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セミナーレポート 


小室淑恵氏が解説。心理的安全性の高いオンライン会議を運営する方法

2021.09.02

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新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけにさまざまな会議がオンラインで行われるようになった。一方で、オンライン会議がリアル会議よりも時間がかかり過ぎていたり、活発な議論が出にくかったりといった課題に悩む企業も少なくない。企業の経営方針や事業戦略から、チームの目標共有・情報交換に至るまで、生産性の高いオンライン会議の企画・運営は人事・総務担当者の関心も高い。
そこで、7月8日にワーク・ライフバランス社が主催したセミナー「小室淑恵と体験する心理的安全性の高いオンライン会議と、多様な意見があふれ出すオンライン会議のやりかた」から、小室淑恵氏が解説した、オンライン会議の課題と、心理的安全性を高めながら多様な意見を引き出す会議運営のノウハウを抜粋して紹介する。

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目次
  1. なぜ心理的安全性の高い会議が生産性も高いのか
  2. イノベーションが起きる会議へシフトさせるには
  3. オンライン会議でよく起きる課題と対策
  4. 会議のグランドルールを設定しながら、心理的安全性と効率を両立させた会議を目指す
  5. セミナー概要

なぜ心理的安全性の高い会議が生産性も高いのか

セミナーのキーワード「心理的安全性」について小室氏は、高い生産性は「有能な人材」「リーダーシップ」などが要因ではなく、「心理的安全性が高い」 環境が整備されていることが要因である点を、Google社の事例を紹介しながら説明した。

画像:セミナー「1000社の働き方改革実績から~ 小室淑恵と体験する心理的安全性の高いオンライン会議と、多様な意見があふれ出すオンライン会議のやりかた」より

「管理職の方が自分の性格やこれまで経歴がどうだからとマネジメントのやり方にこだわっていてはいけません。『心理的安全性の高い会議を作ることこそが業績に直結するから、それがあなたの仕事です』と、管理職の方にしっかりお伝えいただきたい。今まで緊張してなかなか発言できなかったようなチームが、和気あいあいと意見もたくさん言いあえて、意見のぶつかり合いから化学反応が起きイノベーションにつながります」(小室氏)

また、小室氏は、オンライン時代が「大変で不便だったもの」と結論づけて、オンラインでの生産性向上の努力をせずに「リアル・対面・出社社会」に戻っていこうとする考え方では、インフルエンザやウイルスが猛威を振るうたびに「しのぐ仕事の仕方」を繰り返すことになり、「組織として勝てない」と主張。効果的なオンラインミーティングの実施をはじめとした、オンライン環境での戦い方でも勝てる戦闘力を身につけ、「目的に対する最適な手段を常にチョイスできる組織に生まれ変わっていることが重要」だと説明した。

イノベーションが起きる会議へシフトさせるには

生産性の高い、イノベーションが起きる会議はどのように要件が必要になるのか。
小室氏は、ポイントの1つとして、「多様な人材がフラットに議論できる場を作ることができるか」を挙げ、イノベーションが起きるための組織のあり方を、営業チームのケースで次のように説明した。

画像:セミナー「1000社の働き方改革実績から~ 小室淑恵と体験する心理的安全性の高いオンライン会議と、多様な意見があふれ出すオンライン会議のやりかた」より

図の左側で示す従来型の組織は、同じ場所へ同じ時間に出社できる人の集まりであるということが前提で、こうした組織は、1つの正解を探しに行く、組織で意見を正解にそろえていく会議というのが多かったと小室氏は指摘する。
さらに、リーダーばかりがしゃべる“リーダーの独演会”と評し、「みんなはリーダーの考えに正解を学んで、その会議が終わったらその方向に走っていく、そういうために行っていたのが今までの会議でした」と説明した。

一方で、現在は多様な働き方が認められる時代になり、介護や育児などで時間制約を持つ人たちは、同じ時間、場所に集まることは難しくなっている。
「オンラインの中で、この時間帯ならば全員が参加できるというときに効率よく集まり、結果を出していかなくてはならない。つまり、山の頂上をしっかり確認したら、それぞれの持っているいろいろな武器を確認しあって、『いいね、そのやり方。そのひな型いいね』と、どんどん共有し、それぞれが自力で最後は登って行かなければなりません」(小室氏)

小室氏は、見える化・共有化に加えて、最も重要なことはモチベーションを高めることだとし、そのために会議に求められるものが変わってきていると強調した。
「テレワークが進むと、1人1人を上司が監視したりできません。在宅でいかにそれぞれがモチベーション高くやってもらえるかが鍵を握ります。社員自身の内発的な動機で仕事をしてもらう時代になりました。そうすると、会議は上から締め上げられるような、「お前どこまでやったんだ? この通りやったのか?』ではなくて、『いいね、いいね』と褒められてやる気が上がり山に登りたくなるような会議をしないと、いざ会議を解散したらみんなモチベーションが下がって仕事しないという風になってしまいますから、会議に求められることが大きく変わってきたのです」

オンライン会議でよく起きる課題と対策

画像:セミナー「1000社の働き方改革実績から~ 小室淑恵と体験する心理的安全性の高いオンライン会議と、多様な意見があふれ出すオンライン会議のやりかた」より

次に、オンライン会議でよく起きる課題と、目指したい会議の姿を解説した。
小室氏は限られた時間のなかで、前半は上司も部下も関係なくフラットに発言が重ねられて多くの意見が集まり、後半は合意して時間内でタスクを確実に持ち帰るところまでをしっかり出来る会議を目指してほしいと提示した上で、「何より楽しく笑いにあふれた会議にしたい、を1番の目的としてほしい」と語った。

画像:セミナー「1000社の働き方改革実績から~ 小室淑恵と体験する心理的安全性の高いオンライン会議と、多様な意見があふれ出すオンライン会議のやりかた」より

※画像をクリックすると拡大します

また、心理的安全性の高い会議を運営するコツとして、「役割カード」を紹介した。【上写真】
会議の参加メンバー各自が役割を持つことで、会議に対する意識が高まり、意見が活発に出せる雰囲気も作ることができるという。
例えば「アクションリーダー」は、この会議でのアクション(いつまでに誰が何をするのか)を確認し、確実に実行するためのサポートを行うのが役割だ。「このように何をするかあらかじめを決めておくと、その方は少なくとも自信の役割にしっかり集中して参加できますので、結果的に会議の時間が守られたり、ゴールが達成しやすいですよ」(小室氏)

小室氏のおすすめは、「反応リーダー」で、会議中に反応がなく無音になることで、発言者が不安から話しすぎてしまうことを防いだり、笑いが起きて和やかな雰囲気にしたりする効果が期待できるという。
「みんなで会議をする時、3人くらいがマイクをミュートではなくオンにして、『うんうん、なるほどね。』と、相づちを入れます。誰かの声が入るだけで、『あ、反応がある。しかもうなずいてくれているな』と安心できます。マイクをオンにしないでもカメラがオンなら大きめのジェスチャーで丸をする、といったやり方もあります。このように反応をすること自体が自分の役割だという方が何人かいてくれるだけで、会議は和やかに進んだり、非常に話しやすく心理的安全性の高い会議ができるのです」

会議のグランドルールを設定しながら、心理的安全性と効率を両立させた会議を目指す

小室氏は、心理的安全性と効率を両立させた会議のポイント「無記名」「同時性」「短時間」「記録型」「共感型」について解説した。
「今までのリアル会議では、口頭で話すがゆえに、誰が発言したのかが大きなポイントになっていましたが、オンライン会議ではぜひ、『無記名』で意見を『同時に』『短時間」で出すということを、あえてやってみてください。今日は『カエル会議オンライン」※というツールを使いますが、皆さんの会社で使っている、無記名で同時に編集できるツールを使ってぜひ挑戦してみてください」
参加者は、4~5人程度の小グループに分かれて、5分間で働き方の課題を一斉に書き出したり、次の5分間でその課題の解決策を一斉に書き出したりした。口頭ではなく、書き出すことで5分間という限られた時間内であっても、多くの建設的な意見が集まることを体験した。また、小室氏によると、出てきた意見に「いいね!」をつけ、共感をより多く集めた項目は優先順位をあげて議論するようにすることで、会議の参加者にとって改善したいことが放置されずに改善が進んでいく効果もあるそうだ。

ワーク・ライフバランス社の会議では5分で100個ほどのアイデアを出している、としたうえで、「どうしても口頭で話していくと、自分の話す1番良い1個を言おうとするため、みんなで『正解を言おう』と1個だけを出し合おうとしてしまう。『何でも良いので、書いてみてください』と言われると、とにかく書いて量を出していこうと思考が働き、結果いろいろなアイデアが出やすくなり、いわゆるブレストのようなことがオンラインでも可能となります」とコツを説明した。無記名で書くことで肩の力を抜いて、思い切った意見をかけることや、同時に書いて一斉に出すことによって、上司に意見を聞いてから皆がそれに同調するようなこともなくなるので、多様で斬新な意見がフラットに出し合える会議が実現するという。

また、口頭で意見交換するのではなく、一斉に「書く」ことによって普段の会議で話す能力のある人に隠れがちな、書く能力に優れた人の意見も引き出せる点がメリットだという。
「チームで中心的な人物というのは、話が上手な人が多いですよね。しかし、実は書くのが有能な人はとても仕事ができる人が多い。今までの会議スタイルでは、口頭で強く主張しないことで意見が通らなかったことも多かったと思いますが一斉に書き出すスタイルにすることで、その人の意見に皆の共感があつまり、『こんな良いアイデアを持っていたんだ』と多様なメンバーが能動的に意見を出せる会議になるのです」

小室氏はこうしたポイントに挙げたものを実践し、「オンラインでもしのげる」のではなく、オンラインならではのやり方、より高いレベルのやり方に変えていくことで、若手をはじめ、リアル会議では気付きにくかった新たに活躍するメンバーも登場する可能性を示唆した。
「私たちがサポートしている企業では、若手が今までの会議よりも活躍しやすくなったという声をよく聞きます。若手が発言しやすくなったとも言えますね。『今までの会議がベストだ』と言う方は、その手法で活躍できていた人です。新しいスタイルにすると、新たな人も活躍するということも楽しみにしていただけたらと思います」

画像:セミナー「1000社の働き方改革実績から~ 小室淑恵と体験する心理的安全性の高いオンライン会議と、多様な意見があふれ出すオンライン会議のやりかた」より

最後に小室氏は、このセミナーで解説したノウハウやテクニックをオンライン会議で実践しながら、効果的にブラッシュアップしていくための方法の1つとして、「会議の最後に振り返るとよい項目」を紹介した。
「7つのポイントを振り返ることができると、次の会議の時には気を付けようと思い返せるようになる。グランドルールと呼んでいますが、会議のグランドルールを設定しつつ、『会議とは、このようなスタイルで前向きに臨むものだよね』と確認していけると良いと思います。
オンライン会議だからやりにくい、生産性が低い、となってしまわず、むしろ平時にもこのやり方が最も生産性が高いのでは、という会議方法をどんどん発見していっていただけたらと思います。」【おわり】

※【参考】セミナーではワーク・ライフバランス社が提供するツール「カエル会議オンライン」を実際に使いながら、参加者が心理的安全性の高い会議の運営、参加を体験した。
「チームの働き方改革をガイドする[カエル会議オンライン]」(株式会社ワーク・ライフバランス)
https://work-life-b.co.jp/service/kaeru.html

セミナー概要

~1000社の働き方改革実績から~ 小室淑恵と体験する心理的安全性の高いオンライン会議と、多様な意見があふれ出すオンライン会議のやりかた

開催日時:2021年7月8日(木)14:00~15:40
開催方法:オンライン(zoom)
参加費:無料
対象:企業人事担当者、マネージャー、職場の会議ツールをお探しの方
■タイムテーブル
・14:00~14:30 コロナ前と後、会議のありかたはどう変わったの?小室が解説します。
・14:30~15:00 心理的安全性&生産性の高い会議のやり方を体験してみましょう。
・15:00~15:15 ツールを使った効率の良い会議事例
・15:15~15:30  質疑応答 
・15:30~15:40  会議ツール体験時間(ご都合のつくかたはぜひご参加ください)

画像:セミナー「1000社の働き方改革実績から~ 小室淑恵と体験する心理的安全性の高いオンライン会議と、多様な意見があふれ出すオンライン会議のやりかた」より

心理的安全性の高い会議を運営するコツとして「役割カード」を紹介する小室淑恵氏(右)

講演者プロフィール

小室淑恵(こむろよしえ)
株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長

ワーク・ライフバランスコンサルティングを1000社以上に提供し、労働時間の削減や有給取得率の向上だけでなく、業績の向上、社員満足度の向上、自己研鑽の増加、企業内出生率の向上を実現。長時間労働体質の企業を生産性の高い組織に改革する手腕に定評がある。安倍内閣産業競争力会議民間議員、経済産業省産業構造審議会、文部科学省中央教育審議会、環境省「働き方改革」加速化有識者会議委員などを歴任。著書は『プレイングマネージャー「残業ゼロ」の仕事術』(ダイヤモンド社)『働き方改革生産性とモチベーションが上がる事例20社』(毎日新聞出版)『6時に帰るチーム術』(日本能率協会マネジメントセンター)『マンガでやさしくわかる6時に帰るチーム術』(日本能率協会マネジメントセンター)『男性の育休家族・企業・経済はこう変わる』(共著、PHP新書)等、約30冊。「朝メール.com」「介護と仕事の両立ナビ」「ワーク・ライフバランス組織診断」「育児と仕事の調和プログラムアルモ」等のWEBサービスを開発し、1000社以上に導入。「ワーク・ライフバランスコンサルタント養成講座」09年から開催。卒業生は2000名。約600名が加盟・認定コンサルタントとして全国で活躍中。私生活では二児の母。

※編集部注:記事で使用している画像は株式会社ワーク・ライフバランスの許諾を得ているものです。

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■越川慎司氏に聞く、リモート&出社勤務のチームビルディング
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【@人事編集部(株式会社イーディアス)】

仕事で良いチーム作りをするために、大切なのは「心理的安全性」

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