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株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント


【2021年第2四半期アジア各国のホワイトカラー人材紹介市場】コロナ禍による規制の緩和に伴い、 アジア全域で経済の回復が本格化

2022.08.23

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半導体やICT、脱炭素関連など 成長分野の転職マーケットは売り手市場に

世界11カ国で人材紹介事業を展開するジェイ エイ シー リクルートメント(東京・千代田)は、2021年第2四半期のアジア各国のホワイトカラー人材紹介市場の動向を発表した。
レポートによると、アジア全域で経済の回復が本格化し、製造業を中心に採用活動が活発化していることが分かった。以下、同社がまとめた内容を紹介する。

ジェイ エイ シー リクルートメント アジア各社の求人数増減一覧

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* アジア各社の求人数については、アジア各社が意図的に講じた戦略(高額帯年収の求人やスペシャリスト層求人に特化するなど)により、増減する場合もあります。
そのため、アジア各社の求人数の増減は、各社の業績を直接反映するものではありません。

総合ヘッドライン

  • 入国制限緩和やロックダウンの解除など規制緩和をうけ、アジア全域で経済の回復が本格化
  • 経済の回復に伴い、製造業を中心に採用活動が活発化
  • 半導体やICT、脱炭素関連など、成長分野の転職マーケットは売り手市場に
  • 日系企業の駐在員は各国に戻りつつあり、日本人求職者も各国での求職活動を再開

※以下リンクより、読みやすいPDF版のプレスリリースをご参照ください
English : https://www.atpress.ne.jp/releases/321227/att_321227_1.pdf
日本語版: https://www.atpress.ne.jp/releases/321227/att_321227_2.pdf

マレーシア:国外からの投資増で採用活発化。給与水準の上昇と人材不足が課題

解説:JAC Recruitment マレーシア法人 ダイレクター シ・ピン・リム

マレーシア中央銀行は2020年の間、政策金利を段階的に引き下げ、過去最低の1.75%に据え置いていましたが、マレーシアの輸出拡大に伴う内需回復や労働市場の改善といったマレーシア経済の回復をうけ、今年5月に2.0%、また7月に入り2.25%に引き上げることを決定しました。
一方、世界経済の悪化やサプライチェーンの混乱による、マレーシア経済の下振れリスクは残ります。マレーシアの失業率は2022年4月以降3%台で推移しており、コロナ禍の拡大当初と同水準となりました。

企業の採用動向

第 1 四半期から引き続き、日系、外資系、ローカル企業ともに、活発な採用活動が続いています。日系企業の求人数は、前期比 2%増、前年同期比 13%増、外資系企業は前期比 5%増、前年同期比 4%増となりました。例年は第 1四半期の求人数が年間通して最多ですが、今年は第 2 四半期も求人の勢いが止まりませんでした。特にペナン周辺では半導体関連での新規投資、事業拡大が続いており、エンジニア等の引き合いが非常に強い傾向が見られます。クアラルンプール周辺では、営業を担う人材を補強する企業のほか、9 月から施行される雇用法の改正に伴い、バックオフィス業務を強化する企業が増える傾向が見られました。また脱炭素に関連する人材のニーズも、徐々に広がる様子が見られ、このような人材の育成、教育は、今後の課題となります。

求職者の動向

採用市場の活発化に伴い、求職者の転職意欲も高い状況が続いています。コロナ禍では慎重に転職活動をしていた求職者も、今の採用需要の高さから、20~30%前後の昇給を目指し、転職を希望するケースが多く見られます。また採用需要の高いペナンエリアでは、人手不足により給与水準も高くなりつつあります。日本人求職者については、コロナ禍前の水準まで登録者が戻ってきています。特に営業職の需要は高く、営業系の求職者は特に売り手市場です。

求人数増減

対前年四半期比 109%
対前四半期比 105%

シンガポール:コロナ規制緩和後、採用市場は堅調に推移

解説:JAC Recruitment シンガポール法人 社長 カースティ・ポルトック

コロナ規制緩和後、国・地域間の往来や出張も再開され経済活動が戻ってきています。消費者物価指数も月を追うごとに上昇し、5月には前年同月比5.6%増と10年半ぶりとなる高い伸び率を示しました。シンガポール通貨金融庁(MAS)の発表によると、コアインフレ率も前年同月比3.6%増となり、13年5ヵ月ぶりの高水準を記録し、今後も上昇圧力は続くとの見方が示されました。それに伴い、シンガポール首相府公務員局(PSD)は特定職種の公務員約2万3000人を対象に、8月1日付で5~14%の昇給を実施すると発表。また、公的機関のリテンション対策に、民間企業も続けと昇給を検討する企業も出てきています。生活費や金利の上昇をめぐる懸念が高まっているにも関わらず、住宅不動産価格の伸びも加速しており、都市再開発庁(URA)の発表によると、第2四半期の4-6月に、住宅不動産価格指数は3.2%上昇。前期(1-3月)の伸び率0.7%を上回る伸び率を示しています。

企業の採用動向

景気回復に伴い、企業の採用意欲も回復傾向にあります。成長産業である情報通信技術(ICT)関連、市場ニーズの著しい半導体業界、医療・医薬業界を筆頭に求人需要が高まっています。さらに、中国リスクを踏まえての、香港・台湾からシンガポールへの金融関連企業の移転に伴い、金融関連業種の求人需要も高まっています。また、最近のトレンドである FinTech、仮想通貨、ブロックチェーン、GameFi 関連の企業や新規部門の立ち上げに伴う案件も増えてきており、採用市場は堅調に推移しています。退職者のリプレイスメントのための求人もさることながら、業績好調のためスタッフ増員の求人も多く見られました

求職者の動向

コロナ禍以前は、求職者の転職前後の昇給率は 10%程度だったのに対し、現在は 20%アップと相場が上昇しており、さらに人員不足の業界やポジションにおいては 30%以上の昇給が提示されるなど、引き続き転職マーケットは「売り手市場」が続いています。ただし、内定が出ても現職からの引き留めにあい、給与アップや待遇を手厚くすることを条件に、現職に留まるケースも見受けられました。日本人求職者に関しては、シンガポール在住者に加え、シンガポール国外からの
転職者の登録も少しずつ戻ってきています。

求人数増減

対前年四半期比 147%
対前四半期比 96%

タイ:経済成長は鈍化するも、中長期を見越し積極投資を行う企業も

解説:JAC Recruitment タイ法人 社長 ガヴィン・ヘンショー

2021年に引き続き、経済は回復・成長傾向にありますが、第1四半期に比べ成長は鈍化し、世界銀行もタイの経済成長率の見通しを3.9%から2.9%へ下方修正しました。下方修正の理由としては、コロナ禍に加え、世界的な燃料高・原料高による経済停滞により、好調であった製造業関連の輸出が、影響を受けたことが考えられます。製造業の中心産業である自動車産業でも半導体不足の影響が引き続き見られます。かつてGDPの2割を占めていた観光業については、外国人観光客数はコロナ禍前の4,000万人に対し、昨年は42万人と大幅に落ち込みましたが、今年は500~1,000万人となる見通しで、回復傾向が見られます。国内政治に不安定さは残りますが、タイ経済の動向は、短期的には明るい見通しです。

企業の採用動向

求人数は前年同期に対しては 103%と増加しましたが、前期比では 80.4%と減少しました。前期では、過去 2 年間の コロナ禍による採用控えの反動という特殊な需要がありましたが、第 2 四半期では、国内、世界経済動向に関連した採 用控えの影響で、求人数は大幅に減少しました。 業界別の求人数の割合としては自動車業界が 23%、電子部品業界が 17%、続いて物流、IT 等が続きます。また前 期同様、建設業界での募集が増加傾向にあります。 前期では、人材の補充、代替が主な求人理由でしたが、今期では新たなプロジェクトや設備投資に関連する求人も目 立ちました。求人に対し慎重姿勢を保つ企業がある一方、中長期を見越し、攻めの姿勢に転換する企業も増加傾向 にあり、求人に対する姿勢が二極化しています。

求職者の動向

タイ人求職者の登録者数は前年に比べ回復傾向にありますが、求職者には引き続き、安定志向・慎重姿勢がみられ ます。また、物価高、ガソリン価格高騰を理由に、希望給与を高めに設定する求職者が多く見受けられました。 日本人求職者については、日本の感染状況が落ち着かないためか、特に日本からタイへの転職を希望する求職者数が 回復しておらず、総数としてはコロナ前の水準には、まだ戻っていない状況です。

求人数増減

対前年四半期比 103%
対前四半期比 80%

インドネシア:入国制限の緩和に伴い、各企業の採用動向も活発化

解説:JAC Recruitment インドネシア法人 アソシエイトダイレクター 山下 冬馬

ラマダン(断食)、レバラン(断食明け大祭)の消費拡大と事業活動の活発化を受け、それに伴う投資も増加しています。インドネシア中央統計局は第1四半期同様、第2四半期のGDP成長率も5%程度になるという見通しを示しています。また、日系自動車メーカー2社が新型ハイブリッド車(HV)を低価格帯で、2022年第3四半期にリリースすることを、第2四半期に発表しました。すでに他国メーカーがリリースしている高価格帯の電気自動車(EV)に対抗する形となっており、日系自動車メーカーの新車販売台数増加が期待されます。

企業の採用動向

4 月 5 日よりインドネシアへの入国条件が緩和され、到着ビザ(VOA)の発給が再開されました。これにより駐在員の異 動が活発化し、それに伴う採用数も増加しています。コロナが落ち着いたタイミングで駐在員の世代交代を進める企業 が増え、多くの若い駐在員が着任しています。同時に、現地で長期にわたる勤務が可能な、現地採用へ切り替える動 きも見られます。 製造業を中心に求人ニーズが見られ、工業団地マネジメント企業、ホテル・サービスアパートメント業では特に求人数の 増加傾向がみられます。ポジションについては、コロナ禍では減少していた営業の求人が増えています。 また、建設業を中心に、プロジェクト増を見込んだ技術経験者の採用も活発化しています。

求職者の動向

インドネシア人求職者に関しては、レバランボーナス支給後から増加傾向にあります。インドネシア在住の日本人求職者 に関しては 1 年間の雇用契約であることから大きな増減は見られませんでした。また、日本在住の求職者はゴールデンウ ィーク後から増加傾向にあり、他国に比べ就労ビザ要件が容易なことから、特に 20 代後半から 30 代前半の求職者が アクティブに活動している印象を受けます。

求人数増減

対前年四半期比 125%
対前四半期比 101%

ベトナム:アフターコロナの回復基調が鮮明に

解説:JAC Recruitment ベトナム法人 社長 渥美 賢吾

6月末に発表された実質GDPは7.72%と昨年時における来期予測を大きく上回る数値となっています。
観光客の回復については政府の期待値には届かないものの、空港や市内中心地で、海外からの観光客と思われる人達を見かけるようになってきました。多くのカフェや小売店舗も店を開けるようになっており、肌感覚として、内需の回復を感じます。ウィズコロナを抜け、アフターコロナのフェーズに入った印象です。
昨年のロックダウン時に大きな痛手を被った製造業の工業団地においても陰性証明の提出が不要になっており、日本からの出張者も明らかに増えています。

企業の採用動向

季節要因として、例年旧正月(テト)明け 3-5 月の採用が活況になるベトナムマーケットですが、この 2 年間は採用を控 えていた企業も多く、反動需要と呼ぶべき引合いが大変強まっていると感じられます。 業界別では、特に活況なのは、建設・不動産業界で、コロナ禍以前に比べ不動産価格が高騰するなど、市場における 投資意欲は旺盛です。中間層が増えつつあるマーケットの不動産需要に対応すべく、各社事業投資意欲が高く、それ に伴う採用ニーズも発生しています。 また、コロナ禍で、ほぼ止まっていた新規進出の問い合わせが、メーカーを中心に増えてきています。

求職者の動向

ベトナム人の求職者の動きについては、過去 2 年間ほど慎重な傾向でしたが、経済状況の回復に比例し、活発になっ てきています。生活の足とも言えるバイクの燃料費が高騰し、支出の負担となっていることもあり、少しでも条件の良い会 社に転職をしようという動きが見られます。 日本からの海外転職希望者についても対ベトナムでは回復傾向です。年始から転職活動をはじめ、早々に内定を獲得 し、ビザや渡航の手続きを終え、この第 2 四半期から当地で勤務を開始した求職者も複数見られました。

求人数増減

対前年四半期比 127%
対前四半期比 111%

中国:ロックダウンで経済活動は大打撃を受けるも、採用活動は製造業を中心に継続

解説:JAC Recruitment 上海法人 アソシエイトダイレクター 大坪 裕子

年始から始まった各地でのロックダウン。特に上海では2ヵ月以上続き、世界経済にも大打撃を与えました。内需が落ち込み、毎年6月18日に行われるインターネット通販セール「618」の売り上げも、伸び率は前年実績比10.3%増と、昨年27.7%増と比べ大幅に鈍化しました。経済成長も2020年以来のマイナス成長に陥ると予測されています。ゼロコロナ政策を継続しつつ、5.5%前後という年間成長率目標を何としても達成するよう習近平国家主席が指示するも、経済停滞・景気縮小は避けられない状況です。

企業の採用動向

通常は旧正月明けに求人数や採用活動が活発化する傾向にありますが、今年は前年同期比 78%、前期比 63.5% と大きく求人数が落ち込みました。ただし、各企業の採用活動はオンライン面接で継続されており、当社が実施したアン ケート調査によると、45%の企業が「ロックダウン中も採用活動を継続」、27%が「ロックダウン解除後採用を検討」、とい う回答になりました。特に製造業・コンサルティング業界においてロックダウン解除後の回復を見越した採用継続が目立っ た一方、消費が落ち込んだ FMCG(日用消費財)業界では採用ストップという企業もみられ、業界によって大きくトレンド が異なる結果となっています。製造業ではロックダウン明けの 6 月に一気に需要を伸ばした企業も多く、増員に伴う採用 活動も目立っています。

求職者の動向

求職者は前期比 87.7%となりました。6 月は前月比 147%と増加しましたが、全体的に 1-3 月と比べると転職希望者 は減少する傾向となりました。ロックダウン中のため転職活動を様子見する層が一定数いたと考えられます。ロックダウン 解除後も、上海や北京といった都会での勤務を希望していた求職者が、両親の勧めもあり田舎に帰る・田舎に留まると いった動きが目立ちます。また、日本やその他の国から中国本土への転職を希望していた求職者も、封鎖リスクを考え 中国へ戻る選択をしない、という声が聞かれます。優秀な人材確保の難易度は依然高い見通しです。

求人数増減

対前年四半期比 78%
対前四半期比 64%

香港(中国香港特別行政区):第 5 波のピークが去り、2022 年第 3 四半期以降、GDP はプラスに転じる見通し。現地採用の課題は、業種を超えた専門職の流出

解説:JAC Recruitment 香港法人 社長 ジャネット・チョン

世界的な需要の鈍化と、2022年第1四半期から第2四半期の4月まで続いた過去最悪のパンデミックを受け、2022年上半期の香港経済はGDPが4%減少するなど、悪化しました。GDPの減少は2020年第4四半期以来で、ソフトロックダウンを実施した2020年第3四半期に匹敵する急激な落ち込みとなりました。
2022年第3四半期にはGDPが増加に転じ、2023年第1四半期には7.9%上昇すると予測されています。しかし国内経済については、4月以降、ソーシャルディスタンスの規制緩和が進み、経済活動が進展しました。第2四半期は、3-5月に失業率や不完全雇用(本人のスキルや希望に沿わない雇用状態)の状況が改善し、市場の変動が激しくなりました。第3四半期には2022年雇用支援制度(ESS/Employment Support Scheme)とともに、消費バウチャー制度(Consumption Voucher)が展開されることになっており、季節調整済み失業率は2-4月の5.4%から3-5月には5.1%へと0.3%低下しました。
コロナ感染状況の「Under Control(制御下にある)」状態が続いていることから、2022年の予想インフレ率は2%前後で維持される見込みです。

企業の採用動向

第 2 四半期は銀行、輸出、現地小売など、さまざまな業種の求人需要があり、問い合わせが増加しました。特に、飲 食業、製薬、物流業は積極的な採用を行っていますが、その多くがリプレイスメント案件です。 IT 業界では、デジタル変革において非常に強い競争力を持つ大企業やコングロマリットの中に、優秀な人材獲得のため に予算を増やそうという動きが出てきています。 テクノロジーの進化によってリモートワークが促進され、多くの企業はハイブリッドワークや週 4 日勤務を提供することで、市 場での競争力を維持しています。 テクノロジーや銀行・金融といった業種の、シニアエグゼクティブや C レベル(経営幹部職)では、有能な人材の流出が続 いており、現地で補うべき空席が増え続けているため、引き続き採用が困難な状況となっています。 現在の感染状況を鑑みると、国内の経済活動、小売業、ひいては労働市場は、今後数ヵ月間、改善が続く見通しで す。

求職者の動向

第 5 波の後、求職者は積極的になってきていますが、慎重な姿勢は崩しておらず、昨年に比べ、給与アップを強く求める ようになっています。日本市場においては、日本在住の日本人求職者が香港に戻りつつあります。技術系人材の採用は 引き続き企業にとって難題となっています。新世代はスタートアップ企業を望み、ゆったりと働ける環境を重視しています。 従来型の環境の企業では、カルチャーのミスマッチを避けるため、若い人材より、成熟した人材の採用に切り替えることを 検討しています。銀行・金融・保険といった業種については、業種内のみの転職傾向が続いていますが、求職活動は活 発で、競争も激しい状況です。企業統合や事業再編により、求職者市場に新たな人材が流入しています。

求人数増減

対前年四半期比 122%
対前四半期比 135%

韓国:求人件数は微減だが、一部の転職マーケットは売り手市場に

解説:JAC Recruitment 韓国法人 社長 土山 雄一郎

5月に韓国銀行が発表した経済展望報告書では、今年度の実質GDP成長率が2.7%に下方修正されました。下方修正の背景には、国内の防疫措置緩和など上方要因はあるものの、ウクライナ情勢や主要国金利引き上げ加速、中国の都市封鎖など、下方要因がより大きいことが挙げられます。一方で6月の消費者物価指数は昨年対比で6.0%上昇し、今年度の見通しは4.5%上昇と、大幅な上方修正が行われています。また、韓国の最低賃金委員会は6月末に、来年度の最低賃金を今年度比5%増の時給9,620ウォンで確定しました。

企業の採用動向

第 2 四半期の企業求人状況は前期比で 3%減、対前年同期比で 10%減となりました。世界的に消費者心理が冷え 込み、原料価格や物流費の高騰が続いていますが、その中で、半導体関連のサプライヤーは、財閥大手のサムスン電 子が、半導体事業の好調を背景に過去 2 番目の売上高を記録する見込みなど、堅調を維持していることもあり、採用 意欲も引き続き堅調です。また半導体分野に限らず、さまざまな業界で新卒や若手人材の採用計画が増えており、売 り手市場に変化しつつあります。その結果、適切な人材採用が思うようにできず、採用活動が長期化するケースも見ら れます。 コロナ第 6 波が夏に到来する可能性があると言われていますが、現時点では影響は軽微です。

求職者の動向

転職マーケットでは転職希望者が徐々に増加し始めていますが、堅調な求人件数と比較すると少なく感じます。 そのため、ポテンシャルの高い人材は売り手市場となっており、各社の採用競争が始まっています。 面接回数が多い会社や、会社都合で面接日時を決めている会社は採用競争において不利になるため、応募者に合 わせた柔軟な対応が求められます。 特に理工系の人材は需要が高く、採用を行う上で福利厚生を含めた賃金テーブルの見直しが始まっています。

求人数増減

対前年四半期比 89%
対前四半期比 96%

インド:売り手市場となり、企業の採用活動が長期化

解説:JAC Recruitment インド法人 社長 小牧 一雄

コロナ感染状況の改善により規制が緩和され、企業の動きや商業活動は通常の状態に戻りつつあります。ワクチン接種の普及もあり、第2波の落ち込みから経済は少しずつ回復の局面に向かいました。企業の業態にもよりますが、多くの企業が通常通りの営業活動を再開するなど、経済活動は活発化しています。インド経済監視センター(CMIE)によると、コロナ禍の影響で失業率は11.9%まで上昇しましたが、2021年11月時点で7.0%まで低下するなど、雇用状況は改善の傾向が見られ、経済活動もコロナ禍以前の水準まで回復してきました。

企業の採用動向

コロナ禍は収束に向かいつつあり、多くの日系企業では、感染に注意を払いながら、通常の企業運営を再開する傾向に あります。採用活動もコロナ禍以前の状況に戻り始め、オンライン面接と対面での面接を実施しながら、効率よく採用活 動をする企業が目立ちました。駐在員も復帰し、通常通りの営業活動に戻り始めたことから、特にサービス関連の営業 職や日系企業向けの営業職の採用が急増しました。これまで採用を保留していた企業も採用活動を再開するなど、採 用マーケットが活発化したことにより、特に即戦力になりうる人材には複数のオファーがあり、内定提示をしても辞退される ケースが散見されました。人材が不足していることから、スケジュール通りの採用が進まず、採用活動が長期化する企業 も見られました。

求職者の動向

感染者数が落ち着き始めた時期から、他国の求人にも応募をしながら、積極的にインド就業を目指す求職者が、増加 する傾向が見られました。コロナ禍の最新情報を収集しながら、今後のキャリア構築をじっくりと考え、インドで習得できる 経験とインド以外の国で習得できる経験を見極めながら、焦らず転職活動を進める求職者が増えたように感じられます。 1 人の求職者に複数のオファーがあることもあり、求職者のキャリア目標を把握し、インド就業で習得できる経験を正確に エージェントから求職者に提示するなど、企業とエージェントが密にコミュニケーションを取りながら採用活動を進めることが、 採用成功の確率を高める 1 つのポイントになります。

求人数増減

対前年四半期比 208%
対前四半期比 121%

日本:新規求職者数は、高めを維持。ウクライナ情勢や円安など景気下振れリスクも。外国人旅行客の受入れ再開など、国内消費は回復の見込み

解説:JAC Recruitment チーフアナリスト 佐原 賢治

コロナ禍の感染状況は第2四半期では概ね落ち着きを見せたものの、ウクライナ情勢悪化による資源価格上昇、中国のロックダウンに伴うサプライチェーンの混乱、また米国の利上げに伴う急激な円安による物価高騰など、企業はさまざまな景気下振れリスクに見舞われています。これが長引くと、安定的に増加している産業機械、建設機械の出荷額にもブレーキがかかりかねないほか、雇用や賃金への悪影響も懸念されています。
一方、6月から外国人旅行客の受入れが再開し、また円安が続いていることから、7月以降、サービス、観光など国内消費が一定の回復をすることが見込まれます。

企業の採用動向

2022 年 6 月の有効求人倍率は 1.23 倍と、前四半期から更に改善しています。当社に寄せられた日系企業の海外事 業関連の求人数も、年度末の駆け込み需要で増えた 1-3 月の水準を維持しています。特に、海外赴任を前提とする 求人は前年同時期の約 1.5 倍に増加しています。主にコロナ禍で先送りされていた、現任者の交替要員を社外に求め るもので、海外のマネジメント要員に乏しい中小企業で募集が活発に行われています。企業の属性別では「製造業」、 「大手」で求人が多く、「CASE(次世代自動車)」や「グリーン(脱炭素)」といった成長分野への投資に伴う募集が引き 続き伸びているほか、産業機械や電子部品などの業界で募集意欲が旺盛です。 一方、中国のロックダウンや半導体不足によって減産を余儀なくされている自動車業界では、完成車メーカーや大手ティ ア 1(一次請け)級の企業では引き続き求人意欲が旺盛ですが、中堅中小部品メーカー(ティア 2、3 企業)ではコスト 高や先行きの不透明感から募集意欲が減退しています。 各種先端分野では、海外企業との連携を伴う業務も多く、研究や技術など職務の専門性に加え、外国語力を必要と することから各社は採用に苦戦しています。また脱炭素対応で先行する欧州市場に対し、自社の技術を積極的に売り 込む営業系の求人が目立ちます。非製造業の求人も増加しており、小売りやコンテンツビジネスを行う企業で、海外向 けの Web マーケティングや実店舗のマネジメントを行なう人材を求める動きが再開しています。

求職者の動向

4-6 月の新規求職者(海外事業経験を有する登録者)数は、前期比 100%と横ばい。前年同期比では 94%とやや 減少したものの、近年の四半期別実績のなかでは比較的高めを維持しています。企業のグローバルビジネスの再開に伴 い、海外勤務経験者や英語を得意とする人材は一層企業から求められており、それ以外の人材と比べ、概ね 5~10% 程度、書類選考通過率が高くなっています。(注:4-6 月に行われた 1 次面接の候補者のうち、「海外勤務経験あり」、 「英語中級以上」の人材が占める割合から概算) さまざまな不透明感から求職活動への慎重ムードは残るものの、コロナ禍によって速度が増した社会変化への適応や、 社会課題解決への貢献意欲の高まりが人々の転職に対する潜在的な関心を高めています。 一方、企業の選考のハードルは高止まりしており優秀な人材の獲得競争は一層し烈であることから、先端ITやヘルスケ アなどの高度専門分野や海外ビジネスなどの知見・経験を有する人材を募集する場合には、より競合を意識した条件 設定やその他の魅力付け(柔軟なワークスタイルなど)を行う必要があります。

求人数増減

対前年四半期比 106%
対前四半期比 99%

※日本企業の海外事業関連求人

株式会社ジェイ エイ シー リクルートメントについて

1988年設立。スペシャリストや管理職の人材紹介に特化し、企業と人材を一人のコンサルタントが同時に担当する「両面型」のビジネスモデルとして国内最大規模の東証プライム市場上場企業です。国際ビジネス経験をもつ人材の紹介も強みの一つで、日本国内では外資系企業や日系企業の海外事業などのグローバル領域の売上が全体の50%以上を占めています。外資系企業の人材紹介に特化した JAC International、ジョブサイトの「キャリアクロス」を運営するシー・シー・コンサルティング、英国、ドイツおよびアジア8ヵ国で人材紹介業を展開するJAC Recruitment International Ltdのグループ会社、コンサルティング・金融業界に特化した人材紹介事業を展開するバンテージポイントを傘下に、世界11ヵ国、25拠点で事業を展開するグローバル企業です。

http://corp.jac-recruitment.jp (コーポレートサイト)

http://www.jac-recruitment.jp (転職サイト)

【プレスリリース「コロナ禍による規制の緩和に伴い、アジア全域で経済の回復が本格化 半導体や ICT、脱炭素関連など、成長分野の転職マーケットは売り手市場に アジア各国のホワイトカラー人材紹介市場の動向 2022 年 4 月~6 月」(PDF)より|2022年8月2日・株式会社ジェイ エイ シー リクルートメント】

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