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特集

ぶれない行動指針が会社を変える


全社員に浸透し、ビジネスが加速する行動指針の作り方~ランサーズ~

2016.06.08

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目次
  1. ぶれない行動指針で、ビジネスを加速させる
  2. 行動指針を人事評価に直結

ぶれない行動指針で、ビジネスを加速させる

創業初期には、メンバー一丸となり一つの目標を共有できていたのに、組織拡大とともに社員が目指す方向がバラバラになった――。急成長するスタートアップ企業には、ありがちな悩みかもしれない。そんな危機感から、「会社が目指すべき姿は何か」を徹底的に掘り下げ、新しい「行動指針」として社員に浸透させたのが、クラウドソーシングサービスのランサーズだ。

ランサーズは2008年、日本で初めてオンライン上で業務の依頼と納品を完結できるクラウドソーシングのサービスをリリース。その後、類似サービスが次々と立ちあがる中、業界パイオニアとしての地位を維持し、企業が発注する依頼総額では依然として業界ナンバーワンだ(2016年5月時点で833億円)。

同社のビジョンである“時間と場所にとらわれない、新しい働き方を創る”べく、2012年からは採用を強化。2016年4月現在で従業員は約140名と急成長している。

入社する社員たちはみな同社のビジョンへ共感し、地方での事業創出などにも強い使命感を持っている。「どんなにスキルが高い人材でも、ビジョンへの共感がなければ採用しない」という徹底ぶりで、全体のモチベーションは非常に高い。

しかし、ビジョンは同じでも一人ひとりの行動基準には、やはり“ぶれ”が生じる。「ビジョン実現のためには、より“ランサーズらしい具体的な行動指針”を作成する必要がある」と、代表の秋好陽介氏が始動させたのが「ランサーズウェイプロジェクト」だ。

同プロジェクトでは、約100日間にわたり、毎週2時間、有志メンバーによるミーティングを実施。多忙な業務時間内に実施するプロジェクトにも関わらず、毎回15~20名の社員が参加した。

各回にテーマを設けた活動は、社内のみにとどまらず、「ランサーズの過去を振り返る回」では、実際に創業当時のオフィスの場所を訪ねたり、また「ランサーズの社会的意義を確認する回」では株主であるベンチャーキャピタルを招き、彼らがどのような期待を込めてランサーズに出資したかを、直接社員に向けて語ってもらったりした。

行動指針を人事評価に直結

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社長室人事チームの内藤侑子氏

プロジェクトの終盤には「現場にある不満の声と向き合いたい」と、社員全員が開発部、営業部、管理部、それぞれの部署に向けた不平不満を付せんに書き出し、壁一面に貼りつけた。

「営業は、もっと社内の交流に参加してほしい」「開発は、もっと営業が希望する優先順位も聞いてほしい」など、具体的な要望も多かった。解決できるものは、すぐにその場で今後の方針も定めた。

「付せんに書いてある不満の解決策を考えていくと、行きついた先は『社内コミュニケーションがもっと取れていれば何も問題はなかった』というのがこの会の最終着地点でした」と話すのは、当時プロジェクトを推進していた社長室人事チームの内藤侑子氏だ。同時に、部署をまたいだ業務内容の周知・共有を図るための社内交流が欠如していることも分かった。

そして、プロジェクトの集大成として、当時約80名の全社員で奄美大島へ2泊3日の合宿を実施。その日までに新しく策定された7つの行動指針「ランサーズウェイ」について、その策定に至るまでの詳細な説明が経営陣から行われた。

ランサーズウェイ⓵

例えば、最初に掲げる「ランサー第1主義」では、「発注主であるクライアントと、仕事を受注するランサー※との利害が対立したときは、ランサーの利益を第一優先とする」とした。
※同社は仕事を受けるユーザーを「ランサー」と呼ぶ。語源は、フリーランサーの語源となった「槍を持った騎士(lancer)」。

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ランサーズウェイは全社員に配布した

「これは、決してクライアントをおろそかにするという意味ではない。ランサーが長く活躍できるプラットフォームであれば、ランサーはよりスキルを高められる。それによりクライアントへ提供できる価値も向上し、良い循環を生み出していく」と、その決定に至る背景も丁寧に説明した。

同様に「ポジティブ思考」「自分ごと化」「やり切る」などの行動指針についても、個々に理由を丁寧に説明し、疑問があれば本当に“腹落ち”するまで社員と経営陣とで対話を繰り返した。そして、全社員が“腹落ち”した時点で、ランサーズウェイプロジェクトを完了とさせた。

さらに、同社では人事評価も改変し、営業成績などの「成果」とランサーズウェイに基づく「行動」に対する評価をフィフティフィフティにした。つまり、どれほど成果をあげても、ランサーズウェイに基づく行動が体現できていなければ評価は100点満点中50点だ。どんなに優秀でもビジョン共感がない人間を採用しないのと同様に、ランサーズウェイが体現できていない社員が、マネージャーになることはない。

加えて朝礼時には、「ランサーズウェイをより体現できている人」を、順番が回ってきた社員が毎朝一人発表している。アルバイトやインターンなど雇用形態も問わず、さまざまな社員が名前を呼ばれている。社内のコミュニケーションは、自然とお互いの行動を「すごいやり切ってるね」「超ポジティブだね」とランサーズウェイに基づいて褒め合うようになった。現在は、「ポジティブ、チャレンジ、やり切る」をもじった「ぽじちゃり」が、社内で流行りの褒め言葉だ。

【ランサーズまとめ】
・行動指針や企業理念は、社員全員を巻き込みながら、作りあげる
・徹底的に社内を巻き込めば、思わぬ課題解決も同時にできる
・行動指針は人事評価にも直結させ、社内の流行り言葉になるぐらいに浸透させる

執筆者紹介

玉寄麻衣(たまよせ・まい) 1979年生まれ。立命館大学政策科学部卒業。外資系大手人材派遣・人材紹介会社で、営業として主に中小企業の人材採用をサポート。その後フリーランスのライターとなり、人材採用、人材育成、大学教育、広報・PR、企業経営等に関する取材・執筆を行う。

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