コラム

「管理職はなぜ報われないのか?」人気ブロガーによる特別描き下ろしコラム


フミコフミオがつづる ~全ての管理職たちへ贈るブルース~

2019.09.27

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働き方改革のあおりを受け、管理職の業務負担は激増している。そして、そんな上司の姿を見て、管理職に憧れない若手社員が増えている。

管理職はなぜ報われないのか?
管理職はなぜ嫌われるのか?

@人事ではこの問いに光を見出すべく、2007年からはてなブログにて、中年サラリーマンのロックな生き様をつづり続けているフミコフミオ氏に特別に寄稿していただいた。

きれい事では語れない管理職の悲哀の先に、希望はあるのか。 (編集:@人事 編集部 早川みどり)

目次
  1. 「あいつ部長になった途端マジありえねえ」
  2. 「課長時代に仰っていたことは嘘だったんすか」
  3. 僕たちは会社でやっていく処世術としてクソ上司の使い方を学んだ
  4. イヤな上司に変わってしまったのではなく、イヤな上司という役割を任せられている
  5. 上からも下からもダメな管理職といわれるのは、管理職の宿命

◆執筆者プロフィール

フミコフミオフミコフミオ (id:Delete_All)
はてなブログをはじめ、各Webメディアで引っ張りだこの中年サラリーマンブロガー。仕事での鬱屈や夫婦生活、社会問題を含めたあらゆる日常を、毒気たっぷりの語り口でつづり中高年を中心に絶大な人気を誇る。近著に『ぼくは会社員という生き方に絶望はしていない。ただ、今の職場にずっと……と考えると胃に穴があきそうになる。』(2019年9月27日/出版:KADOKAWA)がある。

「あいつ部長になった途端マジありえねえ」

「こんなはずじゃなかった」 
これが管理職になった僕の嘘偽りない気持ちである。現在、営業部長を務める僕の心と精神は、上から下から日焼けサロンのように焼かれてしまって、真っ白な灰のようになっている。それも、矢吹ジョーさんのような完全燃焼の灰ではなく、一酸化炭素をまき散らす迷惑極まりない不完全燃焼。役職のないときは、上方(上司)と側面(同僚)をみていれば良かった。逃げ道があった。余裕があった。ところが役職についたとたん部下という下方面が加わって、上下左右すべての方角に注意を向けなければならなくなった。人並みの注意力しかない人間には、土台無理な話ではないか。

管理職の苦しみ

「立場は人を変える」「立場は人をつくる」というフレーズは、古来、「あの御仁、最初はどうかと心配したものだが、名前に相応の存在になって実に素晴らしいね」という、いい意味のフレーズであった。だが、実際の現場ではどうだろう? 「あいつ部長になった途端マジありえねえ」みたいな、「立身出世によって人は変わってしまうものなのね。ダークサイドに堕ちてしまうものなのね。悲しいね」というネガティブな意味で使われることも多いのではないか。

「課長時代に仰っていたことは嘘だったんすか」

抜群に仕事が出来て、膨大な知識と経験を有し、部下に心配りのできる、それでいて気さくで話しやすい人柄を持つような、いわば尊敬できる上司が理想だが、理想はどこまでも理想の世界のものであり、クソみたいな現実世界においてはクソみたいな上司が多いものだ。そして、哀しいかな、会社員であるかぎり、基本的に上司は選ぶことができない。上司に「ノー!」を突き付けて、上司や部下という概念のない、ひとりきりの辺境営業所へ飛ばされるというエクストリームな方法もあるがおすすめはしない。

管理職の苦しみ

上司は選べない。やりきれない。どうしようもない。だが時は流れ、いよいよクソ部長が定年で退職。明日からは、人望厚い、こちら側の意見を尊重してくださる天使課長が後任の部長へ昇格することになる。やった。皆が待ち望んでいた人事。これからは良くなるいっぽう。地獄の日々は終わる!

しかし、期待は裏切られる。天使課長は部長になった途端、前任のクソ部長と同じような采配をはじめる。上層部の顔色をうかがい、部下の顔色は見て見ぬふり。前任のクソ部長が下々からどう見られていたかをよく知っているのに、部長になると上下左右から集中砲火を浴びるがごとく見られることに疲れ果て、上か下かを選ぶのなら、部下を切り捨てて、給料や役職をくださった上の目を気にしようという気持ちになったと思われる。期待していたぶんだけマンモス悲ピー

「課長時代に仰っていたことは嘘だったんすか」とオブラートに包んで申し上げても、「ごめん、覚えていない」と呆けて誤魔化すばかり。こうしてクソ部長が去ったあとにはクソ部長2号が生まれ、その次にはクソ部長Ⅴ3があらわれる。下々の者たちは「立場は人を変える」といってそういったどうにもならない現実を嘆き続けるのである。「立場は人を変える」という言葉にはこういう悲しい会社員たちの涙で出来ているのだ。

僕たちは会社でやっていく処世術としてクソ上司の使い方を学んだ

かつて、僕も、具体的には新卒で働きはじめて30代半ばまで「立場は人を変える」といって、どうにもならない人事を同僚たちと嘆いていた。「彼は役職者になって変わったよ」「役職ごときで人格が変わったような行動をはじめるとは彼を見誤ったね…」と同僚たちと中ジョッキを飲みながら上司たちを居酒屋でつるし上げていたのだ。僕たちは会社でやっていく処世術としてクソ上司の使い方を学んだ。仕事の出来ない、部下の気持ちのわからない上司という仮想敵という役割をあたえて溜飲を下げていたのだ。

管理職の苦しみ

だが、僕には視点と予想が決定的に欠けていた。上との折り合いが悪かったので、自分が永遠のゼロ昇格だと信じて疑わなかったのだ。僕は管理職になれない。そう信じていたのだ。だが、大人の階段をのぼるように、大人の事情により、僕自身が上司になってしまった。

長いこと、「立場は人を変えるよな」「ああいう人間にはなりたくない」と共に歴代のクソ上司を嘆いていた同僚たち、何より過去の自分自身の言動を裏切りたくなかった僕は、徹底的に部下の立場にたって仕事をすることに決めた。僕はクソ上司にはなりたくない。言われたくない。その一心であった。実際、上からは白い目で見られるのも厭わず、出来るだけ現場の意見を吸い上げるように動いた。もし、上司のランクに松竹梅があるなら、「すげえナイス上司!」「理想の上司に出会えた」と称賛されなくてもいい、せめてタケノコぐらいではありたいと考えたのだ。「あの人は役職者になったら変わったよ」そう過去の自分から言われないようにしたかったのだ。

イヤな上司に変わってしまったのではなく、イヤな上司という役割を任せられている

管理職の苦しみ

ところが、かつての同僚たちに「あなたも立場で変わってしまった」と言われてしまう。上層部から罵られながらも部下のために動いているのに、なぜだホワイ?という永遠とも思えた謎は半日くらいで解けてしまう。いや解いたことにした。かつての僕らが中ジョッキを飲みながら嘆いていた歴代クソ上司たちのなかにはクソ・レベルに達していない、ちょっとだけ期待外れレベルの上司もいたが、僕らは彼のこともクソ上司と呼んで嘆いていた。準ブラックな職場環境だったので、自分たちの団結のためにも仮想敵が必要だったのだ。そういう人をいいやつだったけれど変わってしまったねという論理で、ちょっといまいち程度な人もクソ上司に仕立て上げていた面は少なからずあったと思う。

この文章を読んでいる人のなかにも、上司というだけで謎のハードル上げをおこなって、それに達しないからダメ上司の烙印を押している方々もおられるのではないか。よく考えてほしい。上司だって、つい先日まではイチ社員にすぎなかったのだ。上司になった途端にハードルをあげられても困惑するだけなのだ。

イヤな上司に変わってしまったのではなく、イヤな上司という役割を任せられている。イヤな上司という必要悪として会社で生きていく。今、僕はそういうふうにポジティブにとらえるようにしている。イヤな上司像を重ねられるのも上司の仕事のひとつと諦めている。そうやって正気を保っている。「僕はクソ上司でもイヤな上司でもない。そういう役割を任せられているだけ、部下たちの酒のつまみのために…」とトイレの個室で呟きながら。

上からも下からもダメな管理職といわれるのは、管理職の宿命

フミコフミオ管理職に贈るブルースイメージ僕は営業部長だ。自分なりに自分に与えられた仕事をこなしているつもりだ。管理職になってわかったことがある。それは管理職とは、上層部からの要求と部下からの要求の調整をする汗かき役ということ。調整をしていれば、上層部、部下、双方から100点満点を付けられることはない。悲しいかな。100点を与えられないと人間は満足しない。だから上からも下からもダメな管理職といわれるのは、管理職の宿命。そう、僕は自分に言い聞かせながら、部下からクソと呼ばれていないか、部下の目を気にして、毎日ハラハラしながら、胃の痛い管理職ライフを満喫している。

同じように過酷な環境下で管理職っている同志たちよ。希望はなくても絶望せずに頑張ろうではないか。今、僕らをイヤな上司だと思っている部下も僕らと同じようにいつかはイヤな上司という十字架を背負うことになるのだ。そのとき、僕らの気持ちはわかってもらえるはずだ。

皆さんにおかれましては、僕のようなクソ上司因果に巻き込まれないよう、クソ上司呼ばわりは計画的に使ってもらいたい。あなたが上司をクソ上司と呼ぶとき、未来では誰かが未来のあなたをクソ上司と呼んでいるのだからね。

独自のリズム感と文体で中毒者続出! 伝説の会社員ブロガー衝撃のデビュー作

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