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特集

未来工業の業績好調の秘訣に迫る


自ら考える社員を育てる「改善提案制度」

2016.06.29

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ホウレンソウ不要、年間休日数が140日。定年70歳。
それでいて毎年増収増益を果たし、2015年度の経常利益率は12.8%と、驚異的な高収益を上げている。それが住設部材の製造・販売を事業し、岐阜県を拠点とする未来工業株式会社である。社員の幸福を念頭に置いた経営を行っており、『日本でいちばん大切にしたい会社2』(あさ出版)にも選出され、国内外の企業からの視察が絶えないという。

同社の総務部員である杉原創紀(すぎはら・そうき)氏に、改善提案制度などの施策が社員のモチベーション・生産性向上につながっている理由についてお話を伺った。

目次
  1. 改善提案の実施の軌跡を見える化。あえて実施率の数字は見せない
  2. 社員が嬉しいと思う仕組みづくりに徹する・変化に対応する
  3. 思い切って変えてみる、ダメならもとに戻せばいいだけ

改善提案の実施の軌跡を見える化。あえて実施率の数字は見せない

未来工業株式会社の改善提案制度

シールには誰が提案したかを明示

改善提案制度の特徴と効果について杉原氏は次のように語る。「未来工業では、『自ら考え、工夫する社員を育てる』ことが重要なテーマであり、改善提案制度は、それを象徴する制度になっています。この制度は20年ほど前に創業者が発案したもので、社内環境や仕事方法など改善提案を提出するだけで500円が、優れた案には万単位での報奨金が支給されます」。

2015年時点では、年間約9000件が提案されているという。社員約800人の同社では、一人あたり11件ほどが提案されていることになる。提案内容は主に、作業方法や職場環境の改善といった身近な内容だという。改善が実施された箇所には、提案者の名前と内容を記載したシールが貼られる。職場のあちらこちらに貼られるシールも、「自分の提案が会社に貢献した」という満足度向上につながっているのだろう。

興味深いのは、提案されたうち、どれくらい実施に踏み切ったのかを計算・公表していないという点だ。「実施率を公表すると、社員に『実施できる提案だけでいいのか』という印象を与え、積極的に提案する雰囲気に水を差すおそれがあるためです。また、提案の数や採用の有無も、人事評価には影響しません。大事なことは、社員が日々の業務の中で『もっと効率よくできないか』と考える習慣を身につけることですから」(杉原氏)

事実、改善提案制度など、「自ら考えて工夫する社風」は、開発現場でも効果を発揮している。個々の開発者の裁量は大きく、年間の新商品開発件数は300~500件にのぼる。「開発者はスペシャリストなので、その人が開発したいと考えたアイデアに対して、管理職がノーということはまずありません。社員が専門性を活かして提案をしていくのが日常の光景です」(杉原氏)

社員が嬉しいと思う仕組みづくりに徹する・変化に対応する

社員のモチベーションを大事にする制度をうまく回すために、人事担当者はどんな工夫をしているのだろうか。未来工業では人事専門の部署はなく、総務部5名(2016年2月現在)で採用や研修、労務などを担っているという。「『ホウレンソウは適宜、最小限に』という方針ですが、少しでも職場で気になることがあれば相談するように、と社員には伝えています。社員のやる気を阻害する一番の要因は、不満です。だから、社員の管理をするのではなく、不満の芽を摘みとり、社員が嬉しいと思うことを実現することが私たちの役割だと考えています。

そのため、年間休日数が140日、定年70歳などと働きやすい環境整備に徹しています。そうすれば、社員の中に会社への感謝の気持ちが芽生え、仕事へのやる気が高まります。また、時代の変化や社員のニーズに応じて、現状を見直すことも大事だと考えています。例えば以前、夜勤などを絡めた週休3日制を工場で実行したことがありましたが、土日が必ずしも休みではないため、『土日は家族や友人と過ごしたい』という意見があり、それを廃止するということもありました」(杉原氏)

社員の声を汲み取って柔軟に対応する姿勢を体現した事例といえよう。

思い切って変えてみる、ダメならもとに戻せばいいだけ

未来工業の就業風景

未来工業の就業風景

社員のモチベーションを高め、生産性向上に結び付けたいと考える人事担当者は、何を心がければよいのか。杉原氏はこう語る。「会社によって方針は様々なので、一律に『こうすればうまくいく』というのはありません。ですが、『仕組みを変えること』にマイナスの意識を持ち、一歩を踏み出せない会社が多い気がします。

まずは、変えたほうがいいと思ったら思い切って変えてみる。結果が良ければ続ければいいし、ダメなら元に戻せばいいだけ。新しいことに挑戦し、自ら改善し続ける社員を増やしたいのならば、人事担当者が率先して変化をつくり出すことが大事ではないでしょうか。

人のやる気が上がるのは、『仕事が任されて、自分の提案を実行に移せたとき』です。そして創意工夫が成果につながると大きな達成感を得られる。これを念頭に、社員の力を信じることが大事なように思います」。

未来工業では、社員自身が常に考える風土と、社員がやる気を持って働ける環境を整備しようという気風が根づいている。「人材が一番大事」という考えが全社的に体現されているからこそ、社員のモチベーションが高まり、商品開発力や業績の向上に結びついているのだろう。

【編集部より】
社員のモチベーションアップに関する記事はこちら。

執筆者紹介

松尾美里(まつお・みさと) 日本インタビュアー協会認定インタビュアー/ライター。教育出版社を経て、2015年より本の要約サイトを運営する株式会社フライヤー(https://www.flierinc.com/)に参画。ライフワークとして、面白い生き方の実践者にインタビューを行い、「人や団体の可能性やビジョンを引き出すプロジェクト」を進行中。ブログは教育×キャリアインタビュー(http://edu-serendipity.seesaa.net/)。

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