令和上半期の人事ニュースを総まとめ @人事編集部座談会 後編
メルカリ人気とハラスメント事件。組織が抱える「理想と現実」の苦しみを見た
2019.10.04
@人事編集部が、令和上半期の人事ニュースを総まとめ!企業や政治家のハラスメント事件を扱った記事が注目を集める中、上半期の人気記事はメルカリの採用戦略という結果に。
組織の理想と現実が見え隠れする出来事が多かった令和上半期。取材時を振り返りながら、その舞台裏を座談会形式でお伝えします。
【令和上半期の人事ニュースを総まとめ @人事編集部座談会 前編】
>令和の人事課題を斬る!「働き方改革」ブームの裏で浮き彫りになった“世代間ギャップ”
編集部メンバープロフィール
・小斎:食品関係の業界紙、教育関係者向けフリーペーパーの編集記者を経験。@人事の立ち上げからいるおじさん。
・栗原:書籍販売のECサイト運営(3年)を経て@人事編集部へ。この記事も趣味の延長で書きました。@人事では主にSNS運用を担当。
・大西:元新聞記者(3年)で、殺人事件から小学生のホタルの飼育活動まで幅広く取材。お笑い好きで、「@人事」なのに吉本新喜劇の取材企画を立てた。
・早川:広告営業(半年)→ディレクター(13年)を経て@人事編集部にジョイン。情報収集はもっぱらラジオとネット。
・飯塚:元スポーツ記者(13年)。育児雑誌編集、企業の社内報編集の経験もあり。野球ネタが増えたのは私のせいです。関西人。
・長谷川:労働専門誌でパワハラ関係、働き方改革関連法の担当を経て@人事編集部へ。「ブラック企業」にはすごく厳しい。
相次ぐハラスメント事件。令和に「当たり前」は通用しない
栗原:カネカのパタハラ(パタニティ[父性]ハラスメント)騒動も、Twitterでの告発がきっかけで明るみになった例ですね。
長谷川:パワハラ防止法が成立してから各企業ともハラスメント対策を進めている敏感な時期だっただけに、会社側の、特に経営者の対応の悪さが目立ちしました。
早川:その後もパワハラ事件が続きましたね。と言うか、毎日のように何かしら報道されている気も。
長谷川:ネットを通じて「パワハラ録音は実は合法」というのが啓蒙されたと思う。
大西:そういった事件がハラスメント全般ついて総力特集した企画「ハラスメント対策最前線」」に説得力を持たせる要因にもなったのかな。
早川:令和に入ってから従来の「当たり前」を疑問視するようになってきたと思います。ドラゴンズの「お前騒動」はちょっと過敏だけど。
小斎:佐々木弁護士の解説は、厚労省が公表したパワハラの6類型を具体的な例で分かりやすく解説してくれていて参考になる。
長谷川:佐々木弁護士はパワハラ問題のスペシャリストですが、裁判で有罪になるとかならないというのを超えて、本質的なマネジメント論になっていたかなと。「パワハラかどうか、アウト発言かセーフか線引してる時点で意識低い」というのは本当に大事な視点だった。
関連記事:
・パタハラ告発のカネカから学ぶこと。人事や「時代遅れ上司」の問題点
・録音されたら終わり!? パワハラ上司にならないために大事なこと
・特集「令和時代に必須! ハラスメント対策最前線」
上半期人気No.1はメルカリの新卒採用戦略。採用の成功が業績UPにつながる好例
飯塚:@人事上半期最大ヒット記事は文句なしでメルカリやね。昨年のリファラル採用を取り上げた記事も評判が良かったですし、メルカリにはみんな注目しているんやなぁ。
長谷川:正直、人事制度が何度も変わり過ぎでは?と思わないでもなかったけど、成果を出している企業の現状は知りたいですね。
大西:「会社を好きになってくれる人を採用」というのは、当たり前のようだけど、苦戦している企業が多いです。そんな中、柔軟に制度を整えて実績を残しているメルカリはすごい。
早川:私、メルカリユーザーですが、メルペイをはじめ新しいサービスや機能がすごく良くできてるんです。ネットでは賛否両論のメルカリだけど、仕事は群を抜いている。
飯塚:○○ペイ関連だと、某コンビニ系で大失敗した例が思い浮かぶ……。
栗原:某コンビニ系の内情は分かりませんが、メルカリはシステムが絡むトラブルは少ないような……?
小斎:優秀なエンジニアをうまく獲得できている証拠だと思う。結局、採用の成功と業績アップは比例しているんだよね。
長谷川:メルカリといえば、メルカリとウォンテッドリーのイベントを取材しました。はじめはキラキラ人事過ぎて疑いの目で見てしまっていたけれど、成長企業は徹底して理想を語ることが大事だと納得しましたね。企業理念にブレがないことが重要。
大西:ブレがない、身に染みます……。メルカリの取り組みを実現できる企業は多くはないけれど、真似する必要はなくて、取り組みへの背景というか、思いを知ることが重要なのかなと思います。
関連記事:
・変化しないと、生き残れない。メルカリが語る新卒採用の未来
・リファラル採用で「脱・新卒一括採用」 メルカリの採用基準とは
・メルカリ・ウォンテッドリー流! 組織エンゲージメントの高め方
イケイケ企業がまさかの組織崩壊? 経営者と人事部長の思想のギャップが悲劇を生む
早川:理想といえば……一見成功しているように見えた企業が、内情はアレだったっていう……。
栗原:メイプルシステムズのもっちーさん、おっしーさん事件ですね。メディアにバンバン出ていたイケイケ企業の名物CEOとCHROが、実は随分前からすれ違っていたという……。これはすごかった!すごい一日だった。
大西:栗原さんのSlackのつぶやきがきっかけで、もっちー(CEOの望月さん)に取材依頼して、その日のうちにオンライン取材して……あれよあれよという間に「別れた理由」の記事公開に至りました。あの日はドラマティックな一日だったなぁ……。
小斎:皆のSlackでのやり取りから、熱量が伝わってきた。
長谷川:やや週刊誌チックでしたね。独占ネタ。
飯塚:@人事でこんなのやっちゃうの? って思った(笑)。
早川:逆に、これは@人事ならではだと私は思ったな。今まで、@人事ではメイプルシステムの取り組みを「成功例」として取り上げてきた。CEOのもっちーとCHROのおっしー(鴛海さん)が理想の関係を築いていて、それが組織成功につながっているというように。
小斎:今まで散々「良い」って言ってただけに、「本当にそうだったのか」の答えをここで出す必要があったと思う。採用担当者と経営者、または現場がコミュニケーションをとれているのか? 採用だけで考えると、こういうことが起こりうる。「採用ありき」でなく、会社が目指す採用を裏付ける企業文化や理念がまず先にあるべき。
大西:おっしーの退職エントリが衝撃的でしたね。だからこそ、もっちーを取材したかったんです。二人の決裂がネット上で話題になっていてももっちーは最初からブレてなくて、徐々に自分が考える会社の姿と現実との乖離が生まれてしまって。「いい機会だ」って晴れ晴れしてましたね。
栗原 :Twitterでも「社長と人事のビジョンが刷り合ってない」というコメントが多く見受けられました。メイプルシステムズの二人に限った話というよりも、多くの企業で起こり得ることだと思いました。
早川:趣深い……記事でした。
関連記事:
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・『型破りな企業』メイプルシステムズに見るCEOとCHROの関係性とは
・「炎上したら丁寧に対応する」Twitter採用の極意
ひとり人事の叫びに「共感しかない」。我々は人事の悩みに寄り添えているか?
早川:上半期を振り返ったなかで、またやりたい企画とかありますか?
大西:「ひとり人事座談会」は定期的にやりたいですね。リアルな人事の皆さんの悩みを聞けたのもそうですが、何よりも、座談会に参加した人事さん方が「他社の話が聞けてよかった」と喜んでくれたのがうれしかったなぁ。
栗原:2月に取材したビーボさんの「ひとり人事」企画からすでに反響が大きかったですよね。
早川:Twitterでも「激しく共感する」「分かりみが深い」など、共感の嵐。
長谷川:「ひとり人事」として日々奔走している人が、私たちの想像以上に多いのかも。
飯塚:「ひとり○○座談会」シリーズでやってみても面白いかもねー。「ひとり総務」とか「ひとり採用担当」とか?
大西:@人事が、悩みを抱える方が本音を話し合える場になれるといいですね。困っている人のちょっとでも心の支えになれれば……。
小斎:下半期、ぜひやりましょう。
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