コラム

「最優秀エージェント」受賞企業が伝える採用の秘策【第7回】


採用格差が広がる今、人事が構築すべき新しい採用様式とは

2020.10.01

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コロナ禍で採用を一時控えている企業があるものの、中小企業が根本的な人材不足であることに変わりありません。売り手市場一辺倒にブレーキがかかり、優秀な人材にリーチしやすくなった今、採用担当者の力量による採用格差はさらに広がると予想されます。

採用活動を成功させるには経営層、現場担当者、そして人事が持つそれぞれの視点を採用担当者が把握し、新たな時代に合わせて再編成する必要があります。今回はそれぞれの立場で異なる採用視点とその改善ポイントから、今人事が構築すべき「新しい採用様式」について考えます。【執筆:株式会社MAP代表・飯田健太郎】

目次
  1. 経営者に年収バイアスは存在しない
  2. 最初に巻き込むべきは、現場責任者
  3. 採用担当が持つべ新たな視点
  4. 担当者の活躍による採用成功事例
  5. 人事が新しい採用様式を構築するために必要な要素

経営者に年収バイアスは存在しない

はじめに、私自身の考えも含め経営者視点から見た採用についてお話しします。

経営者にとっての採用とは、経営計画というKGIを達成するためのKPIのひとつ。常に未来を見据えている経営者が欲しているのは、会社の未来を託せる人材に他なりません。今の状況では特に、多くの経営者が次のようなイノベーションを意識して採用を考えているのではないでしょうか。

・投資に値する人材の確保
・会社の発展につながる採用
・会社の新たな武器と成り得る人材

例えば、年収350万円の新卒人材よりも、年収700万円のハイキャリア人材のほうが活躍の可能性が高く、採用リスクは低いと経営者は考えます。経歴や年収のバランスを重視する人事や現場責任者は、高年収人材を敬遠しがちですが、経営者視点での高年収人材の採用をハイリスクと捉えていないことを理解しましょう。

ちなみに、アッパーミドル層は未来が見えない会社をまず選びません。一次面接担当者の杓子定規な面談では逆に見切られてしまうこともあります。是が非でも採用したいハイキャリア人材には一次面接から経営層を当てるなど、面接工程を変更する機転も必要です。

最初に巻き込むべきは、現場責任者

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突出した個性を好まず、扱いやすい社員を求める傾向が強いのが現場責任者です。経営方針として革新的な人材を必要とする場合、企業としての採用目線を統一するためにも、現場責任者に2つの認識を改めてもらう必要があります。

・業界、職種経験者優遇
・バランス重視で扱いやすい人材を求める

急な欠員が出た場合の経験者補充は必要ですし、早期離職防止のためにはカルチャーフィットも重要です。しかし、似た経歴やタイプの社員ばかりを集めたところで、企業としての成長は見込めません。同じ業界からスライドしてきた人材に新たな発想を求めるのは困難です。

経験者至上主義の現場からは反発があるかもしれませんが、現場の理解なくして採用は成功しません。足元だけでなく、3年後、5年後を見据えた採用活動であることを理解してもらい「いい人材像」をアップデートしましょう。

採用担当が持つべき新たな視点

最後は、採用担当者が持つべき新たな視点について。

中小企業は専任担当をおかず、他業務と採用を兼任していることがほとんどです。限られた時間の中で効率よく採用活動を行うためにも、主に意識すべきは3です。

・社内の意識共有と巻き込み
・他社との内定バッティング攻略
・業務のスリム化

新卒・中途共に大量採用する大企業とは異なり、明確な採用目標を設定していない中小起業では、採用活動が自身の評価につながらないことから片手間業務となっているケースもあります。

しかし、採用とは企業の存続に関わる重要な経営課題です。採用に関わる社内のキーパーソンを巻き込み、採用担当者がイニシアチブを取ることが重要です。

人事や現場担当者の面接で高評価だった人材に、経営層が最終面談でNGを出し採用に至らなかった、というケースも多々ありますが、これはそれぞれの立場で欲している人物像にズレが生じていることから起こるロスといえます。

まずは今採用すべき人物像について関係者全員が把握できるよう、採用担当者が率先して旗振りをすることから始めてください。

採用すべき人材は、状況に応じて変化するものです。従業員サーベイなどのデータを頼りに「今社内で活躍している人材と似たタイプ」を割り出す企業は増えていますが、それよりも「今必要な人材像」を、状況に応じてアップデートすることが大事なのです。

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採用担当に求められる「口説き力」

さらに、求職者との接点が多い採用担当者に最も必要なのは、口説き力。業界大手や有名企業と内定がバッティングした場合、待遇面や社格では残念ながら太刀打ちできません。自社への入社を決意してもらえるか否かは、採用担当者の口説き方にかかっているといっても過言ではありません。求職者の性格や仕事観、キャリアプランを見極めた上で、自社で働くメリットを伝えるパーソナルな提案力と説得力が求められます。

最後に、採用業務だけに注力できない兼任担当こそ、やらない仕事を決めてしまいましょう。例えば、多くの求職者を確保するために人材紹介会社を抱え過ぎて、対応に忙殺されている企業も多々あります。すべきことよりも先に、ノンコア業務をアウトソーシングする、非効率な資料や会議を廃止するなど、やめることを決めて下さい。

担当者の活躍による採用成功事例

立場ごとに異なる採用視点を把握し、上手く社内を巻き込んだ人事の採用成功事例をご紹介します。

弊社のクライアント企業で、最終面接で一旦出した不採用決定を覆し、採用につなげた担当がおられました。当初、求職者が希望していたポジションの面談でNGが出たものの、会社にとって必要な人材であると判断した採用担当がすぐに社内調整し、別拠点の別ポジションを用意。求職者を口説き、再度の最終面接前に自らが面接対策を実施するなど立ち回り、見事採用に至りました。

ちなみにこちらは有名企業でも、人気職種でもありません。加えて、転居を伴う採用という非常に厳しい条件を見事覆した事例といえるでしょう。数多くの企業の人事担当者を見てきましたが、一人の採用にここまで尽力できる担当者はそうはいません。この企業が採用に強い理由が腑に落ちたエピソードでした。

次に、業界No.1企業との内定バッティングに勝利したケースもご紹介します。企業規模や知名度はもちろん、条件面でも相手企業に勝てる要素はありませんでしたが、内定者が業界未経験だったことに着目。研修制度の手厚さや働きやすさをアピールし、自社への興味を高めることに注力しました。さらには成長フェーズにある企業にジョインするやりがいを伝え、同じく中途入社で活躍している社員と引き合わせて近未来像をイメージさせるなど接点を多く持ち続けたことで、見事内定受諾に成功しました。

これは弊社担当者が採用支援した中でも、エージェントの介在価値を認識していただけた事例だと自負しています。しかし、求職者の属性や性質から訴求ポイントを見極め、口説くスキルは、企業の採用担当者も高めるべきスキルであると断言します。

上記の事例から、採用担当者の力量によって採用格差が広がっていくとはどういうことか、おわかりいただけたのではないでしょうか。

人事が新しい採用様式を構築するために必要な要素

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経営者、現場、採用担当と、それぞれの採用視点について解説してきました。最後に、採用担当が「新しい採用様式」を構築するために必要な要素を改めてあげておきます。

・「いい人材」を社内で共有
・採用担当がイニシアチブを取る
・変化に強い変革者を積極採用
・兼任でも回せるよう業務をスリム化

中途採用は「今自社に必要な人材を確保する」というシンプルなミッションです。しかしその手法も「いい人材」の定義も日々変化しており、時代に応じたブラッシュアップができない企業は取り残されていきます。

転職が当たり前の今、社員が辞めることを前提に考えて採用し、業務の属人化を回避しなければならなくなりました。しかし、イノベーションを起こせるスペシャルワンの採用が組織を変えることもまた事実。コロナ禍により働き方が変わっても、企業にとって最大の資産は「ヒト」であることに変わりありません。

今の採用で3年後、5年後の企業の姿は大きく変わります。先行きが不透明であることを理由に採用をただ止めるのは危険な行為。今こそ人事がハンドルを握り、会社の命運を賭けた採用活動に挑みましょう。(終わり)

【飯田氏の連載記事】
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「最優秀エージェント」受賞企業が伝える採用の秘策【第1~4回】(@人事プライムコラム連載)


【編集部より】選考の質を高めたり、採用戦略を立てる上で役立つ情報

執筆者紹介

飯田健太郎(いいだ・けんたろう)(株式会社MAP 代表取締役) 1981年静岡県生まれ。(株)リクルートHRマーケティングを経て若者に特化した転職⽀援会社を25歳で設⽴、以降12期連続成⻑を達成中。働く意欲ある若い世代と優良企業をつなぐ多⾓的な事業を展開している。

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