企画

全メンバー400人がフルリモートの企業、ニットが伝授!


リモート環境でも新人とのチームビルディングを実現し、組織への信頼感を高める方法

2020.10.23

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2020年2月以降、新型コロナウイルス感染対策として企業のリモートワーク導入が急速に進んだ。その結果、対面で会う機会がないままチームの仕事が必要になるシーンも増え、新卒・中途社員が企業風土に慣れる工夫や、円滑なチームワークを行う方法の構築が各企業の課題となっている。
人事担当者、現場リーダーや管理職は、リモート環境下でオンボーディングを成功させ、チームワーク向上を目指すためどんな施策を打てばよいのだろうか。

2015年にリモートワークを前提に創業し、現在400人全員がリモートで運営を行いながらリモートワーク実践の知見を社外に積極的に発信・提供しているのが株式会社ニット(東京・品川)だ。同社も新人受け入れの制度を構築するまで数多くの試行錯誤を繰り返したという。
今回は、人事担当者としてニットの採用、育成、組織運営の中核を担う藤澤恵子さんと、オンラインでのセミナー講師やイベントのファシリテーターでも活躍中の広報・小澤美佳さんの2人に、ニットのこれまでの実践を基にしたオンボーディングの方法やリモートワーク環境下でも強い組織作りを行うためのノウハウを聞いた。【取材:2020年9月30日 Zoomで実施】

藤澤恵子(ふじさわ・けいこ)

写真:株式会社ニット藤澤恵子氏東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業。大学卒業後アクセンチュア株式会社へ入社し、大手企業のERP構築・導入や人材育成制度の構築に携わる。
その後人材育成、組織開発のコンサルティングを専門とする。NTTデータグループの企業でHR領域のコンサルティングや研修、育成制度の企画設計・実施に従事。
結婚を機に長野県へ移住。出産後、2018年にニットに入社し、マネジャーを経て現在は採用、育成、組織運営を担当。

小澤美佳(こざわ・みか)

写真:株式会社ニット小澤美佳氏愛知県生まれ。2008年に株式会社リクルート入社。中途採用領域の営業、営業マネジャーを経て、リクナビ副編集長として数多くの大学で、キャリア・就職支援の講演を実施。採用、評価、育成、組織風土醸成など幅広くHR業務に従事。
2018年中米ベリーズへ移住し、現地で観光業の会社を起業。2019年にニットに入社し、カスタマーサクセス→人事→営業を経て、現在、広報に従事する傍ら、オンラインでのセミナー講師やイベントのファシリテーターを実施。副業で嘉悦大学の非常勤講師。キャリアや就職などに関する授業を担当。

 

目次
  1. 最大の課題は「メンバーの状態」をどうキャッチするか
  2. リモートで必要なのは透明性が高く納得できる評価制度
  3. リモートワーク導入時に切り替えが必要な2つのポイント
  4. 「新人の逃亡」から学んだオンボーディングの精緻なフェーズ設定
  5. テキスト上の雑談や社内コミュニティへの参加がチームワークを生む
  6. 成功に魔法はない!リモート環境で人事が実践すべき施策
  7. リモート環境では人事の「背景を説明する力」が重要に
  8. マネジメントの鍵となるのは「ボーダレス」の思考
  9. リモートワークの特性を今一度理解し、日々アップデートを行う

最大の課題は「メンバーの状態」をどうキャッチするか

──ウィズコロナ時代にスタンダードとなりつつある非対面コミュニケーションの最も大きな課題は何だとお考えですか? ニットがフルリモートを実現するにあたって課題と感じた点を教えてください。
藤澤恵子(以下、藤澤)
:普段のメンバーの表情や様子をキャッチしづらいのが創業時からあった課題でした。
Webミーティング時にメンバーの様子を確認することは可能なのですが、画面に映っていない普段のパフォーマンスこそが実は重要です。一番問題なのが、「これはわざわざ言う相談ではないかな…」とメンバーが個人の力だけでどうにかしようとした結果、やはり解決できなかった、というパターンです。
このパターンで1つ失敗例があります。ある日突然メンバーから「やめます」と言われてしまったことがありました。前兆が見えなかったので驚きましたが、そこに至るまでの過程をたどって確認していくと、それなりの理由がありました。
これは実際によくあるパターンです。この「見えていない部分をどうキャッチするのか」という課題は創業当初からずっとありましたし、長い時間をかけて解消してきた課題でもあります。

写真:取材に応じる株式会社ニットの藤澤恵子さん

今回の取材もリモートで行った。藤澤さんは長野の自宅から参加

リモートで必要なのは透明性が高く納得できる評価制度

──非対面コミュニケーションにおいて生産性や信頼感を下げないため、どんな目標や制度を導入していますか。
藤澤
評価制度に関して言うと、報酬の透明性を上げ、納得度を上げる仕組みを整えることが最も重要です。

フルリモートだと「別プロジェクトのメンバーの仕事内容やパフォーマンスが全く分からない」ということもあります。報酬はとても重要でセンシティブな部分です。報酬決定に至るまでは、納得度や透明性のあるプロセスになるよう設計する必要があると思っています。仕事をして、どのような成果をアウトプットしたのか、客観的に目に見える数字にし、その数字でメンバーを評価しています。

写真:フルリモートを行うニットの業務風景(株式会社ニット提供)

フルリモートを行うニットの業務風景(株式会社ニット提供)

 ──リモートを導入した企業にとっても評価制度の改革は避けては通れないものでしょうか。
藤澤
:一概にそうとは言えません。リモートワーク開始後は対面で全く会ったことがないメンバーも混在しているため、全員に納得度の高い評価をするのが難しい面もあります。

一番良いのは、マネジャーが対面では会ったことのないメンバーとの信頼関係を築きながら、評価への納得度を高めるようなコミュニケーションを取っていくことではないでしょうか。

リモートワーク導入時に切り替えが必要な2つのポイント

小澤美佳(以下、小澤):リモートワーク導入間もない企業にとっては、とても基本的な話ですが、評価の手前に、マネジャー陣のITリテラシーを上げることが重要であったりもします。リモート導入にあたって、そもそものITリテラシーの低さが生産性を下げてしまうということが往々にしてあるからです。

オフィス出勤時にはできていた「〇〇さんの机に資料があるよ」「このツールの使い方を教えて」という気軽な教え合いもできないので「社内の情報の見える化」が自ずと必要になります。

ニットではサイボウズ社のkintoneを使い、情報を誰でも見られる状態で一カ所に蓄積しています。また、マネジャーは次の2点に注意して仕事の受け渡し方や指示の出し方を変える必要があるかもしれません。

Point
1.曖昧な指示をやめ指示内容を具体的にする
2.仕事の期限や条件を具体化してから仕事を受け渡す

──直接会ったことがあるメンバーとリモートだけで接点があるメンバーが混在しているチームの場合、評価以外に注意を払う必要があるのはどの部分でしょうか?
藤澤:大事なことは、「ノウハウやナレッジを自分の中に溜め込まない」ということです。

「属人化させることで他のメンバーとの差別化を図り、それを自分の価値とする姿勢は駄目だよ」と呼びかけています。このような姿勢はチームの生産性向上や事業目標達成を阻害させる原因だからです。
ですので、人事からは現場のリーダーに情報を溜め込まないよう要請しています。リーダーからもメンバーに伝えてもらい「属人化はしない姿勢」の浸透を図っています。

「新人の逃亡」から学んだオンボーディングの精緻なフェーズ設定

──リモートワークに慣れていない企業は新入社員とのオンボーディングをどう行えば良いのか、企業側に求められる考え方や転換が必要な点を教えてください。
藤澤
:リモート前提のオンボーディングについて言うと、「オンボーディングが乗っている状態」をどこに定義するかによって必要なものは異なります。組織や企業の特徴によりけりの部分もあります。

リモートの環境でオンボーディングを行う場合、全てのコミュニケーションが完全に足並みが一致することがない「非同期」である点を前提に考える必要があります。

まず必要なのはオンボーディングの段階をフェーズに落とし込むことです。組織に入ってすぐに新メンバーのオンボーディングが順調に行くことはまず無いと言って良いでしょう。それぞれのフェーズで何を行う必要があるのか、どのような対応が適しているか内容を作り込んでいく必要があります。

──フェーズ作りの段階でしっかりした検討が必要になるのですね…。
藤澤
:対面だと大雑把な対応でもオンボーディング可能だった面もありますが、リモートでのオンボーディングはかなり細かいフェーズ設定が不可欠になります。ここの設定が粗いと、オンボーディングが終わる前にメンバーが辞めてしまう、という事態も考えられます。

──ニットでも失敗事例があったのでしょうか。
藤澤
:ニットでは新卒採用を行っていないため、中途社員のケースですが、オンボーディングの途中で音信不通になってしまったメンバーがいました。

小澤:音信不通はフルリモート企業ならではの困りごとかもしれません。直接事情を聞けませんし、遠距離なので自宅を訪ねる訳にも行かず…。

藤澤:なぜそのようなことが起こったと言うと、

  • その当時はフェーズを区切らずにオンボーディングを実施していた
  • 最初からかなりレベル感の高い目標を設定していた

ことが大きな理由でした。

「これができるようになって当然だよ」というメッセージを与える形で研修を行ってしまうと誰しも大きな不安を感じ、「この企業で自分はやっていけないのでは…」と思ってしまいます。

決して「高い目標を与えるな」と言うわけではなく、「目標の見せ方」の問題です。「最終的にはここまでできるようになってほしい」「マネジャーにはこういうことまでお願いしたい」という目標は伝えても良いのですが、その代わり「1カ月間でここまで達成してほしい」「次の1カ月はここまで」というように段階を踏み、直近の目標をセットで伝えることが大切です。
こうやってフェーズを区切ることで、新メンバーが感じる心理的な負担はかなり軽減できます。

──新入社員のオンボーディングとして効果的な方法をニットの実践を基に教えてください。
藤澤
:まだニットでもアップデート中ではありますがご紹介します。
ニットでは「ジョインから2カ月で新メンバーが独力で業務を獲得し、40時間以上自律的に働ける」、という状態を「オンボーディングに乗っている」と定義しています。その上でフェーズごとに区切って新メンバーのオンボーディングを行っています。

図:株式会社ニットのオンボーディングのフェーズ

ニットが実践している新メンバーのオンボーディング 

テキスト上の雑談や社内コミュニティへの参加がチームワークを生む

藤澤:第2段階のフェーズでは細かい点まで育成担当はテキストでフィードバックを行います。「対面でなら言えていたが、テキストだと指摘しづらい」という気後れがあると後の業務に支障が出るため、人事としては育成担当にテキストでしっかりと指導することを求めます。

たとえフルリモートの企業から転職してきた人であっても、この3つのフェーズは必ず必要になると考えています。

──フルリモートでチームワークを向上させるための戦略や目標を設定していますか。
藤澤:
事業目標を達成させるためにチームワークが必要、と考えていますのでチームワークのためだけの目標はありません。ただし、目標を達成する重要なファクターでもありますので非常に意識はしています。

チームワーク向上のためには、仕事以外のコミュニケーションの場を、仕事の内外で作ることが重要です。

仕事外のコミュニケーションは広報の小澤が中心となって、お花見【下写真】やニットで行った世界一周企画など、実際の社内イベントで体験できるようなことをオンラインでも実施しています。

写真:ニット社の社外コミュニケーションの一環である「オンラインお花見会」の様子

社外コミュニケーションの一環である「オンラインお花見会」(株式会社ニット提供)

例)ニットのオンライン社内イベントの事例

  • オンラインお花見会
  • オンラインでの100人忘年会
  • バーチャル世界一周旅行
  • 社長によるオンライン絵本読み聞かせ
  • オンライン子ども職場体験

参考:即実践できる! オンラインイベントの運営ノウハウを公開します!!

藤澤:それと同じくらい大事なのが「仕事内で行う仕事以外の雑談などによるコミュニケーション」です。テキストで雑談はやりづらい面もありますが、ニットには「あえて雑談を禁止しない」というカルチャーがあります。

例えば、メンバーのお子さんが体調不良になったという事務連絡が社内イントラに流れた場合でも、後日「お子さんは大丈夫?」「ご飯食べられるようになった?」などメンバー同士で声掛けしたりします。

こうした日々の雑談がフックになり、顔が見えないリモート環境でも仕事の困りごとが共有しやすくなります。「話しても受け止めてもらえる」という心理的安全性があればこそ、現場のリーダーや人事もメンバーから率直な意見を聞く機会が得られます。

小澤:ニットの掲げているバリューに「ボーダレス」というものがあります。「1人ではなくみんなで一緒に仕事する」「自分の仕事を超えていこう」というこのバリューの体現は、目標というよりも文化として大切にしている点かもしれません。

──「社内コミュニティ作り」も活発だと伺いました。リモートワーク中に文化を醸成していく上で、コミュニティにはどんな役割が期待できますか。
藤澤:コロナ以降、デザイナーやエンジニア以外の仕事でもリモートワークは可能、ということに多くの企業が気付きました。しかし、組織やチーム、文化を作る上ではオフラインそのままのやり方では通用しない部分がこれからもっと顕在化してくると思います。

社内コミュニティは組織のカルチャーやミッション、ビジョンを体現していく場と言えます。「なぜこの会社に入ったのか?」という想いは、通常の仕事だけに集中していると忘れがちですが、仕事内外、両方のコミュニティのメンバーと関わることで「自分にはない視点」から気付きを得ることができます。

例えば、コミュニティ内で自分が関わっていないプロジェクトでメンバーが得た知見や仕事の意義に触れることができる場合もあると思います。「自分だったらどうだろう」「自分ならこれができそう」など、改めてバリューやミッションを自分のものとして捉える機会にもなり得ると考えています。

これを人事側から一方的に発信すると、「また人事が何か施策をやっているよ…」と受けとられてしまいがちです。しかし、メンバーから自発的にコミュニティー内で発信してもらうと、受け取る側もフラットに聞き、考え、自分の意見がある時は意見を返すことができます。コミュニティーのように、業務領域を超えて、双方向型のコミュニケーションができる場所が組織にあるのは、カルチャーを醸成していく上でひとつの理想的な形だと思っています。

成功に魔法はない!リモート環境で人事が実践すべき施策

──フルリモート環境で、新入社員を受け入れ、組織風土を理解してもらうため、特に人事担当者には今後どんな考え方や施策の検討が必要になるのでしょうか。
藤澤
まず第1段階として情報をオープンにして、必要に応じて各チームのミッションや、インターフェースとなるツールを整備する必要があると思います。そしてそれを使いこなせるITリテラシーをマネジャーはもちろんメンバー全員に根付かせるインプットを行います。

このインプットができた上で第2段階として必要となるのが、「魔法がないことを人事が理解する」ということです。リモートワーク化することで「何か特別な施策があり、それを行うことによって組織運営もうまくいくのでは」と思いがちですが、それは実は幻想なんです。

リモートワーク導入後であっても「施策を根付かせるためには繰り返し試行錯誤していく必要がある」「マネジャーとしてメンバーを注視する」という組織に必要な根本部分は対面コミュニケーション時と変わりません。この根本的な部分はリモート環境で施策を考える人事担当者の方にも理解していただく必要があるのではないか、と思います。

それでも、企業の風土によって、フィットする方法・そうでない方法は必ず出てきます。ニットで成功した施策でもうまくいかないケース、逆にニットで失敗した施策でもその企業によってはうまくいくケースがあると思いますので、どんな施策が良いか企業毎に考えていただければ、と思っています。

リモート環境では人事の「背景を説明する力」が重要に

──ズバリ、非対面コミュニケーションが前提となるリモート環境下で人事担当者に求められるのはどんな役割・スキルでしょうか。
藤澤
リモート環境下において人事担当者に必要な役割はと一言で表すと「お芝居の狂言回し」のような役割でしょうか。物語の主役はあくまで現場のメンバーですが、狂言回しは「これから皆で作っていく組織の物語」の進行係です。

制度改革や施策の導入など組織の場面が変わる時に、「なぜこの制度が必要なのか」「なぜこのように変わるのか」背景説明をする役割でもあると思います。「組織という物語」の主役であるメンバーの理解の手助けとなるような動きを、組織の中でしていくのが狂言回しとしての人事の重要な役目と言えます。

特に大事なのは「背景説明」です。リモート環境で、異なるセクション・ポジションで働いていると、「部分最適」に陥りがちです。全体を見ている人事なら、そのセクション・ポジションでは不利益になる選択でも組織の「全体最適」を見て判断し、「これはどうしても必要」とその背景を説明できます。リモート環境においてはこの背景説明をオフラインの時よりも丁寧に説明する必要があります。

人事担当者としては、ドラスティックに組織を一気に変えていく、というよりも、周囲の意見を聞き、全体を見て1つずつ修正し、組織をアップデートする役割が今後より必要になってくるのではないでしょうか。

マネジメントの鍵となるのは「ボーダレス」の思考

──管理職やチームリーダーはどんな目標や戦略、考え方をもとにリモート環境でのマネジメントやチームビルディングを行う必要があると思いますか?人事の視点から教えてください。
藤澤
ニットでは自社のビジョン・バリューである「ボーダレス」の視点を持ってほしい、と伝えています。管理職・チームリーダーほど自分の業務範囲に囚われてしまいがちです。社内コミュニティー作りにも当てはまりますが「ボーダレス」はみんなで協力してやっていこうという視点です。

ボーダレス

会社はチームプレー。
困っているメンバーがいたら、
思いやりをもって手を差し伸べよう。
あなたがいてよかった、を社内から
発信する行動を普段から取ろう

(ニットの「バリュー」より)

「これは私の仕事じゃありません」と、リモート環境だと「部分最適」を強めて境界を作ってしまいがちです。なので、これを意図して取っ払っていく必要があります。一度組織の問題を各メンバーや管理職が「自分ごと」として考え、その上でミッションやビジョンに立ち戻っていくと何が必要なのか改めて分かってきます。

──「ボーダレス」の観点は対面コミュニケーションでも大事な視点ですが、リモート環境だとより重要になってくるのでしょうか。
藤澤
:リモート環境で対面で接しなくなってしまうと、どうしても視野が狭くなり「部分最適」に陥りがちです。「営業側が悪い」「運営が悪いでしょう」と自分以外の人を悪者にしてしまう傾向は強まってしまうので、そこで「みんなで協力してやっていこう」というボーダレスな向き合い方で組織を作っていってほしいと思います。

──オンボーディングやチームビルディングに関して、対面コミュニケーションにはないリモート環境下での実施にメリットはありますか。
藤澤
:やはり対面に勝るコミュニケーションはないというのが1つの答えですが、メリットはいくつかあります。
まずリモートならではの手軽さです。物理的な距離があってもコミュニケーションが取れます。

また、「情報の平等性」もメリットだと言えます。対面時のコミュニケーションだと一部の人に情報が偏るケースも往々にしてありますが、リモート時は一度連絡を流せば全員に同じ情報量が行き渡る。情報をすぐグラフ化して共有できるといった、インタラクティブなコミュニケーションができる点もリモートならではのメリットだと言えます

リモートワークの特性を今一度理解し、日々アップデートを行う

──最後に、リモートに慣れていない中小企業がオンボーディングやリモートワークを長期的に実施していくにあたり、アドバイスがあれば教えてください。
藤澤
:まずはリモートワークのコミュニケーションが非同期であることを改めて意識することですね。リモートだと相手の状況が一切見えないので、一定時間連絡がないと「見えないところでサボっているのでは…」と疑心暗鬼になりがちですが、そのような思考はチームビルディングを行う上では健全ではありません。

リモートワーク中は「大前提として、他人の仕事の全てを把握することはできない」ということを理解します。それを前提に信頼感を高めたり、適切なコミュニケーションが可能な取り組みを進めたりといった姿勢に立ち戻って考える必要があるのではないでしょうか

──ありがとうございました。

※情報は取材時点。

【聞き手・長谷川久美、祝迫智子。文・長谷川久美】

企業情報

株式会社ニット
設立:2017年8月 ※2015年 HELP YOUサービス開始
代表:秋沢崇夫
事業内容:オンラインアウトソーシング、業務仕分けコンサルティング、テレワークの研修・コンサルティング、コスト最適化サービス、メディア運営事業
HP:https://knit-inc.com/

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