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企画

エージェント頼みから脱却!採用コストも3分の1に


鍵は採用データの活用。優秀なAI人材を自社採用できるようになるまで

2019.11.20

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新卒採用は売り手市場が続いている。特にAI関連の業界は人材需要が高まっており、各社が欲しい人材を確保するためにコストをかけて奔走している。

AIを活用したデータソリューション事業を手掛けるALBERT(東京・新宿)は、この2年間で新卒採用の手法を見直し、新卒全員を人気のAI人材であるデータサイエンティストとして採用。目標人数を達成し、さらに採用コストも3分の1に削減した。成功のポイントは「人間の真理」と「採用の基本」を徹底して押さえたことだった。ALBERTの新卒採用改革の全容を、採用担当の山内祐斗さんに取材した。【取材:2019年10月9日 @人事編集部 大西里奈】

株式会社ALBERT

・設立:2005年
・事業内容:データソリューション事業(AI活用コンサルティング、ビッグデータ分析、AIアルゴリズム構築とシステム開発・運用、AIを用いた独自プロダクトの提供、データサイエンティストの育成支援)
・従業員数:219人(2019年9月末時点)
・本社所在地:東京都新宿区北新宿2-21-1 新宿フロントタワー15F

目次
  1. エージェント頼みの母集団形成でコストが上がってしまう
  2. 各採用フェーズの数字を分析し、ボトルネックを探す
  3. 選考応募の締め切りを設ける、リマインドメールを送るなど基本を徹底
  4. 経営陣と「今後の事業方針を見据えた採用改革」を立案
  5. 採用手法を見直し、「当たり前の作業」の精度を高める

エージェント頼みの母集団形成でコストが上がってしまう

ALBERTの採用は、これまでは中途採用が中心だった。新卒採用は、設立当初から続くインターンシップ(採用目的にはしていない)に参加した学生から、希望者が年に数人入社するほどだった。

2015年からは従来以上にデータ分析事業に注力し、データサイエンティストの採用を強化する経営戦略に変更。しかし、業界全体でデータサイエンティストの需要が高まった影響で、ALBERTでも中途採用と併せて新卒採用を本格的に始めて、新卒社員を社内で育成し一人前のデータサイエンティストを増やす方針を取り入れた。

山内さんがALBERTに入社した2017年4月当時は、中途採用の手法をそのまま新卒採用にも用いており、人材紹介とインターンシップの参加者だけで母集団を形成する状態だった。2018年卒の採用目標は10人としていたが、当時の内定者は0人だった。

「採用担当者がエージェントに自ら働きかけることはできておらず、エージェントから学生の紹介を受けるたびにその都度、面接をして時間や人件費などのコストがかかっていました。社内では①新卒特有の魅力づけが不十分だった、②新卒採用のスケジュール感が把握できていなかった、③候補者の応募・選考導線の設計と応募者とのNEXTアクションの相互認識ができていなかった、などの要因から内定者もいませんでしたし、インターンシップからの新卒採用人数の目標も特に決まっていませんでした」(山内さん)

ALBERT採用担当の山内祐斗さん①

ALBERTの新卒採用の課題感

・エージェントから学生の紹介を受ける度に面接をして、時間や人件費のコストがかかる
・新卒特有の魅力づけが不十分だった
・新卒採用のスケジュール感が把握できていなかった
・候補者の応募・選考導線の設計と応募者とのNEXTアクションの相互認識ができていなかった

当時はどの選考フェーズに何人が通過したのか、具体的な数値情報も社内でまとめられておらず、内定を出した人数も分からない状況だった。予算は「人材紹介手数料×人数」で考えられており、自社から積極的に学生にアプローチするための手段と予算がない状況が続いていた。

山内さんは採用手法を見直して、人材紹介に頼らず自社の採用力をつけて採用コストを下げ、欲しい人材を確実に採用することを決意。前職の採用エージェントの経験を生かして、さまざまな採用手法を活用するための提案をし始めた。

各採用フェーズの数字を分析し、ボトルネックを探す

採用改革で徹底したのは、採用状況の数字を管理すること。接触した学生数からのエントリー数、書類選考通過率、一次面接通過率、内定承諾率など、各フェーズの数字を分析して、どこにボトルネックがあるのかを可視化した。課題がありそうなフェーズが見つかれば、その選考に関わるデータサイエンティストの社員と改善策を考える。

最初に取り組んだのは、自社の欲しい人材が集まる合同企業説明会や求人媒体を活用すること。データサイエンティストになりたい学生が集まる合同説明会に参加し、学生と直接、密に対話することで選考参加につなげた。求人媒体は、学生が登録時に「希望職種」として「データサイエンティスト」を選択できる媒体だけを使った。

理系に特化した合同説明会や求人媒体もあるが、ALBERTでは理系文系に関わらず、ALBERTが欲しい学生がいるどうかで利用可否を判断している。

山内さんは「データサイエンティストには数学力、プログラミング力、ビジネス力の3つが求められます。文系でも、例えば経済学部で統計を使っている学生は、もともとのビジネス力に加えて数学力も高いことが多い。理系文系に関わらず、弊社が求める学生に出会えるかどうかで合同説明会や求人媒体を見極めて、接触の精度を少しずつ上げていきました」と説明する。

また、大学の研究室を訪問するといった新卒採用の基本も徹底し、自分から学生に接触しに行くことを心掛けた。採用パンフレットや会社説明会の資料も見直し、自社の魅力を整理して他社と差別化した。

ALBERT採用担当の山内祐斗さん②

選考応募の締め切りを設ける、リマインドメールを送るなど基本を徹底

他にもデータを追っていくと、接触した学生からのエントリー率に問題があった。具体的に掘り下げてみると、合同説明会で接触した学生に一度「いつでも選考を受けに来てください」と選考案内のメールを送ったまま、その後は特に対応していなかったことが分かった。

そこで応募の締め切りを設けて、締め切り前には週2回程度、選考参加のリマインドメールを送るようにした。企業側から継続的にアプローチし、学生に締め切りを意識してもらう基本を徹底し、選考参加率を改善させた。「自分もそうだから分かるのですが、人間って締め切りが決まっていないとなかなか動きづらいですよね。学生さんも他社さまの選考があるので、締め切りがないと後ろ倒しにされてしまいがちです」

内定出しから内定承諾までの期限も設定して、学生に伝えるように変更。内定承諾率は2018年卒では30%だったが、2020年卒は70%まで上がった。

さらに選考に関わる現場社員の負担を減らすため、学生との接触から内定までの採用スケジュールを決めた。以前は人材紹介を受けるたびにその都度面接をしていたが、選考期間を事前に決めて、現場が集中して選考に参加できるようにした。費用面だけでなく、現場社員の工数削減も意識したという。

ALBERTが採用コストを3分の1にしつつ、欲しい人材を獲得できたポイント

・自社が求める学生が集まる合同説明会、求人媒体に資源を集中投下する
・足を使い大学の研究室を訪問する
・各採用フェーズのデータを分析し、問題点を見つける
・選考応募には必ず締め切りを設けて、メールでリマインドする
・選考スケジュールを決めて、現場社員が集中して選考に参加できるようにする

自社が求める学生と接触できる場を見極めて活用し、採用活動における数字の動きを徹底的に分析する。現場の負担を減らしながら、採用課題の改善に社員を巻き込む。

データサイエンティストという人気職種だからこそ、地道で、基本を押さえた採用改革によって自社の採用力を高めて、人材紹介の利用は徐々に減らしていった。その結果、2019年卒と2020年卒採用を比べると、採用コストは3分の1に削減。内定者数が2018年卒は13人、2019年卒は14人、2020年卒は30人超と、毎年目標人数を達成することができた。

経営陣と「今後の事業方針を見据えた採用改革」を立案

採用手法を変えるためには、まず経営者にそれを知ってもらうことが重要だ。そもそも、以前は人材紹介による成果報酬で採用予算を立てていたため、求人媒体の掲載に必要な初期費用のために、事前に予算を使う文化が社内にほとんどなかった。

山内さんによると、採用手法の選定において採用人数は非常に大きな検討要素となる。そもそも人材紹介は中途採用で短期間に少人数を採用するための手法で、通常1人~多くても5人程度の採用規模で主に利用が検討される。

「2018年卒採用の目標だった10人の採用ならば、複数の人材紹介会社さまにお願いしてギリギリなんとかなるかもしれません。ただ、今後の事業方針ではデータサイエンティストの社員がより多く必要になると感じていました。人材紹介に依存するのではなく、今のうちから新卒の採用人数が増えることを見越して自社の採用力を高めて、いろいろな手法を使う仕組みにシフトしていくべきだと、経営陣に提案しました」

ALBERT採用担当の山内祐斗さん③

2018年卒では無料で参加できる学内合同説明会や、無料掲載期間のある求人媒体も積極的に利用。コストをかけなくても、工夫次第で採用目標以上の13人を採用できることを示した。さらに、人材紹介に依存せず自社で欲しい学生を探す文化を社内に根付かせて、結果も出すことで経営者の信頼も得た。2019年卒採用からは山内さんが予算案の策定にも関わっているという。

採用手法を見直し、「当たり前の作業」の精度を高める

2018年卒採用以降の応募者は、書類選考時に、分析やプログラミングなどの技術能力に関する約200項目の質問が用意され、それぞれ自分がどの程度理解しているか数値で答えている。全応募者の回答データを分析し、自社とのマッチングが高い学生の技術力について傾向をつかめば、2021年卒採用でも書類選考時に数値を見て合否判断に生かすことができる。もちろん数字だけでなく、書類の記載内容からメンタル面や人間性の部分も見てバランスを取ることで、書類選考後の面接にかかる工数が削減できそうだ。

ALBERTは採用手法を見直して精度を高めた結果、自社の採用力を向上させ、採用コストを下げることにも成功した。

「自社の新卒採用の立ち上げでも、しっかりと軌道に乗せるまでは2年近くかかりましたし、全ての企業に共通する特効薬はありません。月に1回送っていた学生への案内メールを、週2回にしてみる。メールを週1回送る学生と、週2回送る学生に分けてみて、どれだけ応募率が違うか分析して問題点を見つける。そんな実験を繰り返し、当たり前にやっている一つひとつの作業の精度をどれだけ高めていけるのか。大事なのは『基本』だと思います 」

【編集部より】
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