特集

リクルートエージェント「転職市場の展望【2020年版】」より


2020年転職市場の展望 ②IT通信・コンサルティング・インターネット業界の動向

2020.01.21

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全4回にわたり、2020年の転職市場の動向をひもとく「2020年転職市場の展望」。

第2回では、「IT通信」「コンサルティング」「インターネット」の業界動向を解説した内容を紹介する。デジタル技術の発展により求人需要が高まる3つの業界だが、どのような傾向が見られるのだろうか。

【「2020年転職市場の展望」シリーズ一覧】
転職市場の概況と、採用成功企業の共通点
②IT通信・コンサルティング・インターネット業界の動向
総合電機・エネルギー他…理系人材の動向
建築・外食業界の動向

目次
  1. IT通信業界の動向
  2. コンサルティング業界の動向
  3. インターネット業界の動向

IT通信業界の動向

【Point】採用の成否が二極化し「ITエンジニア採用 コミット競争」が起きる。売り手市場ではあるものの専門性の高いピンポイントな求人も増加傾向。

業界・企業側の動き

2020年も構造的な人材不足により全体的には売り手市場になるだろう。基幹システムの刷新・クラウドへの移行案件は引き続きニーズがある。

デジタルトランスフォーメーション(DX)事業に取り組む企業は増えているが、求める人材が市場に少ないため、人材争奪戦は過熱。ITエンジニア採用の難易度が非常に高いだけに、採用充足に本気で経営・人事・現場が一体となってコミットし施策を実行し続ける企業と「いい人がいればいるだけ」と目標意識が薄い企業で明暗が分かれそうだ。

コンサルティング企業のSI事業への参入も進んでおり、SIerの採用競合関係になってきている。また、新卒・若手を多く採用した企業では、採用した若手を育てマネジメントするポジションとして40代を採用している動きが大きくなっている。今後も40代以降の採用は進む可能性がある。働き方改革・ダイバーシティ推進が進んでいる企業では、企業側が個人に労働条件を合わせ採用成功している動きもある。

求職者側の動き

コンサルティング企業・大手事業会社が依然として人気である。中堅・中小SIerや技術派遣の企業から大手SIerやコンサル、ユーザー系やベンチャーなどへ転職していく例も多い。転職後のキャリアパスが多様であることを打ち出す企業も出てきており、身に付くスキル、卒業後のキャリアイメージなど、透明性の高い情報提供が求職者を惹きつけている。

40代以上のミドル・シニア転職では、「企業の将来戦略と共に、挑戦しがいのある事業課題が包み隠さず明示されていること」も重要だ。自分のどのような経験・能力が貢献できるのか気になる求職者が多く、こちらも透明性が求められる。

「副業」への関心も高まっている。決定軸になっているわけではないものの、能力開発の多様な選択肢を支援する「副業可」求人への転職者への反応は良い傾向。差別化が難しいITエンジニア採用において、能力開発支援の姿勢は差別化ポイントになる。

IT通信業界 転職マーケット状況

IT通信業界出身者 転職決定数推移

コンサルティング業界の動向

【Point】引き続き採用意欲は高い傾向。未経験からコンサルティング業界へのチャレンジが増加。企業側は働き方改革などライフフィットへの動きが目立つ。

業界・企業側の動き

2020年も、大手から独立系のコンサルティング企業まで、コンサルタント、ITエンジニアの求人需要は高い。事業会社には、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進できるCTOがいない企業は多く、引き続きDX関連のコンサルティング案件の引き合いは多い。金融、製造流通、小売サービス領域では、新しいマーケットの獲得やコスト削減の案件が増加している。

また、コンサルティング未経験で業界へ転職するケースが非常に増えており、この流れは2020年も続くだろう。背景には、コンサルティングへの期待が「クライアントのコアビジネスの変革」になり、実際の顧客のビジネスを知っている事業会社出身者を求める動きがある。また、AIの導入の段階も、各社PoC※(Proof of Concept)を経て実際にビジネス実装をしていく段階に入る。そのため、AI関連の案件を見越してコンサルティング企業出身者だけでなく、AIを導入した際に具体的に現場で何が起こるかを想定できる、事業会社出身者を採用するケースも増えてきている。

求人の変化としては、データサイエンティスト・マーケティング・商品開発経験者をターゲットとした「カスタマーインサイト分析からビジネス提案をしていく」ような、今までに無かった求人も出始めている。ここ数年で働き方改革が進み「UP or OUT」のイメージは薄れてきたが、各社は働き手一人ひとりのライフステージに見合った働き方に合わせる、ライフフィットの施策が加速しており今後もこの流れは続くだろう。

※「概念実証」。主に新たな理論やアイディアなどを開発、実践する際、前段階において本当にそれが実現可能なのかを確かめることであり、とりわけIT業界では必要不可欠な工程

求職者側の動き

ここ数年で新卒採用におけるコンサルティング業界の人気が上がってきていることも相まって、第2新卒採用でコンサル業界へ転職するケースが増えている。ライフフィットの動きも進んでいるため、30代・40代の入社も増えてきており成長意欲のある転職者に選ばれる傾向にある。

コンサルティング業界 転職マーケット状況

コンサルティング業界 転職決定者数推移

インターネット業界の動向

【Point】ベンチャー企業の採用が伸びる傾向。新たな職種も生まれ変化の年へ。

業界・企業側の動き

ネット企業の人材募集は、2020年も引き続き高い採用意欲であろう。特にWebエンジニアは、ネット企業以外からの引き合いも強く、人材獲得競争は過熱する。そのため企業情報の【超透明性】が採用の成否を分けるキーワードになりそうだ

企業内の発信力のある個人が生々しい情報を公開し、求職者に対して社内の実情をリアルに伝える「顔の見える採用」で差別化を図っている企業もでてきている。更に採用が上手くいっている一部の企業では、求人要件の細分化をし、職種定義を明確に、ターゲットに合わせた職務を提案できている印象がある。

求人面での新たな動きとしては、カスタマーサクセス関連部署の新しいポジションでの募集が増えそうだ。ユーザーのニーズも多様化し、企業のビジネスモデルがSaaS型へ変化。ビジネス開発でも営業でもない、新しいキャリアとしても注目される。

求職者側の動き

2019年に引き続き、Webエンジニアは多くの業界から求められているため、異業界への転職は増加傾向。ネット業界内での転職については、今まではBtoCサービス企業が人気である傾向だったが、最近ではBtoBサービス企業への転職事例が増えてきている

これは、ネット業界の主要プレイヤーがBtoBサービスにも注力するようになったこと、一般的にBtoBサービスの方が商品の安定性が高く市場規模も大きいため、安定を求めたいエンジニアや技術面での広がりに魅かれるエンジニアに選ばれていることが考えられる。

また、40代以降の転職実績も増加傾向で、ミドル・シニアの転職例も生まれてきている。求職者側の要望として、リモートワーク可・在宅勤務可・副業可の環境があることは前提になりつつあり、スキルのある人材を採用するために各社が制度を整えている。引き続きWebエンジニア採用は激しい争奪戦になるだろう。

インターネット業界 転職マーケット割合

インターネット業界出身者 転職決定者数推移

※この記事は、株式会社リクルートキャリアが2020年1月16日に発表した「転職市場の展望【2020年版】(リクルートエージェント)」の内容から抜粋して紹介しています。

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