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編集部通信

【レポート】人事の学び舎Vol.19 DXの本質を理解し、事例から解決策を学ぶ


バックオフィスでDX導入が進む企業と進まない企業の違い

2021.07.30

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ITの活用・導入でバックオフィス業務の無駄をなくし、企業全体の生産性や効率性を高めるDX(Digital Transformation=デジタルトランスフォーメーション)を推進するため、各企業でも様々な施策やツールの導入が進みつつある。しかし、ツール導入前の課題整理や実施後のマネジメント、部署間の連携不足などの要因でDX導入につまづく企業や、「DXの重要性やバックオフィスとの関連性がわからない」「何から始めればよいのか分からない」といった課題を抱え、DX導入に着手できないという企業も少なくない。

@人事が主催した人事・総務向けアカデミックイベント人事の学び舎vol.19のプログラムより、DX推進に成功する企業と失敗する企業の違いや、DX導入時に直面することが多い障壁の実例、バックオフィスでDXを導入すべき本質的な理由などを紹介する。

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目次
  1. 社内DXが進んだ企業の実例とその秘訣【一般社団法人IT顧問化協会代表理事 本間卓哉氏】
  2. いい会社はバックオフィスが強い ~経営を強くするDX成功事例~【株式会社マネーフォワード 藤田綾香氏 】
  3. 組織変革ディレクターが解説!失敗から学ぶ「DXがうまく進まない真の原因とは?」【株式会社カイシン 牧野真雄氏】
  4. 離職防止の観点から組織を強くする~DXは手段であり目的ではない~【株式会社Donuts佐怒賀奨吾】
  5. まとめ:なぜバックオフィスがDXを行うべきかをあらためて考える
  6. セミナー概要

社内DXが進んだ企業の実例とその秘訣【一般社団法人IT顧問化協会代表理事 本間卓哉氏】

画像:セミナースライド【一般社団法人IT顧問化協会代表理事 本間卓哉氏】(@人事主催人事の学び舎vol.19より

社内DX推進のITツールの選定から導入・サポートの実績を持ち、バックオフィスのIT化についてまとめた『売上が上がるバックオフィス最適化マップ』の著者でもある一般社団法人IT顧問化協会代表理事の本間卓哉氏。バックオフィスを含む社内DXを進める際に直面する障壁や、その解決策について自身が業務効率化推進に関わった経験を基に詳細解説した。

本間氏は、「目まぐるしいデジタル技術の変化に対応するためには、企業内の業務の仕方を可変的に変えていくことが必要であり、バックオフィスにおいてもアナログ中心の業務フローを時代に合わせてIT化させていくことが求められる」と社内DXが必須となる理由を指摘。その上でDX化を進めるためには以下の3点の環境を整備し、推進の基盤とすることが重要と述べた。

  1. いつでも見れる環境
    (データをリアルタイムに使いたい形で使用できるか?)
  2. いつでも変化できる環境
    (変化に迅速に対応できるデリバリースピードを実現できるか?)
  3. データ共有・連携ができている環境
    (部門を超えてデータを全社最適で活用できているか?)

画像:セミナースライド【一般社団法人IT顧問化協会代表理事 本間卓哉氏】(@人事主催人事の学び舎vol.19より

企業が目指すべきDXの達成度についてもレベル1から5までの状態を紹介した。本間氏は「日本企業において、DX施策は最低でもレベル4までは到達すべきだが、多くの企業が一部でしか施策が進められていないレベル1の状態にある」と日本の企業の現状について語った。また、「レベル4まで達したとしても、そこで終わりではなく持続的な施策の継続が可能な体制づくりが求められる」と言及。

紙やExcel中心のバックオフィス業務から各システムのIT運用を進めた企業の改革事例を基に、「変革の第一歩として企業全体の業務課題の把握と整理を行い、業務効率化のツール導入などの施策導入しながら、最終的なDX化の地点を目指すロードマップづくりを行う必要がある」と長期的なDX推進のフローを解説した。

縦割り型組織では、個別最適が優先され全社的な効率化が達成できない

画像:セミナースライド【一般社団法人IT顧問化協会代表理事 本間卓哉氏】(@人事主催人事の学び舎vol.19より

また、本間氏は「縦割り型が多い日本の企業では各部門ごとにIT導入の最適化が行われている場合がありますが、これでは個別最適になってしまって全社的な効率化が達成できない」と指摘した。この打開策として本間氏は「組織全体で課題を抱え、縦割りではなく横串で各部門の業務を見据えることが重要」と述べ、部門別でなく勤怠や経理など業務単位の改善に取り組むことが全社での業務最適化につながると語った。

さらに、本間氏は、「これまで取引先とファックスでやり取りをしているという場合では、データ上で発注ができるような仕組みを作るだけで業務にかかる工数がかなり削減されます」と話し、自社内の全社最適の次のステップとして関連会社や取引先企業とのツールやシステムを介した連携の実現を挙げた。

このほかにも、
・DX推進をする上では企業文化、風土を変革する経営層のコミットメントが必要
・意思決定を円滑に進めるために数値の見える化と投資対効果の伝達が必須
・基幹システムを変えられない場合は周辺システムのクラウド化から進める
といった、業務の棚卸から意思決定の方法、DX推進のロードマップの描き方など、DX化のスタートから持続的な施策運用を行うまでに必要な視点を語った。詳細は動画で。

セミナー動画

画像:社内DXが進んだ企業の実例とその秘訣(人事の学び舎vol.19より)社内DXが進んだ企業の実例とその秘訣

URL:https://at-jinji.jp/seminar_archive/9

いい会社はバックオフィスが強い ~経営を強くするDX成功事例~【株式会社マネーフォワード 藤田綾香氏 】

画像:セミナースライド【株式会社マネーフォワード 藤田綾香氏 】(@人事主催人事の学び舎vol.19より

会計や勤怠などバックオフィスを支援するクラウドサービス「マネーフォワードクラウド」を提供する株式会社マネーフォワード。同社のHRソリューション本部・ビジネスマーケティング部副部長の藤田綾香氏はクラウドサービスが実現できるDX化についての講演を行った。

藤田氏は、アナログ作業が中心でブラックボックス化されていたバックオフィスの運用からクラウド化による効率化を実現した企業事例を基に、バックオフィスのDX化のポイントを解説した。講演で藤田氏は、「バックオフィス業務で生産性が低下する大きな理由はコア業務と手入力や紙管理などのノンコア業務が入り混じっている現状があるため」と指摘。その上で「コア業務を見極めた上でツールの活用や外注、あるいは廃止の決定を行う必要がありこの整理をなしにしてITツールだけ導入しても手間が増えてしまう」とデジタル化推進のための業務整理の重要性を強調した。

藤田氏によると、給与計算や明細印刷・封入で残業時間が増大した企業がマネーフォワードのクラウド給与を導入した事例では、クラウド化に取り組んだことで工数削減だけでなく、属人化防止やコロナ禍以降のテレワーク導入もスムーズに進んだという。藤田氏は「体制の変更や業務委託の可能性を加味しながらのIT化と業務フローの設計が新しい業務のスタイル実現に役立つ」と長期的なDX化の効果についても語った。

画像:セミナースライド株式会社マネーフォワード 藤田綾香氏 】(@人事主催人事の学び舎vol.19より

このほかにも藤田氏は、
・業務整理後に外注化をする際もクラウド前提での業務連携を検討する
・拠点が分かれている場合は、拠点ごとクラウドツール導入のメリットを丁寧に伝えることが重要
・データの点在を防ぐため、ペーパーレスと同時に脱Excelも進める
といったバックオフィス業務効率化を達成するための成功ポイントをピックアップして語った。詳細は動画で。

セミナー動画

画像:いい会社はバックオフィスが強い ~経営を強くするDX成功事例~(人事の学び舎vol.19より)いい会社はバックオフィスが強い ~経営を強くするDX成功事例~

URL:https://at-jinji.jp/seminar_archive/6

組織変革ディレクターが解説! 失敗から学ぶ「DXがうまく進まない真の原因とは?」【株式会社カイシン 牧野真雄氏】

画像:セミナースライド【株式会社カイシン 牧野真雄氏】(@人事主催人事の学び舎vol.19より

株式会社カイシンの代表取締役であり組織変革ディレクターとしても活躍する牧野真雄氏は、講演で「自社の課題やビジョンの方向性を把握しないままITツールを導入してもDX推進の成功にはつながらない」と指摘し、3つの中小企業の失敗事例を基にDX化を成功につなげるポイントを解説した。

牧野氏は、DX推進施策が失敗しやすい企業の特徴として「システムやツール導入後に、浸透のためマネジメントやフォローを行わない」「効率化の優先度設定を間違え、施策が進まない」「ツール導入後のプロジェクト化や仕組化を怠る」などを挙げ、ツール導入が施策のゴールではないと語った。その上で牧野氏は「DX化の推進課題は企業によって異なる」と指摘。その上で「ITツールだけでなくリテラシーや制度面の改善を検討したり、推進チームをつくるといったマネジメントスタイルを検討したりと、4つの面からDXを促進するための組織文化を醸成する必要がある」とまとめた。

画像:セミナースライド【株式会社カイシン 牧野真雄氏】(@人事主催人事の学び舎vol.19より

このほかにも、
・実務、管理、コミュニケーションの3領域のDX導入パターンと必要な対策の内容
・DX化が進まない組織の課題を解決するには、どのチームに課題があるのか特定する必要がある
・システム導入というハード面だけでなく、組織に浸透させるためのサポート、フォローなどのソフト面の対策も必要
など、DX化推進のために押さえておくべき具体策について、施策導入後の対策もふまえて解説した。詳細は動画で。

セミナー動画

画像:組織変革ディレクターが解説! 失敗から学ぶ「DXがうまく進まない真の原因とは?」(人事の学び舎vol.19より)組織変革ディレクターが解説! 失敗から学ぶ「DXがうまく進まない真の原因とは?」

URL:https://at-jinji.jp/seminar_archive/7

離職防止の観点から組織を強くする~DXは手段であり目的ではない~【株式会社Donuts佐怒賀奨吾】

画像:セミナースライド株式会社Donuts佐怒賀奨吾】(@人事主催人事の学び舎vol.19より

勤怠管理をはじめバックオフィス業務のクラウドサービス「ジョブカン」を提供する株式会社Donutsからは、デジタルツール導入のコンサルティング経験を持つ元人事、佐怒賀奨吾氏がセミナーに登壇。離職防止の観点からDX化の重要性について講演を行った。佐怒賀は「DXは生産性を向上し、その上でさらに新たな価値の創出するのが本来的な目的」と指摘し、「ただツールを導入したというだけでは不十分で、DXを目的とせず、手段として活用してほしい」と述べた。また、佐怒賀氏はDXを導入する際に直面するハードルを解消するには「トップが導入の必要性を語り、目的を社内で共有する」「変革に抵抗を覚える現場の管理職の意識を変える」ことが肝になると解説した。

画像:セミナースライド【株式会社Donuts佐怒賀奨吾】(@人事主催人事の学び舎vol.19より

このほか、
・DX導入に失敗しないためには、最終的なゴールを最初から明確にしておくことが必要
・DX化の成功には、施策やツール導入後の成功体験や納得感が不可欠
・管理部門以外を巻き込むために工夫を怠ると、従業員の離職を招く
といった従業員の離職を防止し、生産性と定着率をアップさせるためのDX化のポイントについて実例を交えて語った。詳細は動画で。

セミナー動画

画像:【離職防止の観点から組織を強くする】~DXは手段であり目的ではない~(人事の学び舎vol.19より)【離職防止の観点から組織を強くする】~DXは手段であり目的ではない~

URL:https://at-jinji.jp/seminar_archive/8

まとめ:なぜバックオフィスがDXを行うべきかをあらためて考える

なぜバックオフィスのDX化が生産性や競争力向上にとって重要なのか。今回のセミナーでは、アナログや紙による管理、データの散逸による工数・労働時間の増大の課題を解決し、コア業務への集中を可能にするという、「DX化の本質」について失敗事例を挙げながら紹介した。各登壇者が詳記したDX導入後の運用方法や業務フローの改革と定着のためのアプローチ、DX施策を持続的に行うための具体策なども自社でDXを導入する際の体制づくりに役立つはずだ。

セミナーで紹介したDX推進のための業務整理や経営者のコミットメントの在り方、部門を超えたDX化のアプローチなど、具体的なノウハウや考え方をぜひ自社のバックオフィスのDX推進の参考としてほしい。

この記事は「人事の学び舎vol.19」のセミナー内容をもとに構成しています。

セミナー概要

セミナータイトル: DXの本質を理解し、事例から解決策を学ぶ
バックオフィスでDX導入が進む企業と進まない企業の違い
開催日:2021年3月11日(木)
開催場所:オンラインで開催
定員:300名
受講料:5,000円 ※@人事会員は無料
主催:株式会社イーディアス・@人事編集部
基調講演: 一般社団法人IT顧問化協会 代表理事本間 卓哉氏
登壇企業: 株式会社マネーフォワード、株式会社カイシン、株式会社Donuts
セミナー詳細LP:https://at-jinji.jp/cp/seminar/vol19

画像:セミナーバナー「@人事の学び舎vol.19」

【オンライン開催】人事の学び舎レポート ラインアップ

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