり着くのかを示す「育成ジャーニー」や、ゴールに行くにあたってどのような育成コンテンツをどのタイミングで提供できればいいかを示す「育成プログラム」を構想します。「進め方」についてのポイントとして、人事部門だけで動かないということがあります。関連部門を巻き込んで「全体で進めていきましょう」という認知の醸成が必要です。

「リード」については、誰が牽引するかによってイネーブルメント全体がスムーズに動くかどうかが左右されるため、とても重要です。「確かにこのアプローチって重要ですよね」というマインドを持ってもらえるメンバーをアサインできるかどうかがポイントです。
マインドが持てていないと、トレーニングの調整役という動きに留まってしまい、イネーブルメントが進まなくなる可能性があります。

――ずばり、新卒イネーブルメントを成功させるために、人事担当者がこれだけは押さえておきたいポイントをご紹介いただきたいです。

山下氏:これまでお伝えしてきたように、ゴール設計と効果検証は非常に重要ですが、加えてZ世代を対象とするのであれば、その特性も押さえてプログラムを設計してもいいかもしれません。もちろん人それぞれではありますが、Z世代の特性を表すキーワードとして、やりがい・貢献・成長実感・専門性・デジタルなどがあると言われていて、実際に新卒育成の実務に携わっていた方やお客様のご経験などをお伺いしていても、Z世代の不安要素として、
・自分は本当に成長できるのか
・どうしたらすぐに活躍できるのか
・自分は順調に成長できているのか
の3つがあるように思います。

画像:新卒イネーブルメントを成功させるために(株式会社R-Square & Company提供)

「自分は本当に成長できるのか」に対しては、成長の定義や成長によって会社の成果にどうつながるのかを新卒目線で明示することが重要です(Plan)。
「どうしたらすぐに活躍できるのか」に対しては、成長の時間軸を示したり実務理解につながる多角的プログラムを用意したりして全体と具体とを理解できるコンテンツを提供することがポイントです(Do)。
「自分は順調に成長できているのか」については、成長の進捗を可視化してあげる。そして、定量と定性の両側面からフィードバックができると、効果的な育成基盤ができると思います。例えば、スキルマップをもとに5段階で評価できるようにしてあげて、「今ここはできているけど、ここはもう少しこういったことを頑張ろう」と示せると良いのではないでしょうか(See)。

――人事部門が社内でイネーブルメント組織を立ち上げ、マネジメントなどで関わるとしたら、何から始めたら良いでしょうか。

山下氏:まずは、営業部門や営業企画部門から人事部門に人材を配置してもらうことではないでしょうか。人事部門の方が現場視点を経験で得ようとすると相当な時間がかかってしまいますので、人事部門が作る育成プログラムに営業現場やビジネス部門の知見を組み合わせて一緒に作っていくのがいいでしょう。

――営業部門に手伝ってもらうのではなくて、もう完全に入ってもらうところがポイントなんですね。

山下氏:はい。イネーブルメントをやろうとすると、人事だけの話ではなく現場やマネジメント、役員層を巻き込む必要が出てきます。ファーストステップとして人事で試行錯誤しながらかたちにしていかざるを得ないこともあると思いますが、組織的に取り組むとなった場合には意思決定層のコミットメントや現場の理解がやはり必要ですね。

――ありがとうございました。

【おわり】

※記事内の画像は株式会社R-Square & Companyより提供されたものです。
※この記事は2022年7月28日の取材内容に、2023年1月末時点の最新情報を加えて構成しています。

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書籍紹介『トップセールスだけに頼らない組織を作る 実践セールス・イネーブルメント~データを活用した必勝パターンの設計から、育成施策・ナレッジ活用、効果検証まで~』著・山下貴宏

書影画像:『トップセールスだけに頼らない組織を作る 実践セールス・イネーブルメント ーデータを活用した必勝パターンの設計から、育成施策・ナレッジ活用、効果検証までー』(山下貴宏/著)【翔泳社】

セールスイネーブルメントとは「人の成長を通じた持続的な営業成果創出の仕組み」のことを指し、営業組織開発や制度設計、育成やツール活用などの要素が有機的に機能することで、「人の行動」を変え、「継続的な成果」の創出につなげていくことに特徴があります。そのコアとなるのが、達成したい営業成果を起点に、必要な行動や習得すべき知識・スキルを逆算して育成施策へ落とし込み、成果に至ったかを検証する「成果起点の人材育成」です。不確実性の時代、変化に対応し成果を創出しつづける営業組織を開発する役割として近年注目を集め、多くの企業で導入されています。

R-Square & Company社は2019年の創業当初より、日本初のセールスイネーブルメント特化企業として数々の企業のコンサルティングサービスを手掛けると同時に、イネーブルメント支援の知見を活かし、セールスイネーブルメントツール「Enablement App」を開発、2021年1月に本格提供を開始しています。昨今、「イネーブルメントの概念は理解したが具体的な進め方がわからない」「実際に自社でイネーブルメントに着手してみたが推進が難しい」という声を一層頂くようになり、営業組織・人材の成長に課題を感じている企業の一助となるべく、この度本書を出版するに至りました。

本書では、セールスイネーブルメントの基本はもちろんのこと、イネーブルメント組織の立ち上げ方や運用方法、人材確保についても解説しながら、「トップ営業にのみ依存せず、営業組織全体で継続的に目標を達成しつづけるための仕組み作り」のノウハウを具体的にお伝えします。

さらに、本書にはセールスイネーブルメントにいち早く着手し、実際に成果を上げている企業4社の事例を掲載し、各社が何に苦労し、どのような工夫をしてイネーブルメントを推進してきたのか、その結果どのような成果につながったのかもご紹介しています。

営業組織変革を推進しようとしている「リーダー層」の方、成果が見えないこれまでの育成のあり方を変え、チーム全体で成果を出せる組織を作りたいと考えている「マネージャー層」の方、そして環境変化に負けない強い営業組織・人材開発に取り組まれているすべての方に是非手に取っていただきたい、“セールスイネーブルメント実践書”です。

書籍情報

書名:『トップセールスだけに頼らない組織を作る 実践セールス・イネーブルメント ーデータを活用した必勝パターンの設計から、育成施策・ナレッジ活用、効果検証までー』
定価:1,800円+税
仕様: A5・240ページ
ISBN:9784798178134
発売日: 2022年12月12日
翔泳社:https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798178134
Amazon: https://bit.ly/3kRDWe9

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