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人事の10分読書vol.12『つぶれない会社のリアルな経営経理戦略』

2022.02.16

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@人事が、本の要約サイト「フライヤー」とコラボし、人事のスキルアップにつながる書籍の要約をお届けする連載企画「人事の10分読書」。
第12回は『つぶれない会社のリアルな経営経理戦略』(クロスメディア・パブリッシング)を紹介する。

>>>「人事の10分読書」シリーズ

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目次
  1. レビュー
  2. 著者プロフィール
  3. 『つぶれない会社のリアルな経営経理戦略』の要点
  4. 潰れない会社を目指そう
  5. 【必読ポイント!】 潰れないためには負けない経理戦略を立てよう
  6. 経理的視点から見る、事業の育て方
  7. 一読のすすめ

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レビュー

昨今、「事務社員はアウトソーシングで十分」と経理部門を縮小したり、経理社員を置かない組織が増えている。しかし、民間企業での経理・管理業務を経験し、IPO達成や経営再建も手がけてきた著者は、その結果、経理的発想に乏しい、つまりディフェンスに弱い企業が増えたと懸念している。実際、新型コロナウイルス感染症の影響などの大きな外部環境変化が起きた途端、経営者が経理・総務的な仕事に振り回され、肝心な経営判断に集中することができなくなる会社が少なくないそうだ。

著者は「経理処理が無駄」という言葉を聞くと非常に違和感があるという。請求書はただの紙やデータではなく、その一つひとつが取引先に対する貢献や感謝の結晶である。自動化・効率化することは必要ではあるが、その意味を忘れないようにすること。そのような積み重ねが、経理的視点から考える黒字化に必須な「経理的マインドセット」につながるのだろう。

本書を読むと、経理・管理業務を担うバックヤード部門を「コスト」と認識することの危うさがよくわかる。特に、「削減しても平時は問題ない」と、まるで危機が起きないかのような前提で会社の体制を変えてしまえば、実際に危機に陥ってから体制を整え直すことは困難だろう。

経理担当でなくとも、「経理的マインドセット」を持っている人は、利益を出すという視点で自分の業務を見直すことができる。そうすれば、会社を危機に強くすることにつながり、またその本人の仕事も評価されやすくなるだろう。経営や経理にかかわる人に留まらず、「経理」という言葉に馴染みがない人にほど、一読していただきたい一冊だ。

【大島季子(ライター詳細)】

著者プロフィール

前田康二郎(まえだ こうじろう)
流創株式会社代表取締役
数社の民間企業にて経理業務を中心とした管理業務全般に従事し、2008年に経理部長としてIPOを達成。その後中国・深圳に駐在。現地法人の設立、内部統制業務などに携わった後、2011年に独立。独立後はリーマンショック後、経営難に陥っていた企業の経営再建案件等に従事。実際に会社の組織へ入り、実務面を中心とした組織全体の業務改善や計数チェックを行うと同時に、経営者や従業員へ、経理的視点から見た、黒字化に必須な「経理的マインドセット」の指導を実施。数字を意識した行動に会社全体が変わることで業績も変わり、黒字化を達成し、自走できる組織へと改善させている。現在は、ベンチャー企業、IPO準備企業等の顧問、社外役員等も兼務している。

『つぶれない会社のリアルな経営経理戦略』の要点

  1.  潰れる会社と潰れない会社の違いは、平時からネガティブな事態についても想定しているかどうかだ。
  2. 社員の誰もが経理的なマインドセットを持つことができれば、社内コミュニケーションが円滑になり、社員自身の評価も会社の数字も向上する。
  3. 財務戦略だけで経営は維持できない。「稼ぐ力を社内でつくり、どうやりくりして利益を残していくか」という経理戦略とセットで社員に経理的マインドセットを浸透させていく必要がある。

潰れない会社を目指そう

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潰れることを想像することから始めよう

あなたは「会社が潰れること」を想像したことがあるだろうか。会社を潰さないための行動は、実は「会社が潰れること」を想像することから始まるのだと著者はいう。そうすることで、絶対にそうならないよう、今何をすべきかを考えるようになるのだ。

一番潰れる可能性が高いのは経営者も社員も「頑張る方向性が間違っている」パターンだ。頑張って赤字なのだから、「頑張りが足りないからもっと頑張ろう」とすると、さらに赤字に陥ってしまう。こうした会社は、頑張ることはできているのだから、外部からの客観的意見で軌道修正をすると、すぐに数字がよくなることが多い。

一方で、潰れない会社は「計数感覚」がある会社だ。実際の現場では「情」によって計数感覚が鈍ることが多々ある。「あの社員は数字が出ていないが頑張っている」「全然売れない商品だが皆のお気に入りだから廃番にしたくない」。そういった情で計数感覚が偏っていないか、経営者はチェックを怠ってはいけない。

また、数字管理のタイムマネジメントに厳しい会社も潰れない。著者の経験では、赤字会社はいろいろな数字管理タイムマネジメントが遅い。とにかく月次決算をきちんとやり、正しい数字で早く経営判断をするようになるだけでも、数字は変わってくる。

そうしてしぶとく生き残る会社には「外的環境の変化」というチャンスが廻ってくるものだ。経営は売上や利益を伸ばすという前提に加え、いかに潰れずに存続できるかという視点が重要なのだ。

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