人事の10分読書vol.24『自分のスキルをアップデートし続けるリスキリング』
2023.02.20
@人事が、本の要約サイト「フライヤー」とコラボし、人事のスキルアップにつながる書籍の要約をお届けする連載企画「人事の10分読書」。
第24回は、『自分のスキルをアップデートし続けるリスキリング』(日本能率協会マネジメントセンター)を紹介する。
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おすすめポイント
『ライフ・シフト』が世界的なベストセラーとなり、リカレント教育が注目を集めるようになった。リカレントは「働く→学ぶ→働く→学ぶ」のサイクルを続け、新しいことを学ぶために職を離れるような「学び直し」を意味する教育手法である。
対して本書が扱うリスキリングは、背景も目的も切実だ。いまと異なる業務を行うために必要な新しいスキルを獲得するリスキリングは、テクノロジーが人間の労働を代替する「技術的失業」という社会問題の解決策として注目されている。そのためリスキリングは、新しい職業に就くことを目的とし、職業に直結するスキル習得を目指す。学習する分野は主にデジタル分野だ。
「テクノロジーの急激な進化で、人間の仕事が機械やアルゴリズムに代替される」といわれても、日本で働く多くの人はその実感をもてないのではないだろうか。「現状維持でいい」と思うかもしれない。
しかし、本書で紹介される世界のリスキリングの動向と事例を読むと、リスキリングの重要性や変化のマインドセットがいかに大切なのかを実感できる。1人でも多くの人がリスキリングの一歩を踏み出せば、より生き生きと働く人が増え、企業や社会の発展につながっていく。リスキリングの「いまと未来」を知りたい方に迷わずおすすめしたい一冊だ。
【Keisuke Yasuda(ライター詳細)】
著者プロフィール
後藤宗明(ごとう むねあき)
一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ 代表理事
SkyHive Technologies 日本代表
早稲田大学政治経済学部卒業後、1995年に富士銀行(現みずほ銀行)入行。営業、マーケティング、教育研修事業を担当。2001年ニューヨークへ移住直後の9月11日、ワールドトレードセンターへの飛行機の衝突と崩壊を肉眼で目撃し、翌日からグラウンドゼロの救済ボランティアに参加。2002年、グローバル人材育成を行うスタートアップをNYにて起業、卒業生約2000名を輩出。2008年に帰国し、米国の社会起業家支援NPOアショカの日本法人を2011年に設立後、米国フィンテック企業の日本法人代表、通信ベンチャーの国際部門取締役を経て、アクセンチュアにて人事領域のDXと採用戦略を担当。2019年AIスタートアップのABEJAにて事業開発、AI研修の企画運営、シリコンバレー拠点を設立。2020年、10年かけて自らを「リスキリング」した経験を基に、リクルートワークス研究所にて「リスキリング~デジタル時代の人材戦略~」「リスキリングする組織」を共同執筆。2021年、日本初のリスキリングに特化した非営利団体、一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブを設立。2022年、AIを利用してスキル可視化を可能にするリスキリングプラットフォーム、SkyHive Technologiesの日本代表に就任。
石川県加賀市「デジタルカレッジKAGA」理事、広島県「リスキリング推進検討協議会/分科会」委員、経済産業省「スキル標準化調査委員会」委員、リクルートワークス研究所 客員研究員を歴任。政府、自治体向けの政策提言および企業向けのリスキリング導入支援を行う。著書は本書が初めてになる。
『自分のスキルをアップデートし続けるリスキリング』の要点
- リスキリングとは、「新しいことを学び、新しいスキルを身につけ実践し、そして新しい業務や職業に就くこと」を意味する。技術的失業で仕事を失う前に、成長産業で必要なスキルを身につけることが重要視され、リスキリングが注目を浴びている。
- リスキリングの10ステップは次のプロセスから成る。現状把握→マインドセットづくり→デジタルリテラシーの向上→キャリアプランニング→情報収集の仕組みづくり→学習開始→デジタルツールの活用→アウトプットに挑戦→学習履歴とスキル証明→新しいキャリア、仕事の選択。
- これからはスキルベース採用が進む。AIを活用した自身のスキル発掘とスキルの類似性によるスムーズな配置転換がカギとなる。
なぜ、いまリスキリングなのか
技術的失業で仕事を失う前に
リスキリングとは、「新しいことを学び、新しいスキルを身につけ実践し、そして新しい業務や職業に就くこと」を意味する。海外ではデジタル化が進む中で技術的失業を未然に防ぎ、労働移動を実現するための解決策として、リスキリングが注目されてきた。技術的失業とは、テクノロジーの導入によりオートメーション化が加速し、人間の雇用が失われる社会的課題だ。技術的失業の最大の原因は、労働者のスキルギャップにある。
リスキリングで中心的な役割を果たす世界経済フォーラムは、2020年10月に次のような発表をした。今後5年間で、人間、機械、アルゴリズムの労働分担が進むことによって、8500万件の雇用が消失し、9700万件の新たな雇用が創出されるという。
雇用のなくなる仕事に就いている人々は、大きなスキルギャップが生じているため、そのまますぐに新しく生まれた仕事に就けるわけではない。多くの労働者が技術的失業によって仕事を失う前に、成長産業で必要なスキルを新たに身につけるリスキリングが重要になっているのだ。
世界経済フォーラムの予測
世界経済フォーラムは、技術的失業に対する解決策としてReskilling Revolution Platformというプロジェクトを開始した。そこでは「2030年までに全世界で10億人をリスキリングする」という宣言が採択された。先述したレポートでは、次のような予測をしている。
- 2025年までに企業は6%の人員削減が必要
- 従業員の2人に1人はリスキリングが必要(主にデジタルスキル転換)
- 上記に該当しない半分の従業員も、自分が持つ40%のスキルを変化する労働市場に適応させることが必要
- 雇用主は2025年までに従業員の70%以上にリスキリングを実施
2022年1月には途中経過として、全世界で1億人のリスキリングを完了したと発表があった。今後も各国でリスキリングの取り組みがますます積極的におこなわれるだろう。
どのようにリスキリングするか
「リスキリング」というスキル
先を見通せない時代において、働き続けるための最重要スキルは、自身をリスキリングするスキルだ。
リスキリングに必要なスキルには、ハードスキルとソフトスキルがある。ハードスキルは、AIのコーディング、外国語など評価基準が明確なスキルだ。一方、ソフトスキルはコミュニケーション能力などの定性的なスキルである。
自分をリスキリングするというスキルはソフトスキルにあたり、どのようなハードスキルを身につけるかをコントロールするうえで大前提のスキルとなる。
まず重要なのが「アンラーニング(学習棄却)」だ。現状を変えたくないという執着や、過剰なプライドやノスタルジーから距離を置けるように、自分の気持ちに向きあいながら丁寧にアンラーニングを進めていく。
次は「適応力」の強化と、未来予測と人生計画をする「プランニング」のスキルが求められる。こうしたスキルを個人が身につけることで、キャリアプランを組織任せにせずにいられる。さらには、意志に基づいたリスキリングにより、必要なハードスキルを計画的に身につけられるのだ。
【必読ポイント!】 リスキリングの実践方法
リスキリングを実践する10のプロセス
ここからは個人がリスキリングを実践する際の10のプロセスを紹介する。
(1)現状評価
自身の現状を評価し、リスキリング開始前の気持ちや状態を冷静に把握する。
(2)マインドセットづくり
リスキリングに取り組む中でぶつかる出来事に対する気持ちの持ち方を知る。
(3)デジタルリテラシーの向上
デジタル分野の専門用語に慣れ、デジタル技術を使って何ができるのかを理解し、自分の強み×デジタルのアイディアを具体的に考える。
(4)キャリアプランニング
ストラテジックパートナーシップマネージャー、カスタマーサクセスなどの新しい職業を理解し、どんな新しい仕事に就けるかキャリアパスを描く。
(5)情報収集の仕組みづくり
継続的な学習を支えるため、Googleアプリのレコメンデーション機能などを利用する。
(6)学習開始
オンライン学習講座やアプレンティスシップ制度などでリスキリング学習を始める。
(7)デジタルツールの活用
新しいツールやソフトウェアを使ってみる習慣をつける。サービスのアップデートで使い方が頻繁に変わることに臨機応変に対応できるようになる。
(8)アウトプットに挑戦
自分の学びを忘れないよう、朝礼や社内勉強会での発表などを通じて、自分が何者なのかを示し、周囲からチャンスをもらえる関係をつくる。
(9)学習履歴とスキル証明
Mozillaが開発したオープンバッジというデジタル証明などを利用して、学習履歴と保有スキルを積極的に証明する。
(10)新しいキャリア、仕事の選択
社内の配置換えや社外経験でスキルを実践する機会をつかみ、転職やフリーランスに挑戦して満足のいくキャリアパスを歩む。
要約では(2)マインドセットづくりと(6)学習開始のプロセスについて詳しく解説する。
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