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キャリアセンターに聞いてみました


青学キャリアセンターから企業へ「人物像を具体的に聞かせてほしい」

2016.09.09

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日々、大量の求人依頼が届く有名大学のキャリアセンター。企業と学生の懸け橋となり、双方を見続ける彼らは、日々どういった視点を持ち、業務に取り組んでいるのか。毎年、多くの学生を社会に送り出し、「MARCH」としてのブランドも持つ青山学院大学(以下、青学)。同校の進路就職センター薮田洋氏に、16年卒採用の振り返りと、17年卒の現状、企業の人事に求めたいことなどを聞いた。(取材:2016年7月下旬)

目次
  1. 16年卒に引き続き、17年卒も企業の採用意欲は高い
  2. “不本意入学”の学生は、就職活動に苦労する
  3. 「MARCHの学生が欲しい」と言わないで

16年卒に引き続き、17年卒も企業の採用意欲は高い

青山学院大学 進路就職センター進路・就職部長・薮田洋氏

青山学院大学 進路就職センター

進路・就職部長・薮田洋氏

――16年卒の採用・就職活動では、青学の学生たちはどのように動いていたか?

薮田:学生間でかなり温度差があったように思います。広報開始時期が3月に後ろ倒しになった分、素直にそこまで動かなかった学生も相当数いました。一方で就職活動に対する意欲が高い学生たちは、3年生の夏にはインターンシップに積極的に参加していました。全体的なスタートのスピード感は、例年とそう変わらなかった印象がありますが、内定出しが8月1日以降だった企業が多かったこともあり、活動は長期化していました。中堅・中小企業からは、例年以上に内定辞退に悩む声が多く寄せられましたし、双方から大幅なスケジュール変更に、不安を感じる声がありました。

結果的に、16年卒の進路決定率(卒業生のうち、就職、もしくは大学院などに進学した者の合計割合)は、93.2%と過去5年間で見ても最高水準となったので、一安心というところです。

――17年卒の就職活動は、現状ではどうか?

薮田:昨年に引き続き、企業側に人手不足感があり、現状では順調に動いています。すでに内定出しのピークは過ぎたようですが、まだまだ大手企業や人気企業でも採用意欲が高い企業は多く、気の抜けない状態です。7月以降も学内説明会や個別相談などに引き続き注力していきます。

“不本意入学”の学生は、就職活動に苦労する

――低学年に対するキャリア支援は、どのようなことを行っているか?

薮田:入学時のオリエンテーションでは、前向きに学生生活を楽しむことの大切さを伝えています。さらに、2015年からはもう一歩踏み込んで、新入生全員を5、6名ずつグループに分け、30分の面談を行っています。1日10組ずつ面談を行い、4月から7月まで約4ヶ月かかります。低学年のうちに、進路・就職センターに一度来ておけば、就職活動本番の時期にも、足を運びやすいだろうという狙いもあります。

グループ面談で伝えていることは、大きく二つです。一つは学生生活を充実させることの大切さです。過去の傾向を見ると、本校が第一志望ではなかった、いわゆる不本意入学の学生が、不満を抱えたまま学生生活を過ごしてしまうと、就職活動で苦労するケースが多いのです。そうならないためにも、渡辺和子さんの『置かれた場所で咲きなさい』(幻冬舎)にあるように、縁のあった場所で、頑張ることの大切さを伝えています。

もう一つ、「働くこと」について考える時間を、学生生活のどこかで必ず持ってほしいと伝えています。1、2年生が参加できるインターンシップの説明も同時に行うので、時代の流れもありますが、低学年層のインターンシップ参加は増えています。

――3年生以上を対象としたキャリア支援には、どのようなものがあるか?

薮田:学内企業説明会など、それほど他大学との違いはないと思いますが、4年生を対象にセンターの職員14名で手分けをして、6月ごろから個別に電話発信を行っています。就職活動がうまく行っていないようであれば、一度センターに足を運んでもらうように促し、個別の相談も卒業ぎりぎりまで気を抜かずサポートしています。

昨年度も家庭の事情で卒業ぎりぎりまで就職活動をスタートできず、3月4日に就職活動をスタートした学生が、キャリアセンターに来ていた求人の中から、3月30日に就職が決定しました。そういうケースは、やはりこちらも非常にうれしくなりますよね。

「MARCHの学生が欲しい」と言わないで

――青学の学生には、どのような特徴があるか?

薮田:「自主性」「主体性」を持つ学生が多いです。ゆえに企業の社風で「自由」「自主性」を重んじる企業とは、特に相性がいいようです。

主観ですが、「水面下でものすごく努力はするけれども、汗をかく姿を人には見せたがらない」「困っている人がいれば助けるけれども、べたべたと慣れ合うのはあまり好きじゃない」といった傾向の学生も多いように感じます。全体的には、BtoBの企業や、重厚長大産業より、軽薄短小と呼ばれる身近で生活に密着した企業や、BtoCのブランド力がある企業のほうが、他大学と比較しても根強い人気です。そうは言っても、一学年4000名以上の学生がいますから、ベンチャー思考が強い学生や、独立志向が高い学生など、本当に様々な学生がいます。

――中途採用の求人市場では、「学歴:大卒以上」とある場合、暗に「最低でもMARCH(明治、青学、立教、中央、法政)以上を希望」とする企業は非常に多い。その一角である青学にも紹介依頼求人が多数寄せられていると思う。普段、企業の人事担当者と接していて気になることはあるか?

薮田:おっしゃる通り、暗に「MARCHだから」という理由で、本校に紹介依頼を頂くこともあるようです。ただし、他の4校と本校とでは、やはり特色は相当違います。もっと言えば、「青学生が欲しい」と言われても、本校にも様々な学生がいるので、できるだけ「どんな学生が欲しいか」という情報は、はっきり頂けたほうがありがたいです。

ただし、すべての企業から千両役者のようなスーパースターばかりを求められてもツライところです。「○○の能力があれば、△△の能力はこちらで育てます」と言ってくださるような企業は、すごくありがたいです。

――進路・就職センターとしては、どのような企業、どのような人事担当者を大切にしているか?

薮田:求人情報を持ってきてくださる企業は、すべて非常にありがたい存在です。ただし、学内企業説明会などは、どうしても席に限りがあるので、優先するのは、長年、本校に学内企業説明会への出席やインターンシップ等のご支援をいただいたり、ご採用をいただいたりしている企業です。

すばらしい人事担当者だと思うのは、「自社の魅力をしっかり語れる」ことはもちろんですが、「どういう人材に来てほしいか」もしっかり伝えてくださる人事担当者です。それを決して一方通行に押し付けてくるのではなく、学生としっかり丁寧に会話をしている。饒舌ではなくとも、一人ひとりに真摯に対応をしてくださる企業に、自然と学生は惹き付けられるようです。人事担当者に求められるのは、こういった、いわば「営業マインド」だと思います。お互いに「選ばれる立場」であることをしっかり理解されています。

一方で、これは学生からの声ですが、やはり「自社の魅力を語れない」「『採用してやる』と高圧的な態度」の企業は、総じて評判が悪いです。就職活動の中で、だんだん学生も目が肥えてきますからね。

・薮田洋(やぶた・ひろし)
青山学院大学 進路就職センター 進路・就職部長。1982年青山学院入職。法人経理部、大学学務部教務課、大学庶務部を経て、2010年11月より現職。2012年、大学職業指導研究会幹事、全国私立大学就職指導研究会幹事に就任。

執筆者紹介

玉寄麻衣(たまよせ・まい) 1979年生まれ。立命館大学政策科学部卒業。外資系大手人材派遣・人材紹介会社で、営業として主に中小企業の人材採用をサポート。その後フリーランスのライターとなり、人材採用、人材育成、大学教育、広報・PR、企業経営等に関する取材・執筆を行う。

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