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「高年齢者雇用安定法改正に準じた対応に関する状況調査」Works Human Intelligence調べ


70歳までの雇用機会確保、約7割の法人が「何もしていない」と回答 高齢者雇用の本質的な課題が明らかに

2022.07.04

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Works Human Intelligence(東京・港)は6月29日、統合人事システム「COMPANY®」のユーザー法人を対象に実施した「高年齢者雇用安定法改正に準じた対応に関する状況調査」(調査期間:2022年4月11日~4月28日)の結果を発表した。有効回答数は92。

調査結果によると、改正高年齢者雇用安定法の施行から1年が経過したにも関わらず約7割の法人が70歳までの雇用機会確保に対して「何もしていない」と回答したことが分かった。また、活躍が見込めるシニア層の継続雇用に意欲的な法人が6割を超える一方で、定年の延長については「対象者の報酬水準」「対象者のモチベーション」「人件費の高止まり」が三大課題となっていることも明らかになった。

WHI総研シニアマネージャーの伊藤裕之氏は、高年齢雇用拡大における法人の課題は大きく、法改正だけでは変化を生み出せない実態があるとし、企業は現在の40歳代後半~50歳代がシニアとなる前に「①長く働いてもらうためのサポート」「②変化への対応とキャリア向上の意識変化」といった施策の検討が必要になる、とコメントしている。リリースより。

【関連サービス】「COMPANY®」サービス一覧(@人事サービスガイド)

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本調査の背景

2021年4月に改正高年齢者雇用安定法が施行されたことにより、65歳までの雇用確保義務に加え、70歳までの就業確保措置をとることが努力義務として追加されました。
少子高齢化が進む中で、現役世代の負担軽減と財源確保のために、政府は公的年金の受給開始年齢を段階的に引き上げる措置を講じています。同時に、不足する労働力の確保、および働く意欲がある誰もが、年齢にかかわりなくその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境整備を図ることが求められています。
さらに法人の人材活用において、人を資本と捉え価値向上に努めるべきという“人的資本経営”への注目が集まる中、従業員のキャリアの築き方、長期的にパフォーマンスを発揮し続けるためのしくみ作りに関心が高まっています。
本調査では、改正高年齢者雇用安定法の施行から約1年が経過した現在、法人ではどのような対応をとっているのか、また50歳以降のミドルシニアからシニア層のキャリア形成に向けて、法人でどのような取り組みを行っているのかを明らかにするために実施しました。

高年齢者雇用に関する調査結果概要
  1. 改正高年齢者雇用安定法の施行から1年が経過するも、約7割の法人が、70歳までの雇用機会確保(定年延長、再雇用、勤務延長制度の導入等)について「未対応」という状況。
  2. 定年延長の三大課題は、「対象者の報酬水準」、「対象者のモチベーション」、「人件費の高止まり」。今後、定年延長後の報酬水準の見直しを検討している法人は31.8%にのぼる。
  3. 再雇用や勤務延長制度等による定年以降の継続雇用についての二大課題は「対象者の報酬水準」と「対象者のモチベーション」。一方で、定年以降の継続雇用について「対応予定なし」の法人が半数にのぼる。
  4. 6割以上の法人が、活躍が見込まれるシニア層の継続雇用に意欲的である
  5. 総括(解説:WHI総研※シニアマネージャー 伊藤 裕之)
  6. 調査概要

1) 改正高年齢者雇用安定法の施行から1年が経過するも、約7割の法人が、70歳までの就業機会確保(定年延長、再雇用、勤務延長制度の導入等)について「未対応」という状況。

設問Ⅰ.2021年4月の法改正における70歳までの雇用機会確保(努力義務)について、どのような制度を取り入れたか教えてください n=90

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70歳までの雇用機会確保(定年延長、再雇用、勤務延長制度の導入等)に向けて「何もしていない」と回答した法人は63.3%、70歳までの対応を行う前に、65歳までの対応を拡充(何もしていない)と回答した法人は4.4%となり、合計67.7%の法人が2021年4月の改正高年齢者雇用安定法の施行から1年が経過しても対応を行っていない現状が明らかになりました。
何らかの制度を取り入れている場合の内訳としては、再雇用や勤務延長制度等の70歳までの継続雇用制度を導入した法人が26.7%、70歳までの対応を行う前に65歳までの内容の拡充を行った法人が4.4%、70歳以上への定年引上げを行った法人が3.3%、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度を導入した法人が2.2%という結果が得られました。

2) 定年延長の三大課題は、「対象者の報酬水準」、「対象者のモチベーション」、「人件費の高止まり」。今後、定年延長後の報酬水準の見直しを検討している法人は31.8%にのぼる​

設問Ⅱ.定年延長についての課題を教えてください。(複数選択可)n=92

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設問Ⅲ.定年延長について今後の取り組み予定を教えてください(複数選択可)n=88

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定年延長についての課題として、特に「対象者の報酬水準」、「対象者のモチベーション」、「人件費の高止まり」の3つが挙がりました。
また、定年延長についての今後の取り組み予定としては、特に変更を考えていない法人が半数を占めており、多くの法人で定年延長とは異なる手段で高年齢者雇用の対応を検討している様子がうかがえました。一方で「定年延長後の報酬水準の見直し」を検討している法人が31.8%となっており、設問Ⅱで浮かんだ「対象者の報酬水準」の課題に対して、何らかの取り組みを検討していることが考えられます。

3) 再雇用や勤務延長制度等による定年以降の継続雇用についての二大課題は「対象者のモチベーション」と「対象者の報酬水準」。一方で定年以降の継続雇用について「対応予定なし」の法人が半数にのぼる。

設問Ⅳ.定年以降の継続雇用者について、課題を教えてください(複数選択可)n=83

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設問Ⅴ.定年以降の継続雇用者について、今後の取り組み予定を教えてください(複数選択可)n=84

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定年以降の継続雇用者についての課題としては「対象者のモチベーション」、「対象者の報酬水準」が特に目立つ結果となりました。また、定年延長についての課題と比較すると、「人件費の高止まり」の割合が小さいことが明らかになりました。定年以降の継続雇用者について、法人の今後の取り組み予定としては、「継続雇用制度内容の見直し、対象年齢の変更」が32.1%、「継続雇用者の報酬水準の見直し」が28.6%、「継続雇用者の評価制度の見直し」が22.6%という結果となりました。一方で、多岐にわたる課題の所在に対して、「特に変更予定はない」と回答した法人が50%にのぼっており、定年以降の継続雇用者に対する取り組みを積極的には行っていない傾向がうかがえます。

4) 6割以上の法人が、活躍が見込めるシニア層の継続雇用に意欲的である。

設問Ⅵ.シニア層の活用に向けて、貴社の方針について教えてください(複数選択可)n=88

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シニア層の活用に向けて、「活躍が見込めるシニア層を継続雇用、活用し、知見やスキルを業務に活かしてほしい」と考えている法人が62.5%となり、活躍が見込めるシニア層の継続雇用に意欲的な傾向が明らかになりました。

総括(解説:WHI総研※シニアマネージャー 伊藤 裕之)

アンケートからは、2021年4月の高年齢者雇用安定法の改正に対して、積極的な導入を進めている法人は少ないという結果が明らかになりました。背景には、法人側にとって高年齢雇用を拡大していくことに課題が大きく、法改正だけでは変化を生み出すことができない実態があると考えられます。
高年齢雇用については、大きく分けると3つの本質的な課題が明らかになりました。
  1.多くの法人にとってメリットを感じない
  2.現在対象となっているシニアに対して、何か手を打つには遅い
  3.次の対象となる中高年層の活性化に対する効果的な打ち手が不明
一方で、各法人において多数を占める、現在の40歳代後半~50歳代がシニアとなる前に何らかの対策が必要となるのではないでしょうか。具体的には、長く働いてもらうための配慮は前提としつつも、変化への対応やキャリア向上への意識とセットで施策の検討が必要になると考えます。

①長く働いてもらうためのサポート
有効と考えられる施策
・個人差(キャリア感、体力・気力、ライフプラン、家族状況等)を考慮した柔軟性のある配置や制度設計
・これまでのキャリアの振り返り、特に第3者目線のコーチング、カウンセリング
・50歳前後から、60歳以降を見据えた情報共有、セミナーや勉強会の実施
・「いずれは皆シニアになる」若手や中堅世代、特に実務上でサポートの中心となる、現場管理職への理解と協力

②変化への対応とキャリア向上の意識変化
有効と考えられる施策
・若手だけでなく、中堅・ベテラン層に対するキャリア教育、スキル獲得推進
・自らの知見や経験、専門性の発信や伝達の機会を創出するとともに、教育係に回るだけでなく、自ら成果を生み出すことを高く評価し、年齢だけで一律に処遇を決定しない
・部門や事業部門を横断した、新規事業や価値創出タスクに対する、積極的なアサイン。専門性を生かしつつ、新たな領域へのチャレンジと若手社員との交流の機会を増やす
・上記3点を実践できている社員を、モデルケースとしての社内への周知。シニア社員に不足しがちな、承認欲求を満たす

ポイントとして、会社が一律で決めるのではなく、シニアになっても第一線で成果が出せる道や自分のペースで働ける道を、本人が自分事として選択できるしくみ作りが必要になると考えます。その結果として、従業員の働くモチベーション減少を防ぐことに繋がっていくのではないでしょうか。

解説者プロフィール

画像:伊藤 裕之(いとう ひろゆき)  株式会社Works Human Intelligence WHI総研 シニアマネージャー

伊藤 裕之(いとう ひろゆき)
株式会社Works Human Intelligence WHI総研 シニアマネージャー
2002年にワークスアプリケーションズ入社後、九州エリアのコンサルタントとして人事システム導入および保守を担当。その後、関西エリアのユーザー担当責任者として複数の大手法人でBPRを実施。現在は、17年に渡り大手法人の人事業務設計・運用に携わった経験と、約1,200のユーザーから得られた事例・ノウハウを分析し、人事トピックに関する情報を発信している。
※WHI総研:当社製品「COMPANY」の約1,200法人グループの利用実績を通して、大手法人人事部の人事制度設計や業務改善ノウハウの集約・分析・提言を行う組織。

調査概要

調査名:高年齢者雇用安定法改正に準じた対応に関する状況調査
期間:2022年4月11日~4月28日
調査機関:自社調べ
対象:当社製品「COMPANY」ユーザーである国内大手法人92法人
調査方法:インターネットを利用したアンケート調査
有効回答数:92

WHI調査レポートとは ~HR領域における大手法人の実態を調査~

当社の製品・サービスは、約1,200の日本の大手法人グループにご利用いただいており、そのほとんどが当社のユーザー会「ユーザーコミッティ」へ加入しています。オンライン会員サイトをはじめとしたユーザーコミッティのネットワークを通じて、当社では適宜、社会・経済情勢に合わせた諸課題について調査を実施。その結果を製品・サービスに反映するとともに、ユーザー法人様・行政機関・学術機関への還元を行っています。(ユーザーコミッティについてはこちら https://www.works-hi.co.jp/service/user-committee 

WHIについて

WHIは大手法人向け統合人事システム「COMPANY」の開発・販売・サポートの他、HR関連サービスの提供を行っています。「COMPANY」は、人事管理、給与計算、勤怠管理、タレントマネジメント等人事にまつわる業務領域を広くカバーしており、約1,200法人グループへの導入実績を持つ、ERP市場人事・給与業務分野シェアNo.1※の製品です。
私たちは、日々複雑化・多様化する社会課題に対してあらゆる「人の知恵」を結集し解決に取り組み、すべてのビジネスパーソンが情熱と貢献意欲を持って「はたらく」を楽しむ社会を実現します。
※2020年度 ERP市場 – 人事・給与業務分野:ベンダー別売上金額シェア
出典:ITR「ITR Market View:ERP市場2022」

株式会社Works Human Intelligence Webサイト https://www.works-hi.co.jp/

【プレスリリース「【WHI調査レポート】高年齢者雇用安定法改正から1年、70歳までの雇用機会確保『未対応』の法人が約7割より|2022年6月29日・株式会社Works Human Intelligence】

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■70歳まで活躍できるキャリアプランとは? 高齢者雇用安定法の意義
改正高齢者雇用安定法について概要を整理したうえで、各企業が高年齢者の持つ力をいかに戦略的に活用することができるかについて、前・後編にわたり考察を行います。前編は、高年齢者雇用安定法の基礎理解として制度の成り立ちや概要、目的、そして今回の2021年4月施行の改正点について整理します。
【おすすめポイント】
・現在の高年齢者雇用安定法の成り立ちと概要
・高年齢者雇用安定法が存在する理由
・2021年4月の高年齢者雇用安定法の改正点
【解説:伊藤裕之(株式会社Works Human Intelligence)】

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