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コロナ禍で進む人手不足と外国人雇用問題。「煩雑な労務管理」をどう解決するか

2021.01.27

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コロナウイルス感染拡大の影響により、実習の継続が困難となった技能実習生をはじめとした外国人労働者が増加している。
2020年の緊急事態宣言発出からさまざまな形で入国制限が続き、技能実習生の来日遅延や中止により、人手不足の業種も出てきている。

一方で、外国人雇用には「煩雑な労務管理」という大きな壁が存在する。
たとえビザが発給され、来日できたとしても企業が雇用するまでには、膨大な作業がかかってしまうことから断念してしまうケースがある。2019年4月から新設された外国人の在留資格「特定技能」が、「5年間で最大34万人の受け入れ」を見込んでいた政府の期待をよそに、実際の有資格者がわずか9千人弱(2020年9月末時点)だったのも、“壁”の高さを物語っている。【最終更新:2021年1月27日】

目次
  1. 外国人雇用の大きな壁「煩雑な労務管理」
  2. 増えぬ「特定技能」。34万5,000人を見込むも、資格取得者は8,769人
  3. 外国人雇用をテクノロジーで支援するBEENOS HR Link。サービス開始から半年で候補者1,000人超
  4. 「Linkus」を通じて、“外国人雇用の透明化”を目指す
  5. Linkus導入事例紹介

外国人雇用の大きな壁「煩雑な労務管理」

在留資格である技能実習や特定技能領域での雇用は数十枚にも及ぶ書類の作成が必要で、それを外国人求職者→現地の送り出し機関→日本の登録支援機関→受け入れ企業という四者間でやり取りしなければならない。外国人雇用支援のプラットフォーム事業などを手掛けるBEENOS HR Link(東京・品川)によれば、外国人求職者が使用しているコミュニケーションツールも個人で異なるため、「SNSのメッセンジャーで600回やり取りをしたという例もある」という。人材不足の企業にとって、こうした煩雑かつ膨大な作業時間を要する外国人雇用に挑戦するのはハードルが高い。

写真:外国人雇用の大きな壁「煩雑な労務管理」(BEENOS HR Link株式会社)

【提供:BEENOS HR Link株式会社】

増えぬ「特定技能」。34万5,000人を見込むも、資格取得者は8,769人

「特定技能」は2019年4月より新設された外国人の在留資格。外国人労働者の受け入れを拡大する目的で、新設され、特定の14分野※1で就労を認める。創設時は政府の試算で5年間に最大34万5,000人の受け入れを見込んでいた。しかし、2020年9月末時点で、資格を得た外国人は8,769人※2で、コロナウイルスの影響もあるとはいえ、目標には遠く及ばない。

※1:介護業、外食業、建設業、農業、宿泊業、農業機械製造業、電気・電子情報関連産業、ビルクリーニング業、素形材産業、飲食料品製造業、漁業、造船・船用工業、自動車整備業、航空業
※2:出入国在留管理庁が発表した2020年9月末現在における特定技能1号の在留外国人数

[関連記事]改正入管法を分かりやすく解説!特定技能と技能実習制度の違い、留意点(@人事業務ガイド)

外国人雇用をテクノロジーで支援するBEENOS HR Link。サービス開始から半年で候補者1,000人超

そんな中、HRテクノロジーを駆使し外国人雇用を牽引する企業が誕生した。2020年12月に設立(法人化)されたBEENOS HR Linkは、SaaS型越境HRプラットフォーム「Linkus」で煩雑な作業をデジタル化し、外国人雇用の活性化・透明化を目指す。コロナ禍にあった7月のサービス開始から候補者1,000人以上を数える注目のサービスについて、代表取締役社長の岡﨑陽介氏に話を聞いた。※情報は取材時点【取材は編集部がテキスト形式で2020年12月17日に実施】

プロフィール:岡﨑陽介(おかざき・ようすけ)

写真:BEENOS HR Link株式会社 代表取締役社長・岡﨑陽介氏芸能事務所でプロモーション企画やメディア開発を行い、縁あってBEENOSグループのモノセンスに入社、コラボ商品企画やモノセンス内新規事業担当を経て、同グループのBeeCruiseに転籍。「Linkus」の事業責任者として、事業構築からサービス企画・営業などを統括。外国人雇用をテクノロジーで支援する新子会社として、「BEENOS HR Link(ビーノス エイチアール リンク)株式会社」設立にともない代表取締役社長に就任。

SaaS型越境HRプラットフォーム「Linkus」

日本で働きたい外国籍人材と雇用したい日本企業、そして関係機関をテクノロジーで繋ぐ「SaaS型越境HRプラットフォーム」。外国籍人材が日本で就労するための在留資格である技能実習や特定技能領域での雇用にともなう煩雑な作業をデジタル化し、候補者検索や人材データベース化。関係者情報を紐付けて管理し、入管書類作成など、雇用から管理までを一気通貫でサポートする。他の在留資格から「特定技能」の在留資格への変更や、在留期間延⾧の更新にともなう申請も、データベースに登録するだけで簡単に申請書類を作成でき、継続的な管理も可能だ。

写真:SaaS型越境HRプラットフォーム「Linkus」

【提供:BEENOS HR Link株式会社】

「Linkus」を通じて、“外国人雇用の透明化”を目指す

──現在、Linkusを利用している企業の傾向を教えてください。
岡﨑陽介(以下、岡﨑)
:特定技能の受け入れ先として食品加工・介護・農業が比較的多い印象を受けます。特定技能は14分野※のみなので、スタートアップやベンチャー企業は基本範囲外となります。やはり制度の特性からしても、中小企業が多くなりますね。

──登録している外国人の国籍や希望職種の傾向を教えてください。
岡﨑:そこまで大きな偏りはありませんが、介護・製造業など、屋内勤務の希望が多い印象です。登録している外国人の方は、割合でいうとベトナム国籍が多いです。また、個人的にアカウント登録していただく方は、インドネシア国籍の方が圧倒的に多いです。これは国ごとの考え方の違いに起因しています。例えば、ベトナムは送り出し機関を基本必須な存在として考えていますが、インドネシアは、送り出し機関が必須ではなく、求職者個人の自由性を重要視していることもあります。

──BEENOS HR Link設立にあたり、「Linkus」を通じて“外国人雇用の透明化”を目標の1つに掲げています。現在どのような状況が「透明化されていない」と感じていますか。
岡﨑:例えば、特定技能の特徴として、「技能実習2号・3号の修了者が、同業種であればそのまま特定技能に在留資格変更が可能。」というものがあります。

この流れを活用する、特定技能の候補者に最近起きている問題として、「技能実習での入国時に入管へ提出している経歴と、特定技能の変更時に提出する経歴に差異があり、在留許可が得られない。」という状況があるのです。これは、本人の経歴が本人の知らない所で変わってしまっていることなどが原因としてあり、閲覧制限や情報制限がある中で関わる人全員が一緒に情報共有できる環境下で進行管理・進捗共有することが、「透明化」につながると考えています。

また、受け入れ企業が登録支援機関へ支援業務を委託する場合、実務は登録支援機関が担当しますので、受け入れ企業は自発的に状況確認・把握をしなくても済んでしまう環境があります。しかし、雇用主として必要情報や帳簿管理は必要であるため、登録支援機関のアクション履歴や登録情報が、「有事の際には受け入れ企業側も確認できる環境を持つ」こと自体が必要であると考えています。

──サービスの登録にどの程度の言語に対応していますか。
岡﨑:求職者と送り出し機関向けのアカウントでは、日本語を含む10カ国語※に対応しています。
※ベトナム語/ミャンマー語/インドネシア語/タガログ語/ネパール語/クメール語/タイ語/中国語(簡体字)/英語/日本語

──利用料金について、人材アカウント管理が1名につき500円(税抜)/月、フリー求職者との連携が1,500円(税抜)/1回とありますが※、「フリー求職者との連携」とは具体的にどのようなアクションが発生したときのことを言いますか。
岡﨑:Linkusに登録済みの求職者でどこの組織ユーザーとも連携していない方へ、企業の人事担当者や経営者など組織ユーザーの方から、アカウント連携の申請を送り、求職者側がそれを承認してLinkus上で直接やりとりができるアカウント連携がなされたタイミングで、1,500円の課金が発生いたします。
※2021年3月までは人材アカウント管理料とフリー求職者との連携料が無料

──サービスをリリースした7月以降に発生した、マッチングの成功事例を教えてください。
岡﨑:コロナの影響が大きく、海外現地と日本国内のやり取りがあっても、実際の入国は止まっている状況です。そのような中で、日本国内在住の候補者を探している登録支援機関が、当該候補者を管理している送り出し機関とアカウント連携をしてやり取りを開始したケースがあります。
また、特定技能を目指している海外現地在住の求職者が、個人で弊社にお問い合わせいただき、アカウント作成をしたところ、登録支援機関からのアカウント連携申請があり、承認して連携を開始したケースや、特定技能外国人の採用を検討している企業が、Linkus内で登録支援機関と出会い、やり取りを開始したケースなどもあります。

──ありがとうございました。

※文中敬称略

Linkus導入事例紹介

最後にBEENOS HR Link社より情報提供を受けた、海外現地の送り出し機関と日本の登録支援機関の声を紹介する。

現地の送り出し機関の声

【従来の情報管理の課題】

営業部、募集部、教育部、経営部の4つの組織間でデータを所有していましたが、ベトナムの国民性で個人が取得した情報を共有するという考えがなく、情報の重複や履歴管理がバラバラという問題を抱えていました。

【Linkusを導入した理由】

ベトナム側だけでなく、日本の監理団体、企業、ベトナム側の候補者が、一つにつながりクラウドで運営され、システム開発費用や開発時間の心配がなく、即運用が可能だったから。また、ベトナム側には費用を請求しないというビジネスモデルに共感したため。(ベトナムの平均月収は約3万だが、自社でのシステム構築は1,000万ほどかかる)

【Linkusで実現できたこと】

Linkusを導入し、組織の形が大きく変わろうとしています。直接、日本の企業や監理団体から、求人情報がLinkusに登録され、リアルタイムで見ることが可能になりました。全ての部門リーダー間での情報共有が可能となり、意思決定のスピードが早くなりました。候補者も自分に合った求人票を見つけることができるようになりました。[TIN PHAT 技術貿易株式会社(ベトナム)]

日本の登録支援機関の声

【従来の情報管理の課題】

求人票や申請書類をExcelで作成していましたが、入管書類の変更が多いため、運営が非常に難しいのが課題でした。送り出し機関とのやり取りもSNSが多く、情報共有と連絡の一元管理は出来ないものと思っていました。

【Linkusを導入した理由】

以前は相手国とSNSでやり取りしていた書類もクラウド利用で、時間短縮と情報共有の簡略化が実感できたため。

【Linkusで実現できたこと】

求人依頼・求人票作成・面接設定・採用管理の時間短縮が実現できました。作業量が減って驚きました。

企業情報

BEENOS HR Link株式会社 (BEENOSグループ[東証一部上場])
代表者:代表取締役社長 岡﨑陽介
本社所在地: 東京都品川区北品川四丁目7番35 号
設立年月: 2020年12月
事業内容:外国人雇用支援のプラットフォーム事業、外国人雇用に関わる情報メディア運用事業、外国人雇用のコンサルティング事業
HP:https://beenos.com/
Linkusサービスサイト:https://linku-s.com/
訪日外国人のはたらく、くらす、生きていく を支援するメディア「Linkup Journal」:https://linku-s.com/media/

編集部おすすめ記事

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■特定技能と技能実習制度の違いなど改正入管法を分かりやすく解説
2019年4月に施行された改正出入国管理法(以下、改正入管法)。これまでの外国人雇用と比べて何がどのように変わったのか気になった人も多いと思います。新しい在留資格「特定技能」と外国人技能実習制度の違いや、特定技能を持つ外国人人材を雇用する企業側が知っておきたいポイントなどについて分かりやすく解説します。
【おすすめポイント】
・改正入管法の概要、成立の背景
・「特定技能」創設によるメリット
・「特定技能」の外国人人材を雇用するために留意すること
【@人事編集部(株式会社イーディアス)】

「空気読め」のハードルを超えろ?! 日本で働く外国人のホンネ

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実際に日本で働いている外国人は、日本の企業や働き方についてどう思っているのだろうか? 匿名であることを条件に、日本で働く外国人の方々に思いの丈を存分に語ってもらった。
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今治タオル「ブラック工場」騒動が問う、技能実習制度は「悪か」

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愛媛県今治市でタオルを扱う縫製工場で働いていたベトナム人技能実習生の劣悪な労働環境が報道され、SNS上で誤って特定され誹謗中傷を受けた会社が法的措置を検討するなどの騒動に発展した。改正入管法と従来の技能実習制度の現状について専門家に取材した情報を交え考察する。
>>詳細をチェックする【@人事編集部(株式会社イーディアス)】

湯河原の温泉旅館が外国人人材を即戦力にできた理由。

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湯河原や箱根など関東圏中心に16の旅館・ホテルを運営するフォレストは、初めて外国人人材の雇用に動いた。当初は1、2人の採用を目指していたところ、面接した外国人人材のレベルが想像以上に高く、19年5月から10月の間で入社予定者含めて13人の採用に成功。入社まもないミャンマー人従業員が活躍を見せている。
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