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人事・総務担当者が知っておきたい知識を解説


2021年版 人事・総務に関する法改正一覧【社労士解説】

2021.03.11

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2021年も人事・総務担当者や経営者にとって重要な法改正が予定されている。「育児介護休業法」や「労働者派遣法」、「障害者雇用促進法」など人事・総務業務に関連性の高い法改正について、社会保険労務士でフォレストコンサルティング労務法務デザイン事務所代表の松井勇策氏に解説していただいた。

※この記事の内容は2021年1月末時点の情報をもとに執筆しています。

関連記事:【社労士解説】労務担当者の年間スケジュールと6つの重要業務のポイント-2021年3月版-

目次
  1. 2021年1月:育児介護休業法
  2. 2021年1月/4月:労働者派遣法
  3. 2021年3月:障害者雇用促進法
  4. 2021年4月:労働政策総合推進法
  5. 2021年4月:高齢者雇用安定法
  6. 2021年4月:パートタイム有期雇用労働者法
  7. 2022年1月:雇用保険法

育児介護休業法  2021年1月1日より

育児や介護を行う労働者が、子の看護休暇や介護休暇を1時間単位で取得できるようになります。

【社労士からのひとこと】

育児介護休業法は、平成29年の大改正以降、手続きや給付金などの施策を含め、働く方にとって育児と両立しやすく、また復帰しやすい形に改定が進められています。
今回の改正は、お子様の看護や家族の介護と仕事を両立をさらに行いやすくするための改正だと言えます。従来は半日単位でしたので、1日の所定労働時間が4時間以下の労働者の場合は半日単位での取得は出来ませんでしたが、今回の改正により、基本的に全ての労働者が取得することが可能となります。この改正については別途、さらに詳細に解説いたします。

2021年の育児介護休業法の法改正と育児介護休業制度の全体像について

2021年1月改正のポイント解説と就業規則への規定例 【社労士解説】2021年の育児介護休業法の法改正と育児介護休業制度の全体像について育児介護休業法の改正についての詳細と、前提となる育児介護休業法に規定された制度の全体像について解説。育児休業・介護休業とその他のルール、子の看護休暇・介護休暇の位置づけ、中抜けの規定、労使協定による対象者の限定、就業規則への規定例についてチェックすべきこと、自社で対応するときの注意点などを紹介している。

記事はこちら
https://at-jinji.jp/blog/37527/

労働者派遣法 2021年1月1日/4月1日より

派遣元事業主の説明義務や情報提供義務などの強化と創設、派遣先事業主の対応義務の創設など、複数項目の改正

1月1日の改定のポイント

  • 派遣元事業主が実施する教育訓練、及び希望者に対して実施するキャリアコンサルティングの内容について、派遣労働者に対する雇入れ時の説明が義務付けられます。
  • 派遣先との派遣契約に関する事項について、電磁的記録により作成することが認められます。
  • 派遣労働者から苦情があったときには、派遣先事業主は誠実かつ主体的に対応することがルール化されました。
  • 日雇派遣において、派遣元事業主は、新たな就業機会の確保ができない場合であっても、休業等により雇用の維持を図るとともに、休業手当の支払等の労働基準法等に基づく責任を果たすことがルール化されました。

4月1日の改定のポイント

  • 派遣元事業主は、派遣労働者の希望する雇用安定措置の内容を聴取し、聴取結果を派遣元管理台帳に記載することが義務となります。
  • 派遣元事業主による情報提供義務のある情報、特にマージン率などについて、インターネットなどでの情報提供が義務付けられます。

【社労士からのひとこと】

派遣法の改正が毎年のように行われ続けています。今回の改正は今までの改正の趣旨の強化という意味合いが強いものと言えます。
以前の法改正で派遣元における教育訓練やキャリアコンサルティングの実施体制を整える義務はあったものの、今回、説明することが義務となり趣旨が徹底されました。
また、派遣先にも対応義務が法定され、今までも派遣先に使用者責任があると定められていた時間管理等の趣旨が徹底されたものと言えます。
現在の派遣法の制度趣旨を理解した運用が一層求められているものと言えるでしょう。

参考:
・【社労士解説】「同一労働同一賃金」に向け企業が行うべき派遣労働者の待遇・賃金の改善と準備

障害者雇用促進法 2021年3月1日より

法定雇用率が、2.2%から2.3%に引き上げられます。

(詳細)
法定雇用率の変更に伴い、障害者を雇用しなければならない義務が発生する企業の従業員数が、現在の45.5人以上から43.5人以上の企業へと拡大されます。

【社労士からのひとこと】

障害者雇用に関しても近年の改正が行われており、前回の改正では知的障害者についても雇用対象となるものとして改正が行われたばかりです。今回の法改正で、雇用義務が発生する企業の人数が40人台の前半になることになります。制度について誤解がないように確認を行う必要性があるといえます。

参考:
「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律」令和2年4月1日施行(予定)について(厚生労働省)
障害を持つ雇用者のカウント方法と、実務上の確認方法
障害者雇用促進法とは? 改正点や助成金、対象範囲をわかりやすく解説(@人事業務ガイド)

労働政策総合推進法 2021年4月1日より

労働者数が301人以上の企業について、中途採用者比率の公表が義務化されます。

(詳細)
今回定められたルールは、常時雇用する労働者数が301人以上の企業については、直近3事業年度分の中途採用比率について、求職者がインターネット等で簡単に確認できる方法で公表するという内容です。

【社労士からのひとこと】

制度が制定された趣旨としては、新卒採用を行う大企業に対する雇用の流動化を促すための狙いが大きいようです。大きくは働き方改革の全体や、副業の推進、同一労働同一賃金など「多様な働き方」の実現のための様々な施策が中長期にわたって推進されていますが、その一環であると位置づけられるといえます。人数要件に該当する企業であれば全ての会社に公表が義務付けられます。採用に関連するため、外部から指摘を受けやすい内容であるといえ、注意が必要でしょう。

高齢者雇用安定法 2021年4月1日より

4つの雇用確保措置のいずれかを行う形での70歳までの就業機会確保が努力義務化されます。

(詳細)
4つの雇用確保措置とは以下の内容を指します。65歳から70歳までの方への措置としていずれかの内容を行うことが努力義務とされます。

  • 70歳までの定年の引上げ
  • 定年制の廃止
  • 70歳までの継続雇用制度の導入
  • 労使で同意した上での雇用以外の創業支援等措置、具体例として、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入、70歳まで継続的に社会貢献事業に従事できる制度の導入など

【社労士からのひとこと】

高齢者雇用安定法は2013年に大改正がされ、65歳までの定年引上げや継続雇用制度の導入が義務付けられました。今回の改正は努力義務ではありますが、過去の法改正においては、努力義務から始まり経過措置が取られ、一律の義務とされる、という経過となっており、70歳までの雇用確保に関しても同様の措置が今後行われることと思われます。また、2025年4月から65歳定年制が全ての企業に適用されることも決定しています。
高齢者の方を自社の雇用の中でどのように捉えるかはとても重要なことだと考えられます。今回の改正で注目すべきは、雇用確保措置の4点目に、創業支援措置や業務委託制度が創設されたことです。高齢者の方に、ご自身のキャリアや経験をより自由に活かして頂くという趣旨であると思われます。経験やスキルの蓄積された高齢者の方に、自社とどのような関係性を築いていってもらいたいか、という視点での制度構築が必要であると言えるでしょう。

参考:
70歳まで活躍できるキャリアプランとは? 今後の人事制度に求められる新たな仕組み
特集「超高齢社会 拡大し続けるシニア雇用」

パートタイム有期雇用労働者法 2021年4月1日より

既に2020年4月1日から大企業に対して施行されている同一労働同一賃金のルールが、中小企業にも適用されます。

【社労士からのひとこと】

同一労働同一賃金の制度のポイントは
(1) 不合理な待遇差の禁止
(2) 労働者に対する待遇に関する説明義務
(3) 行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続、ADRの整備
の3点です。

法施行後に会社に入社する非正規社員の方には必ず待遇差の説明を行う必要がありますし、説明が行い得る状態に整備をする必要もあります。また、説明の方法については法令で義務付けられてはいませんが、厚生労働省が公開したマニュアルには、説明書のモデル様式が掲載されており、そのような水準で行うことが予定されていると言えます。
同一労働同一賃金については、待遇の同一性の趣旨での判例が複数最高裁で確定するなど、様々な新しい状況が出てきています。判例については旧法令に基づく基準ではありますが、特に判決の趣旨を見ると、賞与や退職金等に踏み込んだ同一性まで考慮することが求められているのではないかと解釈し得る内容です。
厚生労働省からは様々な資料が提供されていますし、整備がまだ完了していない企業については、社会保険労務士などの専門家に現在の状態について相談してみるのも良いでしょう。

参考:
・【社労士解説】「同一労働同一賃金」に向け企業が行うべきパート・契約社員への対応
・【社労士解説】「同一労働同一賃金」に向け企業が行うべき派遣労働者の待遇・賃金の改善と準備

2020年4月:「同一労働同一賃金」(大企業)

人事・総務担当者が知っておきたい知識を解説 2020年版 人事・総務に関する法改正一覧【社労士監修・解説付】働き方改革の一環として、大企業を対象に4月1日から施行される(中小企業は2021年4月1日から)。正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を解消することを目的としており、企業には主に以下3つの対応が求められる。
・不合理な待遇差をなくすための規定の整備
・労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
・行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続(行政ADR)への対応

2020年版 人事・総務に関する法改正一覧【社労士監修・解説付】より
https://at-jinji.jp/blog/32376/#ttl02

雇用保険法 2022年1月1日より

65歳以上の、週合計の労働時間が20時間以上の労働者について、本人の申し出に基づいて雇用保険が適用されます。

(詳細)
副業者へ雇用保険が適用されることになります。以下のいずれの基準も満たした方が被保険者となります。
(1)各事業所における1週間の所定労働時間が20時間未満であること
(2)2つ以上の事業主の適用事業に雇用される65歳以上の者であること
(3)1週間の所定労働時間の合計が20時間以上であること

【社労士からのひとこと】

副業に関する制度の整備が進んでいます。この法改正は、特に高年齢者の複数就業者(厚生労働省では、マルチジョブホルダーという用語がよく使われています)に対する雇用の保障や支援を厚くし、高齢者の副業を推進する目的です。その上で、高齢者の就業率や労働的な価値提供を推進する目的であると言えるでしょう。
2020年には、副業については複数の事業所での労働時間の合算や管理方法に関する改定が行われ、労災保険についても副業事業所を含んだ保障がされるような制度改正が行われました。副業者の雇用管理は企業における労務管理の運用が様々に異なる点が多く、制度設計にも様々な留意点があると言えます。

参照:厚労省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を改訂。労働時間管理などルールを明確化(厚生労働省)

【編集部より】2021年度の法改正に関する関連記事と資料はこちら

執筆者紹介

松井勇策(まつい・ゆうさく)(社会保険労務士、公認心理師、Webフロントエンジニア・グラフィックデザイナー) 東京都社会保険労務士会 広報委員長(新宿支部)。フォレストコンサルティング労務法務デザイン事務所代表。名古屋大学法学部卒業後、株式会社リクルートにて広告企画・人事コンサルティングの営業職に従事、のち経営管理部門で法務・監査・ITマネジメント等に関わる。その後、社会保険労務士として独立。労働法務の問題や法改正への対応、IPO支援、人事制度整備支援、ほかIT/広報関連の知見を生かしたブランディング戦略等を専門にしている。(2020年1月末時点の情報です)

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