人事の10分読書vol.22『人的資本の活かしかた』
2022.12.20
組織を変えるリーダーの教科書
@人事が、本の要約サイト「フライヤー」とコラボし、人事のスキルアップにつながる書籍の要約をお届けする連載企画「人事の10分読書」。
第22回は、『人的資本の活かしかた-組織を変えるリーダーの教科書-』(アスコム)を紹介する。
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おすすめポイント
人事の世界には、次から次へと新しい潮流が押し寄せている。たとえばジョブ型採用、1on1などだ。いずれも意義のある取り組みだが、現場の管理職(リーダー)や人事担当者はそれをどう現場で機能させようかと奮闘しているのではないだろうか。
管理職の最大のタスクは、業績目標の達成である。同時にメンバーの育成も担わなければならない。コンプライアンスにも気を配りつつ、リモートワークでコミュニケーションの制約がありながらも成果を出さなければならない。
本書の目的は、そうした現場の管理職がマインドを転換し、チームとして成果をあげることを後押しすることにある。そのキーワードが「人的資本の最大化」だ。世界の名だたる企業は確実に「人的資本経営」へと舵を切っていく。人的資本に関する数値の見える化が加速しており、企業はイノベーションの源泉として、人にどれだけ投資しているかが問われている。
人的資本時代はリーダーの役割が変わる。与えられた人材(資源)を効率よく使う「やりくり型」組織から、組織の枠を越えて人材(資本)により利益を生み出す「レバレッジ型」組織への転換を促すものだ。では人的資本を活かしているチームとはどのようなものか? リーダーはどんなことを意識し、どんな能力を磨いていけばいいのか? 調整役の中間管理職から、価値を生み出すリーダーへと変化したい方におすすめの一冊だ。
【しいたに(ライター詳細)】
著者プロフィール
上林周平(かんばやし しゅうへい)
株式会社NEWONE 代表取締役社長
大阪大学人間科学部卒業。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。2002年、株式会社シェイク入社。企業研修事業の立ち上げ、商品開発責任者としてプログラム開発に従事。新人から経営層までファシリテーターを実施。 2015年、代表取締役に就任。
2017年9月、これからの働き方をリードすることを目的に、エンゲージメント向上を支援する株式会社NEWONEを設立。
米国CCE.Inc.認定キャリアカウンセラー。
田中研之輔(たなか けんのすけ)
法政大学キャリアデザイン学部教授/一般社団法人プロティアン・キャリア協会代表理事
UC. Berkeley元客員研究員。University of Melbourne元客員研究員。日本学術振興会特別研究員SPD。東京大学博士:社会学。一橋大学大学院社学研究科博士課程修了。専門はキャリア論、組織論。社外取締役・社外顧問を33社歴任。個人投資家。著書28冊。『プロティアン』(日経BP)、『ビジトレ』(金子書房)、新刊『今すぐ転職を考えていない人のための キャリア戦略』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、最新刊『Career Workout』(日経BP)。「日経ビジネス」、「日経STYLE」他メディアでの連載多数。プログラム開発・新規事業開発を得意とする。ソフトバンクアカデミア外部一期生。専門社会調査士。
『人的資本の活かしかた』の要点
- 人的資本経営は、個人の能力に具体的にフォーカスしつつ、チームとして結果を出すことをめざす。成功の鍵を握るのは、現場のリーダーであるTMO(チーム経営責任者)だ。
- TMOに求められる能力は7種類ある。具体的には、「キャリア支援力」「強み発見力」「仕事アサイン力」「チームビルディング力」「人材獲得力」「オンボーディング力」「全体俯瞰力」に分類できる。本書ではこれらを発揮するためのスキルを紹介している。
なぜ、いま人的資本経営なのか
人的資本とは何か
企業の価値を生み出すものが、工場や設備などの有形資産から、人材や知財といった無形資産に急速にシフトしている。その源泉は人的資本だ。人的資本とは、働く一人ひとりが持つ特性や能力のことである。
いま「人的資本経営」に注目が集まる背景は何だろうか。まず投資家は、人的資本に投資しない企業を「未来のない企業」とみなすようになっている。また、働く個人は、仕事の意義を見出せない企業や、自己成長や社会貢献から背を向けた企業から容易に流出するようになった。
さらに、企業の事業戦略においてはイノベーションが重視され、それを実現するのは人であるという認識が広まった。社会もまた、人の多様性を尊重しない企業を見放すようになっていった。これにより、人的資本経営にますますスポットライトがあたるようになっている。
人的資本経営のポイント
人的資本経営には3つのポイントがある。
1つ目のポイントは、「個人の能力に具体的にフォーカスする」ことだ。営業職を例にとると、アポイントをとるのが得意なのか、資料作成が上手いのか、あるいは高確率でクロージングできるのかというように、個々人の能力を具体的に分解していく。
2つ目のポイントは、こうした個々の能力を組み合わせて「チームとして結果を出す」ことである。従来のマネジメントが適材適所をめざしていたとすれば、今後めざすべきは、よりきめの細かな「適能適所」だ。
そして3つ目のポイントは、現場のリーダーが理論と戦略をチームに落とし込むことである。人的資本経営の成功の鍵を握るのは、現場のリーダーである。
これからは、与えられた人材(資源)を効率よく使う「やりくり型」組織から、組織の枠を越えて人材(資本)により利益を生み出す「レバレッジ型」組織への転換が重要となる。これらを踏まえて、本書の目的は、現場の管理職(リーダー)が、人的資本の最大化に向けて、チームとして成果をあげられるように促すことである。
【必読ポイント!】 人的資本時代のあるべきリーダーとは?
チーム経営責任者
著者は、これからの時代の管理職(リーダー)を、「チーム経営責任者」すなわち「TMO(Team Management Officer)」と呼ぶ。そもそもマネジメントとは、「管理」ではなく「経営」を指す言葉である。
TMOがめざすのは、大きく次の3つである。第一は、チームに与えられた業務目標を達成すること。第二は、メンバーの成長をサポートすること。そして第三は、チームを常に変革していくことである。
以前から管理職には、目の前の業績の追求と、メンバーの育成の両方が求められていた。とはいえ、人材育成はすぐ結果が出るものではなく、管理職にとって直接的なメリットを感じにくかった。
しかし、2018年12月に国際標準化機構(ISO)が発表した「人的資本に関する情報開示のガイドライン(ISO30414)」以来、風向きは大きく変わってきた。そこでは、自社の人的資本に関する指針として11の領域と58の指標が示されている。これにより、人的資本に関する数値の見える化が加速しつつある。こうした環境においては、メンバーの成長に寄り添い、やる気を引き出すことと、チームのパフォーマンスを上げて業績を上げることとのつながりが、ますます強くなっている。
人的資本の最大化
TMOの役割は「人的資本の最大化」である。これは、メンバー一人ひとりの能力が最大限発揮されている状態を意味している。
「いま自分のポテンシャルの何%くらい発揮できているか?」と尋ねるとしよう。多くの人は50%、あるいは70%などと答える。100%と答える人は稀だ。その要因は、チームの雰囲気が悪いといった外的なもの、モチベーションが上がらないといった内的なものなど、さまざまなものがあるだろう。人的資源の最大化とは、こうしたネガティブな要因を取り除くことで、人的資本のポテンシャルを100%発揮させることである。
TMOに求められる7つの能力
ではTMOにはどのような能力が求められるだろうか。それを次の4つのセグメントで整理してみよう。
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