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「男性育休に関する取り組み状況調査」Works Human Intelligence調べ


【男性育休取得率の二極化】半数以上の法人が取得率5%以下である一方、20%を上回る企業も4分の1を超える

2022.09.22

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Works Human Intelligence(東京・港)は9月20日、統合人事システム「COMPANY®」のユーザー法人を対象に実施した、男性育休に関する取り組み状況調査(調査期間:2022年6月15日~2022年7月8日)の結果を発表した。有効回答数は43。

調査結果によると、男性育休取得率5%以下の法人が51.2%を占めていることが分かった。しかし一方で、2025年までの政府目標30%に対し既に20%を上回っているとの回答した法人は25.6%であった。

WHI総研の眞柴亮氏は、法人によって取得率が二極化している傾向について「2023年4月からの取得率の公表義務化後は採用優位性に少なからず影響があると予測します」とコメントした。以下、リリースより。

関連記事:全体の8割が「男性育休に賛成」回答も、経営層の4人に1人は男性の育休取得に後ろ向き

本調査の背景

少子化の進行により人口減少社会を迎えている昨今、出産・育児等を理由とした離職を防ぎ、希望に応じて仕事と育児を両立できる社会の形成に向け、枠組みの整備が進められており、2021年6月に育児・介護休業法が改正されました。政府は2025年までに男性育休取得率を30%とする目標を掲げています。
育児休業を取得しやすい雇用環境の整備をはじめとして、法改正対応に尽力する企業も多い中、2022年4月施行の「雇用環境整備、個別の周知・意向確認の措置の義務化」「有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和」に対する制度施行後の取り組み状況の実態や男性育休に関する課題認識、現行制度等の把握のため、本調査を実施しました。

男性育児休業取得に関する調査結果概要
  1. 男性育休取得率5%以下の法人が51.2%を占めた一方、2025年までの政府目標30%に対し既に20%を上回っているとの回答が25.6%と4分の1を超え、法人により二極化の傾向。現時点で取得率の目標を設定している法人は27.9%。取得期間の目標を設定しているのは43法人中1法人のみ(2.3%)。
  2. 「育児休業を取得しやすい雇用環境の整備」として義務化された措置の実施状況については、すべての法人で「相談窓口を設置済み」という回答。最も実施中の回答が少なかったのは「研修の実施」。
  3. 男性の育児休業取得に特化した周知活動を問う設問では、「男性の育児休業の制度、取得の手続きを社内ポータルサイトに掲載している」という回答が最も多く、次いで「相談窓口の設置や周知」という結果。一方、「男性に特化した案内はない」「男女の区別なく案内」というコメントも複数得られた。
  4. 「本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対する個別周知」の措置としては、書面交付を計画している法人が72.1%と最も多い。個別周知や意向確認に関する課題全般を問う設問では、「男性については出生後の把握が多数」「男性の場合、対象者の情報をどうキャッチしていくかが課題」等、特に男性について対象者の把握に関するコメントが見られた。その他、PCに触れない従業員への周知、上長の意識の差によるアプローチの平等性に課題を感じているとの声も上がった。
  5. 総括(解説:WHI総研 眞柴亮)
  6. 調査概要

調査結果

1.男性育休取得率5%以下の法人が51.2%を占めた一方、2025年までの政府目標30%に対し既に20%を上回っているとの回答が25.6%と4分の1を超え、法人により二極化の傾向。現時点で取得率の目標を設定している法人は27.9%。取得期間の目標を設定しているのは43法人中1法人のみ(2.3%)

Q1-1. 取得期間に関わらず、子どもが生まれた男性従業員のうち直近3年間で男性育休を取得された従業員数の割合は何%ですか?(同じ方が2回以上取得された場合は取得回数1回として回答してください。)n=43

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Q1-2. 男性育休取得率の目標設定有無について教えてください(期間問わず)。n=43

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Q1-3. 育休取得期間について目標設定されているか否か教えてください。n=43

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今回の調査における平均男性育休取得率は11.91%と、政府が掲げている目標「2020年までに13%」には達成してないという結果となりました。取得率5%以下の回答が51.2%を占めた一方、2025年までの政府目標30%に向けては、取得率20%を上回る回答が25.6%と4分の1を超え、育休取得が進んでいる法人とそうでない法人で二極化しつつある傾向がうかがえます。

また、男性育休取得率の目標設定有無については、現時点で3割弱(27.9%)が目標設定有りと回答した一方、取得期間については、ほとんどの法人で目標を定めておらず、設定しているのは1法人のみ(2.3%)という結果となりました。

2.「育児休業を取得しやすい雇用環境の整備」として義務化された措置の実施状況については、すべての法人で相談窓口を設置済みという回答。最も実施中の回答が少なかったのは研修の実施。

Q2.取得を促す環境整備について(複数選択可)n=43

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育児休業取得を促す環境整備については、「①研修の実施」「②相談窓口設置」「③事例の収集・提供」「④制度と育児休業取得推進に関する方針の周知」のいずれかの措置が義務化されましたが、回答では「相談窓口の設置」が100%だった他、「制度と育児休業取得促進に関する方針の周知」の実施率が高い状況でした。「育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施」については実施率が一番低く、特に従業員向けの研修の実施率は11.4%でした。

3.男性の育児休業取得に特化した周知活動を問う設問では、「男性の育児休業の制度、取得の手続きを社内ポータルサイトに掲載している」という回答が最も多く、次いで「相談窓口の設置や周知」という結果。一方、「男性に特化した案内はない」「男女の区別なく案内」というコメントも複数得られた。

Q3.男性の育児休業取得に特化した周知活動は行っていますか。またその方法について教えてください。(複数選択可)n=43

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男性の育児休業取得に特化した周知活動を問う設問では、「男性の育児休業の制度、取得の手続きを社内ポータルサイトに掲載している」という回答が最も多く、次いで「相談窓口の設置や周知」という結果となりました。自由記述で得られたコメントでは、説明動画や専用ガイドブックの作成に取り組まれている例もあり、各法人で制度周知に注力されている様子がうかがえました。一方、その他回答の詳細では「男性に特化した案内はない」「男女の区別なく案内」というコメントも複数件寄せられました。

4. 「本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対する個別周知」の措置としては、書面交付を計画している法人が72.1%と最も多い。個別周知や意向確認に関する課題全般を問う設問では、「男性については出生後の把握が多数」「男性の場合、対象者の情報をどうキャッチしていくかが課題」等、特に男性について対象者の把握に関するコメントが見られた。その他、PCに触れない従業員への周知、上長の意識の差によるアプローチの平等性に課題を感じているとの声も上がった。

Q4-1. 個別周知の方法は何を計画していますか?(複数選択)n=43

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今回の法改正により、本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、事業主は育児休業制度等に関する以下の事項の周知と休業の取得意向の確認を、個別に行わなければならない旨が定められました。従業員本人への個別周知方法を問う設問では「書面交付」が最も多く、次いで「電子メール」「面談」が多いという結果でした。但し、半数以上の法人で複数の周知方法を選択していました。

Q4-2. 個別周知・意向確認について課題に感じていることがあればご記載ください。(自由記述)

(一部回答抜粋)

  • PCに触れない現場の従業員への周知が難しい。
  • 女性のように休業が必須でないため、情報の収集方法とヒアリング等を含め、コンタクト方法にも懸念点がある
  • 人事への情報がタイムリーにこない。特に男性について、出生後の把握が多数。
  • 育休取得を検討していない男性職員の情報は、出生届が届いて初めて確認できるケースも多く、丁寧な周知・意向確認前に未取得を決断してしまっているケースも多い。
  • 上長の意識にばらつきがあり、育休取得対象者への平等なアプローチが難しい。
  • 個人的な問題のため上長が事前に情報キャッチは難しい。
  • 男女問わず、確認の仕方に注意しないとハラスメントになりかねないと思う。
  • 会社として取ってもらいたいことを押し付けすぎないように制度を伝えること。
  • 育休取得者による「育休推進」意向は非常に強い傾向にあるので、取得者の意見・声をとにかく発信し続けることが重要と考えている。育児に関係がない人の認知・共感が課題。

個別周知や意向確認に関する課題全般を問う設問では、「男性については出生後の把握が多数」「男性の場合、対象者の情報をどうキャッチしていくかが課題」等、特に男性について対象者の把握に関するコメントが見られました。その他、PCに触れない従業員への周知、上長の意識の差によるアプローチの平等性に課題を感じているとの声も上がっています。
迅速かつ効率的に育休取得予定者を把握したいという人事担当者の課題感がうかがえる一方、「個人的な問題であるため上長が事前に把握するのは困難」「本人意思の尊重と取得促進のバランスが難しい」といった声も複数。休業を取得する際には少なからず収入減となるケースが多く、また本人のキャリアや働くことへの意思からも、本人希望を尊重した取り組みが求められています。

総括(解説:WHI総研 眞柴 亮)

アンケート結果では取得率に関して二極化が進んでおり、2023年4月からの取得率の公表義務化後は採用優位性に少なからず影響があると予測します。取得期間については公表義務がありませんが、出産直後は睡眠不足や新生活のストレス等もあるため1か月以上の取得が望ましく、1か月以上の取得割合も公表できるとより優位性が高まるでしょう。

また、上述の調査結果に記載した設問の他、「男性の育休取得に関する意識」について聞いた設問では「本人が希望するなら法定なので仕方ない」という回答も多く見られました。育休取得促進を阻んでいる原因では、最も課題意識が強いものとして半数近くの法人が「育休を長期間取得されると現場が回りづらいという声があり、促進しづらい」と回答し、これが育休を取得しようとする側にとっては「育休取得の文化が形成されておらず、本人が躊躇している」という課題意識にも繫がっていることがうかがえます。

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他方で、労働人口が減少する中での就業者数はここ10年で増加傾向にあり、潜在労働力である無業者数は限られており、将来的にも長年の少子高齢化から労働人口は減少し続けることが国によって推計されています。このような中で、男性育休のみならず女性活躍推進や介護も含めた両立支援/ダイバーシティ/高齢者雇用継続延長/リスキリング/エンゲージメントといった人事トレンドテーマも含めて、時代の流れは「今いる社員のパフォーマンスの最大化」に向かっているといえるでしょう。

この時代の流れを踏まえると、今回のメインテーマである男性育休については次の3つの観点から、希望すれば当たり前に育休を取得できる、働きやすい組織に変化できるとよいと考えます。

・DX/デジタル化/ドキュメント化等の業務改革・改善の他、リスクマネジメントの観点からのダブルアサインメントといった施策を進める

・社員コミュニティの場を設けることや、1on1ミーティングで半分は雑談の時間にすること、健康増進イベントで他部署の従業員と一定期間内で交流できるようにすること等、社内コミュニケーションの活性化から風土変革を行う

・人的資本を活かす観点から、経営層と人事/推進室の一体感を高めることと、施策の浸透に向けて似た内容であっても発信者や伝え方(社内報、社内ラジオ等)を変えながら継続的に発信する

解説者プロフィール

WHI総研※ 眞柴 亮(ましば りょう)

2006年から、通勤手当や寮社宅等福利厚生を専門に、大手法人の制度コンサルおよびシステム導入を担当。2019年、2020年と子会社の人事給与BPOベンダーであるワークスビジネスサービスに出向し、受託業務の効率化や品質改善に携わるほか、複数顧客に対し人事関連業務のBPRを実施。出向復帰後は顧客教育部門であるWorks Business Collegeを経て現職。

※WHI総研:当社製品「COMPANY」の約1,200法人グループの利用実績を通して、大手法人人事部の人事制度設計や業務改善ノウハウの集約・分析・提言を行う組織。

調査概要

調査名  :男性育休に関する取り組み状況調査
期間   :2022年6月15日~7月8日
調査機関 :自社調べ
対象    :当社製品統合人事システム「COMPANY」ユーザーである国内大手法人43法人
調査方法 :インターネットを利用したアンケート調査
有効回答数:43

WHI調査レポートとは ~HR領域における大手法人の実態を調査~

当社の製品・サービスは、約1,200の日本の大手法人グループにご利用いただいており、そのほとんどが当社のユーザー会「ユーザーコミッティ」へ加入しています。オンライン会員サイトをはじめとしたユーザーコミッティのネットワークを通じて、当社では適宜、社会・経済情勢に合わせた諸課題について調査を実施。その結果を製品・サービスに反映するとともに、ユーザー法人様・行政機関・学術機関への還元を行っています。
(ユーザーコミッティについてはこちら https://www.works-hi.co.jp/service/user-committee )

WHIについて

WHIは大手法人向け統合人事システム「COMPANY」の開発・販売・サポートの他、HR関連サービスの提供を行っています。「COMPANY」は、人事管理、給与計算、勤怠管理、タレントマネジメント等人事にまつわる業務領域を広くカバーしており、約1,200法人グループへの導入実績を持つ、ERP市場人事・給与業務分野シェアNo.1※の製品です。
私たちは、日々複雑化・多様化する社会課題に対してあらゆる「人の知恵」を結集し解決に取り組み、すべてのビジネスパーソンが情熱と貢献意欲を持って「はたらく」を楽しむ社会を実現します。
※2020年度 ERP市場 – 人事・給与業務分野:ベンダー別売上金額シェア
出典:ITR「ITR Market View:ERP市場2022」

【プレスリリース「【WHI調査レポート】22年4月改正育児・介護休業法への大手法人対応状況 男性育休取得率は法人により二極化の傾向、目標設定を行っているのは約3割」より|2022年9月20日・株式会社Works Human Intelligence】

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2009年に31歳で政令指定都市の首長となった熊谷俊人市長はこの10年、行政改革とともに職員の働き方改革を敢行。自身も2児の父で、組織として課長クラス以上の職員に「イクボス宣言」させたカリスマ市長に、男性育休取得の意義や組織にもたらす効果、改革を貫く信念を聞いた。
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