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リンクアンドモチベーション主催「HR Transformation Summit 2022」レポートvol.2


【JT、バンダイナムコエンターテインメント】変化に対応するために。「管理職育成」を起点にした2社の取り組み

2022.11.11

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リンクアンドモチベーションは、7月20日と8月4日に「人的資本経営」や「サステナビリティ経営」などHR業界でいま話題のトピックスに関して、専門家の解説や対談、事例共有などを行うイベント「HR Transformation Summit 2022」を開催した。
@人事は2回にわたり、開催プログラムの中から2つのセッションの様子をダイジェストで紹介している。

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第2回目は8月4日開催の「変化に適応する組織づくりの秘訣〜『管理職育成」を起点とした取り組みとは〜」。働き方の多様化と労働市場・商品市場を勝ち抜く難易度が一気に加速してきた今、マネジメントの強化が再認識されている。管理職が経営方針や自社の理念、方向性をしっかり理解をして、経営の意図を汲んだ結節点として、各現場・メンバーの実行行動に落とし込めるかどうかが、組織全体のパフォーマンス、実行力を左右する。
セッションでは、管理職にレバレッジのポイントを置き、実行力の高い組織を作るための組織開発・人材育成を進めてきた先進企業2社がノウハウや取り組みを披露した。

目次
  1. 2社が目指す変化に適応する組織づくり
  2. 会社を取り巻く社内外の環境を踏まえた組織施策全体の取り組みと、その中での「管理職育成」の位置付け
  3. 管理職育成の変化の方向性と具体的な取り組み
  4. 管理職育成の難しさと⼯夫
  5. 管理職育成のから見えた変化とメリット
  6. 人事として大切にしていること
  7. 目指す組織の姿
  8. 参加者との質疑応答

2社が目指す変化に適応する組織づくり

自立・自律型の組織に変化していくことを目指すJT

スライド画像:リンクアンドモチベーション主催「HR Transformation Summit 2022」レポート vol.2

山浦淳一氏(以下、山浦氏):山浦と申します。どうぞよろしくお願いいたします。経歴としましては、事業企画・経営企画を長くやっておりました。少しでも参考になるお話ができればと思いますので、あらためてよろしくお願いいたします。

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初めに少しだけ会社の概要を紹介させてください。JTグループでは、たばこ事業、医薬事業、加工食品事業を中心に様々な活動を展開しています。

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経営理念は「4Sモデル」です。すなわち「お客様を中心として、株主、従業員、社会の4者に対する責任を高い次元でバランスよく果たし、4者の満足度を高めていく」という考えのもと、事業活動を行っています。

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JTグループは日本のみならず世界各地で事業展開を行っております。5万人の方に勤務していただいており、国籍としては100以上です。事業所は70の国と地域にあり、たばこ製品は130以上の国と地域で販売を行っています。

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2021年度のJTグループの売上収益は2兆3248億円、調整後営業利益は6104億円でした。売上の内訳は国内たばこ事業が24.1%、海外たばこ事業が66.1%、医薬事業が3.5%、加工食品事業が6.3%で、海外たばこ事業の売り上げがグループ全体の過半数を超える状況になっております。

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今回の管理職育成というテーマにおいて、JTは自立・自律型の組織に変化していくことを目指しております。これを実現するために、4年ほど前から人材マネジメントのあり方について順次見直しを行っています。

JTでは管理職をマネジメントと呼んでおります。本日は変化を遂げるために大変重要なキーとなるマネジメントの成長支援に関して行ってきたことをお話できればと考えております。今日はどうぞよろしくお願いいたします。

世界から期待されるエンターテイメント企業に向けた会社変革を目指すバンダイナムコエンターテインメント

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町田結城氏(以下、町田氏):バンダイナムコエンターテインメントの町田と申します。私はナムコに新卒で入社し、1年だけゲームセンターで営業職として勤務しました。その後は20年以上にわたって人事の仕事を続けてまいりました。社内ではいろいろな部署・仕事を経験している社員が多い中で、人事1本というキャリアになっております。

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こちらが会社の概要です。2005年にバンダイとナムコという2つの会社が統合し、その後分社・再編・社名変更などを経て現在に至っております。社員は700名ほどです。

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海外にも北米・ヨーロッパ・アジアなど各地域に拠点がございます。拠点数では同業の中で一番多いかと思います。

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当社はIPを軸にした事業展開を行っておりまして、大きく4つの事業を世界に向けて行っております。

スマートフォン向けゲームアプリを主軸にしたネットワークコンテンツ、家庭用ゲームを中心としたお客様を繋ぐコミュニティの運営、eスポーツ、ゲーム実況などが例になります。ゲーム以外のライフエンターテイメント事業として、コマースサイトでのソフトやグッズの販売などもあります。ライブ配信については、モーションキャプチャーができる4面のLEDでXRの技術を用いながらエンターテインメントの世界観を配信できる未来研スタジオも社屋にあります。

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今日は、世界から期待されるエンターテインメント企業に向けた会社変革というテーマでお話をしていきたいと思っています。よろしくお願いします。

会社を取り巻く社内外の環境を踏まえた組織施策全体の取り組みと、その中での「管理職育成」の位置付け

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山浦氏:JTグループを取り巻く経営環境ですが、国際的な政治経済情勢の変化、為替変動リスクに加えて様々な事業特有の環境変化が起きてきています。このような状況の中で、JTグループという企業がお客様から選んでいただくことの難易度が高まってきていると認識しております。一方で組織の面では人材の流動性・多様性が非常に高くなってきていて、人が企業から選ばれることや、企業が個人から選ばれることの難易度も合わせて高まってきています。このような変化の中で、自立と自律をより一層求めつつ多様化やTry&Challengeという風土を作っていくこと、そして組織のパフォーマンスを上げて企業の価値を向上させ続けていくことが非常に重要だと認識しています。

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JTはこれを実現するために、2018年以降から人事の7つの機能ごとにあるべき姿を想定して課題を洗い出す「総点検」を実施し、様々な取り組みを行ってきています。。

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マネジメント職のあり方のイメージをご説明いたします。これまでのように、ある程度先が読める事業環境においては同質性を最大化させて、それを武器に企業の価値を向上させていくアプローチが有効だったと考えています。しかし昨今のように変化が大きく先が読めない事業環境においては、企業価値を最大化させていくためには反対に同質性を最小にし、これを核として多様な個性を尊重する組織へと進化していくことが非常に重要だと考えております。

こういった組織を実現していくためには、マネジメントがより複雑で高度な組織をリードしていく必要があるため、マネジメントの変革が非常に大事なパートであると考えております。

モデレーター・リンクアンドモチベーション宮澤優里、(以下、宮澤):ありがとうございます。4年以上前から強烈な危機感のもとで組織全体やマネジメント層のチェンジに取り組まれていたという、大変わかりやすいお話でした。それではバンダイナムコエンターテインメント様、いかがでしょうか?

町田氏:事業環境の変化で言いますと、ゲームやデジタルの業界全体の競争はかなり激化しています。また、当社で展開している事業は国内よりもグローバルを主軸として切り替えています。社員については、「いいものを作る」「お客様を楽しませよう」といった意識の社員はとても多いのですが自分自身の成長やキャリアに対する意識は薄かったり、目の前の事業に取り組む姿勢はとても強いけれど新しい事業を作り出す思考は弱かったりしました。

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実際に、社長が社員に「我々の会社は国内の優良企業を目指すのではなく、世界企業を目指していくんだ」とメッセージを発信し、そのために1人1人がこれまで以上にスピード感を持って自律的に成長していくこと、それぞれが強い専門性を持って自らキャリアを切り開いていくことが必要だと社員に伝えました。

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これが具体的な取り組みの流れでございます。2015年に、ゲームにとどまらない新しいエンターテインメントを生み出していくという意思のもと、社名を変更しました。翌年には人材要件の改訂と合わせて事業創造ができる人材の育成を開始しました。さらにその翌年から人材要件に沿った制度改定の検討を始め、新卒採用の強化を図ってきました。これらの施策と並行して、一番核となるマネジメント層の強化に注力をしてまいりました。

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宮澤:業界が全く異なる2社でございますが、それぞれが環境変化への強烈な危機感のもとで変化に適応できる組織を作っていきたいという思いで施策を始められていたことが非常によくわかりました。

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簡単に補足をさせていただきます。実行力が高い組織は、従業員エンゲージメントが高い組織と言い換えられると思っております。これは単に従業員満足が高い組織ではなく、社員の貢献意識が高く、例えば組織のリーダーが方向性を示した際にしっかり呼応して変われる組織というイメージで考えていただけるとわかりやすいと思います。

管理職育成の変化の方向性と具体的な取り組み

マネジメント職の職務等級制度をベースにさまざまな施策を展開:JT

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山浦氏:JTはマネジメントのあるべき姿を定義させていただいております。マネジメントがこのあるべき姿になるために、会社として成長を支援したり、必要となるサポートを行っております。

JTのマネジメント職の大きな特徴は、かねてより「職務等級制度」といういわゆるジョブ型に近い仕組みを既に導入していた点です。個人に対してではなく職務や役割に応じて等級を決めて報酬を払う仕組みになっていることは大きな特徴であると思います。

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本日はいくつか取り組みの事例をご紹介したいと思います。

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まず成長支援体系の刷新として、社員に求める役割や成長度合いに応じて5つステージを設け、成長サイクルを促す仕組みを構築しています。

図のステージ4・5がマネジメント職に該当する部分です。スキルアップ中心の能力開発だけではなく、ステージで求められている役割をしっかり理解していただき、しっかり実践できているか、十分なスキルが具備されているかを振り返る内省の機会を定期的に持つことで、常に棚卸ができている状態を作ることを重視しています。また、このサイクルとOJTを結びつけることで連関を図っています。

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こちらが成長支援体系の一覧図となっております。詳細は割愛しますが、本日のテーマであるマネジメントの成長支援プログラムはオレンジ色の部分です。

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次に、組織サーベイ/エンゲージメントという点です。2019年から、組織作りの取り組みを加速化させるために、目的に応じて使い分けるサーベイのラインナップを提供しています。表の右側が新たに導入した「インスタントサーベイ」です。自分の組織のニーズに基づいて適宜選んですぐに結果を確認できるサーベイを複数ラインナップしています。どれをやるか、いつやるかは組織ごとに判断して随時行います。

左側の「全社統一のサーベイ」は、全社一律の設問で数年に1回実施しています。これに加えて、組織課題を解決・変革させるためのサポートとして、グループの中に個別の組織化をコンサルティングする先端チームを配置してサポートする仕組みを導入しております。

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最後がジョブマッチングという施策になります。マネジメントと一部プロジェクトリーダーポストを対象とした公募制度のような取り組みです。ジョブディスクリプションやグレードを明示して募集を行っている点がこの施策の特徴です。

社員には会社主導のキャリア形成から脱却していただきたいので、1人1人が自らのキャリアを作る選ぶという意思の醸成が大切であるという認識のもと、導入しております。

マネジメント全体を強化する3つの重点施策を実施:バンダイナムコエンターテインメント

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町田氏:施策に取り組む前は、新しく策定した人材要件を解釈しきれていない、それを体現できる人材が社内にいない、そもそも人材要件が社内に浸透していないという状況がありました。また、人材育成を行えるマネジメントがどれだけ社内にいるか分からない、会社としても人材育成の重要性や必要性についてしっかり言ってこなかったという背景もありました。

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そこで、マネジメント全体強化としてこちらの3点を実施してきました。1点目は、人材要件を落とし込んだトップランナー人材の育成です。バンダイナムコアカデミアという研修をゼロから立ち上げました。社内から将来のリーダー候補になりうる意欲の高い人材を選抜し、人材要件の理解・読み解きから始め、約1年かけた研修で経営層や社内参加者の上司、部下を巻き込む形で実施しました。

2点目としては、複線型のコース制度に改定してマネジメントに対する期待を明確化しました。従来のキャリアパスはマネジメント1本しかありませんでしたが、事業環境上、当社にはしっかりと武器を持ったスペシャリストも必要不可欠ですので、複線型のコースキャリアも用意して改めてマネジメントの役割を明確にしました。

新たに人材要件を策定したことに伴ってマネジメント層が厳選されたため、3点目に具体的に何をすべきかの基準を策定しました。これまでも人事の規定や階層別の人材要件、評価シートなどでマネジメントの役割はうたわれていましたが、内容が非常に多岐にわたっていたり実際に評価をする期末だけ意識したりする状況で、十分に浸透していませんでした。マネジメント自身が自分ごと化できるように、研修、サーベイ、朝礼などでことあるごとに基準の浸透を図っていきました。

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宮澤:皆さんありがとうございました。2社のお話を受けて簡単にまとめさせていただきたいと思います。両者に共通したステップを抽出させていただいております。

初めに、管理職に求める基準の提示ですね。これが抜けてしまっているケースも往々にしてあると考えられます。例えば人を育てられる、自分自身が率先してリーダーシップを発揮するなど、管理職に求める要件として「ここまで求めていく」と明確に発信されています。

2つ目が意志ある人材の登用です。基準が新しくなっていますので、そのままなんとなく続けていくのではなく、もう一度選択をしてもらうということをされていると解釈いたしました。

最後は、中長期で継続前提の人材育成のサイクルを構築している点です。管理職といえど、一朝一夕で人は育たないという前提に立って、継続的に長い目線で本気で投資を続け得られている点が両者に共通されていると捉えております。

管理職育成の難しさと⼯夫

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山浦氏:同質性を武器とするマネジメントから、個を活かすマネジメントへの変革を目指しているため、「個が組織に合わせる」から「組織が個に合わせる」という意識変革は現在進行形で難しい部分です。非常に大きくマインドセットを変えていただかなければならないので、時間をかけて地道にコミュニケーションをしていく必要があると考えております。

工夫したポイントは、成長支援プログラムの中にある「役割理解」と「内省の習慣化」が挙げられます。

周りに成長させてもらうのではなく、自ら主体となって成長するためには、自分に求められている役割をきちんと理解することが重要です。気づきや学びのきっかけとなる経験ごとに必ず「自分はこの経験から何を学んだのか」という振り返りを行い、次に生かす習慣化が非常に重要だと考えております。このサイクルを定着させるための支援プログラムになっています。

宮澤:ありがとうございます。意識の変革が難しいからこそ、しっかりと管理職自身にも考えていただくように工夫されているんですね。それではバンダイナムコエンターテインメント様いかがでしょうか?

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町田氏:難しかった点は、マネジメント層がリーダーシップの発揮の仕方に不安を抱えていたことです。「何をやるべきか・期待されているかは分かったけれど、マネジメントとしてどう部下に向き合えばいいのか?教わったこともないのに今の自分のやり方でいいのか?」と1人1人が不安を抱えていました。

そこで工夫したポイントは、丁寧に対話を重ねて同じ方向を向けるようにマネジメントサーベイを行ったことです。サーベイでは、上司・部下から自身の強みや弱みについてフィードバックを受けて内省し、自己分析をします。この施策についても、通常実施する定量的なサーベイと併せて、マネジメントに求めるリーダーシップと、マネジメントについて定性的なフィードバックを求めるサーベイを用意しました。実際にサーベイを付ける全社員に対しても「マネジメントのために、厳しくても率直なフィードバックをしてほしい」といお願いをしました。

当然私もマネジメントですので、部下から直接フィードバックを受けました。厳しいフィードバックを受けるので、1人で受け止めるのはしんどいですし、具体的にどうやってアクションを取っていくか考えるのも難しいです。そこで「ヨコ (横) シャワー」という形で、同じ階層同士でお互いにフィードバックを見せ合いながらアドバイスし合う取り組みを実施しました。同じマネジメントにしか分からない悩みや課題も多いので、ヨコシャワーは非常に有効だったと思います。

また、マネージャーを対象とした研修「M (マネジャー) 塾」を実施してまいりました。人事が考える人事戦略は当然経営戦略から落とし込んでいますので、経営メッセージと人事の施策の行間を埋めることが必要だと考えております。両方の行間を理解していないとマネジメントが正しく部下を導くのは難しいと思っています。

そのため、取締役を講師とした研修「M塾」を1年かけて行いました。取締役自らが人事の施策について毎回200枚くらい資料を作って、「自分はこうやって部下に向き合ってきた」「こうやって育成を考えるといいのではないか」と話したり、マネージャーの質問に全部答えて対話をする機会としました。

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 宮澤:ありがとうございます。両者ともに共通していた部分として、管理職の教育ではなく成長支援という前提で施策を組み立てられていたと思います。弊社でもご相談として「インプットや教育をしたけれど管理職の行動は変わりません」というお悩みをいただきます。知識提供だけで変わらない、簡単に管理職は変わらないという前提で、乗り越える工夫をされながら本当に管理職の行動を変えることにコミットされていると感じました。

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加えて、成長支援を行っていく上でのポイントとして2つ抽出をしてみたいと思います。1つ目が、継続的・長期的な施策実施です。JT様もバンダイナムコエンターテインメント様も、何度もタッチポイントを作って継続的にアプローチをしていくことで、ようやく届いてくるというお話があったと思います。

2点目が、周囲との関係性作りです。バンダイナムコエンターテインメント様のお話にもありましたが、管理職も人間ですので当然感情があります。長い間やってきたスタイルを捨てて変わるのは怖いと思いますし、仲間がいてほしいと思うのは当然のことと思います。その前提を組んだ上で、心理的安全性を保ちながらの施策展開がポイントになってくると感じておりました。

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少しだけご紹介ですが、実は両者の施策にはリンクアンドモチベーションのマネジメントサーベイをご活用いただいております。心理的安全性のお話もございましたが、弊社のサーベイの特徴として、期待度と満足度の2軸を聞かせていただいています。

満足度だけではなく期待度が入ることによって批判や不満ではなく、未来に向けた期待としてやりとりをすることができると評価していただくことが多いです。

マネジメントサーベイに対するアレルギーが出てしまっている会社様も非常に多いと感じておりますので、心理的安全性を担保する1つの工夫としてご紹介をさせていただきました。

管理職育成のから見えた変化とメリット

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 宮澤:管理職育成の取り組みを始めて感じた変化や、良かったことについて教えてください。まずJT様はいかがでしょうか?

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 山浦氏:感じることができた変化は、柔軟性の向上や多様化の兆しです。例えば男女問わずの育児休暇の取得、リモートワークやフレックスタイムの活用もこの数年でかなり浸透してきていると思っています。これは、1人1人の意識の向上とマネジメントの高度化が徐々に進んできている証ではないかと考えております。

また、業務のオンライン化やデジタル化が進む中で、メンバーが同じ場所に集まって業務をすることを前提としていたこれまでのマネジメントスタイルが通用しなくなってきています。コロナの影響が大いにあるとは見ていますが、この変化を痛感したマネジメントが組織やチームを率いるためにいろいろな創意工夫をしている場面も増えてきています。

いずれにしても、まだまだ道半ばです。さらに組織としての自立と自律を促進していく上で、土台・基盤になる環境を人事部門として引き続き用意していきたいと思っています。また、社員自らが選ぶといった意識の醸成をさらに高める施策も行っていきたいと考えております。

宮澤:ありがとうございます。ではバンダイナムコエンターテインメント様、いかがでしょうか?

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 町田氏:人材育成やリーダーに求める要件が社内の人材について語るときの共通言語となっているので、育成や配置が効果的にできるようになったと実感がございます。

当社の人材要件はピラミッドになっていまして、一番下の土台が、社員が持つべき情熱や覚悟といったスタンスです。その上に当社でポータブルスキルと呼んでいるインプットスキル・アウトプットスキルがあります。

例えば「自分の部下は、スタンスは十分にあるんだけれども、ポータブルスキルが弱いんだよね」であったり、マネージャーを評価育成するときに「リーダーシップはとても強いんだけども、マネジメントについてはまだ成長課題があるんだよね」というやりとりができます。

また、M塾やサーベイで人事からのコミュニケーションを増やしたことで、管理職から相談が入るようになりました。現場が抱える課題の解像度が上がって、非常に好循環になっていると思います。

さらに当社では毎年50名前後の新卒採用を行っていて、その中で「人を育てられる部署に配属をさせる」という配属の条件があります。これまでは成果重視の社風だったのですが、「育成できる体制が整ったので何人欲しいです」と、明らかに人を育てようという意識に切り替わってきたと思います。

人事として大切にしていること

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 宮澤:少し趣向を変えまして、人事としてのスタンスをお伺いしてみたいと思います。人としての役割、あり方で大切にしていることは何ですか?

山浦氏:「人事部門が行うのは育成ではなく成長支援である」というスタンスが非常に重要だと考えております。このため、弊社ではこれを担う部署も成長支援チームという名称にしております。

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JTは人材マネジメントポリシーにおいて、人材の多様性こそが競争力の源泉であるという認識を明示しており、多様な従業員と選び選ばれる関係を構築していきたいと考えております。

より良い職場環境・企業文化を作ることが優秀な人材を何よりも惹きつけますし、やりがいを持って続けられるようにして質の高いパフォーマンスが発揮できるように努めることが人事部門の大きなミッションだと考えております。重要な点は、あくまで成長するのは従業員一人一人であって、人事はその成長支援をする、背中を押す役割を担うことだと考えております。

宮澤:ありがとうございます。では次に、バンダイナムコエンターテインメント様もお聞かせいただければと思います。

町田氏:「社員から信頼感を持たれるような仕事をしよう」とチームのメンバーにはよく話をしています。難しいことを要求しているのではなく、新人にも言っているような「ちゃんと挨拶しよう」「遅刻しないようにしよう」「人の悪口を言わない」とか、社会人としての基本を押さえようという話です。

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人事は、社員に対して厳しさを求めることもありますし、社員や家族・生活に関わるような施策を行うこともあるので、なかなか社員全員が納得・共感することは難しい場合もあると思います。だから「うちの人事が真剣に考えてやっていることだから、そこは信頼して任せよう」と社員から思われる存在であり続けなければいけないと考えています。

また、人事は経営からも信頼される存在でないといけないと考えています。会社と社員の成長・幸せがイコールになるためには経営戦略と人事戦略が一体である必要があるので、常に経営と同じ高さの目線で会社のことを考えないといけません。

目指す組織の姿

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宮澤:今後どのような組織を目指していきたいですか。

山浦氏:今後は事業環境が激変し、労働環境も大きく変貌していくことが予想されています。このような中で重要になるのが自立と自律だと考えております。

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 社員1人1人が、会社に依存するのではなく自由や選択権を得て、代わりに自己責任を負っていただき、ある意味プロフェッショナルとして会社に貢献する。こういう従業員と会社の関係をいかに作るかが、今後企業が成長できるかどうかの重要なポイントだと考えています。

そのためにまず会社は1人1人に選ばれる存在になる必要があると思っています。働きがいのある環境を作ることはもちろんですが、これまで以上に多様化を尊重して新たなTry&Challengeを推奨し、きちんと失敗を受け入れる風土を作っていくことが重要です。例えば、優秀な社員があちこちから転職のオファーを受けても「自分はJTグループで働きたい」と言ってもらえる環境と風土を持った組織を目指していきたいと考えています。

宮澤:ありがとうございます。では、バンダイナムコエンターテインメント様お願いします。

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 町田氏:この4月に、当社を含めたバンダイナムコグループのパーパスが導入されました。これまでもビジョンやバリューが作られてきましたが、社員同士、開発会社、パートナー、大切なファンと繋がるというこのパーパスは、個人的にとてもいいなと思っています。中でも人事のお仕事をしている私が大事にしたいのは、やはり社員と繋がることです。

スライド画像:リンクアンドモチベーション主催「HR Transformation Summit 2022」レポート vol.2

ともに未来を作っていくために社員と繋がること、そして社員同士を繋げることは自分の仕事です。一緒に良い会社にしたいですし、会社の成長に繋げられたいと思っています。

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社員がやりがいを持って、生き生きと働くことができる会社にしたい。こちらが今季の人事部ミッションですので、この実現のためにこれからも頑張っていきたいと考えています。

参加者との質疑応答

Q:マネジメント並びにメンバーの方も、どんなあるべき姿を求めていますか?

町田氏:マネジメント側に求めることもメンバーに求めることも、それほど変わらないと思います。自分の担当範囲を決めずに自ら影響力を与えることが根幹として大事だと思っています。あまり自分で線を引かずに、それぞれが会社のために、仕事を良くしていくために、積極的に仕事に向き合うが大事だと思います。

山浦氏:会社としてメンバーに求めることは、「会社の方針と自身のキャリアを接続し未来を描いている」「描いた未来の実現に向けて、自主的に必要な経験を取りに行き、自己研鑽に努めている」「組織成果への責任感を持ち自律的に業務を完遂し、組織に貢献している」という定義をしております。

Q:忙しい管理職に対して施策を実施して集まってもらうための工夫はありますか?

山浦氏:まず新任のマネジメントについては、参加必須で来ていただきます。会社からお願いして、1年間のプログラムを何回かに分けて受けていただきます。プログラムについては選択制を取ったり、複数の中から自分で選んで好きな時間に受けてもらったりしています。今はオンラインでもできるようになっていますので、それらを活用しながら時間を作ってもらっています。

町田氏:マネジメントは本当に忙しい階層ですので、本人に「聞いておいた方が得だな」と思わせることが大事だと思っています。単にサーベイを受けるだけだと結構きついと思いますが、例えば先ほどのヨコシャワーのように、マネージャーや部長同士で話ができるなら「ちょっと参加しようかな」と思ってくれるようになります。

Q:マネジメントコースとそうでないコースで役割分けをする場合、途中で役割を変更することは可能なのでしょうか

山浦氏:弊社はスペシャリスト職という別の職種もありまして、マネジメントからそうでないポジションに移ることは可能です。

宮澤:そこの流動性を持っているんですね、ありがとうございます。バンダイナムコエンターインメント様いかがですか。

町田氏:当社も全く同じです。マネジメントがスペシャリストに行くこともあればその逆もあります。処遇面も差が出ないような形にしていて、安心してできるようにしています。

宮澤:マネジメントが高度化しているからこそ、流動性をしっかり持たせて社員の方々に選んでいただいていると解釈しました。ありがとうございます。【おわり】

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※本記事は株式会社リンクアンドモチベーションによる寄稿です。記事内の画像は同社より提供されたものを使用しています。

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