アルバイトの戦力を最大限に引き出す教育制度「ツカラボ」～エー・ピーカンパニー～（後編）

「ツカラボ」では実践的な就活支援が行われる。

同社の社員教育の理念や、アルバイト教育のプログラム中でも構築を主導してきたのは、副社長の大久保伸隆氏だ。なかでも中心となり推進してきた、「ツカラボ」なる独自の教育制度は非常にユニークである。

人事担当者側がツカラボ生の席を回る、逆合同説明会

キャリアラボでは、同時にツカラボ生を採用したい企業による合同就職会も定期的に実施している。参加企業は、金融、不動産、介護、IT系など業種・企業規模・知名度はばらばらである。

多数の参加希望企業の中から、「理念経営の軸がぶれていないか」「個人の強みを生かす人材教育・人材配置を行っているか」などを軸に、エー・ピーカンパニーの担当者が、各社の人事担当者と面談して選定している。

アイ・エム・ジェイ新卒採用担当者の髙田千里氏

合同就職説明会に参加していた、ツカラボOG生でもあり、現在はデジタルマーケティング会社のアイ・エム・ジェイ新卒採用担当者の髙田千里氏は、「ツカラボ生は日々の店舗接客の中で、新卒社員としても十分に即戦力で活躍できるレベルに育てられている。高いホスピタリティとバイタリティがあり、仕事への心構えやモチベーションも非常に高い」と後輩たちの採用に意欲的だ。参加企業の担当者たちからも、「この場にいる全員を採用したい」という声も複数聞こえてくるほどだ。

ツカラボの運営を担う人材開発室副部長の平野知実氏

表面的な就活ノウハウだけでなく、新卒社会人としても十分に活躍できるだけのビジネススキルを高めた学生たちの内定率は非常に高く、キャリアラボ出席5回以上の受講生は内定率100％を誇る。

キャリアラボは、もともと就職活動の時期を迎えたアルバイトスタッフの離職率を抑えるための施策だったという。それを、これほどまでに手厚くサポートする理由は何だったのだろうか。

バイト時の制服を身にまとい、人事担当者にアピール

「最終的にはアルバイトスタッフたちへの『感謝』の気持ちの表れです。生産者を訪れる体験ラボでは3万円の自己負担がありますが、アルバイト先の教育研修にそれだけの負担をしてでも参加してくれる。日々の店舗もアルバイトの頑張りによって支えられています。

そんなスタッフたちに対する心からの感謝の気持ちがなければ、経営ロジックだけでは、おそらくここまでやり切ることはできないと思います」（平野氏）