自社にマッチする勤怠管理システムの選び方ノウハウと最新サービスまとめ
【法改正やテレワークにも対応】2021年版 勤怠管理システムの選び方
2021.06.23
従業員の労働時間や勤怠状況を把握する勤怠管理は企業が必ず行わなくてはならない義務として定められています。近年、働き方改革関連法施行により、勤怠管理に直接影響する法改正が複数行われ、長時間労働の抑制や、従業員の健康確保に向けたより正確な勤怠管理のあり方が企業に求められました。
また、新型コロナウイルスの感染拡大によるテレワークの普及により、場所を問わない勤怠管理の方法の需要が高まるとともに、テレワークに対応した労務管理も求められるようになっています。
そこで、労務管理知識のアップデートに役立つ、2021年現在の勤怠管理のあり方と勤怠管理システムの選び方を解説します。
この記事は主に雇用形態や勤務体系・人事制度が複雑ではない企業向けに役立つ情報をまとめました。
【記事公開日:2021年6月23日、最終更新日:2023年12月7日】
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- 目次
-
- 勤怠管理を行う目的とは
・労働時間と休憩時間の把握
・コンプライアンス違反防止
・過重労働による健康悪化の早期防止
・給与計算 - 現在の勤怠管理のあり方
・代表的な勤怠管理方法の特徴
・働き方改革関連法に関連する対応
・テレワークに対応するための勤怠管理のあり方 - 勤怠管理システムの選び方
・使いやすさと自社に適した機能があるか
・セキュリティ面
・サポート体制
・コスト感
・テレワークに対応できるか
・働き方改革関連法や各種法改正に対応できているか
- 勤怠管理を行う目的とは
勤怠管理を行う目的とは
勤怠管理とは従業員の労務管理の観点から労働時間や出退勤時間などを確認し、勤怠情報を記録、管理することを指します。勤怠管理を行う具体的な目的としては以下が挙げられます。
労働時間と休憩時間の把握
従業員の勤務時間や休日数などについて、企業が遵守しなければならない基準が労働基準法によって定められています。企業が法律に則って賃金の支払いを行うには、従業員の勤務日数や残業時間などを正確に把握することが必要です。時間外労働や休日労働がどの程度発生しているのか把握することで、自社の人件費の可視化も可能になります。
コンプライアンス違反防止
1日8時間以上、週40時間以上の法定労働時間を越えて従業員を働かせる場合は、経営者は労働組合または労働者代表と労働協約(36協定)を結ばなくてはなりません。勤怠管理を正確に行い、従業員の労働時間を正しく把握することで、「残業上限を超えて従業員を働かせた」「残業代の未払いがあった」などの自社のコンプライアンス違反を未然に防止することができます。
過重労働による健康悪化の早期防止
正確な勤怠管理が行われていない職場では、一部の従業員や部署に残業や休日労働が集中しがちです。過重労働が原因の健康障害や過労死などが発生すれば、社内外の信用を損なうだけでなく、損害賠償請求への発展など大きなリスクを抱えることになります。過重労働抑制のための対策には正確な勤怠管理が不可欠です。
給与計算
毎月の給与計算を行うには勤怠管理によって出退勤や労働時間の記録を残しておかなければなりません。給与計算ソフトと、勤怠管理による労働時間のCSVデータを連携させることで、ミスが少なく効率的な締め作業が可能になります。
現在の勤怠管理のあり方
勤怠管理は、タイムカードによる管理や、多様化しつつある勤怠管理システムなどによって行われていますが、働き方改革関連法の施行やテレワークの普及により、従来よりも厳格かつ柔軟な勤怠管理のあり方への対応が企業に求められています。
代表的な勤怠管理方法の特徴
自己申告で出退勤の記録を付けるExcelによる勤怠管理、出勤時と退勤時に打刻機で打刻を行うタイムカードによる勤怠管理、PCやICカードによってリアルタイムで打刻が可能な勤怠管理システムによる勤怠管理方法が一般的です。
働き方改革関連法に関連する対応
2019年4月1日に施行された働き方改革関連法によって、違法な時間外労働に罰則を設けた「時間外労働の上限規制」や、有給取得率向上のための「有給休暇取得の義務化」などの各種対応が企業に求められています。
(労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン)【厚生労働省】
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000149439.pdf
法改正、制度改正に伴い、適切な労働時間把握によって勤怠管理の運用を確実に行うことや、従業員の健康を守るために自社の勤怠方法を改善していくことが企業に求められています。
特に、①労働時間の物理的把握の義務化、②労働時間のガイドライン改正、③時間外労働の上限規制は日々の勤怠管理と密接に関わり、対応を怠ると法律違反や訴訟リスクに発展する可能性があります。
テレワークに対応するための勤怠管理のあり方
また、新型コロナウイルスの感染拡大によりテレワークを導入する企業が増えたことで、オフィスや在宅での勤怠打刻に対応し、かつ厚生労働省のガイドライン(労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン)が求める客観的な勤怠打刻にも対応した勤怠管理システムの需要が高まっています。
この他にも、厚生労働省が示している「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」では「テレワークにおける労働時間管理の考え方」としてインターネット環境(情報通信技術)を通じた円滑な勤怠管理方法や、テレワークで長時間労働や休日・深夜労働が横行しないよう、使用者が注意喚起をする仕組みが有効だと述べています。
注意喚起の具体的な方法として、管理者がテレワーク時の労働時間の記録を踏まえて注意する方法や、労務管理のシステムを活用して対象者のPCに自動で警告を表示するような方法が考えられます。クラウド型の勤怠管理システムの場合は、リアルタイムで労働時間集計が可能であり、一定の労働時間を超える従業員にアラートを出す機能を備えたタイプもあり、テレワークの導入、推進にあたりこういった勤怠管理システムの活用は極めて有効といえます。
※次章「勤怠管理システムの選び方」の『テレワークに対応できるか』で詳細紹介
勤怠管理システムの選び方
ここからは、勤怠管理システムを選ぶ際に考慮すべきポイントを順に紹介します。
使いやすさと自社に適した機能があるか
勤怠管理の機能が充実していたとしても、操作性に難があったり、使い方が分かりにくい画面設計だと、打刻ミスや申請作業のやり直しが頻発しスムーズな運用ができません。初心者でも使いやすいシンプルな設計か、自社にとって必要な機能を選択できるか、といったポイントを踏まえましょう。
セキュリティ面
特にクラウド型の勤怠管理システムサービスを検討する場合、「システムの保守体制が組まれているか」「個人情報を適切に扱う体制が整っているか」といったセキュリティ面の安全性については必ず確認する必要があります。
システム保守体制
- OSやアプリケーションのアップデートが適用されるか
- サーバーやネットワークが多重化されているか
- データが自動的にバックアップされているか
- ネットワーク通信が暗号化されているか
- ウイルス、マルウェア感染への対策が取られているか
- データセンターの予備電源確保、セキュリティ対策が取られているか
サービス提供企業のWebサイトに上記の掲載事項があるか確認し、掲載がない場合は導入前に問い合わせを行います。
サービス運営会社の個人情報の取り扱い体制
- 個人情報保護方針(プライバシーポリシー)
- プライバシーマーク
- ISMS 認証
個人情報の取り扱い体制については、上記の点をチェックすることで個人情報に関する企業の取り組み姿勢を判断することができます。
サポート体制
勤怠管理システムの導入時に電話やチャット、対面でのサポートを受けられるか、または運用開始後の人事制度変更で勤怠管理システムの設定変更が必要になった際にサポートを受けられるかも、選定の重要なポイントです。
比較的古いタイプの勤怠管理システムの場合、導入後にサポート期間が終了してしまう場合もあります。導入を決定する前にサービスの担当者に必ずサポートを受けられる期間やサポート内容について確認する必要があります。
コスト感
クラウド型の勤怠管理システムのサービスごとに初期費用や月額費用などのランニングコストは異なります。一般的に、システムを利用する従業員数が多いほど、ランニングコストが多く発生すると考えておきましょう。
一方、パッケージ型は、一度システム構築をすると毎月のランニングコストはかかりませんが、法改正対応のアップグレードやシステム改修が必要となった際に別途費用が発生します。
希望する機能を備え、かつ予算感にマッチしたサービスを選ぶのが理想です。予算が合わないという場合には、利用機能を絞って導入を開始し、システムによる効率化が達成できてから機能を追加するという方法もあります。
テレワークに対応できるか
厚生労働省は、テレワーク導入に関するガイドラインの中では、場所を問わず行う必要がある在宅勤務時の勤怠管理においては以下のようなインターネット環境を介した方法で、スムーズかつ確実な勤怠管理ができるとしています。また、この場合の勤怠管理方法は、自己申告ではなく、オンライン上の記録を残す方法を推奨しています。
7 テレワークにおける労働時間管理の工夫
(1) テレワークにおける労働時間管理の考え方
(前略)
一方で、テレワークは情報通信技術を利用して行われるため、労働時間管理についても情報通信技術を活用して行うこととする等によって、労務管理を円滑に行うことも可能となる。使用者がテレワークの場合における労働時間の管理方法をあらかじめ明確にしておくことにより、労働者が安心してテレワークを行うことができるようにするとともに、使用者にとっても労務管理や業務管理を的確に行うことができるようにすることが望ましい。(2) テレワークにおける労働時間の把握
① 労働者がテレワークに使用する情報通信機器の使用時間の記録等により、労働時間を把握すること
② 使用者が労働者の入退場の記録を把握することができるサテライトオフィスにおいてテレワークを行う場合には、サテライトオフィスへの入退場の記録等により労働時間を把握すること
出典:厚生労働省|テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン
ガイドラインに則り、客観的な勤怠記録が残る勤怠管理を行うためには自宅のPCやスマートフォンからリアルタイムの出退勤や各種申請が可能な勤怠管理システムの導入が不可欠と言えます。
テレワークに対応した勤怠管理システムの機能
この他にも、ガイドラインでは、テレワークで生じやすい中抜け時間の扱いやPCログを残した客観的な労働時間把握の方法についても提起しています。テレワークに柔軟に対応した以下の機能が備わっているか、確認しましょう。
働き方改革関連法や各種法改正に対応できているか
働き方改革関連法をはじめ、勤怠管理に関係する法改正は毎年のように行われています。法改正に合わせたシステム変更の手間をなくすためには、最新の法改正に合わせたアップデートに対応した勤怠管理システムを選択する必要があります。特に、残業上限の計算が煩雑で労務リスクが発生しやすい「時間外労働の上限規制」に対応したアラート機能や従業員の残業時間を簡単に把握できる機能があるか確認しておきましょう。
この他、2021年1月からは「看護休暇・介護休暇の時間単位取得」への対応が企業に義務化されました。今から勤怠管理システムを導入する企業は、看護、介護のための1時間単位の中抜けに対応できる機能があるか、という点も押さえておくと良いでしょう。
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