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学生ライターが「RJP」のリアルを調査!


採用がうまくいく企業は「人柄重視」。学生が「社長就活」をして分かったこと

2019.10.04

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はじめまして。早稲田大学2年生の松田悠花です。20歳になったばかりで、まだまだ遊んでいたいお年頃です。ただ、本格的な就職活動まであと約1年。そろそろ就活の準備をしたいけれど、一体何から始めればいいのか……。そんなとき、ベンチャーや成長企業の社長がメッセージを発信している就職支援サイト「アールエイチナビ」を見つけました。

このサイトの最大の特徴は、「RJP」(=リアルな情報開示)を行ったインタビューで経営者の考え方を見える化していること。また、就活を始める前でも気になる社長がいたら「会いたい」ボタンを押して会いに行けることです。今回は、私の”はじめての就活”として話題の「社長就活」をレポートします。
【2019年9月4、10日取材】

RJP理論とは

「Realistic Job Preview」の略。アメリカ発の採用手法で、良い面だけではなく、悪い面の情報も含めて伝えていくやり方。「Realistic Recruitment」=「本音採用」とも呼ばれ、人材定着のための理論として注目されている。

目次

  1. 自分に合う企業って、どう探せばいいの?
  2. IT企業の社長が「人柄>技能」で新卒採用をしている理由
  3. あえてネガティブな情報を掲載して、学生からの信頼を得る
  4. 社長就活を終えて。企業選びで一番大切にすることとは
  5. RJPが叶えるのは、100人の応募より、1人の採用

1.自分に合う企業って、どう探せばいいの?

最近、周りの同級生の雰囲気が少し変わってきたように思います。「ガクチカ」「インターン」「ES」……。就活ワードをよく耳にするようになりました。私も動き始めなくちゃ。焦りを感じた私が最初に始めたことは、「企業選び」でした。自分に合う企業を見つけようと新卒採用サイトを眺めていたとき、1つの疑問が浮かびました。

「自分に合う企業って、どうやって見つければよいのだろう」
 
私たちはどうしても有名な大企業ばかりに引かれがちです。しかしその大企業は本当に自分に合った企業なのでしょうか。そもそも就活する前に、会社の雰囲気がわかる方法はないのでしょうか。そう考えていたときに就職支援サイト「アールエイチナビ」を発見し、学生ライターとして取材させてもらうことになりました。

Esを書く人

写真はイメージです

さまざまな企業の代表のインタビュー記事が掲載されているこのサイトの驚く点は、記事にある「会いたいボタン」を押すと、社長と1対1で会えるということ。就活を本格的に始める前でも、興味のある企業のトップに直接お話が聞けるのです。早速その「会いたいボタン」をクリックして「社長就活」体験をしてみることにしました。

2.IT企業の社長が「人柄>技能」で新卒採用をしている理由

今回私が会いに行ったのは、株式会社フォーエス(東京・豊島)の和泉武志社長です。同社は従業員数124人(2019年8月時点)のIT企業で、毎年10人程度の新卒採用を行っています。
フォーエスさんの「アールエイチナビ」インタビューはこちら

企業の社長と話すなんて、もちろん生まれて初めて。緊張しながら和泉社長との“面談”がスタート。同社の採用担当・田中加世子さんにも同席していただきました。

①「アールエイチナビ」に登録したきっかけ

同社がアールエイチナビに登録したのは2016年。IT人材の採用が激化する中、多くの学生の目に留まりやすくするためで、会社のHPの採用サイトを整備したタイミングで掲載を決めたそうです。

松田「アールエイチナビに登録して、どんなところに変化を感じていますか?」

和泉社長「うちをリサーチしてから来てくれる人が増えたと感じます。インタビューを読みました、という声が多くなりましたね」

和泉社長

優しくインタビューに応じてくださった和泉社長

新卒・中途採用を含めてエントリー数は登録以前に比べると、約1割増加。数が増えただけではなく、求職者の会社の理解度の違いを感じているそうです。インタビューで社長の考えや人柄を知ることができることもあり、2018年に社内でアンケートを実施したところ、入社の決め手で半分を占めたのは「社長の人柄」という結果になりました。

②社内では「コミュニケーション」を重視

和泉社長が社内で重視していることは、社員同士でのコミュニケーションです。具体的な取り組みについて聞いてみると、社内で約1割しかいない女性のエンジニアのための女子会を開催したり、休日や業務外に「部活動」を行うなど交流の機会を作っているそうです。

松田「なぜ、コミュニケーションを大切にしているんですか?」

和泉社長「システムやアプリの開発を行うのは、人。つまり『人がリソース』です。IT企業だからこそ、人と人との関わりは大事になっていきます。何より、人との会話は人を元気にします。人間関係が良ければ、さまざまな困難は克服できるんです」

フリーのエンジニア経験もある和泉社長。ITエンジニアはクライアントに出向することも多く、個々人がタスクと向き合っているイメージがあります。だからこそ、職業柄どうしても不足しがちな「コミュニケーション」を深める必要がある、と感じているそうです。

③新卒採用は「人柄>技能」重視

新卒採用時、社長と学生が1対1で行う最終面接では、なんと一人に1時間から1時間半も時間をかけると言います。私は今回の取材で一番聞きたかったことをうかがいました。

松田「社長が面接するとき、学生のどんなところを見ているんですか?」

和泉社長「仕事に対する姿勢です。学生は、『社会人になる前』という、いわば『赤ちゃん』のような状態です。そのため、今持っている技術よりも、『働くこと』をどう捉えているか、こちらの話をどう聞くかという人柄を重視しています。その上で企業にシンパシーを感じてくれる人を採用しています」

田中さん「ご自身のウィークポイントををどう捉えているか、見ています。仕事も前向きに成長意欲を持って取り組める方は弊社とマッチすると思っています。実際に成長意欲の高い若手社員が中心となって、新しいプログラミング言語の勉強会などを開催したりもしています」
 
一次面接を担当する田中さんは、「定形の質問に加えて、必ず学生のキャラクターに合わせた、身を乗り出して答えてくれそうなオリジナルの質問をしています。思考や具体的な行動を知りたいからですね」と話します。このような面接は学生からも好評で「自分自身を深く掘り下げたてもらえてうれしかった」という声をもらうそうです。

このようにじっくりと時間をかける面接の効果もあって、「新卒採用は順調で、内定辞退もほんの数人」(田中さん)と手応えを感じているそうです。「人間関係重視」の傾向は、採用面でも強く表れていました。

3.あえてネガティブな情報を掲載して、学生からの信頼を得る

「アールエイチナビ」のインタビュー記事には、同社が「残業を禁止していない(※制限はあり)」「ボーナスが現時点ではない」ということがはっきりと記載されています。このように良い面も悪い面も提供する採用方法を「RJP」「本音採用」と言われ、最近はこういった情報開示が増えているそうです。なぜ、フォーエスではこのような「RJP」を受け入れているのでしょうか。

松田「学生の立場で言いますと、悪い面ばかりが目立ってしまいそうで、マイナスイメージを与えてしまうのでは?と感じます」fores_06

和泉社長「1つは、あらかじめ課題を見せておくことで『早期退職』を防ぐためです。入って 1、2年で辞めてしまうのは、本人にとっても、学生にとっても大きなダメージ。やはり長く働く仲間が増えないといけません。もう1つの理由としては、現在の学生の傾向があげられます。最近の学生は企業についての情報を大量に集め、企業の『強み』よりも、『課題』『成長過程である部分』に重きをおいている傾向があります。また、人生の多くを占めるワークとライフを重視した結果、職場の人間関係を大切にしている人もとても多いように感じます」

「アールエイチナビ」のコンセプトは「誰と働くか」です。この点は和泉社長も考え方が同じだそうで、「いくら仕事やプログラミングが好きでも、人間関係次第で会社のことが嫌になることがある」と言います。

確かに、多くの口コミサイトがあるため、集めようと思えば企業の情報はいくらでも集まります。公式サイトで最初から「課題」を提示されていると、その点も踏まえて自分自身がどう捉えるか、向き合うことができそうです。

4.社長就活を終えて。企業選びで一番大切にすることとは

インタビューを終えて、フォーエスではとにかく人と人とのコミュニケーションを一番大事にしていることがよく分かりました。

田中さん「どんなに仕事が大変でも、社内の空気や人間関係が良好だったり、『この業務が終わったらチームでの楽しいイベントが待っているんだ!』など楽しみがあれば頑張れます。やはり一番大切なのは会社の雰囲気なんだと思います」

この言葉を聞いて、私が企業選びをする際には、企業の看板や待遇面ばかりを気にするのではなく、そこで働いている人たちが生き生きとしているかを見ることが大切だと思いました。そして会社の雰囲気を確かめるためには、一度会社に足を運んでみるのもとても大事だと思いました。

RJPについて最初は「学生の応募がなくなってしまうのではないか」と思いましたが、企業の真摯な姿勢が伝わりむしろ良い印象を与えているのだなと感じました。

和泉社長と田中さん

いろいろなお話をしてくださった、和泉社長(左)と田中さん。大変勉強になりました!

「社長就活」は就活中の学生だけではなく、まだ企業や業種選びの段階にいる学生にもぴったりのサービスだと思います。社長と直接話すのは確かに緊張しますしハードルも高いですが、気になる企業の「会いたいボタン」を勇気を出して押してみたら、思わぬ出会いにつながるかもしれません。
【@人事編集部 松田悠花】

企業情報

株式会社フォーエス
事業内容:業務システムやスマホアプリなどの開発支援、受託開発、コンサルティング、自社サービス企画・開発
設立:1998年5月
従業員数:124人(2019年8月現在、契約社員1名含む)
本社:東京都豊島区池袋2-40-13 池袋 DUPLEX B’s 5F
HP:https://www.fores.jp/

5.RJPが叶えるのは、100人の応募より、1人の採用

2016年からスタートした就職支援サイト「アールエイチナビ」で、「社長就活」を後押しする「会いたい」ボタンができたのは昨年10月です。運営するプレシャスパートナーズ(東京・新宿)の矢野雅専務取締役は「学生さんたちに、より積極的に行動に移してもらいたい、という気持ちを込めて設置しました」と説明します。

2021年卒採用は、就活ルール撤廃後初めての新卒採用となります。大手ナビサイトを利用した画一的な就活から潮流が変わり、企業側の採用時期や手法も多様化。同時に学生側も「自発的に動く」ことが求められる時代になりつつあると言えます。

矢野さん

「会いたい」ボタンに込めた思いを語るプレシャスパートナーズの矢野さん

100人の応募者より、1人の採用者が欲しい、という企業側の声はより強くなってきています。そのためには、いかに会社のことを理解してもらうか。サイトのインタビューでは、『社員のために取り組んでいる制度』『今抱えている課題』の2点を必ず答えていただいています

人事の悩みで多いのは、定着率です。モチベーションの可視化、エンゲージメント施策、1on1……。離職防止をめぐってさまざまな対策が講じられていますが、矢野さんは「もっともコストのかかる、最初の出会いの段階で対策できれば一番いい」と話します。

ミスマッチが少ない採用には、リアルな情報が不可欠。企業だけではなく、学生側も発信する必要があるということです。就活モードではない「ありのまま面談」が実現していくことで、新卒採用はこれからもっとダイナミックに変化していくのかもしれません。
【@人事編集部 飯塚陽子】

サービス情報

アールエイチナビ
「誰と働くか」をコンセプトに成長企業やベンチャー企業の社長のインタビュー記事を掲載。トップの思いや企業の雰囲気を知り、「会いたい」ボタンがある企業には直接会いに行くこともできる。
HP:https://www.rh-navi.jp/

【編集部より】学生視点、学生ライター執筆の記事はこちら。

執筆者紹介

松田悠花 早稲田大学文化構想学部2年生 大学では、メディア論、ジェンダー論、図書館学など幅広い分野を学ぶ。出版サークルとラジオサークルに所属。

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