コラム

ドラッカーに学ぶ成果をあげる人の条件


ドラッカーが問う、あなたは群れるタイプ?それとも一匹狼のタイプ?

2016.08.03

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目次
  1. あなたは群れるタイプなのか、それとも一匹狼なのか?
  2. 我々は、自分自身を知らずに仕事を始めざるを得ない
  3. 我々は、そもそも自分自身を知る必要がなかった
  4. 成果をあげられないのは能力不足ではない

あなたは群れるタイプなのか、それとも一匹狼なのか?

「人と組んだほうがよいか、一人のほうがよいかも知らなければならない。もし組んだほうがよいのであれば、どのように組んだときよい仕事ができるかを知らなければならない。」

(「明日を支配するもの」 P206)

ドラッカーは、成果をあげるためには、自分がどんなタイプの人間なのかを見極めなさいと言っています。具体的にいうと、自分は群れるタイプなのか、一匹狼タイプの人間なのかということです。
もちろん誰だって孤独はイヤですし、ときには誰にも邪魔されないで、ひとりだけの時間を大切にしたいという瞬間もあります。

しかし仕事となると、2つのタイプに完全に分かれるとドラッカーは言っています。おそらく多くの人は、どちらかというと群れるタイプで、大勢の人とチームを組んだほうが力を発揮するのではないでしょうか?

一方で、いわゆる職人タイプの人間も少なからずいます。こういうタイプの人間は文字通りスペシャリストを目指すべきです。

また、チームを組んだほうが力を発揮するタイプも、更に安定した環境の方が力を発揮できる人と、少し緊張感や危機感があった方が力を発揮できる人に分かれます。
安定した環境が良い人は、比較的大きな組織の方が力を発揮できるでしょう。反対に少し緊張感や危機感があった方が良い人は、比較的小さな組織の方が良いかもしれません。
さらに、意思決定者でいくか、補佐役でいくか、あるいは事務方仕事のように縁の下の力持ちタイプとして力を発揮するかにもタイプがわかれます。

ここまで記事を読んで、自分がどんなタイプに属する人間なのかピンと来た人は幸せです。芸術家のように、幼い頃から特別な才能を発揮するような人は、生まれながらにして群れるタイプではなく一匹狼タイプの人間です。
しかし、我々の多くは、芸術家のような特別な才能に恵まれているわけではありません。しかも、学校生活や部活動を通して、徹底的に「協調性」を叩きこまれます。

結果、自分のタイプを知らずに生活している人がたくさんいます。本当の自分は一匹狼タイプなのに、それとは気がつかずに過ごしてきたのかもしれません。あるいは、本当は群れるタイプなのに、おいらが大将とばかりに勘違いして振る舞っているのかもしれません。

我々は、自分自身を知らずに仕事を始めざるを得ない

我々の多くは、生まれながらにして特別な才能を授かっているわけではありません。大抵の場合は、自分がどんなタイプなのかをよく理解せずに仕事を始めざるを得ないのです。それだけに、自分の力が発揮できるかどうかは二の次で、名の知れた会社に就職しようとしてしまうのかもしれません。

もちろん、そのようにして、就職すること自体は悪くありません。

そもそも、自分がどのようなタイプの人間で、どんな役割を果たせば一番自分の力を発揮するかわからないのですから、あれこれ迷うよりは、とりあえず無難に就職した方がいいでしょう。問題は、名の知れた大きな会社に就職したあと経験を積むにしたがって、自分が一匹狼タイプであるとわかったときです。

懐の広い会社であれば、このような一匹狼タイプでも社内ベンチャーや戦略子会社のような活躍の場を与えてくれます。
しかし、大抵の場合は、そのような挑戦の機会も与えられず、飼い殺しに近い状態になってしまいます。それだけでなく、本人も自分がどんなタイプの人間で、どんな役割で力を発揮するのかを知らずに、成果をあげることができていないようです。

また、チームを組んだほうが力を発揮するタイプであっても、少し緊張感や危機感があった方が力を発揮できるタイプだとわかったとき、名の知れた大きな会社だと苦労するかもしれません。組織が大きく安定した会社は、大抵の場合、何か行動を起こすときに稟議が必要であり、即断即決というわけにはいきません。

少し緊張感や危機感があった方が力を発揮できるタイプだと、いちいち稟議を通し決定に時間がかかる会社の方針とぶつかってしまうか、「出る杭は打たれる」式に能力を発揮する前に潰されてしまう可能性があります。

意外と多くの人が、自分がどんなタイプの人間で、どんな役割で力を発揮するのかを知りません。また、知る必要性も感じることなく成果をあげることができていないように思います。

 我々は、そもそも自分自身を知る必要がなかった

本来であれば、仕事を始めるまえに、自分がどんなタイプの人間で、どんな役割で力を発揮するのかを教えてくれたら楽なのかもしれません。しかし、我々は、体系的に自分がどんなタイプの人間で、どんな役割で力を発揮するのかを簡単に見つけ出す方法を見いだせていないのです。

これも、これまでの人類の歴史を考えると無理もないことです。

人類の歴史は、自給自足の狩猟採集生活か、あるいは権力者と奴隷という強制的な労働の歴史が大半を占めていました。自分がどんなタイプの人間で、自分が力を発揮できる仕事の役割が何であるかを知る必要性も、真剣に考える機会も無いに等しかったのです。

当時は自分がどんなタイプの人間で、自分が力を発揮できる仕事の役割が何なのかを考えるヒマがあったら、明日の糧を得るために狩りに出かけるか、あるいは、権力者に服従し、手足を動かしてクレーンやブルドーザーのような役割をしてもらわないといけない時代でした。ですから、ある意味仕方のないことかもしれません。

先進国で、人道的見地から奴隷制度が撤廃され、力仕事が機械化したのは、ようやく20世紀になってからです。
我々が、急に自分がどんなタイプの人間で、自分が力を発揮できる仕事の役割が何であるかを考えろといわれても、何をして良いのか見当もつかず、職場や学校で体系的に教えてくれるわけでもありません。

むしろ、ブラック企業や部活内の暴力が絶えないところを見ると、未だに奴隷のような絶対服従が求められているのかもしれません。しかし、街を歩けば、至るところに物が溢れ、同じような店が何軒も連なる世の中です。

こうした競争の中で生き残るためには、我々一人ひとりが強みを発揮し創意工夫することによって、差別化することが求められています。

もし、絶対服従が強制されているのであれば、通り一遍の平凡で画一的なものしか生み出せません。これでは、埋没して競争に勝つことはできません。

差別化するためには、我々が、自分がどんなタイプの人間であり、自分が力を発揮できる仕事の役割が何であるかを知ろうとすることが第一歩です。

成果をあげられないのは能力不足ではない

自分が成果をあげられていない。あるいは、今ひとつ成果をあげられずに伸び悩んでいるのであれば、もしかしたら、自分のタイプに合わず、自分が力を発揮できる役割が与えられていないのではないかと疑うことです。

また、もし、自分の周りに伸び悩んでいる人がいるのであれば、その人を無能と見下すのではなく、その人のタイプに合わない、もしくは力を発揮できないような役割を与えていないかと疑うことです。

しかし、我々の多くが、成果をあげられないことを単純に本人の能力不足と決めつけ、仕事ができない自分を責め続けて悩むか、あるいは、成果をあげられない人を見下してしまうことが多いのではないでしょうか?

我々は、仕事ができないことを能力不足と決めつけるのではなく、自分のタイプに合わず、力を発揮できない役割を与えられていないかどうか考える余裕を持ちたいものです。自分がどんなタイプの人間で、自分が力を発揮する役割がなんであるのかを見つけることは、多くの失敗を重ねることによってようやく答えが見つかるものなのです。

しかし、自分自身あるいは、他人に対しても、一度や二度の失敗で、単純に能力不足と決めつけていないでしょうか?

失敗してもあきらめずに、自分の役割が何であるかを知るための努力をして、自分の役割にあった仕事の仕方をすることが、成果をあげるためには必要なのです。

執筆者紹介

大林茂樹(おおばやし・しげき)(大林税務会計事務所代表) 1999年大林税務会計事務所開設。開業以来、IPOや民事再生業務に携わると同時に、派閥争いによる内紛、骨肉の争い、経営者の自殺など浮き沈み激しいドラマに立ち会い、ドラッカーの著作に救いを求めるようになる。ドラッカーをテーマにしたメルマガでは、日本最大級の読者数を誇る。ドラッカー学会会員。

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