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特集

中途採用の新潮流「地方銀行✕人材紹介」


地方銀行「人材紹介業」の実態。地方に活力をもたらすきっかけとなるのか

2020.04.20

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人材獲得で苦戦を強いられる地方企業の救いの手となるか。2018年3月、金融庁の規制緩和により銀行の人材紹介事業参入が認められた。すでに全国の地銀30行以上が動き出している。地銀は地方企業にとって、経営課題も相談できるパートナーとも呼べる存在。課題にあわせた人材のマッチングを期待されている。ただ、認可開始からまだそれほど大きな成果は伝わってこない。地域創生事業を手掛け、全国の地方銀行とのネットワークを持つ株式会社groovesの田中祐輔さんに、「地方銀行✕人材紹介」の現状や課題、今後、地方企業が活用できる可能性について聞いた。【2020年2月14日取材、聞き手:編集部】

【特集トップ】中途採用の新潮流~「越境転職」時代へ本格突入。採用眼を鍛えつつ新たな採用チャネルに注目~

目次
  1. 地方有力企業の浮沈は地方銀行の死活問題
  2. 地方の隠れた魅力ある企業へのマッチングは人材紹介の得意領域
  3. 補助金活用で動き出す「地方銀行✕人材紹介」の波に乗る

キーワード

銀行の人材紹介事業

図「銀行の人材紹介事業」中途採用の新潮流「地方銀行✕人材紹介」   地方銀行✕人材紹介の実態。地方に活力をもたらすきっかけとなるのか金融庁が2018年に銀行の業務範囲規制を緩和し、同年3月30日より人材紹介事業を始められるようになった。銀行自身やグループ会社が厚生労働省の有料職業紹介事業の許可を得て事業に参入する。報道によれば2018年末段階で、上場78行のうち、30行が参入を表明した。2020年春、人材マッチングの成約1件につき、指定の条件を満たせば上限100万円を支給する補助金が導入された。

プロフェッショナル人材戦略拠点

図「プロフェッショナル人材戦略拠点」中途採用の新潮流「地方銀行✕人材紹介」 地方銀行✕人材紹介の実態。地方に活力をもたらすきっかけとなるのか内閣府が主導し、新たな商品・サービスの開発、その販路の開拓や、個々のサービスの生産性向上などの取組を通じて、企業の成長戦略を具現化していく「プロフェッショナル人材」の採用やマッチングをサポートする目的で、各道府県に「プロフェッショナル人材戦略拠点」を設置している。大都市で働くプロフェッショナル人材の転職希望者と地域企業の橋渡しを民間の人材ビジネス事業者等がサポートする。
参考:内閣府 プロフェッショナル人材戦略ポータルサイト

Crowd Agent(クラウドエージェント)

図「Crowd Agent(クラウドエージェント)」中途採用の新潮流「地方銀行✕人材紹介」 地方銀行✕人材紹介の実態。地方に活力をもたらすきっかけとなるのかgroovesが運営する全国の人材紹介会社と求人企業のネットワーク化ならびに求人のデータベース化を実現する採用プラットフォーム。求人情報を登録することで、全国の人材紹介会社から候補者紹介を受けることができる、人材紹介会社・求人企業向けのクラウドサービス。
資本/業務提携を結ぶ地域金融機関や全国の自治体との提携などを通じて、全国3,000件以上の求人を掲載している。2020年1月時点で、人材紹介会社・求人企業への累計導入実績8,000社を超え、人材紹介業界ではトップ。
HP:https://www.crowd-agent.com/agent/

地方有力企業の浮沈は地方銀行の死活問題

写真:株式会社groovesの田中祐輔さん(@人事特集「中途採用の新潮流」)

――地域金融機関を取り巻く人材紹介事業の現状について教えてください。
地方では、専門的なスキルや知識がある方は人材紹介会社や求人媒体を、それ以外の方はハローワークを介して転職する流れが多く見受けられます。
また、地域に根差した人材紹介会社は、その地域に特化するがゆえ、他の地域から求人を集め求職者へ提案することはあまりせず、取り扱っている求人や人材の地域間移動が生まれにくい状況でした。

採用難の時代、特に地方企業が人材の確保に苦戦しており、地方銀行に、融資先でもある地元企業の支えとなることが期待されるようになりました。
2018年3月には、金融庁が規制緩和を行い、銀行の人材紹介業参入が解禁されましたが、正直なところ彼らも人材紹介はやったことがない。いざ大手の人材データベースへ求人を掲載したり、スカウトを使ってみたりと、いろいろなことをトライするものの、上手くいかず苦戦しているという声を聞いています。

さらに、内閣府主導で「プロフェッショナル人材戦略拠点」という各道府県毎に人材紹介会社を取りまとめて地場の企業に紹介する取り組みも始まっていますが、より一層の成果が求められているのが現状です。

grooves は、2017年3月に地銀系VCである広島ベンチャーキャピタルと大分ベンチャーキャピタルから出資いただく形で、両社の融資先企業に人材紹介を行う取り組みをトライしました。我々の強みは、「Crowd Agent(クラウドエージェント)」事業により東京の人材紹介会社と多く連携している点です。累計1,600社の人材紹介会社に利用いただいていますが、その大半が首都圏の会社です。地方銀行や地方企業が、首都圏の人材紹介会社へアプローチする術はなかなかありません。そこで我々の出番というわけです。

――具体的にはどういったことを協力するのですか。
銀行は普段から企業とコミュニケーションがとれているので、採用課題を聞き出すことはトレーニングや経験を積めば比較的容易に実施が可能だと考えられます。しかし、人材紹介は企業の採用課題を聞きながら、求職者のキャリアの相談も受けて、マッチングさせていく必要がある。現在、銀行には、求職者のキャリアへアドバイスするような機会はほぼありません。ここに1つのハードルあると感じました。
そのため、当面は求職者フォローの部分を人材紹介会社に任せる流れが続くと思っています。その連携やノウハウの提供を、Crowd Agentを通じて行っています。

地方銀行の目的は、人材紹介でお金を稼ぐことではありません。人口が減っていく中で2100年には総人口が5000万人を切る。でも東京はおそらくそんなには減らない。リニアモーターカーをはじめ交通インフラが発達し、ストロー効果で東京に人材が集中していく恐れがある。そうすると、働き手を失う地方企業は立ち行かなくなる。地方銀行にとっては融資先がなくなるわけです。
融資先、特に優良企業に良い人材が集まり、企業が存続し、継続融資もできるからこそ、地方銀行が人材紹介に挑戦する価値があります。

また、企業の代替わりの際に、利益につながる事業承継での株のやり取りが発生することもあります。地方銀行が事業承継コンサルとして入れば、企業の悩みを聞きながら必要な人材も紹介できる。そうした銀行の本業につながる部分で必要となるのが地方銀行における人材紹介業の本質だろうと、地方銀行各社と議論しています。

昨年末には、政府が地方銀行による人材紹介事業のマッチング1人あたりに最大100万円の補助をするという報道もありました。詳細はこれから詰められていくと思いますが、おそらく人材紹介の免許を持った地方銀行の動きがまだ鈍い点を考慮しての施策だと思います。補助金を活用して地方銀行に人材紹介の知見が貯まっていくのは良い流れだと思います。

地方の隠れた魅力ある企業へのマッチングは人材紹介の得意領域

写真:株式会社groovesの田中祐輔さん(@人事特集「中途採用の新潮流」)

――地方企業からすれば、人材獲得のチャンスが広がりますし、最終的には求職者の選択肢も広がりますね。
今の課題は、地方にどんなに良い企業があっても、出身者でもない限り、東京の人の知る機会がなかなかないことです。地方には知る人ぞ知る優良企業がまだまだある。逆に、東京ではそこまで企業規模が大きくなくても、知られていることが多くある。地域間にある情報格差をなくしていくことが大切です。
企業情報や魅力を「見える化」し、全国に広げ、東京をはじめ各地の人が気軽に転職できる環境を作ることが、日本の未来につながるはずです。

今は就労観も変わってきていますし、働き方も多様化している時代です。求職者側としては、居住地外の求人でも良い会社や機会があれば気付ける体制のほうが良いですし、企業側は良い人材に来てほしい。そしてこの部分の見える化は人材紹介に相性が良い。予想ですが、国もその点に目を付けたのではと思います。

人材紹介は、素晴らしい事業をしているものの、自社の魅力の言語化や訴求に課題のある企業の採用支援に強い側面があります。担当者がヒアリングしながらその企業の見せ方を変えていくこともします。今までは人材紹介会社で行われていたことを、その企業に精通した地方銀行がやる。東京の人材紹介会社が出張で足を運ぶよりも、深い信頼関係が構築されていて一歩踏み込んだ話もできる地方銀行の行員であれば、その企業に必要な人材を見極めやすいはずです。

融資の相談を受けるというのは、その企業の業績や内情、それこそ組織図まで見ているようなものなので、その企業の事業が停滞するような人をわざわざ紹介するようなことはない。
地方の優良企業にマッチする人を紹介できれば、日本全体が強くなる。地方銀行の人材紹介を通じて企業を「見える化」していこうというのが国の思惑なのではないか、と。

我々のやっている「Crowd Agent(クラウドエージェント)」も根本のところは同じです。弊社と契約を締結した求人企業の求人を、クラウドのプラットフォーム上で提携人材紹介会社向けに公開しています。東京の人材紹介会社も地方の人材紹介会社も、場所を問わずいつでもWebから見ることができる。(国と)目指しているところは同じじゃないかなと想像してやっています。

弊社もベンチャーなので求人の数がものすごく多いというわけではありません。一方で、地方銀行とアライアンスを結んでさまざまな取り組みを進めています。意味のある事例を積み重ねることによって、「地方でもこういう人を採用できるんだ、紹介できるんだ」と認識してもらうことが重要です。
東京だけでやろうとしたら、バチバチやりあってしまうかもしれないですが、地域の人材課題は一社では解決できません。地域、日本全体で協力する流れが今後はできてくると思います。

補助金活用で動き出す「地方銀行✕人材紹介」の波に乗る

写真:株式会社groovesの田中祐輔さん(@人事特集「中途採用の新潮流」)――こうした動きは人材紹介会社側にどういう影響をもたらしているのですか?
地場の人材紹介会社は今までやってきたことに補助金が出るのでメリットはあると思います。市場全体で見ると、やはり人材紹介会社が首都圏に集中していることもあり、あまり関係ないと思っている事業者は多いかもしれません。地方銀行を介するよりも、自分たちで持っている求人へ紹介するのがもともとメインの業務としてやっていることだからです。

地方銀行は人材紹介会社を活用している段階ではあまり、事業としての旨味はありません。しかし、本質的な意義を考えると人材の流動化、地域活性につながる。日本の未来を見据え、国が補助金で背中を押しているのだと思います。

また、地方銀行が有料職業紹介の許認可を得ても、すぐの事業化が難しい点もあると思います。事業の走り始めを支援する意味でも補助金が役立つでしょう。国の施策が動く前から、地方銀行が融資先企業の採用についての相談を受けるというシーンはありました。銀行として、課題と捉えつつも、対応方法がなかったという話は聞きます。今回の規制緩和と補助金によってこれが解決できる部分もあると思いますし、そういう悩みを持っていた地方銀行にとっては事業立ち上げの良いきっかけになるのではないでしょうか。

まだまだ事例は少ないですが、すでに担当者を立ててやり始めているところはあります。でも、自分たちだけでやるのが良いのか、どこかとコンソーシアムを組みながらやるのが正しいのか手探りの状態だと聞いています。なにせ他社の成功事例がまだ少ない段階です。

――地方企業が今後、地方銀行に相談していく場合の注意点はありますか。
これは地方銀行を介さず、通常の人材紹介会社利用のシーンでもいえることですが、自社の魅力を正しく伝えることを意識していただきたいです。ひいきの銀行だからなんとかしてくれるだろうということではなく、直接地方銀行が紹介しても、その先にいる我々のような人材会社が紹介しても、「よくわからない求人」は求職者にご案内しにくいものです。

また、魅力を新たに作ることも手だと思います。例えば、出勤時の服装を自由にするなど。そういったことの相談相手にも、人材紹介会社はなり得ます。この地方銀行×人材紹介の取り組みは、「こうやったら採用できた」という事例を積み重ねていくことが重要だと思っているので、我々も、地方銀行・地方企業一社一社向き合ってご支援を続けていきたいです。

――ありがとうございました。

※情報は取材時点


企業情報

株式会社grooves
事業内容:インターネットを活用した総合人材サービス業。全国の求人企業と人材紹介会社を繋ぐ日本最大級のプラットフォーム「Crowd Agent」の運営や、最先端技術を持つITエンジニアのキャリア支援及び採用支援「Forkwell」の運営など
代表者:池見 幸浩
本社所在地:東京都港区南青山5-4-27 Barbizon104 7F
従業員数:85名(2019年3月現在)
HP:https://www.grooves.com/

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