コラム

「最優秀エージェント」受賞企業が伝える採用の秘策【第5回】


不人気業種、地方の中小企業経営者が取るべき採用の施策とは

2020.01.24

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転職市場の最前線で若手を支援し続ける株式会社MAPの代表・飯田健太郎氏が採用に悩む企業や人事担当者に向けて「若手人材採用のヒント」を伝えるコラム。第5回は、「不人気業種」と「地方企業」の経営者、及び採用担当者がとるべき施策について解説。人手不足に起因する営業休止や倒産の話題を頻繁に目にするようになった今、ただでさえ中途採用に不利な企業はどのように動けばよいのか、成功事例と具体策を提示します。

【関連記事】「最優秀エージェント」受賞企業が伝える採用の秘策(第1~4回)

目次
  1. 中小企業の採用実態
  2. 採用で苦戦する地方企業、不人気業種が抱える問題と分析
  3. 若手採用に成功している地方企業の実例
  4. 若手採用に成功している不人気業種の実例
  5. 若手採用に不利なすべての企業がすべきこと
  6. どんな企業も「不人気予備軍」と心得る

 中小企業の採用実態

中小企業基盤整備機構が中小企業経営者等を対象に実施した調査によると、人手不足解消のための課題として「資金」や「社内リソース不足」を挙げる企業が多い中、「管理者層にノウハウがない(29.9%)」、「支援してくれるところがわからない(18.4%)」など、当事者意識が希薄な回答が多く見られます。【下図参照】

画像:中小企業の人手不足対応の実施に当たっての課題

中小企業経営者が回答した、人手不足対応の実施に当たっての課題(「中小企業アンケート調査報告」より引用)

若手の採用と育成は業界問わず、企業の存続に直結する最重要課題です。ノウハウがない、わからないことを理由に人手不足問題を先送りしている余裕はもう残されてはいません。

採用で苦戦する地方企業、不人気業種が抱える問題と分析

地方企業の問題点

  • 経営者が会社を私物化している
  • 採用に悩んだ経験がない
  • 採用にコストをかける発想が持てない
  • 採用を見据えた広報活動ができない

求職者側には長らく「地方には仕事がない」「地元での就職活動は困難である」というイメージがありました。つまり、縁故入社の文化が根付いている地方の採用は、企業側に有利な状態が続いていたのです。地域の有名企業や老舗企業など、これまで若手採用に苦しんだ経験のない経営者も多いのではないでしょうか。

地方企業の採用は、経営者が時代の変化にアジャストできるか。固定概念を捨て、若手採用に今まで以上のコスト投資ができるかが最大のポイントとなります。

不人気業種の問題点

  • 社員の高齢化が進んでいる
  • 事業内容で勝負できない
  • ネットの情報や口コミで不利
  • 待遇面が弱い

改めて、ここでの「不人気業種」とは、あくまでも若手採用において不人気ということ。求職者に選ばれにくいという意味で、事業自体の人気や将来性とは別問題です。それでも一旦不人気のイメージがついた企業は、事業内容を積極的にアピールするタイプの採用活動は困難でしょう。社員の高齢化が進んでいるケースも多く、採用した若手人材が定着しづらい点も問題です。

不人気業種の若手採用のポイントは、待遇面の見直しを含め「働く未来」をどう描いていけるかに尽きます。キツイ、地味、古臭いなど、若手に人気のない業種でも、企業理念や成長イメージを明確にすることで採用力を強化できます。

若手採用に成功している地方企業の実例

九州のとある人材会社は、東京での会社説明会に注力し、IUターン人材の採用に成功しています。また、中高年女性向け消費財を扱う地方企業も、都心部在住の若手に積極的にアプローチする採用活動を展開しています。

仕事に対する意識の変化や働き方の多様化、また介護問題の影響は年々高まっています。新卒で東京の会社に就職したものの、その後地元や地方都市で再就職を希望する、いわゆる「田園回帰」は、特に20代男性に多く見られる現象です。

参考:人口減少社会における農村の活性化(農林水産省)

IUターン人材に狙いを定めた採用活動は、若手や子育て世代の移住誘致に積極的な地方行政や支援制度とも親和性が高く、自治体や他企業を巻き込む大きな可能性を秘めています。また、東京で培ったスキルや経験を地元に還元して成功する若者の存在も、この流れを後押ししているようです。
生活コストの高い都会であくせく働き続けるよりも、時間的・経済的余裕を持てる地方で暮らしたい。そんな層に「刺さる」採用広報を実践しましょう。

また、建設会社や機器製造メーカーが、実は有名ブランドの大型案件に携わっている、海外出張が多く語学力を活かせる環境があるなど、活躍の場を求めている優秀な若手人材にアピールできる材料がある地方企業は多いものです。
しかし、長年在籍している社員では、若手採用市場で武器となりうる自社の魅力に気づけないケースも。求人広告や紹介会社の営業担当、またはPRコンサルなどに依頼し、第三者目線から新たな自社PRの切り口を探るのもひとつの方法です。

若手採用に成功している不人気業種の実例

続いて、東京に本社がある通信事業会社の成功例をご紹介します。

携帯電話ショップの販売スタッフは業務が煩雑、ノルマがキツいといったイメージが先行しおり、若者に人気があるとは言い難い仕事です。しかし都内で数十店舗の代理店を展開するこの企業は、求人情報で店長昇進以降のキャリアプランや中途採用社員による社内起業実績を示すなど、徹底的に個人の成長にフォーカスした採用広報で 、年間100名単位の若手人材を獲得しています。

飲食店や宿泊施設をはじめとするサービス業全般は、若手採用において不人気な傾向が強く、商品力や事業内容で勝負するのは難しいのが現状です。ならば視点を変え、会社のビジョンや理念、バリューを打ち出す。つまり、この会社で働くことで、どのようなスキルが身につくのか。また、入社何年でどれくらいの活躍が見込めるのかなど「入社後の姿」のイメージを明確に提示することが鍵となるのです。

若手採用に不利なすべての企業がすべきこと

以上を踏まえて地方企業、不人気業種企業に共通して取り組むべき採用施策は以下の3つです。

1. 採用ブランディングの強化

プロダクトブランディングと並行し、採用広報を見据えたブランディングを進めましょう。

当社の例になりますが、グループ内に第二新卒や既卒、フリーター層の転職を支援する「日本若者転職支援センター」という子会社があります。事業ターゲットは主に20代前半の若者。当然、その世代にウケそうなサービス名を有するブランディング案も挙がってはいました。
しかし、我々がこの事業で最も重視すべきは信頼感です。おしゃれ、今っぽいといったファッション的要素よりも、「就業に対して積極的になれない人たちが安心して相談できるサービス」という印象が何よりも大切であると判断し、敢えてやや古風かつ固い社名を選択しました。

その結果、お客様からの支持を得るだけでなく、事業理念に共感する若手人材の採用にも成功しています。

若手採用を見据えたブランディングとは、若者に寄せたイメージでリブランディングすることではありません。事業理念の見直し、CSR活動の強化、SDGsへの具体的な取り組みなどを通じ、社会貢献意識の高い世代に対し、従来と異なる切り口で自社をアピールすることが重要です。

2. 「最強のリクルーター」を育成する

若手採用のノウハウが社内にない場合は、業務をアウトソーシングする、人材業界出身の「プロ人材」を新たに採用するなどの対策も有効です。

しかし、既存社員の中にも若手採用におけるキーパーソンが必ずいるはずです。

実際に活躍している社員の存在や、本人から発信される言葉は何より信憑性の高い情報です。リファラル採用の活性化にも見られるように、実社会でつながりのある人物の推薦による安心感は絶大です。

自社のビジョンやバリューを体現できている既存社員こそ、最強のリクルーターです。会社から採用業務を人事部のみで請け負うことなく、キーパーソンを巻き込んだ「全員人事」の体制を早急に構築すべきです。

3. 若手に振り切った採用広報を

従業員平均年齢が40歳前後の場合は中堅、ベテラン人材ではなく、今後の活躍が見込める20代のポテンシャル人材に狙いを定めた採用広報を展開しましょう。世代バランスの取れた社内人事を可能にするには、やや極端な施策も必要です。連載第4回目「コストと工数を最小限に抑える採用手法とは」でお伝えしたように、職場体験会やインターン採用の準備を整えるなど、ポテンシャル人材との接点を増やす機会を積極的に作りましょう。

また、若手に振り切る以前に、そもそも採用広報自体に着手できていない企業も多く見受けられます。広報活動は製品や事業内容のPRだけでなく、採用を見据えたものへと変化しています。採用広報に特化した無料サービスも多数リリースされているので、SNSとあわせて活用しましょう。

ただし、これらのツールを闇雲に使っても、工数がかかるばかりで効果につながりません。運用方針の設定やルーティンワークの効率化などが困難な場合は、立ち上げフェーズを外部に委託してもよいでしょう。

どんな企業も「不人気予備軍」と心得る

最後に、これからは業種に関わらずどんな企業でも「不人気予備軍」になりうると認識しておくべきだと、私は考えています。
若手採用において不人気となる危険性のある企業の特徴をいくつかあげてみます。心当たりのある企業は要注意です。

・古い体質が残る老舗
・第一次産業に近い、労働集約型
・営業部が花形
・平均年齢が高い
・女性社員は制服着用
・男性社員はセットアップスーツ着用
・社内制度の活用実績がない
・産育休取得中の社員がいない

不人気業種ランキングや口コミでネガティブな情報を目にすると応募意向が下がる、これが若手転職の現実です。ぬるま湯状態でじりじりと衰退していく「ゆでガエル」にならないためにも、早急に改革に取り組みましょう。


【編集部より】不人気業種、地方企業の採用に役立つ記事はこちら

執筆者紹介

飯田健太郎(いいだ・けんたろう)(株式会社MAP 代表取締役) 1981年静岡県生まれ。(株)リクルートHRマーケティングを経て若者に特化した転職⽀援会社を25歳で設⽴、以降12期連続成⻑を達成中。働く意欲ある若い世代と優良企業をつなぐ多⾓的な事業を展開している。

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