本気でゴールを達成したい人とチームのためのOKR解説
成長でき強いチームをつくる! 「OKR」運用のポイントとは?
2019.12.09
Google、Facebook、メルカリ、freeeなど多くの成長企業が導入している目標管理「OKR」。OKRは、2つの要素「O:Objectives(目的)」「KR:Key Results(重要な結果指標)」で構成されるシンプルな仕組みですが、効果が発揮されるポイントは「運用」にあると言います。
OKR導入を支援し、「組織を4倍速で成長させるコンサルティング」を提供している株式会社タバネルの奥田和広さんが、「OKRの運用のポイント」について解説します。
【関連記事】ワクワクしながら組織をつくる! 成長企業が注目する目標管理「OKR」とは
現場での運用を見据えた導入の手順
OKRが機能するためには、経営トップから現場まで組織全体で運用することが求められます。
OKRは構造がシンプルなため、導入時に行われる現場メンバーへの説明もシンプルに進められることがあります。しかし、正しく理解しないまま運用が始まると、現場は混乱します。
導入時に効果を発揮する運用の実現に向けて、次の4点に注意して説明をしましょう。
【1】WHO 誰がOKR運用責任者か?
OKRの導入を検討し始めた段階で、責任者を明確に決めます。
導入段階では、どのように導入するか? 後述の【2】~【4】のポイントをどう動かすか? などを決める必要があります。
また、運用開始後は、現場からの質問対応や、運用ミスの確認などが大切です。そのため、このような対応をするOKR運用責任者を最初に決めることでスムーズな運用ができるようになります。
【2】WHY なぜOKRを導入するのか?
OKRを導入すると、組織マネジメント、コミュニケーションのあり方が変わります。
自社の組織の現状と今後目指す姿を見据えてOKRを導入しなくてはいけません。経営トップの覚悟、決意も含めた導入目的をメンバーに伝えることが大切です。
OKRに限った話ではありませんが、新しい制度、仕組みを導入するときは、メンバーが、導入の目的を理解し、共感することが成功への第一歩です。目的が分からないままだと、「また社長の思い付きだ」「他社ではやっているからでしょう」など、不要な疑心暗鬼を生んでしまいます。
【3】WHAT OKRとは何か?
OKRは比較的新しい考え方であり、メンバーにとってはなじみがないでしょう。OKRについて正しい理解をしてもらうことは極めて重要です。本やネットでのさまざまな解説を元に人事部がOKRについての情報を用意する方法などがあります。
まずは一つの情報源を指定して全員に読んでもらい、理解のベースを合わせましょう。あいまいな理解や、人によって違う解釈のまま運用が開始されると混乱が生じやすいです。
【4】HOW どのようにOKRを運用するか?
ここまでのポイントを踏まえたうえで、いよいよ運用方法に移るのですが、その前にも一つ大切なポイントがあります。
導入目的と仕組みをメンバーが理解した段階で、チームでOKRについての期待と不安をディスカッションしてもらいましょう。ここで期待感を醸成し、不安を共有してから運用を開始することでOKRが「自分ごと化」します。
その上で、後述する「運用のためのミーティング方法」を説明すると、OKRに対する理解度や納得度が高まります。また、進捗を管理するためのツールをどうするかもきちんと説明しておきましょう。
高い水準の目的達成を目指す運用の工夫
「ムーンショット」と呼ばれる現在の延長線上ではないよりはるかに高い水準を目指すことがOKRの特徴の一つです。ムーンショットを全員で協力して目指すために、多くの成長企業では次に紹介するようなOKR運用の工夫をしています。
【1】達成率を人事評価と結びつけない
高い水準を目指ためには、挑戦を続けなければなりません。挑戦は常に成功することはなく、失敗がつきものです。にもかかわらず、失敗や低い達成率が人事評価に直結してしまうと、誰も挑戦しなくなってしまいます。
そのため、OKRは人事評価と直接結びつけてはいけません。挑戦すること自体を承認し、たとえ失敗に終わっても労いを忘れないことが大切です。
【2】心理的安全性を高める
挑戦を続けることは、リスクを取ることにもなります。そこでチーム内で安心してリスクを取れる状態「心理的安全性」を高めることが大切です。
チームでミスへの𠮟責や失敗の責任追及が厳しくなされる状態では、誰もリスクを取ろうとしません。メンバーの発言機会を増やし、ポジティブな場を共有することで心理的安全性を高めましょう。
【3】挑戦を高頻度でサポートする
挑戦しているメンバーは順調にいかない時、不安や恐怖を感じるものです。その不安や恐怖を放置しておくと、そのメンバーが良いパフォーマンスを発揮できないだけでなく、会社にとってもリスク要因を放置することになります。
そこで、リーダーを中心にそのメンバーを高頻度でモニタリングし、必要に応じてサポートすることで、メンバーが安心して挑戦を継続するだけでなく、時には改善や一旦中止などを決断できます。
運用を支える3つのミーティング
最後に、継続的なサポートを実現するために、OKRの運用で役立つ「ミーティング」を紹介します。上司と部下間で行う「1on1ミーティング」、チームで行う「チェックイン」、「ウィンセッション」の3種類があります。
1. 1on1ミーティング
OKR導入企業に限らず、多くの企業が導入している上司部下間のミーティングのことです。上司と部下が二人でただ話すのではなく、定期的にわざわざ時間を取って、部下の現状、課題、不安について話し合うことが重要です。上司は部下のための時間であることを意識し、傾聴することが求められます。
2. チェックイン
週の初めにOKRの進捗具合を確認した上で、「次にどのような行動をするか」を話し合う場がチェックインです。日々、さまざまな仕事をしているメンバーがOKRに根差した行動を取れているか?できていない場合の障壁は何か?を確認、調整して、その週の仕事に向かいます。
3. ウィンセッション
直訳すれば「勝利の会合」であり、週の終わりにその週の勝利、つまりその週に達成したことを各自が発表し、承認・賞賛する場のことです。ムーンショットに挑戦する以上、高い水準で達成できないこともある中で、「できたこと」「進んだこと」を承認、賞賛しあうことでポジティブになれます。また、前向きな情報共有により、メンバー間の協力が推進されます。【おわり】
★★OKRの基本や目標管理制度(MBO)との違いを解説した奥田さんのコラムはこちら
>>>ワクワクしながら組織をつくる! 成長企業が注目する目標管理「OKR」とは
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執筆者紹介
奥田 和広(おくだ かずひろ)(株式会社タバネル代表取締役) 1975年生まれ。アパレル、化粧品メーカー、コンサルティング企業などで勤務し、事業責任者として最大170人の組織マネジメントに携わる。自らのマネジメントとコンサルティングの経験を生かし、組織マネジメント、OKR導入コンサルティングの株式会社タバネルを設立。
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