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2020秋現在の勤怠管理の重要性と最新状況を社労士が解説


【社労士解説】「勤怠管理システムを導入しただけでは十分ではない」重要な観点

2020.11.06

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2020年は中小企業対象も含めた「働き方改革関連法」の施行が次々に行われ、企業は法令違反回避のために勤怠管理システムの導入・活用を対策の一環として行った。しかし勤怠打刻の「記録」ができていても業務実態の把握や改善をするための「管理」ができていなかったり、システムの十分な活用ができていない企業も少なくない。そのため、知らず知らずのうちに法令違反リスクを抱える企業もある。
今回はフォレストコンサルティング労務法務デザイン事務所代表の社会保険労務士・松井勇策氏に、最新の企業の勤怠管理の状況と法令違反リスクについて解説してもらった。

目次
  1. コロナウイルスなどの激変に対応しつつ、働き方を変化させることが求められている現在の状況
  2. 近年の法改正と、勤怠管理システム「導入後」に留意すべき点
    【1】労働時間の物理的把握の義務
    【2】労働時間の上限規制について
    【3】残業代請求権の3年への延長
  3. 勤怠管理と勤怠管理システムの重要性

コロナウイルスなどの激変に対応しつつ、働き方を変化させることが求められている現在の状況

2020年はコロナウィルス対応をはじめとした勤務環境の激変がありました。感染症対応のインパクトがあまりに巨大であったために目立たなくなりましたが、働き方改革関連法の施行が次々に行われ、行政上の制度整備がさらに進んだ年でもあります。また、コロナウィルス対応の中で雇用調整助成金などの申請が行われましたが、こうした助成制度の活用においても、勤怠管理を適正に行っているかどうかが大きく問われました。

まず、ここ数年は働き方改革による制度改革が進められてきました。
働き方改革は、多様な働き方を可能にし、労働参加の裾野を広げ生産性の向上を図るものです。働き方改革において労働時間管理を厳格化し、労働時間の上限を規制する法改正が行われました。勤怠管理の重要性などが広く広報されたこともあり、勤怠管理システムによって分単位の物理的な記録を行うような企業もずいぶん増えてきたものと思われます。

しかしながら、勤怠管理システムを導入しただけでは十分とは言えない場合が多く、正確な記録作業が行われていない企業や運用が十分でない企業も散見されます。
また、働き方改革はそもそも生産性の向上と多様な働き方の実現のために行われたもので、勤怠記録によって業務の把握や改善を行ってこそ意味があると言えます。

こうした業務の把握は、社会の激変に対応するためにも大きな意味があるものと言えました。コロナウイルス対応下で雇用調整助成金の支給要件の緩和がされるなどさまざまな施策が打ち出されましたが、日ごろから勤怠管理を適正に行っている企業では、業務量の把握や適正管理がされており、部分的な休業等の判断も迅速・適性に行えた傾向があったことは特筆すべきことではないかと思われます。

近年の法改正と、勤怠管理システム「導入後」に留意すべき点

近年に行われた、勤怠管理に関わる法改正と、勤怠システム「導入後」に留意すべき点を列挙します。

【1】労働時間の物理的把握の義務

2019年に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」としてさらに厳格な内容に改定され、特に自己申告制での労働時間の管理に対して、適正な把握を行うためのさまざまな注意すべき点が定められています。
また、同じく2019年に労働安全衛生法が改正され、全ての労働者に関して健康管理観点で、労働時間の物理的な把握を行う努力義務も定められました。

これらの改正内容では、タイムカードやITツールなどによって、時間管理を物理的記録によって行うことが実質的に推奨されていると解釈することができます。

これらによって勤怠管理システムの使用が一般化したものと考えられますが、忘れてはならないのはシステムを導入した上での適正管理です。

散見されるのが、打刻が実際の労働時間と乖離した状態になっているものが放置されているようなケースです。勤怠管理運用を適正に行うには、「勤怠管理を行う部署ごとの責任者と運用」が不可欠ですし、社員の方が適正に打刻を行う意識の喚起も必要になります。システムがこうした運用をフォローするような機能を持っている場合もあり、勤怠管理の自社の現状を把握し、適正な管理を確認し続けることが重要だと思われます。

【2】労働時間の上限規制について

もともと労働基準法には法定労働時間の定めはありましたが、36協定の内容にさらに特別条項を設けることで上限を超えた定めを行うことが可能であり、この定め方を行った場合は特に上限はありませんでした。
2019年に大企業、2020年には中小企業に、初めて36協定締結時の限度時間数特別条項について「単月100時間以内・直近2~6カ月平均で80時間以内」などの、総労働時間の上限規制が施行されました。

注意しなくてはならないのは、こうした法改正は、単に労働時間の上限を守って働かせればよいという意味ではないということです。
さまざまな雇用形態・働き方で働いている方がいる中で勤怠管理を企業側で行い、勤怠状況が適切かどうか、改善できる箇所はないかを把握・検討し、生産性の向上を行い続けることが求められている趣旨であると解釈できます。

勤怠管理システムを導入して打刻記録によって管理するだけでは十分ではなく、社内での部署や社員の方の属性ごと・個人ごとに労働時間を把握し、現状把握と勤務の実態を予測したり改善し続ける体制になっているかどうかは重要なポイントです。

また、法改正の対応で忘れがちなポイントとして、特別条項の基準は単月単位のものではなないため、過去の月にわたって毎月労働時間の合算と平均をして確認し続けないと厳密に上限規制の範囲内なのかどうかは反映しません。こうした把握が本当にできる体制になっているのかどうかということについても、改めて確認してみた方が良いのではないでしょうか。

【3】残業代請求権の3年への延長

2020年4月1日に施行された改正民法から、残業代請求権が3年に延長されました。
そもそも改正民法においては債権法の内容が大きく変わり、「短期消滅時効」が廃止され、債権の消滅時効期間は「5年」に統一されました。これにともない、残業代を含む賃金に関する債権の時効期間については激変を緩和する措置として、「当分の間、3年間とする」ことになりました。

賃金債権が最も問題となる事例は、残業代請求権に関する争いです。
勤怠管理と不可分の問題であり、勤怠情報から正確に給与計算ができているかどうか、データの正確な連携が求められる事態になっているといえるでしょう。

また単に正確に計算できていればよいというものではなく、たとえば労働時間管理やそもそもの業務の管理について、企業と労働者が潜在的に反発し合っているような体制だと、トラブルになる芽が常にあるような状態だと言えます。企業と労働者が一緒の目線で、より効率的で効果的な働き方を目指して意識を確認し合えるような体制であることが必要であると言えます。

特に、勤怠管理システムは導入されれば毎日、労働者と管理をする会社側との双方で使うようなシステムですので、これを使って「労働への意識改善」を行っていく運用などができれば、経営リスクを減少させる観点でも、事業をより前に進めるという観点でも、でも大きな意味があるものと言えます。

勤怠管理と勤怠管理システムの重要性

以上のように、勤怠管理は重要度を増し続けており、そういう中で勤怠システムの位置づけの重要度も増し続けていると言えます。単に打刻のために導入しただけでは十分ではなく、適正な打刻や管理ができているか、労働の状況や内容を改善するために活用できているか、働くことへの意識を適正にするために活用できているか、などさらなる工夫が求められていると言えます。

働き方改革の推進や重要な法改正を経て働く方の認識が大きく変わってきていることもよく言われますが、そういう状況の中での企業側の認識が問われています。

また勤怠管理システムについては、それ以外のHRテクノロジー系のシステムや労務系システムとは際立った違いがあります。それは、使用者が労務管理側と労働者にまたがっており、ユーザー属性が違う者が一度に継続して使用するような数少ない人事系システムであるということです。UIや使い心地、システムの使用方法の分かりやすさ、システムの信頼性や表示速度などが、使用する上で重要な要素になることが多いと言えるでしょう。こうした意味で、導入にあたっては、実際のシステムをさまざまな形で試用してみる必要性が特に高いものだとも言えます。【おわり】

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執筆者紹介

松井勇策(まつい・ゆうさく)(社会保険労務士、公認心理師、Webフロントエンジニア・グラフィックデザイナー) 東京都社会保険労務士会 広報委員長(新宿支部)。フォレストコンサルティング労務法務デザイン事務所代表。名古屋大学法学部卒業後、株式会社リクルートにて広告企画・人事コンサルティングの営業職に従事、のち経営管理部門で法務・監査・ITマネジメント等に関わる。その後、社会保険労務士として独立。労働法務の問題や法改正への対応、IPO支援、人事制度整備支援、ほかIT/広報関連の知見を生かしたブランディング戦略等を専門にしている。(2020年1月末時点の情報です)

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