株式会社リクルートスタッフィング調べ
<障がい者雇用の実態調査> 障がい者法定雇用率引き上げを受け、採用を増やす企業が約4割。課題は仕事の切り出しと就業場所の確保
2021.06.29
リクルートスタッフィング(東京・中央)は6月23日、障がい者雇用を行っている企業(従業員数25~5,000人以上)の経営者、人事・労務担当者、総務担当者を対象に実施した「障がい者雇用の実態調査」の結果を発表した。
調査結果によると、2021年3月の「障がい者雇用促進法」改正*を受け、「障がい者雇用数を増やす予定」と回答した企業が36.0%で、「今までと同程度の障がい者雇用数を維持する予定」と回答した企業は50.6%だった。
また、障がい者雇用の課題について聞いたところ「障がい者の方に任せる仕事の切り出しが難しい」が42.8%、次いで「就業場所の確保が難しい」が34.0%だった。
雇用している障がい者の在宅勤務(テレワーク)導入状況は、「導入している(35.9%)」、「導入していないが、今後導入していきたい(13.4%)」と約半数の企業がテレワークを導入、または導入意向があることが分かった。
*2021年3月から法定雇用率が引き上げられ、民間企業は2.2%→2.3%、国・地方公共団体は2.5%→2.6%、都道府県等の教育委員会2.4%→2.5%に変更した。また、対象となる事業主の範囲も、従業員45.5人以上から43.5人以上に拡大した。
【関連記事】「2021年3月:障害者雇用促進法」(2021年版 人事・総務に関する法改正一覧【社労士解説】)
以下、リリースより。
調査結果のポイント
- 2021年3月「障がい者雇用促進法」改正により、民間企業における障がい者の法定雇用率が2.3%に引き上げられたことを受け、「今までよりも障がい者雇用数を増やす予定」と回答した企業が36.0%。「今までと同程度の障がい者雇用数を維持する予定」と回答した企業は50.6%。
- 障がい者雇用を推進して良かった点は、「従業員における障がい者への理解が深まった(45.7%)」、次いで「障がい者と一緒に働ける環境が整ってきた(33.1%)」、「ダイバーシティが推進された(25.9%)」。
- 一方で、障がい者雇用の課題は、「障がい者の方に任せる仕事の切り出しが難しい(42.8%)」、次いで「就業場所の確保が難しい(34.0%)」。
- 雇用している障がい者の方における在宅勤務(テレワーク)導入状況は、「導入している(35.9%)」、「導入していないが、今後導入していきたい(13.4%)」と約半数の企業がテレワークを導入、または導入意向あり。
調査結果
障がい者法定雇用率引き上げにより、「障がい者雇用数を増やす予定」の企業が4割。
2021年3月に障がい者の法定雇用率が2.3%に引き上げられたことを受け、障がい者雇用への取り組みについて企業に聞いたところ、「今までよりも障がい者雇用数を増やす予定(36.0%)」に加えて、「今までと同程度の障がい者雇用数を維持する予定(50.6%)」と、障がい者の方の採用に積極的であることが分かりました。
Q1.2021年3月施行「障がい者法定雇用率上昇」による障がい者雇用への取り組み姿勢
障がい者雇用を推進して良かった点は、「障がい者への深い理解」や「ダイバーシティ推進」に繋がったこと。
障がい者雇用を推進して良かった点を聞いたところ、多いものから順に「従業員における障がい者への理解が深まった(45.7%)」、「障がい者と一緒に働ける環境が整ってきた(33.1%)」、「ダイバーシティが推進された(25.9%)」など、障がい者の方と一緒に働ける環境づくりに関する回答が多くあげられました。
Q2.障がい者雇用を推進して良かった点
障がい者雇用における課題としては、4割以上の企業が「仕事の切り出しの難しさ」を実感。
障がい者雇用の課題について聞いたところ、多いものから順に「障がい者の方に任せる仕事の切り出しが難しい(42.8%)」、「就業場所の確保が難しい(34.0%)」、「業務マネジメントが難しい(26.6%)」という回答が得られました。
Q3.障がい者雇用における課題
障がい者雇用推進のために行っていることは、「受け入れ側の理解促進」や「働きやすい環境整備」。
障がい者雇用をより推進するために行っていることを聞いたところ、多いものから順に「受け入れ部署の理解促進(48.8%)」、「障がい者の方が働きやすい制度や勤務体系の導入(36.1%)」と、障がい者の方が働きやすい環境づくりを中心に取り組んでいることが分かりました。
Q4.障がい者雇用推進目的で行っていること
障がい者のテレワークを導入している企業は3割。導入意向も含めると約半数にのぼる。
自社で雇用している障がい者の在宅勤務(テレワーク)導入有無・検討状況についての状況を聞いたところ、「導入している(35.9%)」、「導入していないが、今後導入していきたい(13.4%)」と約半数の49.3%が障がい者雇用におけるテレワークを導入、または今後の導入を検討していることが分かりました。
Q5.雇用している障がい者の在宅勤務(テレワーク)導入有無・検討状況
調査概要
調査目的:民間企業における障がい者雇用の現状を把握することにより、これからの障がい者雇用について考える。
調査対象:従業員数25~5,000人以上の企業に勤める男女20~60代
(経営者/人事・労務担当者/総務担当者)n= 711
調査期間:2021年6月5日~7日
調査方法:インターネット調査
参考情報:エンゲージメント推進部 アビリティスタッフィンググループ 飯尾 朋子よりコメント
株式会社リクルートスタッフィング
エンゲージメント推進部 アビリティスタッフィンググループ マネジャー
飯尾 朋子(いいお・ともこ)
2001年リクルートスタッフィングに入社。
一般事務および専門職領域のジョブコーディネーターとしてスタッフの方への仕事紹介を担当。
2007年ジョブコーディネーション部のマネージャーに就任。
2019年4月、エンゲージメント推進部 アビリティスタッフィンググループのマネージャーに就任。
「不安を安心にかえて、ひとつでも多くの就労機会を」をコンセプトに、日々障がいのある求職者の方と、障がい者雇用を推進したい企業の支援を行う。
本調査におけるコメント
本調査より、法定雇用率の引き上げに伴い、企業の障がい者雇用に対する積極的な姿勢がみられました。
その背景としては、法定雇用率の達成ということもあると思いますが、障がい者の方と一緒に働くことで得られるメリットについても真剣に考え、取り組まれている声も多くありました。あらためて、障がい者の方と一緒に働く環境整備が進んできていると感じます。
一方で、障がい者雇用における課題は従来と変わらず、「業務の切り出し」や「就業場所の確保」が難しいことがあげられていますが、近年こういった課題をうまく解決している企業も多くみられます。
これらの課題を感じている企業様には、成功企業の情報や課題に関する事例をキャッチアップしながら、まずは一歩踏み出すことをお勧めします。
また、障がい者雇用をより推進していくために、障がい者の方が働きやすい制度や環境整備を進めている企業が多くみられましたが、その一環として障がい者雇用の方のテレワーク導入もみられました。
今後も、より多様な働き方が増えていくことが予想されます。
【プレスリリース「<企業における障がい者雇用の実態調査> 障がい者法定雇用率引き上げを受け、採用を増やす企業が約4割」より|2021年6月24日・株式会社リクルートスタッフィング】
編集部おすすめ関連記事
■《企業事例》丁寧なコミュニケーションで障がい者の活躍をサポート
株式会社リクルートスタッフィングも、企業成長戦略の一環として障がい者雇用に取り組んできた企業の1つです。2015年に設置した業務サポートセンターには、現在90名近くの精神障がい者が契約社員として在籍。障がい者雇用を会社の成長につなげるために、同社ではどんな工夫を行ってきたのでしょうか? 障がい者支援事業に取り組みを聞きました。
【おすすめポイント】
・業務サポートセンターで働いた経験を活かし、転職活動を支援
・業務サポートセンターを設置したことで、会社全体の業務が効率化
・定着率を上げるには、段階的にステップアップできる環境をつくること
【@人事編集部(株式会社イーディアス)】
《企業事例》障がい者を特別扱いせずに、活躍できる職場をつくる方法
グリー株式会社の特例子会社であるグリービジネスオペレーションズ株式会社も、障がい者雇用をグループの成長につなげた成功企業の1つ。現在42名の障がい者手帳保有者が在籍しており、うち40名は精神・発達障がいを抱えています。
同社の経営企画室で副室長を務める竹内さんに話を聞きました。
>>詳細をチェックする【@人事編集部(株式会社イーディアス)】
障害を持つ雇用者のカウント方法と、実務上の確認方法
今回は意外と留意点の多い、障害者の方の人数のカウント方法と、障害者であることの定義、実務上の障害者であることの確認方法などついて解説します。(一部更新※:2019年10月25日)
>>詳細をチェックする【松井勇策(社会保険労務士)】
面接時にカミングアウトされたらどうする?(精神障害・発達障害編)
2016年4月に障害者雇用促進法の改正法が施行され、障害者の採用や勤務管理に関する規定が大幅に変更となりました。)今回は、特に精神障害・発達障害をカミングアウトされた場合の、この2点を踏まえた採用面接への影響と対応法について解説していきます。
>>詳細をチェックする【林修三(株式会社ヒュームコンサルティング代表取締役)】
@人事では『人事がラクに成果を出せるお役立ち資料』を揃えています。
@人事では、会員限定のお役立ち資料を無料で公開しています。
特に人事の皆さんに好評な人気資料は下記の通りです。
下記のボタンをクリックすると、人事がラクに成果を出すための資料が無料で手に入ります。
今、人事の皆さんに
支持されているお役立ち資料
@人事は、「業務を改善・効率化する法人向けサービス紹介」を通じて日本の人事を応援しています。採用、勤怠管理、研修、社員教育、法務、経理、物品経理 etc…
人事のお仕事で何かお困りごとがあれば、ぜひ私達に応援させてください。
「何か業務改善サービスを導入したいけど、今どんなサービスがあるのだろう?」
「自分たちに一番合っているサービスを探したいけど、どうしたらいいんだろう?」
そんな方は、下記のボタンを
クリックしてみてください。
サービスの利用は無料です。
関連記事
-
企画
人事・総務担当者が知っておきたい知識を解説
2021年版 人事・総務に関する法改正一覧【社労士解説】
2021年も人事・総務担当者や経営者にとって重要な法改正が予定されている。「育児介護休業法」や「労働者派遣法」、「障害者雇用促進法」など人事・総務業務に関連性の高い法改正について、...
2021.03.11
-
PRコラム
障害者雇用の今
障害者法定雇用率未達の企業に、テレワークが最適な理由
民間企業に法律で義務付けられている、障害者の法定雇用率を達成している企業は4割ほど。法定雇用率が未達の企業は、障害者を雇用することにいくつかの「課題」を感じている。多くの企業が抱え...
2019.06.10
-
特集
【まとめ】活力を生み出すダイバーシティ~採用・雇用の多様性の広がり~
このページは、特集「活力を生み出すダイバーシティ」(女性活躍推進編、障がい者雇用編、LGBT編)のまとめページです。本来、企業がダイバーシティを掲げる目的は、「多様な人、能力、働き...
2016.05.02
-
ニュース・トレンド
ビズリーチ WorkTech研究所
直近1年での退職者が増加傾向。大企業では7割超が「退職者が増えている」と回答
ビズリーチ(東京・渋谷)が運営する、働く人の活躍を支えるテクノロジー“WorkTech”に関する研究機関「ビズリーチ WorkTech研究所」は10月22日、ビズリーチまたはHRM...
2024.10.24
-
ニュース・トレンド
KDDI株式会社
社員の自律的なキャリア形成・スキルアップ支援を目的に「ジョブ図鑑」を公開
KDDI(東京・千代田)は10月21日、社員の自律的なキャリア形成・スキルアップ支援を目的として、社員向けに「ジョブ図鑑」を公開した。【TOP写真はジョブ図鑑のイメージ(リリースよ...
2024.10.22
-
ニュース・トレンド
【就活生が望む企業の適切な連絡(頻度・内容・方法)調査】株式会社No Company調べ
Z世代就活生の約3割が “連絡を理由” に選考を辞退
企業の人事部門向けに採用広報(採用マーケティング)支援を行うNo Company(東京・港)は10月7日、「就活生が望む企業の適切な連絡(頻度・内容・方法)調査」の結果を発表した。...
2024.10.16
あわせて読みたい
あわせて読みたい
人気の記事
国内・海外ヘッドライン
THE SELECTION
-
PRTHE SELECTION企画
「置き型健康社食」がもたらす可能性とは
健康経営、採用強化、コミュニケーション活性化にも。 手軽に導入できる「食」の福利厚生
-
PRTHE SELECTION企画
街なかの証明写真機「Ki-Re-i(キレイ)」で、もっと社員の顔写真管理をラクに
社員証の写真、「最適化」できていますか? チーム力を強化する顔写真データ活用法とは
-
THE SELECTION特集
【特集】ChatGPT等の生成AIが一般化する社会で必須の人材戦略・人的資本経営の方法論
-
THE SELECTION企画
レポートまとめ
@人事主催セミナー「人事の学び舎」 人事・総務担当者が“今求める”ノウハウやナレッジを提供
-
THE SELECTION特集
特集「人手不足業界の逆襲」~外食産業編~
「見える化」と「属人化」の組み合わせが鍵。 丸亀製麺が外食業界を変える日
-
THE SELECTION特集
人事のキーパーソン2人が@人事読者の「組織改革」の疑問に答えます(第2弾)
数値化できない部署を無理に人事評価する方が問題。曽和利光×北野唯我対談
-
THE SELECTION会員限定特集
働きやすい職場づくり~サイバーエージェント編
「妊活支援」や 「働くママ・パパ支援」を、 一部の社員のものにしないためには?